第7話 戦闘 前編
夜になり、出場するチームはグラウンドに集合した。
生徒の他にも、教官達も参加するようだった。
ゼ「…教官達も参加するらしいから、もし当たったら勝てないよね。」
べ「生徒と戦うとは決まっていませんから、教官達はお互いに戦うのでは?」
沙「そうだよね。やふやふさんとかと当たっちゃったら、私達じゃ無理だよね。」
試合会場は、中央にある二つの大きなクリスタルの周りのようだった。
理「参加されるチームの方はこちらに集まってください。」
理奈さんの声と共に、大勢の人がクリスタルの回りに集まった。
ス「いよう、ここだったのか。」
クリスタルに向かう途中で、スモーキーさんが話しかけてきた。
沙「応援しに来てくれたんですか?」
ス「まあな、生徒と教官は決勝でしかぶつからないらしい。
…勝ち進めよ、決勝で待ってるからな!」
沙「はい、必ず勝ち進みます。」
理「参加されるチームの方はお急ぎください!」
理奈さんに言われて、急いでクリスタルに向かった。
生徒のチームと教官のチームは別々のクリスタルの様だった。
理「それでは説明します。試合はこのクリスタルの中で行います。」
理奈さんの言葉を聞いて、回りが騒ぎ出した。
「クリスタルの中って、一体どうやってクリスタルの中になんて入るんですか?!」
生徒の一人が理奈さんに対して質問した。
確かに、クリスタルの中で戦うっていうのは、ちょっと意味が分からなかった。
理「それを今から説明するんです!戦う2チームがクリスタルに近づいてもらいます。
その後、クリスタルによる仮想空間内部で戦っていただきます。
尚この仮想空間では、傷を負っても現実に傷を受けるわけではないので安心して下さい。」
なるほど、例え仮想空間内部で致死量のダメージを受けても、大丈夫という事だね。
理「それでは、最初の組み合わせを言います。
第1試合は、沙羅・ゼノ・ベルクチームとレイン・リック・キルシュチームです。
両チームはクリスタルの前まで来てください。」
クリスタルの前まで行くと、突然相手チームの一人が近づいてきた。
そして、ベルクさんに近づいた。
レ「…やっと、あんたへの恨みが晴らせる日が来たわ。」
ベルクさんの知り合いかな?
そう思ったが、とうの本人は分からないようだった。
べ「えっと…、どちらさまですか?」
レ「忘れたとは言わせないわよ!3ヶ月前のあの雷魔法実習を!!」
べ「……あぁ、レインさんですか。あの時の怪我はもう大丈夫なんですか?」
雷魔法実習と聞いて、ベルクさんは思い出したようだった。
3ヶ月前…、ベルクさんがまだ魔法のコントロールが十分にできなかった時だね。
レ「むきー、何よその態度は?!この恨みは試合で必ず思い知らせてあげるんだからッ!」
理「二人とも、試合前に喧嘩は禁止です!」
理奈さんに仲裁されて、両チームとも位置に着いた。
理奈さんが何やら呪文の様な言葉を言うと、クリスタルが輝きだした。
その光に吸い込まれるように、意識が遠くなった。
?「………ん。沙…さ…。沙羅さん。」
誰かが私を呼んでいる。
…誰?
べ「沙羅さん!」
気付くと、ベルクさんが私を呼んでいたようだ。
周りを見ると、先ほどまで大勢いた生徒が消えていた。
ゼ「沙羅も気がついたんだね。…どうやら、ここが仮想空間の中みたいだね。」
理「その通り、ここは貴方達の意識だけが存在する空間です。」
沙「確かに、さっきまで居た場所とは微妙に違いますね。」
先ほど話しかけてきたレインさんのチームも居た。
そして、理奈さんを挟むような形で横に並んだ。
理「それではこれより、
アマテラス杯新人戦第1試合を開始しますッ!」
辺りに雷鳴が木霊した。
理奈さんが得意とする雷魔法の音だね。。
これが試合開始のゴングの代わりなのだろう。
両チームとも一斉に戦闘準備をした。
べ「こちらは各職1名づつで、相手はソーサラー1とスカウト2ですね。」
ゼ「ということは、スカウトの妨害に気をつけなきゃね。」
沙「では、私とゼノ君でスカウト2名を、ベルクさんはレインさんの相手をお願いします。」
3人で作戦を決めて、相手チームを見た時だった。
3人居るはずの相手チームが、レインさん1名だけになっていた。
沙「な、何で一人だけになってるの?!」
ゼ「ハイドだ、注意し」
ゼノ君の言葉が終わる寸前で、私とゼノ君は羽交い絞めにされた。
キ「私達を相手に、余所見はダメよ。」
