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  • 信疑の天秤

ラノベ・ロワイアル @ wiki

信疑の天秤

最終更新:2007年12月06日 14:16

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だれでも歓迎! 編集

第418話:信疑の天秤 作:◆l8jfhXC/BA



「あのライターは、俺達には萩原の支給品として紹介された。よく考えれば、まずここからおかしい。
ライターは折原のデイパックの中から取り出された。つまり、自分の支給品を預けていたことになる」
 三人の視線を一身に受けながら、俺は話を続ける。
「ん? そうかな。俺に預けておけば、萩原さんがライフルで両手が塞がれているときにこの爆弾で迎撃できるだろ?」
「ライターの外見という偽装が施された武器を、“策師”が赤の他人である折原にわざわざ手渡し、さらに真実をバラしてしまうのは極めておかしい。
ライターだけを、隙をついて相手のデイパックに滑り込ませるか、かなり苦しいが何らかの理由を付けて手渡しておき、リモコンである板は自分が握っておくというのならわかる。
これならいざというときに相手を切り捨てるための武器として役立てられるからな。だが、そのリモコンすら折原に渡してしまっている」
 折原の反論に間髪を入れずに答えてやる。
 確かにその分担は間違っていないが、この状況下ではかなり考えにくい。
「ってことは、互いに信頼があるなら証明できないことになるね。
それで、第三者の君がどうやって俺達の間に“信頼がなりたっていない”ということを立証するんだい?」
 もし完璧に証明しようとするならば、それこそ心中が読める人間が必要になる。
 だが、この場で重要なのは二人の心中の問題ではなく、あくまでライターだ。
「そんな面倒な証明をしなくとも他の根拠がある。
まず萩原がライターが爆弾であると言うことを知っていれば、最初折原が俺に向けてライターを投げたときにわざわざこちらに向かって来ない。
ライターを俺達に向けて投げるという行為が、隙を作ることではなく爆弾として利用する行為に繋がるからな。
乱戦になってしまってからでは萩原自身が範囲に入ってしまい使えなくなる。逆に逃げなければいけない。
それなのに萩原は、一片の躊躇もなく俺達に強襲していった。
……ああ、面倒な証明が一部出来たな。“信頼”があればこんなミスはないはずだ」
「……それは、」
「戦力を温存しておくためか?
あからさまに怪しい荷物と剣、それに拳銃を持つ奴らに手加減なんて考えるほどおまえ達は馬鹿じゃないだろう。
ああ、怪我人だったから油断したとか苦しい言い訳もするなよ。理由は同じだ」
 言葉に詰まった萩原に、さらに追い打ちをかける。
「これらのことから、“ライターは爆弾である”という認識を萩原が持っていないことがわかる。
そして、支給品である物の機能を知らないというのは考えにくい。
俺の私物の、ある特殊な品物も支給品として配布されていたが、それにはきちんと説明書がついていた。
……萩原の支給品である爆弾型ライターには説明書がついておらず、だがしかし折原はその機能をひそかに知っていた。
そのような偶然も完全には否定できないが、それなら萩原がわざわざ渡す必要がまったくない。
萩原がごく普通の少女で、この状況下で生き延びる知識も経験もないので折原に預けた──というのも相当苦しいし、既に本人によって“普通の少女”であることは否定されている」
「説明書はついとったってさっき言うとったで。……折原の方がな」
 緋崎の言葉に、室内の空気が張りつめる。
 全員の視線を集めた折原も、さすがに余裕のある笑みではなくなっていた。まだ笑みだが。
「これでライターが萩原の支給品ではなく、折原の所持品だということが立証できた。
おそらく、ジャケットの方も折原の私物だ。
俺が調べたところ、そのジャケットは少なくとも一年以上は使い込まれている形跡があった。この会場で新たに用意されたものではない。
そもそも、何の変哲もないジャケットを“武器”として支給するのは考えづらい。
ハズレ品として支給するなら、スプーンとか豆腐とかもっとインパクトがある物にするだろう」
 あと弾なしリボルバーとかな。
「…………そうですね。確かに私の支給品はそのライターではありません。それは認めましょう。
ですが今までの話を聞いていると、折原さんの支給品が本当にそのライターであったのなら、“爆弾ではない”という明確な根拠は結局あなたの調査結果とやら以外にないのですが」
 表情に苦々しいものを少し含ませて、萩原が口を開いた。
 俺の推論を半分認めたものの、この場を諦めたような印象はまったくない。氷点下の視線は未だに俺を貫いている。

