第8話 強者・後編
しばしの休憩の後、決勝戦が開催された。
私達の前には、決勝まで駒を進めてきたやふやふさん達が立っている。
や「よく決勝まで勝ち進みましたね。良い試合が出来る事を期待してます。」
沙「はい、頑張ります!」
ス「…できるといいんだがな。」
スモーキーさんが困ったような顔で言った。
確かに先ほどの戦いを見ても、とても私達に勝ち目は無いように見えた。
だからこそ、良い試合等期待はできないのである。
や「スモーキーさん、分かってますね?」
ス「……。」
やふやふさんがスモーキーさんの顔を見ると、スモーキーさんは目を逸らした。
先ほどの休憩の間に、何かあったのかな?
恋「それではこれより、
アマテラス杯新人戦の決勝戦を行います。」
今回の審判は、桜塚恋さんの様だ。
怒ったやふやふさんを止められる数少ない人という事だけど、その人が審判…。
べ「何かありそうですね。」
ゼ「気をつけないと、一瞬で負けそうだね。」
先ほどから教官チームの3人が、殺気に似たような物を放っていた。
恋「それでは、アマテラスファイト、レディー、ゴーッ!」
試合開始と同時に、スモーキーさんがストライクスマッシュで特攻してきた。
私に来るものと思い、盾でガードしようとしたが、スモーキーさんは私を通り越してしまった。
そして、3人の中心に着地した。
ス「吹き飛べ、クランブル・ストームッ!」
3人の中心で放った為、全員が別々の方向へ飛んでいった。
しかしそれぞれの飛んでいった先には、人影があった。
ベルクさんが飛んでいった方にはやふやふさんが、ゼノ君にはヌアージュさんが立っていた。
そして、私の所には、
ス「さてと、せいぜい楽しませてくれや。」
…スモーキーさんが待っていた。
他の二人を見たが、ゼノ君は既にヌアージュさんに捕まっていた。
ベルクさんは、やふやふさんと戦闘を開始していた。
ス「さっさと準備しろ。」
気付くと、スモーキーさんが武器を構えていた。
私が武器を構えたのを確認すると、すぐに斬りかかって来た。
あの張文遠さんとまともに渡り合えるだけあって、盾でガードしても、その衝撃は凄まじかった。
私には、じりじりと後退する事しか出来なかった。
私がガードしかできず、じりじりと後退して居るのを見て、スモーキーさんが攻撃を辞めた。
ス「……つまらん。」
そう言って、スモーキーさんは私に背を向けた。
沙「待ってください!」
つまらないと言われた事が、私の中の何かを壊した。
体の内側から力が漲ってくるのを感じる。
3ヶ月前の人形との戦いと同じ様な感じだった。
目の前には…、スモーキーさんの背中。
私は静かに武器を構えた。
そして、
沙「私は、3ヶ月前とは違うんですッ!」
私はスモーキーさんに斬りかかった。
スモーキーさんは何もしてこなかった。
私はそのまま、スモーキーさんを真一文字に斬った。
ス「…残念だ、沙羅。お前の3ヶ月間の成長が、そんなものだったとはな。」
自分の後ろから、まるで猛獣でも居るかのような殺気を感じた。
私が振り返ると、真後ろにスモーキーさんが立っていた。
そして、まるで面白くない玩具でも見るような目で私を見ている。
沙「何も反応が無かったので、空蝉だと思ってましたよ。」
私がニコっと笑うと、スモーキーさんは溜息をついた。
ス「…まるで、俺の技を見切ったような事を言うな。」
沙「試してみますか?」
そう言うと、私はスモーキーさんに斬りかかった。
今度はスモーキーさんも攻撃してきた。
先ほどまでとは違い、スモーキーさんの太刀筋がよく見えた。
そのため、スモーキーさんの攻撃を避けつつ、反撃する事が出来た。
沙「これでもつまらないですか?」
すると、不意にスモーキーさんが私から離れた。
ス「正直に言うとな、こうゆう仮想空間での戦闘がつまらないんだよ。
面白く無いから、さっさと終わらせたくてな。
というわけで、さっさと負けてくれ。」
沙「皆で優勝する為に私は、負ける訳にはいかないんですッ!」
すると、スモーキーさんが目を閉じた。
ス「それは…、残念だ。」
再び目を開けたときには、張文遠さんとの戦いで見せた目の色になっていた。
そして、私に向かってゆっくりと歩いてくる。
しかし、ただゆっくりと歩いているだけではなかった。
今のスモーキーさんから感じる殺気は、今までに感じたどの殺気よりも明確な殺意を感じた。
スモーキーさんが近づくにつれて、その殺気は強くなっていった。
思わず私は後ずさりをした。
そのまま後ずさりをしていると、何かに当たった様な気がした。
岩か何かにでも当たったかな?
私は振り返って、それが何かを確認した。
それは岩では無かった。
それは…
沙「ベルクさん?!」
ベルクさんの氷像だった。
や「それなりに楽しい戦いができましたよ。」
やふやふさんが笑いながら言った。
私が固まっていると、不意に肩を叩かれた。
ス「ま、よくがんばったっつう事で。」
言い終わると同時に、私はフェンリルで両断された。
当然の如く、決勝戦は私達の負けとなった。
ベルクさんはやふやふさんと戦い始めたかと思うと、すぐに氷付けにされたらしい。
ゼノ君は以前の様な感じで、ヌアージュさんにいじられていたようだ。
3ヶ月間訓練をした成果が、あの程度だったとは。
私は優勝出来なかった事よりも、自分の力量に絶望した。
次は記念SSだな|ω・`) byスモーキー
最終更新:2008年05月17日 10:57