「例えば、世界に1000の富があり、世界には20人の人が住んでいる。
人が幸せになるには一人に100の富が必要だとして、富が増やせないならどうやって全ての人々を幸せにする?」
突然、こんなことを聞かれました。リーダーは時々こんな事を言います。そんな時は大抵、現状批判。
こういう話には私も付き合うことにしてます。
「え……それは、幸せ50で我慢してもらうとか……」
「ふむ、いたって普通の答えだね」
「あのーえーっと」
「いや責めてるわけじゃないさ。というより、正解の一つでもある。もちろん他にもあるんだけど」
どう考えても責められてると思います。私はちょっとショックでした。……次の言葉を聴いて、もっとショックを受けたのですけど。
「例えば、どんなですか?」
「10人殺すとか」
「……!?」
「これは極論だけどね、それでも今この世界はそれに近い状況なんだよ。
5人が100の幸せを得て、もう15人が残りの半分を分け合っている……いや、比率はそれ以下かもしれないな」
あぁ、また壊れちゃった。
いつもそう。この仮面の怪しいリーダーと話していると、いつも私は自分の足元が平らじゃないような感覚に襲われます。
自分の世界が音を立てて崩壊していく。そんな感じ。
「そんな……幸せじゃないひとって、そんなに一杯居るんですか」
「まぁここ5年間オーブに居たなら実感わかないのも分かるけどね。
だから、他の答えを提案したいのさ」
て い あ ん 。その答えは、レジスタンスという組織の目標に相応しくないような響きだったので思わず聞きなおしてしまいました。
「提案ですか?」
「そう、提案。この問題には他にも答えが一杯あるでしょ?例えば、定期的に多い人と少ない人を作るとか。
僕らはただ、勝手に決められたくないだけなんだよ。『5人』だけで決めてないで僕ら『15人』の意見も聞けって言いたいんだ。もちろんそんな理由で戦ってるわけじゃない奴もいるけど」
「シンさん、とか?」
「代表格だねぇ。でも、彼のモットーは『暖かくて優しい世界を作る』だからそんなに遠くはないかな?」
ここまで真面目な話だったのに、飛び込んできたのはあまりにもイメージと違う言葉。
「シンさんが、そんな事を言ってたんですか?」
うっそだー。だってそんな……
「顔に似合わずとか思ったかい」
うっ。
「そ、そんな事は……」
「実は僕もそう思った」
「リーダー、ずるいです」
「ハハッ、でも彼が今まで生きてきたところはそんな場所じゃない。彼は何も言わないけど、それくらいは僕にだって分かる。
そんな彼がこれからもずっと報われない世界なんて、おかしいと思わないかい?」
人が幸せになるには一人に100の富が必要だとして、富が増やせないならどうやって全ての人々を幸せにする?」
突然、こんなことを聞かれました。リーダーは時々こんな事を言います。そんな時は大抵、現状批判。
こういう話には私も付き合うことにしてます。
「え……それは、幸せ50で我慢してもらうとか……」
「ふむ、いたって普通の答えだね」
「あのーえーっと」
「いや責めてるわけじゃないさ。というより、正解の一つでもある。もちろん他にもあるんだけど」
どう考えても責められてると思います。私はちょっとショックでした。……次の言葉を聴いて、もっとショックを受けたのですけど。
「例えば、どんなですか?」
「10人殺すとか」
「……!?」
「これは極論だけどね、それでも今この世界はそれに近い状況なんだよ。
5人が100の幸せを得て、もう15人が残りの半分を分け合っている……いや、比率はそれ以下かもしれないな」
あぁ、また壊れちゃった。
いつもそう。この仮面の怪しいリーダーと話していると、いつも私は自分の足元が平らじゃないような感覚に襲われます。
自分の世界が音を立てて崩壊していく。そんな感じ。
「そんな……幸せじゃないひとって、そんなに一杯居るんですか」
「まぁここ5年間オーブに居たなら実感わかないのも分かるけどね。
だから、他の答えを提案したいのさ」
て い あ ん 。その答えは、レジスタンスという組織の目標に相応しくないような響きだったので思わず聞きなおしてしまいました。
「提案ですか?」
「そう、提案。この問題には他にも答えが一杯あるでしょ?例えば、定期的に多い人と少ない人を作るとか。
僕らはただ、勝手に決められたくないだけなんだよ。『5人』だけで決めてないで僕ら『15人』の意見も聞けって言いたいんだ。もちろんそんな理由で戦ってるわけじゃない奴もいるけど」
「シンさん、とか?」
「代表格だねぇ。でも、彼のモットーは『暖かくて優しい世界を作る』だからそんなに遠くはないかな?」
ここまで真面目な話だったのに、飛び込んできたのはあまりにもイメージと違う言葉。
「シンさんが、そんな事を言ってたんですか?」
うっそだー。だってそんな……
「顔に似合わずとか思ったかい」
うっ。
「そ、そんな事は……」
「実は僕もそう思った」
「リーダー、ずるいです」
「ハハッ、でも彼が今まで生きてきたところはそんな場所じゃない。彼は何も言わないけど、それくらいは僕にだって分かる。
そんな彼がこれからもずっと報われない世界なんて、おかしいと思わないかい?」