 全員が動きを止めているこの状態は、一種の膠着状態に陥っていると言えなくもないだろう。
 だがそれは今、俺によって完全に崩壊しようとしている。
 両腕に怪我を負い、さらに緋崎に押し倒され反撃が困難な萩原。
 萩原の命を握っているものの、右腕が使えず体力も十分でない緋崎。
 右腕と両脚負傷という、この中で一番ひどい怪我を負ってまともに歩くことすら難しい俺。
 ……折原はこの中で唯一軽傷で済んでおり、俺達と距離が離れているものの、武器も手に持っている。
 しかし、この中で一番自由に動けないのはこいつだ。
「それじゃあ最後の証明だ。
萩原は現在ベリアルに拘束され、見たところ左腕を負傷し右手の指を数本折られている。……つまり、戦力的には“使えない”状況だ。
左腕の方は軽い怪我のようだし脚も使えるが、足手まといになることは避けられない。
これだけならまだ、頭脳面では協力しあえるだろう。
だが、今までの俺の発言で萩原がそれなりの疑いを持つことは容易に考えられる。結局、その板の機能は謎のままだしな。
逆に萩原の“策師”の件もあるから、彼女をおいそれと信用することも出来なくなっている。
こんな状況下では、疑念は膨らむことはあれど消えることはほぼない。行動しづらくなるのは確実だ。
足手まといで自分を裏切りかねない存在。
そんな危険要素になってしまった萩原子荻を、なぜおまえのような奴が今すぐ切り捨てようとしないんだ?
そして彼女に疑いを向けさせ、ここまで喋り続けている俺をなぜ今すぐ殺さない?
その爆弾とやらが本物ならば、すぐにできるだろ?」
 折原の表情から笑みが完全に消えた。
 確かに折原は現在この中で一番の戦力があるが、ここから一歩も動けない。
 ──今ここでこいつが動くと言うことは、すなわち爆弾が偽物だということの証明に繋がるからだ。
 萩原を救出するために行ったはったりのために、自らの行動力を潰してしまったことになる。

 ふたたび訪れた沈黙が、部屋の空気を軋ませる。
 だがこれはすぐに打ち破られるだろう。もう、この場はほぼ詰まれてしまっている。
 あの光刃を発生させる柄がそれほど遠くない位置にあることを視認。
 さらに背負ったままのデイパックから、もう一本のナイフを手早く取り出せるかどうか脳内で確認する。弾のないリボルバーの代わりとして、緋崎に渡さなければならない。
「…………なんだ、そうだったんだ」
 折原のつぶやきが耳に入る。
 淡々とした、ただ事実を認識しただけというような声色が沈黙を破る。
 訝しむ俺達を尻目に、無表情だった顔を一変させ──爽やかな笑みを浮かべて、折原は言った。
「右指か。いつの間にかそんな怪我をしてたんだ。確かにそれなら、使わないとおかしいよねえ。
わざわざ教えてくれてありがとう。────それなら、心置きなく押せるよ」
「! な──」
 折原を警戒しつつ動き出そうとしていた緋崎の手が止まる。くそ、しゃべりすぎていたか!
 だがライターが爆弾でないことは確かだ。知覚眼鏡に狂いはない。
 動揺する緋崎を説得しようと俺が口を開く前に、折原の親指が沈み──
「!」
 ぴ、という電子音がやけに大きく室内に響いた。



