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第2話 再会





まだ空が明るくなりかける前に、沙羅は目覚めた。
時計を見ると、まだ5時を少し回ったくらいのようだ。
不意に沙羅は外から何か音がするのに気付いた。
こんな時間に…誰だろう?
沙羅は部屋の窓から外を覗いてみた。
すると、何者かが素振りをしているのを見かけた。
何かの訓練かな?
沙羅は音を立てないように、ゆっくりと窓を開けた。
窓を開けると、何やら声が聞こえてきた。

?「・・・6、・・97、・998、9999、10000。」

どうやら素振りをしていたようだ。
素振りを1万回…凄いな。
それにしても、こんな時間に訓練…アマテラスの部隊員さんかな?
沙羅が少し目を離すと、さっきまで素振りをしていた人影が無くなっていた。
誰だったんだろう、もっと外が明るかったら分かったのに。
まだ朝食の時間という訳ではないので、沙羅は窓を閉め、再びベッドに入った。
空が完全に明るくなった頃、不意に部屋の扉をノックする音が聞こえた。
沙羅が扉を開けると、従業員の理奈が立っていた。

理「おはようございます沙羅さん。
  朝食の用意が整っておりますので、食堂の方へお越しください。」

沙「分かりました。」

理奈はニコッと笑って次の部屋へ向かっていった。
時計を見ると、もう7時を回っていた。
ちょうどお腹も空いていたので、沙羅は食堂に向かうことにした。
階段を降りて、1階の食堂に行くと、すでにたくさんの兵士が食事をしていた。

や「おはよう沙羅さん。昨夜はよく眠れましたか?」

先に来ていたやふやふさんが話しかけてきた。

沙「はい。でも5時に一度目覚めてしまいました。」

や「そうですか。良かったら一緒に食事をしませんか?」

沙「はい。」

そう言って、やふやふさんの向かいの席に座った。
少し待っていると、理奈さんが朝食を運んできてくれた。
私の席に朝食を置き、やふやふさんの所に紅茶を置いたかと思うと、何かを囁いた。
やふやふさんは、眉を一瞬ピクッと動かしたかと思うと、またいつもの顔に戻った。

や「…そうですか。」

理奈さんは囁くのが終わるとそのまま厨房の方へ戻っていった。

沙「何かあったんですか?」

私は理奈さんが何を囁いたのか気になり、聞いてみることにした。
やふやふさんは、私に話すべきか話してはいけないのか少し悩んだ後に、話し始めた。

や「今カセドリアは、エスセティア大陸のキンカッシュ古戦場跡を領土にしようとしています。
  先日、カセドリア軍はゲブランド軍とキンカッシュ古戦場跡にて衝突、戦争になりました。
  そしてその戦争には、アマテラスの部隊員も参加していました。」

そこでやふやふさんは、話すのを辞めた。
さっき理奈さんが運んできた紅茶を一口飲み、はぁっと溜息をついた。

沙「……誰か亡くなられたんですか?」

私は続きが気になり、質問してみた。
しかしやふやふさんは顔を横に振った。

や「いいえ、そうゆう訳ではないんです。」

沙「では、何で溜息なんて?」

やふやふさんは少し思案し、また話始めた。

や「昨日その戦争が、カセドリア連合王国の敗北っという形で幕を閉じました。
  戦争に参加していた部隊員は3名、内2名は無事に首都に帰還しました。
  …残りの一名は、味方を撤退させる為に単身敵陣に特攻し、
  重傷になりながらも首都に帰還してきました。
  その一名が……。」

やふやふさんがその人の名前を言おうとすると、驚いたような顔をした。
私が振り返ると、一人の兵士が其処に立っていた。
顔に傷等があったが、すぐに誰なのか分かった。
昔自分を救ってくれた人…、スモーキーさんがそこに立っていた。

ス「いよう、巷じゃ俺が死んだって噂が流れてるらしいな。
  まったく…、勝手に俺を殺さんでもらいたいものだ。
  ん?見ない顔だな…、という事は新入りか?」

や「ええ。しかも驚いた事に、3年前貴方が助けた少女の沙羅さんよ。」

スモーキーさんは驚いた顔で私を見た。

ス「ま、マジかよ?!あの時の少女が…君?」

沙「……やっと会えた。」

アイさん達は、スモーキーさんの話題になると歯切れの悪い返事ばかりしてきたから
もしかしたら死んでるのでは?って思ってた。
しかし、現に自分の目の前にスモーキーさんは立っている。

や「スモーキーさん、朝食の後に少し話がしたいのですが、良いですか?」

ス「ん?あぁ、良いけど。」

そう言ってスモーキーさんは、私の隣の席に座った。
私はスモーキーさんに今までの事を話した。
助けられてから自分が兵士を目指した事。
スモーキーさんの様になりたいとウォリアーになったこと。
話を聞いたスモーキーさんは、笑ったり、少し考えたりした。


朝食が終了し、スモーキーさんはやふやふさんと一緒に食堂を後にした。
私は部屋に戻ったのだが、少しして理奈さんが部屋に来た。

理「やふやふさんが呼んでいるので、ちょっと来て頂けませんか?」

沙「はい。」

私を呼ぶ?
不思議に思いつつ、理奈さんに連れられてやふやふさんの部屋に向かった。
扉の前に立つと、何やら中から騒がしい声が聞こえた。
扉を開け、中に入ると、やふやふさんとスモーキーさんが言い争っているようだった。

ス「だから何で俺があいつを指導しなきゃならんのだ?!」

や「普通に撤退すれば良いものを、味方を助ける為とはいえ、
  敵陣に単身特攻するのは望んでいません!
  よって貴方には今後1年の間教官職に就き、
  新米兵士を指導して頂きます。」

ス「いや、だからあれは」

沙「あ、あの…?」

何やら言い争っているようなので、とりあえず間に入る事にした。

や「沙羅さん、貴方を呼んだのは他でもない、
  貴方に兵士育成機関へ入って貰おうと呼びました。」

沙「兵士育成機関?」

や「ようするに、兵士を一人前にする為の学校の様な物です。
  そして貴方の教官には、スモーキーさんを指名いたします。」

ス「だから何で俺なんだよ?!張の奴なら喜んでやると思うぜ。」

や「貴方は3年前に沙羅さんを救った。
  そしてその沙羅さんがアマテラスに入隊し、一人前の兵士になりたいと言いました。
  しかも貴方に憧れてウォリアーに成ったとも聞きました。
  以上より、貴方が適任だと思いました。」

沙「あの…つまり私を一人前の兵士にする為に、
  スモーキーさんが指導してくれるっということですか?」

や「そうです。スモーキーさんは経験豊富な方ですから、
  分からない事は何でも聞いて下さい。
  あ、そうそう。ついでにあと2名ほど指導してもらいたいのですが、
  こちらの方は強制は致しません。」

スモーキーさんは、やれやれといった感じで溜息をついた。

ス「分かった分かった。ついでの2名も指導してやるよ。
  …まったく、隊長の命令にも困った物だ。
  しかし、俺の関係者であるのに変わりはないからな…。
  言っておくが、俺の指導は厳しいからな。覚悟しろよ。」

沙「はい。まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします!」

や「人と人との絆を大事にする。これが、アマテラス。」


やふやふさんがニコニコした顔でスモーキーさんを見た。
スモーキーさんは相変わらず溜息をついている。
憧れのスモーキーさんに指導してもらえる。
それだけで私は嬉しくなった。



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最終更新:2008年03月25日 23:54