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第4話 秘密 





目を覚ますと、何時の間にか自分の部屋のベットで寝ていた。
あれからどれ位経ったんだろう?
部屋の時計を見ると、1時を少し過ぎたくらいのようだった。

沙「…あれから何があったんだろう?」

べ「起きられましたか?」

私は横のベットを見ると、そこにはベルクさんが居た。

沙「どうして此処に?」

べ「私も今日からこの部屋に泊まりますので、よろしくお願いします。」

二人部屋を一人で使っていたから、人が増えるのは嬉しかった。
それに、ベルクさんならスモーキーさんに指導してもらう生徒同士だから良かった。
そう思った時、誰かが扉をノックする音が聞こえた。
扉を開けると、理奈さんが昼食をワゴンに乗せて来てくれた様だった。
そういえば、もう1時過ぎてるんだよね。

理「やっと目覚められましたか。昼食をお持ちしたので、どうぞ。」

理奈さんが部屋のテーブルに料理を置いていく。
そして最後に理奈さんは自分の分の紅茶の入ったカップを置いた。

理「私もご一緒に休憩させていただきます。」

そう言って、理奈さんは空いてる椅子に腰掛けた。

べ「2時間程気を失っていたようですね。」

ベルクさんが時計を見ながらどれ位気を失っていたのかを確認したようだ。

理「スモーキーさんが、気を失っていた貴方達を連れてきた時には驚きました。
  もちろんベットに眠らせたのは、私と他数名の女性従業員で行いましたのでご安心ください。」

沙「あの、それでスモーキーさんは?」

理「今は会議があっているので、会議室に居られますけど?」

沙「そうですか。」

昼食を終えると、理奈さんは持ってきた食器等をワゴンに乗せて持っていった。
しばらくベルクさんと話していると、ノックをした後にやふやふさんが私達の部屋に入ってきた。

沙「何か御用ですか?」

何でやふやふさんが私達の部屋に来るんだろう?
様子でも見に来たのかな?
私達の前に来るなり、やふやふさんは深く頭を下げた。

や「ごめんなさい。」

突然謝ってきたやふやふさんに、私達は困惑した。
何でやふやふさんが謝るんだろう?
困惑している私達を見ながら、やふやふさんがどうゆう事かを説明した。

や「私の勝手な判断で、貴方達を危険な目に合わせてしまってごめんなさい。
  あの人形は、貴方達には無茶でした。
  スモーキーさんには貴方達の教官を辞めてもらいました。
  …もちろん、他にも厳重な罰を与えています。
  明日からは各指導員の指示に従って、ゆっくりと修練を積んでいただきます。」

沙「ちょ、ちょっと待ってください!
  どうしてスモーキーさんが私達の教官では無くなるんですか?!
  それに罰って」

私が最後まで言おうとする前に、ベルクさんが止めた。

べ「沙羅さん、隊長さんを責めてはいけません。
  隊長さんだって苦渋の決断を強いられたのでしょう。
  それを理解しては頂けませんか?」

ベルクさんの諭す様な言い方で、私は今のスモーキーさんの立場を理解した。
アマテラスからの除隊もありえたかもしれない。
除隊に匹敵する罰を与える事で、スモーキーさんの除隊を防いだ。
しかしその代償として、スモーキーさんには重い罰を与えなければならない。
…やふやふさんの心中は私が考えるよりも複雑なんだろうな。

や「この様な事になるとは…、私も凄く残念です。」

やふやふさんがもう一度深く頭を下げて、部屋を出ようとした。

沙「待ってください。スモーキーさんにはどうゆう罰を与えたんですか?」

や「部隊服を没収し、3ヶ月の謹慎と、一人での外出を禁じました。
  それと、常に監視員が部屋の前に居ます。」

沙「それじゃ、3ヶ月間はスモーキーさんに会えないって事ですか?!」

や「……こうするしか無かったんです。」

そう言って、やふやふさんは部屋から出て行った。
すると、ベルクさんがいきなり笑い始めた。
私が驚いてベルクさんの方を向くと、ベルクさんが私に向かってVサインをした手を向けた。

べ「沙羅さん、良かったですね!」

…良かった?
何で良いのか私にはさっぱりだった。

沙「…良くないですよ。3ヶ月の謹慎に、一人での外出を禁止なんですよ?!」

すると、ベルクさんがキョトンとした顔になった。
少し考えて、手をパンッと合わせ、納得した様な顔をした。
ベルクさんは一体何を考えてるんだろう?

        ・ ・ ・ ・ ・ ・
べ「だから、一人での外出を禁止したんですよ。」

沙「え? ……あッ!」

都合の良い解釈なのかもしれない。
駄目でも良い、私はベルクさんと一緒に部屋を飛び出した。
向かう先はもちろん、スモーキーさんの部屋である。
スモーキーさんの部屋の前まで来ると、エミヤさんが扉の前に立っていた。

エ「何だお前達、スモに会いに来たのか?
  残念だが、お前達をスモに会わせるのは禁止されている。
  大人しく部屋に戻ってくれ。」

エミヤさんは私達を見ると同時に、私達がスモーキーさんには会えないと言ってきた。
私達は何とかして会わせてもらえないか?っと言っても聞く耳を持たない。
少し言い合っていると、アイさんが通りかかった。
私達とエミヤさんを見ながら、少し思案して、エミヤさんに近づいた。

