際限なく溢れ続ける憎悪の感情は、直接その手に触れた者の心を一瞬で究極の狂気へと突き落とし、
ずたずたに引き裂き、切り刻み、すり潰す。
普通の人間であれば一瞬で発狂してしまう…。
迎撃のたび、高橋はその反撃による激痛に耐え続けていた。
一般人ならば一瞬で発狂しかねないその【精神破壊】を幾度となくガードする。
精神系の能力者である高橋であるがゆえに辛うじて単なる「激痛」のレベルに抑えている。
しかも、田中の【共鳴増幅(リゾナントアンプリファイア)】によりその防御力が高まっているにもかかわらず、
徐々にその激痛は大きくなっている。
やがては高橋といえど狂気の侵入を防ぎきれなくなるだろう。
■生田衣梨奈:【精神破壊(マインドデストロイ;mind destroy)】
悪意、敵意、攻撃の意思を持ってその手で触れたものを発狂させる能力。
現状、強力な発狂作用をもたらすためには接触せねばならないようだが、
非接触であっても軽度の精神妨害を常に撒き散らしているため、
将来的には非接触であっても発狂に至らせる能力者となるのかもしれない。
非接触時の軽度の精神妨害は
「自他の心が読めない」「空気が読めない」と周囲に認識されているようだ。
リゾネイターとしての覚醒以前は完全にダダ漏れ状態であったが、
リゾネイター達との出会いにより、徐々にそのコントロール法を身につけていくことだろう。
■ ナチュラルエネミー-生田衣梨奈- ■より引用
【精神破壊】その副産物のような効果によって生田の周囲には常に精神的な妨害作用が撒き散らされていた。
思考は鈍磨し、注意力、集中力、あらゆる精神活動は本来の精度を保てなくなる。
高橋が駆けつけたとき、生田は泣きながらへたり込み
鞘師は白目を向いてひきつけを起こしトイレの床をのた打ち回っていた。
間髪を入れず、伸ばされた衣梨奈の手が“聖”の喉元を掴む。
「聖から…出てけぇぇぇっ!!!!」
「なっ!?……があぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
“聖”の絶叫とともに、何かが“焼”けるような音が聞こえたような気がした。
力が抜け、崩れ落ちる聖の体を、れいなはさゆみと一緒に慌てて支える。
『剣と天秤』より引用
「生田ー!天井に向かってKYパワーを放出しなさーい!」
生田はその声が譜久村のものだと気付いていない。
「はいっ!ぐふふふっ…」
生田は気持ち悪い笑い声を漏らしながら真上を向いた。
「新垣さんとえりなの愛のコラボレーショーン!!」
生田は両手を上に広げて「愛」とは程遠い恐ろしい能力を解き放った。
「ギャーーー!」天井裏から響く断末魔の声。
『超・戦慄迷宮』より引用
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