「がっ──ぁぁあ!」
 次に聞こえてきたのは、予想通り爆発音ではなくベリアルの苦悶の声だった。
 負傷している右腕を、思い切り肘で打たれて倒れ込んでくる彼を無理矢理押しのけ、子荻はライフルが捨てられている方へと向かった。
 背後からは臨也が駆け寄る音が聞こえてくる。──急がなければ。
 あれが爆弾でないことはすぐにわかった。
 ガユスが言っていたように、彼ならば自分が眠っている間にこちらのデイパックにライターを仕込んでおくくらいはするだろう。
 そしてそんな切り札なら、すぐ取り出せるようにポケットに入れておくはずだ。緊急時に使えなければ意味がない。
 一見使えなさそうな支給品をデイパックではなくポケットに入れるのは本来ならば怪しまれるが、ライターならばそれほど不自然な行為ではない。
(それにしても、計算外のことが多すぎます)
 あのフェイクに穴があることはわかってはいたが、ああも完膚無きまでに論破されるとは思っていなかった。
 そしてその後の臨也の切り返しは、隙をつくるという役割を持つ援護とも言えるが──こちらへの宣戦布告も兼ねていた。
 “心置きなく押せる”……つまり、容赦なく自分を切り捨てるという宣言でもある。
 確かに右手が使えないのは致命的だ。
 二人を処理した後、事によれば彼を殺害することも考えていたが、この時点で“敵”として認識するようなことを言われるとは思っていなかった。
 左腕もあまり満足に動かない今、二人ではなく三人も敵に回してしまったのは最悪だ。
『計算外が一つでも起こると、すっごく混乱しちゃうんだ。──その気持ちは痛いほどよくわかるよ』
 ふと、誰かに言われた言葉が思い出される。なぜだが誰だったかは思い出せない──いや、そんなことを考えている時ではない。
 左腕でライフルを回収、向きを変えてガユスの方へと走る。
「ベリアル! これを使え! 銃──」
 声と共に子荻の横をナイフが通る。投げた当人──ガユスの方は、先程分離された剣の方へと手を伸ばそうとしていた。
 あの怪我で剣が使えるのかは疑問だったが、これ以上“敵”に戦力を持たれるわけにはいかない。
 剣の刃の方を蹴り飛ばしながらガユスへと強襲。柄は回収されたものの、それだけでは短い鈍器程度にしかならない。
 言葉を続けながらも身体を反転させ起きあがろうとする彼の両脚に、容赦なくのしかかった。
「…………!」
 そしてライフルの銃口を突き刺すように彼の腹部に押しつけて固定、さらに右腕に体重をかけ銃身を押さえる。
 安定性は悪いが、これなら撃てる。
「では、逆殺です────?」
 ……引き金に手を掛ける刹那、気づく。
 柄を持った彼の左腕が、こちらの胸に向けられていることに。
「光、よ!」
 意図が不明なガユスの言葉。
 一瞬不審に思うも、だがそれだけだった。躊躇無く引き金を引き、
「……え?」
 胸部に衝撃が走った。
 次に熱。銃声。彼の絶叫。熱。
 血。熱。熱。胸から光、痛みが
「あ、」
 ガユスの持っている柄から光が伸び、自分の胸を貫いていると理解したときには、もう遅く。
 彼の左手から柄がこぼれ落ち光が消えるのと同時に、子荻の胸から鮮血が吹き出した。