ア「エミヤン、ちょっと話があるからついて来てくれるかな?」

エ「俺は今スモの監視中だ。ここじゃ駄目か?」

ア「…この前の話なんだけど」

エ「待て、それは今じゃなくても良いだろ?」

すると、アイさんはまるで拗ねた様な顔でプイッと横に向いた。

ア「エミヤンの馬鹿、もう知らないッ!」

そう言って、その場から立ち去って行った。
エミヤさんは私達とアイさんを交互に見ながら、焦った様な表情でアイさんを追いかけていった。

べ「今がチャンスです。」

ベルクさんの言う通り、他に監視員は居ないので、私達を止める人は居ない。
私達はノックをし、スモーキーさんの部屋の中に入った。
部屋の中に入ると、スモーキーさんと張文遠さんが、卓上でチェスか何かをしていた。
どうやら各地の地形等を再現した盤上で、駒を使って戦闘しているようだ。
スモーキーさんの駒は少なくて、ばらばらだけど、張文遠さんのは綺麗に整列していた。

張「布陣完了。さて、スモーのお手並み拝見だな。」

ス「これで陣か? 弓兵で魔法使いを撃破。」

張「おっと、その前に工作兵で弓兵を撃破だ!」

すると、スモーキーさんがニヤリッと笑いながら、指をパチッと鳴らした。
その瞬間、張文遠さんの顔が引き攣った。

ス「残念だが、その工作兵は短剣兵で撃破だな。」

そう言ったかと思うと、不意に駒が現れて、張文遠さんの工作兵を砕いた。

張「俺としたことが…不覚を取った。」

二人は私達にまったく気付いていないようなので、話しかけようとしたのだが、
それをスモーキーさんが手で静止した。

ス「ちと待ってくれ。もうちょっとで終わりだから。」

張文遠さんが、まさかッと言った感じの顔をして、自分のお城の近くにある駒を見た。
すると、その駒は三つ首の獣に変わった。

ス「この一閃にて、この戦争の終焉とする!ファイナル・バーストッ!!」

スモーキーさんがそう言うと、眩しい光と共に先ほどの駒が爆発し、
張文遠さんのお城が、跡形も無くなった。

張「ぬう…、今度はさらに精進してお主に挑むとする。」

そう言って、張文遠さんは私達に一礼して部屋を後にした。
最後に私の顔を横目に見ながら出て行った気がしたけど、気のせいかな?
それよりも、スモーキーさんと話せるようになったんだ。
まずはあのゲーム盤が気になった。

沙「スモーキーさん、そのゲーム盤はいったい?」

私は先ほどまでスモーキーさんと張文遠さんが戦っていたゲーム盤を指差した。
スモーキーさんは苦笑いしながら、私達にこれが何なのか説明してくれた。

ス「これは各地の地形データが入っててな、クリスタルを使って遊ぶんだ。」

沙「でも、さっきみたいに砕いたり、爆発しちゃったら駒無くなっちゃいますよ?」

スモーキーさんは、笑いながらゲーム盤のスイッチを押した。
すると盤上には、さき程の駒達が一つも欠ける事無く綺麗に並んだ状態で現れた。

ス「これはゲームだからな。駒もクリスタルが写した幻影だ。」

沙「幻影…なるほどって納得してる場合じゃない!」

突然私がそう叫んだので、スモーキーさんがびっくりした様だ。

ス「どうした、何か困った事でもあったのか?」

スモーキーさんが小首を傾げながら言ってきたので、私はちょっと驚いた。

沙「だって、スモーキーさんが私達の教官でなくなったんですよ?
  どうしてそんなに平然としてるんですか?!」

スモーキーさんはそう言われるなり、困ったような顔をした。

ス「そう言われてもな、さっきの会議でそう決まった事だ。
  だから俺はもうお前達を指導できない。」

べ「あの訓練は確かに無茶でしたけども、教官には何か考えがあっての事だと思ってます。」

沙「そうです。一度の無茶で教官を辞めさせるのはやり過ぎです!」

スモーキーさんが、やれやれと言った感じで立ち上がった。

ス「…まあ、俺も少しやり過ぎたと思ってる。あの人形はお前達には厳しすぎた。
  それに、隊長は妥当な処罰をしたと思うぜ。
  なんて言ったって、部隊服を取り上げて、一人での外出を禁止だからな。」

沙「それは、一人じゃなければ良いんですよ。だから私達と一緒に外に出て、指導してください。」

ス「…指導は出来ない。お前達を指導する事は認められてない。」

沙「どうしてですか? …やふやふさんが認めないと、指導もできないんですか?!」

すると、ベルクさんが私を止めた。

べ「いくら副隊長とは言え、隊長の許可無く勝手な事はできないんです。」

スモーキーさんは私達に背を向けると、自分のベットに腰掛けた。

ス「今日は色々あって疲れてるだろう。明日も訓練はあるんだ、お前達も部屋に戻って休め。」

沙「それで良いんですか?!」

べ「沙羅さん、今日の所は…。」

色々あって疲れてるのはスモーキーさんも同じはず。
今日はもう、スモーキーさんを一人にしてあげよう。
そう思って私達が部屋を出ようとすると、スモーキーさんの独り言が聞こえた。

ス「俺は朝の5時に起きて、一人で訓練をしている。それを一緒にするのは…指導じゃないな。」

沙「つまり、一緒に訓練はできるんですね? スモーキーさん!」

ス「これはただの独り言だ。俺がお前達に話したわけじゃない。
  ほら、早くしないと監視員に怒られるぞ。」

スモーキーさんに部屋を出るように促され、私達は部屋を後にした。
最後のスモーキーさんの独り言は、明らかに私達に向けての言葉だった。
…朝の5時か、これは早起きしなくちゃね。
ベルクさんとあれこれ話しながら、私達は自分達の部屋に戻って行った。










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最終更新:2008年03月27日 10:41