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第2話 プリンセス





ベルクさんに連れられて、ゲイル王の待つ謁見の間へ向かった。

べ「そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。父はそんなに恐ろしくありませんから。」

沙「そう言われても…。」

ゲイル王……傭兵王とも言われ、カセドリアが独立する時にカセドリア側で戦った王である。
謁見の間が近づくにつれて、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
傭兵王との謁見なんて始めてだから怖いな…。
謁見の間に着くと、扉の前には衛兵が10名程立っていた。
ベルクさんは衣服を整えた。
私も変な所が無いか一応確認した。

べ「開けてください。」

すると、扉の前に立っていた衛兵が両脇に移動し、中央に残った二人が扉を開けた。
謁見の間はかなり広く、300人はゆうに入るだろうと思った。
床に敷かれた赤絨毯の先には王座があり、ゲイル王が鎮座して居た。

べ「父上、只今戻りました。」

ベルクさんが上品に挨拶をした。

沙「お初にお目にかかります。沙羅と申します。
  この度は入城及び謁見する事を許された事に感謝します。」

私もベルクさんの真似をして挨拶した。
ゲイル王は私の顔をじっと見ていたかと思うと、不意に笑い出した。

ゲ「はっはっは、これはご丁寧にどうも。そうか、そなたがベルの手紙に書いてあった沙羅か。
  この様な遠方の城によく来られた。今宵はベルの帰城とそなたの来城を祝して晩餐会じゃ。」

話しを聞いていると、小さい頃から聞かされていた恐ろしい話が嘘のようだった。

べ「それでは父上、私と沙羅さんは衣服を着替えてきますね。」

ベルクさんに促されて謁見の間を後にした。
謁見の間を出ると、ベルクさんが私の手を取って走り出した。

沙「ベルクさん、私は晩餐会に相応しい服なんて持ってないよ?!」

べ「私のドレスを御貸しするので大丈夫です!
  とりあえず、私の部屋に行きましょう。」




ベルクさんの部屋に着くと、何やら使用人らしき女性が3名程居た。

「お帰りなさいませお嬢様。今夜の晩餐会はどのドレスになさいますか?」

たくさんのドレスを差しながら、使用人のリーダーらしき女性が話しかけてきた。

べ「私はいつものでいいわ。それよりも、沙羅さんのドレスを選んであげて。」

「かしこまりました。」

その女性は私をじっと見ていたかと思うと、不意に指を鳴らした。
すると、周りに立っていた人達がいくつかのドレスを持ってきた。

「これなんてどうかしらね?」

ピンク色で、フリルがたくさんついている可愛いドレスを手にとって言った。
こんな可愛いドレス、私には似合わないよ…。
私は着替えるべきか少し悩んだ。

べ「どうしたんですか沙羅さん?ここには女性しか居ないので、御気になさらなくても?」

沙「そうゆう訳じゃないんだけど…。」

「さあさあ、早く着て見ましょう!」

「きっとお似合いですよ!」

沙「わわ、ちょっと待ってッ!」

抵抗もむなしく、二人の女性によってあっという間に着替えさせられてしまった。
着替え終わったところで、大きな鏡の前に立たされた。

べ「よく似合ってますよ、沙羅さん。」

「お似合いですよ。」

沙「…そう?」

私はドレスの裾を少し持ってその場で一回転してみた。
ウォーリアーとなった自分には、こうゆうドレスを着るのは最後かもしれないと思った。
二人がドレスに着替え終わったので、使用人の人達は部屋から出て行った。
すると、ベルクさんがバルコニーの方へ向かった。
ベルクさんはバルコニーの手すりに手をついて、外を眺め始めた。

沙「…どうかしたんですか?」

ずっと外を眺めているベルクさんに話しかけてみた。

べ「沙羅さん、ありがとう。」

ベルクさんが振り返ったかと思うと、目には涙を浮かべていた。

沙「どうしたの?!目にゴミでも入っちゃった?!」

私が慌てて近寄ると、ベルクさんは顔を横に振った。

べ「違うんです。私には、友達なんて呼べる人は居ませんでした。
  小さい頃から周りには使用人や大人の人しか居なくて、同年代の子どもは居ませんでした。
  兵士育成機関に入った時も、ゲイル王の娘と知ると皆離れて行ってしまいました。
  そんな時に、沙羅さんと相部屋になりました。
  沙羅さんはとても強くて、優しくて、私を一人の人間として見てくれた。
  だから怖かった。
  知られたくなかった。
  沙羅さんにゲイル王の娘と知られて、沙羅さんまで離れて行ってしまうのが…。」

ベルクさんはそこで言葉が詰った。
涙で言葉が出ないようだった。
そしてとうとう泣き崩れてしまった。
私はそんなベルクさんを優しく抱きしめた。

沙「大丈夫だよ、ベルクさん。
  例えベルクさんがゲイル王の娘だとしても、そうじゃなかったとしても、私達は友達だよ!
  ベルクさんはベルクさんだよ!
  いつも笑顔で私に元気をくれる、大切な友達だよ!!
  …だからほら、泣くのは辞めよう。」

ベルクさんは私にぎゅっと抱きついてきた。
悲しい時は気持ちが落ち着くまで泣きなさい。
昔、お母さんに言われた言葉を思い出した。
私はベルクさんの気持ちが落ち着くまでそのまま動かなかった。



数分後…落ち着いたのか、ベルクさんは泣き止んだ。
そして、ベルクさんはよろよろと立ち上がった。

べ「…ごめんなさい。」

沙「全然平気だよ。」

ベルクさんは涙を拭った。

べ「晩餐会までまだ時間がありますので、御城の中を案内しますよ。」

沙「うん!」

部屋を出た瞬間に、人とぶつかってしまった。
その人は何やら資料を持っていたらしく、資料が床に散らばってしまった。

沙「すみません!大丈夫ですか?」

その人は何も言わずに資料を拾い始めた。
私も資料を拾うのを手伝った。
私には意味の分からない数式等が書いてあった。
拾った資料を渡すと、少し顔を背けられた。

「あり……がとう。」

それだけ言うと、その場を走り去っていった。

べ「彼の名前はアーシェス。この城の研究員の一人です。」

ベルクさんの御城の研究員…。
どんな研究をしてるんだろう?

沙「どんな研究をしてるんですか?」

べ「よく……分かりません。」

一瞬、隠しているのかな?と思ったけども、どうやら本当に知らないようだ。

べ「沙羅さんの困った顔、ばっちり頂きましたよ。
  これは教官達に見せてあげないと!」

何時の間に撮ったのか、ベルクさんが写真を持っていた。

沙「他の人に見せるのは、絶対に駄目ですよッ!」

私達はそのまま、御城の中を歩き出した。

べ「それにしても、アーシェスが喋る何て…。」





~シュリッツ城内部~

?「…この計画は成功するのだろうな?」

?「はい、誰一人として気付いては居りません。後は手筈通りに事が進めば…。」

?「この計画が成功すれば、この国は我手に……ふふふはっはっはッ!」





私達の知らない所で、何やら不穏な計画が決行されようとしていた。
しかしその時の私達には、それを知る術は無かった。


絵の勉強しようかな……byスモーキー

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最終更新:2008年09月21日 11:03