アットウィキロゴ

Escape




「うぅ………ここ……は……?」

小さき身体の少女が立ち上がる。
立って見えるのは暗い教室の中。
机や椅子、黒板、教卓。
その他、色々なものが学校の教室であると伝わる印となる。
そんな場所で、少女は起き上ったのだ。

「あれ……?お兄ちゃん……?」

周りを探る。
誰もいない、ただ一人だけの空間を探る。
いや、探るというより見回すという方だろう。
辺りを見回しても誰かの影もない。
そう、自分一人。

「お……お兄ちゃん!お兄ぃーちゃん!
 うっ、うぅぅ………うぇーん」

頼れる兄の姿もなくて、少女は兄を求めた。
けれども現れない兄。
そうして、少女は泣き出してしまった。
それ程に兄を愛していたのだ。
その兄がいなくなっちゃった。
だから泣いた、動けもしない。
持田由香は教室の中で泣き続けた。

         ◆◇

泣いてた間、時など忘れたかのようだった。
だからどれだけ泣いたかわからない。
由香はまだ泣いてはいたものの、
強く、立ち上がった。

「うっ……うぅ、探さなきゃ……」

愛する兄を探す為に立ち上がった。
ここが殺し合いなのも忘れ、兄を求めて歩む。
歩いた時に、何かが足に当たった。

「何だろう……コレ」

手に取ってみる。………が、持ち上がらない。
重量は結構あるようで、しかも持ち上がらない事から
中身がある事がわかる。
ゆっくりと、由香は手を中にいれる。
何かの感触がする。生々しい、まるで人の髪のような感触。
引っ張って出すのはよくないと思って、
その鞄っぽい何かの中身をぶちまける様に、
地面へと出した。

「ひっ!」

中から出てきた物に由香が小さく声を挙げる。
出てきた物は色んな支給品等があったけど、
一番驚いたのは、その辺の道具とかでもない。
―――自分と同じくらいの背の女の子がいた。
髪は黄色、金色?服も変わった服で羽が生えている。
明らかに自分達がいた世界に存在しない様な子だった。
その子は、口パクをして何か伝えたそうな顔をしていた。

「声……出せないの、かな……?」

と、デイパックの中身を見ると変な機械があった。
由香は気になってそれを取る。

「何だろう……」

ON/OFFと上に書かれたレバーっぽいボタン。
今は、OFFとなっているからONに由香はしてみた。
これが意味する事を理解できないままだったので、

「はー、やっと声も出せたー!もう!何なのよ一体」

「わぁっ」

突然、その子が声を出した事にまたびっくりする。
声を出せる様になった?という発言に、
由香は成程と、この機械の意味が理解出来た。
それから、同年代っぽい女の子に話しかけてみた。

「え、えと……貴方は」

「ん?あ………」

その女の子はこちらの存在に気付くと言葉を失った。
顔が少し強張ってるのがわかる。
恐ろしい体験でもしたかのような表情の女の子。

(安心させなきゃ……!)

由香は、その決心して言葉を発した。

「あ、あの!落ち着いて!……えと、私…何もしないよ!」

兄がいなくて不安なのに、由香は笑顔を作って
その女の子へと話した。
女の子は、由香が悪い事を考えてそうじゃないと思ったのか、
直ぐに表情を変えて、友好的に話しかけてきた。

「えっと……失礼しちゃった?」

迷惑をかけたかなと、女の子はそう思って言った。
ううんと、由香は首を横に振ってそれを否定した。
良かったと思ったか、女の子はホッとして名前を告げた。

「助けてくれてありがと、私はサニーミルクよ!
 ま、サニーって呼んでくれたらいいわ」

「あ!私は、持田由香っていいます。
 よろしくお願いします」

互いに名前紹介を交わす。
小さな少女達のその会話は微笑ましいものだった。

「しっかし、こんな子も幻想郷にいたのねぇ………。」

「げんそー……きょう?」

サニーが言った幻想郷という言葉に理解ならない由香。
当然、由香はその世界には住んでいないからだ。
東方projectへの知識もある筈がなく、由香は幻想郷というものに疑問を覚えた。
何で知らない?といった表情でサニーは、由香を怪しく見る。
それから周りを見て、由香に静かに質問した。

「あの、さぁ………ここ、どこ?」

「え、えっと……私もよくわかんないけど………。
 多分ここ、学校だよね…?」

「学校……そんなもの、どこにあったかしら」

また、サニーも学校への知識は曖昧であった。
互いの知識は合わず、場が少し混乱する。
そしてサニーがもしやといった顔をしたが、
とにかく暗いこの場所にいるのが何か嫌になって、
急かす様にして由香に言った。

「ね、ねえ。早くここ動かない?」

「そ、そうだ!お兄ちゃん………探さなきゃ……」

後ろの方は小声になったが、サニーはしっかり声を聞き取った。
お兄ちゃん、探さなきゃ。これから察するに大事な誰かを、
少女は見失ってしまった。
その存在を早く見つけたい、そう願っているのだろう。
いたずら好きな三月精ながらも、心は鬼じゃない。
友達として、認識した相手だから。

「そのお兄ちゃんって奴、一緒に探してあげるわ!」

「ほ……本当ですか!?お兄ちゃんの名前、哲志っていうのですが……」

(哲志ね………よし、見せてやろうじゃない!私の力と頭脳!)

