第296話:魔女と魔術師 <前哨戦> 作:◆PZxJVPJZ3g
「さて、とりあえず我々は目的地に到着したわけだが──」
「どうでもいいですけど班長、人に話すときはせめてその人のほうを向いて話すのが礼儀ではないのですか?」
「いやいや茉衣子くん、我々を監視する者達のためにもこういったパフォーマンスは必要なのだよ」
「そんなパフォーマンス必要ありませんわ」
「どうでもいいですけど班長、人に話すときはせめてその人のほうを向いて話すのが礼儀ではないのですか?」
「いやいや茉衣子くん、我々を監視する者達のためにもこういったパフォーマンスは必要なのだよ」
「そんなパフォーマンス必要ありませんわ」
いつもの尊大な態度で茉衣子の質問に返す宮野。
ちなみに宮野の視線の先にある樹木には監視カメラの埋め込まれた樹があったのだが、今回の話にはまったく関係ないので割愛させていただく。
ちなみに宮野の視線の先にある樹木には監視カメラの埋め込まれた樹があったのだが、今回の話にはまったく関係ないので割愛させていただく。
「しかし班長、今度からあのような方法で向かう場所を決めるのは控えるべきだとは思いませんか?」
「『成功の影に失敗はつきもの』と言うではないか、さしたる問題ではあるまい」
「その方法に問題があったから、こうして申し上げているのですっ!! しかもまだあんな方法で行く先を決めるつもりですか!?」
「『成功の影に失敗はつきもの』と言うではないか、さしたる問題ではあるまい」
「その方法に問題があったから、こうして申し上げているのですっ!! しかもまだあんな方法で行く先を決めるつもりですか!?」
宮野に罵声を浴びせた茉衣子は、嘆息した後に目の前にあるものよく観察する。
そこにあったのは、佐山達や悠ニが利用した小屋であった。しかし「小屋」と呼ぶには少々、いや多少腐敗が進んでいてむしろ「廃屋」と呼ぶべきではないかと思わないでもない。
廃屋の周りも調べてみるが人影はなく、生き物の気配すらまったく感じない。生き物のいない森というのがこうも不気味だとは茉衣子も思わなかったが、逆にそれが安全であるという証明であるなら仕方がないと自分に言い聞かせる。
仮にあと数分早く着いていれば悠二と出会っていたのだが、これも今回の話とは関係ないのでどうでもいいことである。
先ほどからずっと虚空を見つめていた宮野が、やっと口を開いた。
そこにあったのは、佐山達や悠ニが利用した小屋であった。しかし「小屋」と呼ぶには少々、いや多少腐敗が進んでいてむしろ「廃屋」と呼ぶべきではないかと思わないでもない。
廃屋の周りも調べてみるが人影はなく、生き物の気配すらまったく感じない。生き物のいない森というのがこうも不気味だとは茉衣子も思わなかったが、逆にそれが安全であるという証明であるなら仕方がないと自分に言い聞かせる。
仮にあと数分早く着いていれば悠二と出会っていたのだが、これも今回の話とは関係ないのでどうでもいいことである。
先ほどからずっと虚空を見つめていた宮野が、やっと口を開いた。
「しかしいつまでもこうしている訳にはいくまい、とりあえず中に入るか」
なんの躊躇いもなく廃屋の中に進む宮野、そしてそれに付き従うかのように茉衣子が後に続く。口先では罵倒しながらもこういった場面で付き従うあたり、やはり自分は班長を信頼しているのだと再認識する。
(まぁ、師と仰ぐべき人間としては最底辺の部類ですけど……)
(まぁ、師と仰ぐべき人間としては最底辺の部類ですけど……)
今更どうしようもない事を考えながら、茉衣子は廃屋の中を見渡す。
廃屋の中には、無数に散乱した錆びた工具と2枚の紙切れ、そして水の入ったペットボトル。よく見れば、それは参加者全員に支給された物と同じだとすぐにわかった。
廃屋の中には、無数に散乱した錆びた工具と2枚の紙切れ、そして水の入ったペットボトル。よく見れば、それは参加者全員に支給された物と同じだとすぐにわかった。
「それにしても、何でこんなところに水が?」
誰かが一時的にここへ置いたものだろうか? しかし、辺りに人の気配がまったくなかったことを考えれば、その可能性は全く無いように思える。
すると、横合いから宮野が一枚の紙を茉衣子に差し出した。内容を見ると、尊大な文面でこの水を有効に活用しろと書いてあった。
すると、横合いから宮野が一枚の紙を茉衣子に差し出した。内容を見ると、尊大な文面でこの水を有効に活用しろと書いてあった。
「なんとなくですけど、班長と気が合いそうな方のように思えますわ」
「何を言っておるのだね茉衣子くん、正義と真実をこよなく愛する公明正大がモットーの私が、何が悲しくて悪役志望の偏った思考を持つ変態生徒会副会長と仲良くせねばならんのだ」
