第260話:聖なる光 作:◆D8W1AT6yro
「グリーン! グリーン落ち着けよ!」
「そうだよ! そんなの癒し系の仕事じゃないよお!」
「そうだよ! そんなの癒し系の仕事じゃないよお!」
血濡れの背中に声がかかる。
癇に障るほどやかましい声が、酷く遠い。
――うるせぇ……
声にならぬ声を上げ、潤はずるずると己の身を引きずり続けた。
一歩踏みしめるごとに、神経が悲鳴を上げる。
片足を上げるごとに、銃創から血が吹き出る。
癇に障るほどやかましい声が、酷く遠い。
――うるせぇ……
声にならぬ声を上げ、潤はずるずると己の身を引きずり続けた。
一歩踏みしめるごとに、神経が悲鳴を上げる。
片足を上げるごとに、銃創から血が吹き出る。
「潤さん……っ」
「……わ、わんデシ!」
さらに悲壮な声が近づいてくるが、構わず潤は歩き続けた。
「グリーン! いくら癒し系だからってブラックジョークは良くないぜ!」
「そーだよ! ブラックとラブラブなんて百合の花だよぉ!」
――うるさい、あたしはグリーンじゃねえ。
あたしは哀川潤だ。『人類最強の請負人』とまで呼ばれた女だ。
そして……
「……わ、わんデシ!」
さらに悲壮な声が近づいてくるが、構わず潤は歩き続けた。
「グリーン! いくら癒し系だからってブラックジョークは良くないぜ!」
「そーだよ! ブラックとラブラブなんて百合の花だよぉ!」
――うるさい、あたしはグリーンじゃねえ。
あたしは哀川潤だ。『人類最強の請負人』とまで呼ばれた女だ。
そして……
(祐巳……)
祐巳を、あの子を助けてやると誓った女だ。
大切な者のために、人間を捨てて、でも、それゆえに苦しんでいる……かわいそうで、しかし強い、あの子を救ってやる女だ。
『最強』が女の子一人救えないでどうするよ?
大切な者のために、人間を捨てて、でも、それゆえに苦しんでいる……かわいそうで、しかし強い、あの子を救ってやる女だ。
『最強』が女の子一人救えないでどうするよ?
(祐巳、泣くんじゃないよ。あたしが今行くからな)
でも、その前に……
奴を倒さねば。
奴を倒さねば。
――バリンッ!
不意にガラスの割れる音が響き、潤は一瞬だけ朦朧とした意識を覚醒させた。
目の前のビルは、未だ立ちつくしたままだが……
目の前のビルは、未だ立ちつくしたままだが……
(……あいつか!)
ビルを挟んで向こう側から、北西に向かって走り去っていく人影が見えた。
入り口側にいる潤を恐れたのか、2階から窓を破り飛び降りたらしい。
人影は二つ見えたが、潤のかすんだ目には誰だか認識できなかった。
――だが、それで十分だ。
(――待ちやがれっ!)
痛みを黙殺し、右足を踏みしめる。
目を閉じ、数瞬力を足に集中させる。
ビルを挟んで向こう側から、北西に向かって走り去っていく人影が見えた。
入り口側にいる潤を恐れたのか、2階から窓を破り飛び降りたらしい。
人影は二つ見えたが、潤のかすんだ目には誰だか認識できなかった。
――だが、それで十分だ。
(――待ちやがれっ!)