内心で、やる気を入れるサニー。
そして一緒にやってくれる暖かさを伝えられた由香。
互いに友達としての空間が出来ている。
由香もサニーも、互いに短時間の間に友好的になった。
こうなってやっと始まる、持田哲志を探す事。
探し者という事で、サニーは三月精のメンバーを思い出す。

(こういう時に、スターがいたらなぁ………)

三月精のレーダー的存在、スターサファイア。
あの便利過ぎるスターが今いれば直ぐ見つけられるのに。
と、そうサニーは思いながら二人は教室を退室した。

想い人、お兄ちゃんを見つけれる時は何時であろうか………?

そして、教室を出た時に誰かが来る足音が聞こえる。
同時に少し、気温が低くなった気がした。
ひぃっと小さく悲鳴を上げる由香とサニー。
暗い廊下の先からは………。


小学生低学年ぐらいの身長と体格。
肩より少し長めの髪。
由香のような中学生が着たら絶対引かれる………
いや、絶対似合うであろうフリフリの服。
勿論、由香じゃないロリっぽくない中学生が来たら似合わないさ!
そして………その手には


似合わないような包丁が握られていた。


「みーつけた」


その少女の持つ包丁、そして黒のない目。
死者の様な、でも生の感覚があるような、
そんな変な存在、でも由香達には恐怖しか伝わらなくなって、

―――気付いたら、逃げていた。

「い、いやぁぁぁぁぁ!!!」

大きな大きな悲鳴をあげて、

「お兄ぃぃちゃぁぁぁぁぁん!!!」

愛する兄を呼びながら、由香は暗い廊下を走って行く。
サニーも着いていく様に走る。
当然、殺す標的を見つけたのだから包丁さんも追おうとする。

………でも、包丁さんはしなかった。

近くにある教室の扉をきりとる。
包丁で出来る様な事ではない。
だが、包丁さんは確かに包丁で扉をきりとった。
その中の教室、一見誰もいないのだが………。

包丁さんはゆっくり、その教室の中へと歩いていく。
足音は静寂の中で大きく音を立てる。
包丁さん独特の足音、ピチャピチャとする音。
それが確かに、包丁さんであるという証拠にもなる。

そして、一人の女の子を見つける。


「みーつけた」


包丁さんはそう言って、その子に近づく。


「え、何………ちょっと、やめてよ………やめて!
 嫌……嫌ぁぁぁぁぁ!!!!」

精神が乱され、少女は扉の方へと走る。
包丁さんがきりとらなかった方の扉だ。
普通、開いてる筈の扉は、

―――何故か、開かなかった。

「嫌ぁぁ!死にたくない死にたくないぃぃぃ!!」

完全に錯乱した少女は、ただ死にたくないとしか言えなくて、
もう何も考えて行動する余裕もなかった。
ただ、包丁さんがどこかへと消えるのを願って声を出し続けるだけ。

グチュッと、嫌な音が彼女へと響く。
同時に今まで味わった事のない痛みが襲いかかる。

「嫌………やめて………」

大量に腹部から血が出ている。
包丁さんは、刺した包丁を抜くと、
もう一度彼女の腹へと突っ込む。

「いや………………やめ…………」

また包丁を抜いて、刺す。
少女は完全に意識と命を失っていた。
包丁さんは無表情に、言った。


「まずは一人目……。次は?」


そう言って、教室からでていった。


命を失った彼女は、起きて暗い教室にいた。
怖かったが廊下へと出れば包丁さんに追われた。
そしてこの教室に逃げ込む。
その時に、由香の悲鳴が聞こえて廊下を見ようとした。
見ようとしたのが悪かった、包丁さんの存在を見てしまい
何も言えなくなってただ教室内に蹲った。
その行動が彼女の失敗だったのだろう。


―――中嶋直美の失敗であったのだろう。


【中嶋直美@コープスパーティーBCRF 死亡確認】

※直美のデイパッグはどこかの教室に放置されています。
 ただ、遺体とは別の教室に置かれている模様。


【E-5 - 学校3階】
【持田由香@コープスパーティーBCRF】
【状態】健康 恐怖
【服装】如月学園中等部制服
【装備】なし
【道具】基本支給品 サニーミルク@東方project
【思考】基本思考:お兄ちゃんを探す。(殺し合いだと気付いていない)
1、早くお兄ちゃんを探さなきゃ………!
2、逃げなきゃ!
※万能包丁さんの姿を確認しました。名前は知りません。
※直美の悲鳴が聞こえたかはわかりません。
※殺し合いをしていると気付いていません。


【サニーミルク@東方project】

 意思持ち支給品。
 三月精の一人、「光を屈折させる程度の能力」を持つ。
 三月精のリーダー的存在であり3人の行動を彼女の発言で決まる事が多い。
 また、3人の中で一番頭が切れるが所詮は妖精。
 性格は非常に明るい。八重歯が特徴ですかねー


【由香の傍】
【サニーミルク@東方project】
【状態】健康 恐怖
【思考】基本思考:由香のお兄ちゃんの哲志を探す手伝いをする。
1、由香を助ける。
2、自分を閉じ込めたのは一体……?
3、こんな時にスターがいたらなぁ……。

※万能包丁さんの姿を確認しました。名前は知りません。
※直美の悲鳴が聞こえたかはわかりません。
※殺し合いをしていると気付いていません。


【学校の廊下】
【万能包丁さん@包丁さんのうわさ】
【状態】???
【思考】基本思考:???(とりあえず殺害に動かされている?)
1、まずは一人………。


sm020:歪みねぇ蟹になりたい 投下順 sm022:お前等、食べれる人間じゃねぇから!
START 持田由香 sm049:人殺しは愛する彼のために
START 中嶋直美 死亡
START 万能包丁さん sm049:人殺しは愛する彼のために


最終更新:2011年10月01日 02:22