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12話 卒業 前編






スモーキーさんと兵士が戦い始めてもう何十分経っただろうか。
両者の力量は互角の様だった。
それもそうだ。
3年前のスモーキーさんと現在のスモーキーさんなのだから。
しかし時間が経つに連れて、段々スモーキーさんが押されてきた。
不意に兵士が後ろに退いたと思ったら、その場所からスモーキーさん目掛けて突進してきた。
スモーキーさんはそれを待っていたかのようにフェンリルを構えた。

「何人たりとも隊長に触れさせはせん!」

兵士の突進はスモーキーさんに命中しなかった。
正確には、スモーキーさんが空蝉で避けたのだ。

ス「…なるほど。隊長が言ったあの時ってのは、あの時か。」

スモーキーさんがポツリと言葉を漏らした。

ス「お前らもうちょっとさがれ。ここから半径10mは戦闘区域だ。」

言われたとおりに後ろにさがり始めた。
しかしその時、スモーキーさんは兵士の渾身の力が籠められた拳で殴り飛ばされた。

沙「スモーキーさん!」

私が叫ぶと、兵士が私達の方を向いた。

「次はお前達だ。」

兵士がこちらに向かって走ってくる。

ゼ「やばいよ、逃げなきゃ!」

あのスピードから逃げるのは不可能だね。
それなら!

沙「皆は逃げて、私が時間を稼ぐからッ!」

私は盾を構えて兵士の体当たりを防ごうとした。

「その程度の盾でこの俺の攻撃を防げると思っているのか?!」

どんどん兵士の足音が近づいてくる。
しかしその足音は私の手前で止まった。

ス「お前の相手はこの俺だ。関係ない奴に手を出してんじゃねえッ!」

兵士の拳が私に当たる寸前でスモーキーさんが止めた。
そして今度はスモーキーさんが兵士を殴り飛ばした。

「この程度で俺は死なねえぞ!」

ス「うるせえ!」

スモーキーさんが兵士に向かって走った。
そして兵士の近くまで行くと、兵士の攻撃をかわして顔に殴りかかった。
パンチは見事に命中した。
しかし兵士は平然とした顔のままだった。

「軽い、守るべきものを持たぬ者の拳など軽すぎる。」

すると今度は兵士がスモーキーさんに殴りかかった。

「覚えておけ、これが守るものが居る者の拳だ!」

先ほど同様に渾身の力を籠めた拳でスモーキーさんに襲いかかった。
しかしスモーキーさんは微動だにしなかった。
また殴り飛ばされる。
そう思っていたが、スモーキーさんは飛ばなかった。

「何ッ?!」

ス「うるせえぞさっきから守りたいもの守りたいものって。
  俺にだってな、守りたいものがあるんだッ!」

そして、スモーキーさんが兵士を殴り飛ばした。
…どうゆう事?

べ「おそらく、あれが教官の本気なのでしょう。」

レ「じゃあ今まで本気じゃなかったって言うの?」

ゼ「僕達全員の合否が係ってるって言うのに?!」

沙「…違うと思う。」

私が言うと、皆が私の方を向いた。
私はさっき助けられた時のスモーキーさんの目を思い出した。

沙「あの目は……本気の目だったよ!皆もスモーキーさんを信じようよ!!」

キ「そうね。ここは教官を信じて応援しましょう!」

皆でスモーキーさんに向かって叫んだ。

沙「スモーキーさん、頑張って!」

べ「教官、頑張ってください!」

ゼ「そんな兵士さっさと倒しちゃってください!」

キ「教官の本気を見せてください!」

レ「負けたら承知しませんからね!」

私達の声援が届いたのか、先ほどから兵士と殴り合っていたスモーキーさんが振り向いた。

「戦闘中に余所見をするとは、俺をなめてるのか?!」

兵士の拳がスモーキーさんの顔目掛けて振られた。
しかしその拳をスモーキーさんは片手で止めた。

ス「もういいだろ、そろそろ終わりにしようぜ。」

スモーキーさんはフェンリルを構えた。

「来い、次の攻撃がお前の最後だッ!」

怒声と共に二人が交差した。
そして、兵士だけが倒れた。

ス「お前が背負ってるものの重さは知っている。
  だが今の俺が背負ってるものは…それよりも重いんだ。」

そう言うと、スモーキーさんは倒れた。

沙「スモーキーさんッ!」

私は倒れたスモーキーさんの所に駆け寄った。

沙「大丈夫ですかスモーキーさん?!」

すると、スモーキーさんがゆっくりと右手を上げた。

ス「勝ったぞ、これでお前達全員合格だな。」

や「まったくもう、スモーキーさんの省でせっかくの計画が台無しです。
  でも賭けは賭けですから、約束通り貴方達全員合格です。」

ゼ「やった!僕達全員最終試験に合格だ!!」

べ「ありがとうございます、教官!」

皆が喜ぶ中でスモーキーさんとやふやふさんは何処かに行こうとしていた。

沙「何処に行くんですか?」

私は不思議に思ったので聞いた見た。

ス「何処ってお前な、試験受けてるのはお前達だけじゃないだろ。」

や「そうですよ。まだまだ生徒さんが残ってるので私達はまだ戻れません。
  それにしても…スモーキーさん、やはり貴方は恐るべき人ですよ。」

ス「あれが隊長が創造した俺だから勝てたんだよ。
  本物だったら、俺は死んでるぜ。」

や「まったくもう、これで私の護衛が居なくなったじゃないですか。
  責任をとって護衛してもらいますからね!」

ス「はいはい、分かってますって。
  …っとその前に」

スモーキーさんが私達に近づいてきた。

ス「お前らは先に戻ってろ。」

スモーキーさんがゼノ君の頭に触れたかと思うと、ゼノ君が光となって消えた。

レ「ちょ、ちょっと待ってよ!どうして消されるのよ?!」

ス「元の世界に戻るにはこれしかないからな。」

そう言うとレインさんの頭に触れた。
レインさんもゼノ君同様に光となって消えた。

べ「出口が無いから仕方ないですよ。」

キ「そうね。」

今度は二人同時に光となって消えた。
そして最後に、スモーキーさんは私に近づいてきた。
ゆっくりと私の頭に手が置かれた。
私は、自分の体が光に包まれていくのを感じた。
スモーキーさんが私に向かって何か言っていたが、よく聞こえなかった。
ただ、スモーキーさんが笑っているのだけは分かった。



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最終更新:2008年08月14日 14:12