「ぐぅ……っ」
 臨也の言葉に一瞬でも動揺した自分を呪いながら、ベリアルは絶叫と痛みをこらえていた。
 ガユスの言葉には説得力があった。最初からあれくらいの勢いでこの二人を尋問してくれたらどんなによかったものか。
 が、それでもやはり完全には信用していなかった。結局確実なのはガユスのあの妙な眼鏡の調査結果だけなのだ。
「……」
 そもそも疑うきっかけ自体も臨也の言葉だったことを思い出し、歯噛みする。
 だが、いつまでも過去を悔いていてもしょうがない。この場を何とか切り抜けなければ。
 なんとか起きあがりながらも、どこかに落ちているであろうリボルバーを目で捜す。
(あった!)
 まもなく部屋の隅に転がっていたそれを見つけ、回収しようとして咄嗟に後退。刹那、赤いジャケットを鈍く光る刃が切り裂いた。
 表情から笑みを消した臨也の刺突を横に跳んで回避。反撃に彼の腹部を蹴り上げようとするも、あっさり避けられる。やはり疲労と痛みがきつい。
 出し惜しみしている暇はない。彼の顔を睨み付けながら、真正面に鬼火を発生させた。
「──!」
 そして、ひるんだ彼の脇腹を蹴りつける。しかし先程と同じ手なのでさすがに予測され、受け身を取られてしまう。
 銃を回収し撃つ暇があるかは微妙だ。
「ベリアル! これを使え! ──」
 ──だがそこにガユスが投げたナイフが飛んできて、偶然臨也の右腕を引き裂いた。
 傷は浅いものの、不意をつかれて彼の動きが止まる。皮肉にも先程の自分と同じような状況だ。
(チャンスや!)
 視線を臨也に向けたまま、手探りでリボルバーを回収する。
 投げてくれたガユスには悪いが、臨也に近い位置にあるナイフを取りに行くよりも、手の届く位置にあり確実に殺傷できる銃器の方が扱いやすい。
 再び動き出した臨也に向けてリボルバーをつきだし撃鉄を起こし、彼を強く睨み付けながらその引き金を――
「…………!?」
 突然銃器を出された臨也の方ではなく、ベリアルの方に驚愕の表情が浮かぶ。
 銃声は確かに響いた。ベリアルの持つリボルバーからではなく、ガユス達の方から。
 ──リボルバーはただ、弾が入っていないことを知らせる乾いた音を出しただけだった。
「な────ぐ、ぁ」
 予想外の展開に思考が止まり──気づいたときには、胸にナイフが深く突き刺さっていた。
 その刃は容赦なくベリアルの内部をえぐり、破壊する。
 吐血された血が、臨也の服に付着した。
「か、……はぁっ、」
「だから盲信しちゃいけないっていったのにね?」
 頭に疑問符ばかりが浮かんでは消える。
 出会ってから、ガユスは一度もリボルバーの引き金を引いていない。あのクエロという女や謎の着ぐるみに遭ったときも。
 そして同じビルの中にいて、話し声すらかすかに聞こえる環境で、一度も銃声を聞いてはいない。
 ならば。
(なかった……? 最初、から?)
 扉を隔てて言葉を交し、この銃器で脅されたときからずっと、弾丸は入っていなかったことになる。
 彼と直接対面するまでは殺人者の可能性も疑っていたが──銃がはったりの可能性は、一度も考えなかった。
(はは……そりゃ、盲信やな…………)
 胸中で自嘲し、新たに腹部に衝撃を感じながらベリアルは意識を手放した。



 ナイフを抜かずに緋崎を蹴り倒した後こちらへと向かってくる折原を、俺は何もせずにただ見ていた。
 左手には先程俺が投げたナイフを持っていた。緋崎のナイフを抜くと返り血がつくというのが理由だろうが、嫌がらせにしか見えない。
 光の刃は確かに萩原の胸を貫き、彼女を殺害した。
 だが、ほぼ同時に彼女のライフルの銃弾が、俺の腹部をしっかりと貫いていた。要するに相打ちというやつだ。
 光の剣の方がわずかに早く狙いが多少ずれた、銃弾の衝撃と大量の出血で意識が今にも飛びそうだ。抵抗できる力はもちろん残っていない。
「あの時銃器じゃなくてナイフを回収して萩原さんに攻撃したときから疑ってはいたけど、あまりいい賭けじゃなかった。
わざわざナイフを投げて、こっちに銃が使えないって事を確信させなければよかったのにね」
 結局、緋崎を助けるためにとった行動が逆効果になってしまった。
 ……協力体制を取ると決めたときにあのリボルバーのことを言っておけば、こんなことにはならなかっただろう。
 それをためらう程度には、俺は緋崎を信用していなかった。
「爆弾のことがバレたときはちょっと焦ったけど、うまく萩原さんが焚き付けられてくれてよかったよ。
あんまりああいうことは言いたくなかったけど。両脚と片手のどちらかが無事ならまだ壁として使えるし、負傷してる女の子ってのは油断を誘えるからね。
……あー、これはもうだめだね。どっちも」
 血が服に付着しないように彼女の手だけを掴んで、折原は俺の上から萩原の死体を引きずり下ろし、ついでにライフルものけた。
 その後に漏れたつまらなさそうなつぶやきには、死者を悼む感情など含まれていなかった。
 ……先程のあの切り返しでは、緋崎が動揺する可能性はそれなりにあったものの、確実とはいえなかった。俺は勿論論外だ。
 本来の目的は萩原だった。
 仲間の援護は期待できず、無理矢理にでも好機をつくらなければ殺されるという、いわば死の宣告を彼女にしたのだ。
 身の危険を感じた萩原は、しかし距離が距離のために先に俺達を狙わざるを得なくなる。
 平常心を削る代わりに、痛覚や己の限界を無視した行動に走りやすくさせる。場を引っかき回せる武器に仕立てたのだ。