リ「まったくだ、油断大敵だぜ。」
沙「しまった。」
まだベルクさんは動けるから、魔法でこの二人を引き離してくれるだろう。
そう思ったが、ベルクさんはレインさんと対峙しているようだった。
レ「お仲間の二人は羽交い絞めで動けないわ。これで1対1よ、勝負しなさい!」
ベルクさんが私達の方を振り向いた。
べ「1対1で勝負するのは良いですが、その間に御二人に手を出したら…容赦しませんよ。」
レ「さあ勝負よ!私の雷で、貴方の身も心も痺れさせてあげるわ!!」
私達から少し離れた場所で、二人は向き合った。
レ「喰らいなさい、ライトニングッ!」
自分で雷と言っただけあって、レインさんは雷魔法を主体としたソーサラーというのを理解した。
雷魔法の恐ろしさは、その射程もさることながら、詠唱が短い為、次々に魔法を放てるところだ。
一方、氷魔法が主体のベルクさんは、射程・詠唱共に負けている。
今の私達には、ベルクさんが勝ってくれる事を祈る事しか出来なかった。
次々に放たれる雷魔法に、ベルクさんは避け続ける事を余儀なくされた。
そして、レインさんのサンダーボルトを避けようとして、横にステップした時だった。
レ「この時を待ってたのよ!神の怒りを知りなさい、ジャッジメント・レイッ!!」
空から無数の雷が現れ、ベルクさんの周りに飛来した。
べ「きゃあああぁあぁああぁあッ!」
絶叫と共に、ベルクさんが倒れた。
あれだけの雷をまともに貰ったのでは、無理も無い。
沙「ベルクさん立って!立ち上がって!!」
私がそう言うと、レインさんが私の方を向いた。
レ「うるさいギャラリーね、これでもくらって大人しくしてなさい。
彼の者を貫け、ライトニング・スピアッ!」
一瞬の閃光と共に、私の体を雷の槍が貫いた。
そして、現実世界で受けたようなダメージが、私の体を走った。
痛い!
仮想空間でも痛みは感じるの?
ゼ「沙羅ッ!」
キ「ダメよ、まだ終わってないんだから。」
羽交い絞めにされたゼノ君が私の所に来ようとしたが、脱出できなかったようだ。
リ「こりゃ終わったんじゃね?」
私を羽交い絞めにしているスカウトがそう言った時だった。
べ「…沙羅さんに、手を出しましたね。」
ベルクさんが、ゆっくりと立ち上がった。
あれほどのダメージを受けたはずなのに、何で立ち上がれるの?!
レ「あら、まだ生きてたの? 往生際が悪いのね。」
べ「貴方は私との約束を破った。だから…、本気で行かせてもらいます!」
先ほどのダメージが回復したとは思えない。
一体、ベルクさんは何をする気なの?
レ「その体で、何をするって言うの?面倒だから決めさせてもらうわ!
神の怒りを知りなさい、ジャッジメント・レイッ!!」
また空から無数の雷が落ちてきた。
沙「ベルクさん、逃げて!」
雷がベルクさんに当たろうかとした瞬間だった。
不意に、ベルクさんの姿が消えた。
…いや、消えたんじゃない。
そう、ベルクさんはレインさんの隣にいた。
一瞬にして、レインさんの横まで移動した?!
レ「なッ!」
べ「私ね、約束を破る人が…大嫌いなんですッ!」
ベルクさんがレインさんの腕を掴んだ瞬間、二人の周りをドーム状の氷が覆って行った。
これは何?と考えていると、二人が完全に氷に覆われた。
レ「いやあああぁあああぁあッ!」
突然、レインさんの悲鳴が聞こえた。
中の様子が分からない為、一体何があったのか分からない。
悲鳴が終わると、二人を覆っていた氷が砕けた。
しかし、そこにはベルクさんしか居なかった。
理「レインチーム、一名脱落っと。」
理奈さんが何かを確認して言った。
脱落って、死んだって事?!
べ「さて、残すはスカウトの御二方のみとなりましたけど?」
ベルクさんが満面の笑みでこちらを見た。
すると、私を羽交い絞めにしていたスカウトが離れた。
そして、理奈さんの所に走って行った。
リ「き、棄権します、俺達二人じゃ無理っすッ!」
キ「ちょ、ちょっと何勝手に決めてるの?!」
理奈さんが二人を交互に見て、手に持っていた紙に何かを書いた。
理「では、レインチームの棄権という事ですね。
よって、第1試合の勝者は沙羅・ゼノ・ベルクチームに決定です。」
そう言うと、理奈さんはまた呪文の様なものを唱えた。
そして私は、自分の体が光に包まれていくのを感じた。
後編はもうちょっとしてからUPします byスモーキー
最終更新:2008年04月24日 22:50