第241話:空回る世界 作:◆3LcF9KyPfA
「――さて、ここからどうしようか」
そうつぶやく男――姫を助けにきた王子であるクレア・スタンフィールド――は、
目の前の城門を見上げると、ひとりごちる。
「やはり、王道としては正々堂々正面から名乗りをあげるのが格好良いか……
だがしかし、ここで敢えて前代未聞に挑戦してみるのも悪くはないな?」
そう呟いてクレアは、後ろを見る。
大分離してはあるが、先程の男がしつこく追いかけてきているのが見えた。
「悪の手先じゃないなら、あいつを倒しても別に格好がつくわけじゃないしな……」
シャーネを助けるまでは、面倒は御免だった。クレアは即決する。
……何より、「前代未聞」という単語がとても自分らしく、格好良いと思えてきた。
「よし、それじゃあ行くか」
ニヤリ、と擬音のつきそうな笑顔と共に、クレアは鼻歌混じりで巨大な扉を開いていった。
そうつぶやく男――姫を助けにきた王子であるクレア・スタンフィールド――は、
目の前の城門を見上げると、ひとりごちる。
「やはり、王道としては正々堂々正面から名乗りをあげるのが格好良いか……
だがしかし、ここで敢えて前代未聞に挑戦してみるのも悪くはないな?」
そう呟いてクレアは、後ろを見る。
大分離してはあるが、先程の男がしつこく追いかけてきているのが見えた。
「悪の手先じゃないなら、あいつを倒しても別に格好がつくわけじゃないしな……」
シャーネを助けるまでは、面倒は御免だった。クレアは即決する。
……何より、「前代未聞」という単語がとても自分らしく、格好良いと思えてきた。
「よし、それじゃあ行くか」
ニヤリ、と擬音のつきそうな笑顔と共に、クレアは鼻歌混じりで巨大な扉を開いていった。
「……捕らわれのお姫様ってのは、最上階にいるのが定番だと思ったんだがな……?」
中に入って直後、クレアは面倒くさい追っ手(平和島静雄)を足止めするべく即座に城門を閉めると、
そのまま正面入り口へは向かわず、手近にあった木を登り。壁面の縁に飛び移り。
そして、比較的凹凸の大きい壁面を運良く発見するなり、一気に登って最上階から侵入したのだった。
だが結局、侵入した階全体を見回ってみてもシャーネを発見することができず、現在に至っている。
「城でないとすると塔か……? だが、この島にはそんな気の利いたものはないしな。
地図にある灯台は、塔と呼ぶには貧相だし……」
言っている間にも、やや苛立ちが外面に見え始めていた。
……と、何を閃いたのか、クレアが唐突に走り出す。
それは“疾風迅雷”とでも評するのが相応しいような、後先を考えない全力疾走だった。
「はは……そうだ、そうだよな。“城”っていうからには、謁見の間とかそういうのがあるはずだ。
悪役ってのは、偉そうに座って『冥途の土産』とやらを聞かせるのが好きだしな。絶対そこだ」
半ば自分に言い聞かせるように、クレアは駆けていく。
中に入って直後、クレアは面倒くさい追っ手(平和島静雄)を足止めするべく即座に城門を閉めると、
そのまま正面入り口へは向かわず、手近にあった木を登り。壁面の縁に飛び移り。
そして、比較的凹凸の大きい壁面を運良く発見するなり、一気に登って最上階から侵入したのだった。
だが結局、侵入した階全体を見回ってみてもシャーネを発見することができず、現在に至っている。
「城でないとすると塔か……? だが、この島にはそんな気の利いたものはないしな。
地図にある灯台は、塔と呼ぶには貧相だし……」
言っている間にも、やや苛立ちが外面に見え始めていた。
……と、何を閃いたのか、クレアが唐突に走り出す。
それは“疾風迅雷”とでも評するのが相応しいような、後先を考えない全力疾走だった。
「はは……そうだ、そうだよな。“城”っていうからには、謁見の間とかそういうのがあるはずだ。
悪役ってのは、偉そうに座って『冥途の土産』とやらを聞かせるのが好きだしな。絶対そこだ」
半ば自分に言い聞かせるように、クレアは駆けていく。
【G-4/城の中/1日目/08:00】
【クレア・スタンフィールド】
[状態]:健康、焦りと苛立ちで神経過敏
[装備]:大型ハンティングナイフx2
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:謁見の間を探す。シャーネはどこだ!?
[状態]:健康、焦りと苛立ちで神経過敏
[装備]:大型ハンティングナイフx2
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:謁見の間を探す。シャーネはどこだ!?
- 2005/05/09 文頭に空白を挿入
| ←BACK | 目次へ(詳細版) | NEXT→ | 
| 第240話 | 第241話 | 第242話 | 
| 第237話 | 時系列順 | 第293話 | 
| 第212話 | クレア | 第320話 | 