「このまま放っておいても出血で死にそうだけど、残った時間は有効に使わないとね。
だからさっきの質問の続きをしよう。クエロって人のこと、教えてくれる?」
 爽やかな笑顔を浮かべたままの折原が、今さら俺に問う。
 嫌みや皮肉の要素、加虐心もまったく感じられない人間味溢れた笑み。この状況でそんな表情を出されても異常者にしかみえない。
「……この期に及んで、空気が読、めない奴だな」
「失礼だなあ。俺はこの場で最善の行動を取ってるだけだよ」
「は……最、善は、その手のナイフで自害す、ることじゃないのか?」
「自害か、それいいね。刺す手間も完全に死ぬまで警戒しておく手間も省けるし。全部吐いた後にやってくれない? 君が」
「断、る」
「そ。……じゃあもういいや」
 くだらない強がりに興味を失ったらしく、折原は何の感慨もなく俺の腹部の傷口にナイフをゆっくりと突き刺した。
「────っ、ぁ」
 焼けるような痛みが脳に伝わり俺に絶叫をあげることを求めるが、こいつに聞かれたくないので我慢。うわあ惨めだ。
 …………薄れゆく意識の中、少し前に再会したばかりのクエロのこと追憶する。
 彼女の思いを裏切り別れ、そして〈処刑人〉として再会し、仇敵として向かい合い別れたにもかかわらず、俺は迷ってしまった。
 こんな状況下だからこそ協力し合うことができ、あの時何が起こったのかを知り、もしかしたら彼女の傷を理解できるかもしれないと思ってしまった。
 その甘さと弱さこそが、彼女が一番の嫌悪の対象としていることは思いもせずに。
 そしてその迷いが、公民館に行く時間を遅らせミズーと新庄を殺し、暗鬱とした精神状況のまま信頼しきれず緋崎を殺した。
 本当に俺は、何も成長していない。
 くだらないゲームに巻き込まれ、こんな風に惨めに死ぬというのは、俺のような人間にはお似合いなのかも知れない。
 安らぐことのない激痛に苛まれながら、俺は暗い深淵へと落ちていった。



(使うならこっちかな)
 血をガユスの服で拭いながら、臨也は引き抜いたナイフの品定めをしていた。
 特に何の特徴もない、普通のナイフ。特殊な効果は期待は出来そうになかった。
 だが、緋崎に刺さったままのあの大振りのナイフよりはこちらの方が手に馴染みそうだ。
(いつも使ってる折りたためるタイプだったら袖口に隠せるんだけど……ま、しょうがないか)
 そう結論づけてナイフを腰に差す。
 そして放置してあったジャケットを着込み、ライターを回収しポケットにつっこむ。
 “場所を指定してください”とディスプレイに表示されたままの解除機も、取り消しボタンを押した後に前と同じ胸ポケットに入れておいた。
(とりあえずちらばってる支給品を整理。それまでは誰かと鉢合わせしないのが理想だね。後はここを一通り調査しておくか)
 先程の出夢達のように、誰かが突然ここを訪れる可能性は十分にある。今にも雨が降り出しそうな天候を見ると、その確率はやはり無視できない。
 支給品を整理した後ならば、今ここに来たばかりの顔を装うことは可能だ。雨が降り始めた場合、身体をわざと濡らしてこなければならないが。
 血はベリアルの吐血したものがついているだけだ。ガユスのナイフを引き抜いたときも、返り血を浴びないよう注意して抜いた。
 そもそもジャケットを着込んでしまえば見えなくなるが、また脱がなければならない場合もあるだろう。後は、水で手についた血を洗い流せば問題ない。
 そこまで思考して、軽く背伸びをした。
 この場にいた4人のうちでは一番動いていないものの、やはりそれなりの疲労はある。
 できれば少し休息して睡眠も取りたいが、さすがにここでは無理だ。
 この血塗れの部屋の中で食事を取り、休息するような趣味はない。
 死体全てが急所に重傷を負って息絶えている。今座り込んでいる壊れたドア付近にしか、元の床の茶色が見える場所がない。