「妄想の如き班長の戯言はともかく、この水はどうしましょうか?」
「ふむぅ……」
「何を言っておるのだね茉衣子くん、正義と真実をこよなく愛する公明正大がモットーの私が、何が悲しくて悪役志望の偏った思考を持つ変態生徒会副会長と仲良くせねばならんのだ」
「妄想の如き班長の戯言はともかく、この水はどうしましょうか?」
「ふむぅ……」
思案すること数秒、宮野はペットボトルを手にしてこう言った。
「まぁ、さほど気にすることでもないだろう。ここは佐山・御言なる人物の厚意に甘えるのも悪くはあるまい」
そう言ってから、宮野はペットボトルの蓋を外す。ご丁寧にも左手を腰に添えて、ペットボトルの中の水を口に含む──
その寸前に宮野は手を止めて、わずかにペットボトルの中の水に視線を向ける。
『どうした? 飲まねぇのか?』
宮野の胸元のエンブリオが話し掛ける。すると突然、宮野は中の水を室内に盛大にぶちまけた。
『どうした? 飲まねぇのか?』
宮野の胸元のエンブリオが話し掛ける。すると突然、宮野は中の水を室内に盛大にぶちまけた。
「なっ、何をなさるのですか突然!? 奇特な行動は控えた方がよろしいとあれだけ──」
間一髪で水を避けた茉衣子が、宮野に罵声を浴びせる。しかし宮野の顔を見て、茉衣子は声を出せなくなった。
宮野のその表情はまさしく「戦慄」。普段の宮野からすれば、全く予想出来ない表情である。
(へらへらした班長からこのような表情が見られるなんて、正直意外ですわ……)
いつもの宮野からは想像出来ないその表情に、茉衣子は僅かに心を奪われたがすぐに正気に戻った。
宮野のその表情はまさしく「戦慄」。普段の宮野からすれば、全く予想出来ない表情である。
(へらへらした班長からこのような表情が見られるなんて、正直意外ですわ……)
いつもの宮野からは想像出来ないその表情に、茉衣子は僅かに心を奪われたがすぐに正気に戻った。
「突然どうしたのですか班長? その水に何か異常でもあったのですか?」
「……分からん。 だが何か毒のようなものが入っていたかも知れん」
「毒!?」
「本当に毒だったのかは分からん。だがコレを飲むと、なんとなく危険なような気がしたのだよ」
「……分からん。 だが何か毒のようなものが入っていたかも知れん」
「毒!?」
「本当に毒だったのかは分からん。だがコレを飲むと、なんとなく危険なような気がしたのだよ」
額に浮かんでいた脂汗を、白衣の袖でぬぐう宮野。
「しかし、一体誰がこのような事を……」
「それも分からん。 佐山・御言なる人物の厚意を利用したものか、本人が仕組んだものかさえな」
「……」
「それも分からん。 佐山・御言なる人物の厚意を利用したものか、本人が仕組んだものかさえな」
「……」
沈黙が廃屋の中を漂う。
その中で二人は、これが生死を賭けた椅子取りゲームであることを結果的に再認識することになった。
その中で二人は、これが生死を賭けた椅子取りゲームであることを結果的に再認識することになった。
【今世紀最大の魔術師(予定)とその弟子】
【Eの5/廃屋の中/1日目・8時23分)】
【Eの5/廃屋の中/1日目・8時23分)】
【光明寺茉衣子】
[状態]:健康
[装備]:ラジオの兵長
[道具]:通常の初期セット
[思考]:刻印を破る能力者、あるいは素質を持つ者を探し、エンブリオを使用させる。
[状態]:健康
[装備]:ラジオの兵長
[道具]:通常の初期セット
[思考]:刻印を破る能力者、あるいは素質を持つ者を探し、エンブリオを使用させる。
[備考]
廃屋内にあったペットボトル(詠子の血入り)は破棄、「物語」はまだ読んでいません。
廃屋内にあったペットボトルの中に、毒物に類するものが混入されていたと考えています。
ペットボトルに毒物を混入した犯人として、佐山・御言が挙げられています。ただし同時に佐山・御言の名を利用した行為であるとも考えています。
廃屋内にあったペットボトル(詠子の血入り)は破棄、「物語」はまだ読んでいません。
廃屋内にあったペットボトルの中に、毒物に類するものが混入されていたと考えています。
ペットボトルに毒物を混入した犯人として、佐山・御言が挙げられています。ただし同時に佐山・御言の名を利用した行為であるとも考えています。
<前哨戦>
● 魔女VS魔術師 ○
決め技:宮野の直感(と言うかEMP能力の一端)
● 魔女VS魔術師 ○
決め技:宮野の直感(と言うかEMP能力の一端)
- 2005/05/05 修正スレ88
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