催眠標準テキスト@Wiki
しぐさも暗示か
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匿名ユーザー
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前の章では,暗示の言葉的な部分だけを扱いました.この章では,暗示となりうる他のことについても考えていきたいと思います.
テレビの催眠術師を見ていると,指を鳴らしたり,手をたたいたり,「ヒュッ」と口で鳴らしたり,被催眠者の頭をぐるぐる回したりしています.彼らにそれについて尋ねると,音を出して驚かせる事により,暗示が入りやすくなるんだ,とか,目を回して平衡感覚を狂わすことが催眠に入れるんだ等と,でたらめなことを言いますが,それは違います.
前章では,「バカ」という言葉が状況や関係によっては,愛の言葉になると書きましたが,催眠術師がやるしぐさも同様で,催眠者と被催眠者の関係,催眠術をやるという状況において,それらのしぐさが暗示的意味を持つのです.なので,それらの方法を日常生活でやっても全く効果はありません.
私は実際に,友人に対して何も言わずに頭をぐるぐる回しながら「体の力が抜けていく」とやりましたが,全く効果はありませんでした.その後その友人は,きちんとプロセスを踏めば催眠に入ることが分かったので,被験性などの問題ではありません.
催眠では,その方法や理論が強調されますが,逆に催眠者と被催眠者との関係や,催眠が行われるという状況は語られません.催眠術師は,実のところ催眠がどうして上手くいっているのか説明できません.なので彼らは,「雰囲気が伝わる」とか「自信が言葉に力を与える」と曖昧な言葉で説明します.彼らの言っていることを,心理学的に言いなおすと,この章や前章で書いた話になると思います.