「────楽しみだなあ」
 一通り死体を眺め先程までの出来事を思い出し、口元が歪んでつぶやきが漏れた。
(発火能力やら“策師”やら。ガユスさんも予想外に面白かったし。ここには池袋以上に未知で奇妙な人間や物が溢れてる。
さらにいろいろと楽しいことになりそうだ。……これで俺自体が巻き込まれてなかったらよかったんだけど)
 それだけが唯一、この場を心から面白がることができない理由になっていた。
 やはり自分がまともにゲームに乗り、殺し合いをしても勝ち目がないことは目に見えている。今のように、手駒をうまく利用しなければ。
 萩原子荻が最初言っていたように、残り人数が10人程度になるまでは仲間を作っておいた方が得策だ。その後不意をついて殺せばいい。
 刻印を外す方法がわかれば主催者をなんとかしての脱出も可能かもしれないが、それもやはり一人では不可能だ。
 仲間ならばやはりセルティが最適か。だが、彼女は静雄と仲がいい。先に彼と出会っていた場合は最悪だ。
 どちらにしろ、セルティ以外にもこの場で協力し合える人材を集める必要はある。
 いくらデュラハンといえど、ここで彼女が死なない保証はどこにもない。
 ……不安要素は山ほどある。
 だがそれでも、この場に自分の知らない情報が満ち溢れていることを想像すると気分が高揚するのを止められなかった。
「楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。これでついでにシズちゃんが死んでくれると最高なんだけど」
 心からの笑顔を浮かべながら、血に塗れた部屋の中で臨也はふたたびつぶやいた。



【004 緋崎正介(ベリアル) 死亡】
【008 ガユス・レヴィナ・ソレル 死亡】
【085 萩原子荻 死亡】

【残り 69人】


【D-1/公民館/1日目・14:30頃(雨が降り出す直前)】
【折原臨也】
[状態]:上機嫌。やや疲労。脇腹打撲。肩口・顔に軽い火傷。右腕に浅い切り傷。手が血で汚れている。
[装備]:ナイフ
[道具]:ジッポーライター、禁止エリア解除機
[思考]:この場にある支給品の確認・回収、公民館内の探索。移動後休憩する。
    セルティを捜す。同盟を組める参加者を探す。人間観察(あくまで保身優先)。
    ゲームからの脱出(利用できるものは利用、邪魔なものは排除)。残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す
[備考]:ジャケット下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。
    ベリアルの本名を知りません。

※臨也のいる部屋に、
  • 臨也のデイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
  • 子荻のデイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)
  • ガユスのデイパック1(支給品一式(食料・水除く)、アイテム名と場所がマーキングされた詳細地図)
  • ガユスのデイパック2(パン10食分、水2500ml、咒式用弾頭、手斧、缶詰、救急箱、ミズーを撃った弾丸、青酸カリ、銀の短剣)
  • ベリアルのデイパック(支給品一式(食料・水除く) 、風邪薬の小瓶)
があります。

同室床に、
  • ライフル ・蟲の紋章の剣
  • 探知機 ・リボルバー(弾数ゼロ)
  • 光の剣(刃と柄が分離)
が落ちています。

知覚眼鏡(クルーク・ブリレ)はガユスがかけたままです。
グルカナイフがベリアルの胸部に刺さったままです。


  • 2005/11/06 修正スレ180

←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→
第417話 第418話 第419話
第417話 時系列順 第427話
第417話 ガユス -
第417話 ベリアル -
第417話 折原臨也 第452話
第417話 萩原子荻 -



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