痛みを黙殺し、右足を踏みしめる。
目を閉じ、数瞬力を足に集中させる。
(祐巳……待ってな。すぐ行くからな)
やがてかっと目を見開くと、勢いよく地面を蹴ろうとした。
――が、
「やめてくださいデシ!」
突然、閃光が視界を支配した。
なんと前に回り込んだ白い犬が飛び上がり、至近距離で光のブレスをはいたのだ。
「うっ…………!?」
潤はたまらず倒れ込む。
自ら叩き付けた体は、その衝撃による激痛に襲われた。
全身が引き絞られるかと言うほどの痛み。
集中していたために一度は忘れていた痛みまでもが一気に襲いかかり、潤は悲鳴を上げることも出来なかった。
そのまま視界が暗くなっていく。
「やめてくださいデシ!」
突然、閃光が視界を支配した。
なんと前に回り込んだ白い犬が飛び上がり、至近距離で光のブレスをはいたのだ。
「うっ…………!?」
潤はたまらず倒れ込む。
自ら叩き付けた体は、その衝撃による激痛に襲われた。
全身が引き絞られるかと言うほどの痛み。
集中していたために一度は忘れていた痛みまでもが一気に襲いかかり、潤は悲鳴を上げることも出来なかった。
そのまま視界が暗くなっていく。
「人殺しはダメデシ。それに、今動いたら死んじゃうデシ」
「ホワイト! いつのまにそんな超能力を得たんだ!」
「すごぉい、すごぉい! ホワイト何者!?」
「え、えっとボクは……」
「ロシナンテ……? いや、それより潤さんが! 二人とも聞いてますか!?」
「おおそうだ、グリーンを助けねば!」
「治療だね! どうやるの?」
「唾つけただけじゃ治らねえよなあ」
「そもそも汚いよ」
「と、とにかく仰向けにして……」
「ホワイト! いつのまにそんな超能力を得たんだ!」
「すごぉい、すごぉい! ホワイト何者!?」
「え、えっとボクは……」
「ロシナンテ……? いや、それより潤さんが! 二人とも聞いてますか!?」
「おおそうだ、グリーンを助けねば!」
「治療だね! どうやるの?」
「唾つけただけじゃ治らねえよなあ」
「そもそも汚いよ」
「と、とにかく仰向けにして……」
うざったいほどの騒ぎ声が遠のいていく……。
人が瀕死な時にはそぐわないジョークとも本気ともつかぬ会話に、潤は内心苦笑を浮かべた。
(こいつ等と一緒だったらあの子も笑えるか?)
意識が途絶える直前、潤は地面が心地いいことに気付いた。
人が瀕死な時にはそぐわないジョークとも本気ともつかぬ会話に、潤は内心苦笑を浮かべた。
(こいつ等と一緒だったらあの子も笑えるか?)
意識が途絶える直前、潤は地面が心地いいことに気付いた。
【C-4/ビルの正面/一日目/9:45】
【哀川潤(084)】
[状態]:瀕死の重体(銃創四つ。右肺、左脇腹、左太腿、右肩損傷)気絶
[装備]:なし(デイバッグの中)
[道具]:なし
[思考]:祐巳を助ける 邪魔する奴(子荻と臨也)は殺す アイザック達に興味
【哀川潤(084)】
[状態]:瀕死の重体(銃創四つ。右肺、左脇腹、左太腿、右肩損傷)気絶
[装備]:なし(デイバッグの中)
[道具]:なし
[思考]:祐巳を助ける 邪魔する奴(子荻と臨也)は殺す アイザック達に興味
【ミリア(044)】
[状態]:超心配
[装備]:なんかかっこいいね、この拳銃 (森の人・すでに一発使用)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:そうだねアイザック!!
[状態]:超心配
[装備]:なんかかっこいいね、この拳銃 (森の人・すでに一発使用)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:そうだねアイザック!!
【トレイトン・サブラァニア・ファンデュ(シロちゃん)(052)】
[状態]:健康(前足に切り傷)
[装備]:黄色い帽子
[道具]:無し(デイパックは破棄)
[思考]:お姉ちゃんが大変デシ!! 正体ばらしちゃうデシ?
[状態]:健康(前足に切り傷)
[装備]:黄色い帽子
[道具]:無し(デイパックは破棄)
[思考]:お姉ちゃんが大変デシ!! 正体ばらしちゃうデシ?
【備考】
哀川さんはあと1時間程度で死ぬと思われます。
また過剰に身体を動かせば、その分寿命が縮まる事が予想されます。
哀川さんはあと1時間程度で死ぬと思われます。
また過剰に身体を動かせば、その分寿命が縮まる事が予想されます。
【萩原子荻(086)】と【折原臨也(038)】はB-3あたりへ向かっているようです。
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