ベルクさんに連れられて、ゲイル王の待つ謁見の間へ向かった。
べ「そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。父はそんなに恐ろしくありませんから。」
沙「そう言われても…。」
ゲイル王……傭兵王とも言われ、カセドリアが独立する時にカセドリア側で戦った王である。
謁見の間が近づくにつれて、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
傭兵王との謁見なんて始めてだから怖いな…。
謁見の間に着くと、扉の前には衛兵が10名程立っていた。
ベルクさんは衣服を整えた。
私も変な所が無いか一応確認した。
べ「開けてください。」
すると、扉の前に立っていた衛兵が両脇に移動し、中央に残った二人が扉を開けた。
謁見の間はかなり広く、300人はゆうに入るだろうと思った。
床に敷かれた赤絨毯の先には王座があり、ゲイル王が鎮座して居た。
べ「父上、只今戻りました。」
ベルクさんが上品に挨拶をした。
沙「お初にお目にかかります。沙羅と申します。
この度は入城及び謁見する事を許された事に感謝します。」
私もベルクさんの真似をして挨拶した。
ゲイル王は私の顔をじっと見ていたかと思うと、不意に笑い出した。
ゲ「はっはっは、これはご丁寧にどうも。そうか、そなたがベルの手紙に書いてあった沙羅か。
この様な遠方の城によく来られた。今宵はベルの帰城とそなたの来城を祝して晩餐会じゃ。」
話しを聞いていると、小さい頃から聞かされていた恐ろしい話が嘘のようだった。
べ「それでは父上、私と沙羅さんは衣服を着替えてきますね。」
ベルクさんに促されて謁見の間を後にした。
謁見の間を出ると、ベルクさんが私の手を取って走り出した。
沙「ベルクさん、私は晩餐会に相応しい服なんて持ってないよ?!」
べ「私のドレスを御貸しするので大丈夫です!
とりあえず、私の部屋に行きましょう。」
ベルクさんの部屋に着くと、何やら使用人らしき女性が3名程居た。
「お帰りなさいませお嬢様。今夜の晩餐会はどのドレスになさいますか?」
たくさんのドレスを差しながら、使用人のリーダーらしき女性が話しかけてきた。
べ「私はいつものでいいわ。それよりも、沙羅さんのドレスを選んであげて。」
「かしこまりました。」
その女性は私をじっと見ていたかと思うと、不意に指を鳴らした。
すると、周りに立っていた人達がいくつかのドレスを持ってきた。
「これなんてどうかしらね?」
ピンク色で、フリルがたくさんついている可愛いドレスを手にとって言った。
こんな可愛いドレス、私には似合わないよ…。
私は着替えるべきか少し悩んだ。
べ「どうしたんですか沙羅さん?ここには女性しか居ないので、御気になさらなくても?」
沙「そうゆう訳じゃないんだけど…。」
「さあさあ、早く着て見ましょう!」
「きっとお似合いですよ!」
沙「わわ、ちょっと待ってッ!」
抵抗もむなしく、二人の女性によってあっという間に着替えさせられてしまった。
着替え終わったところで、大きな鏡の前に立たされた。
べ「よく似合ってますよ、沙羅さん。」
「お似合いですよ。」
沙「…そう?」
私はドレスの裾を少し持ってその場で一回転してみた。
ウォーリアーとなった自分には、こうゆうドレスを着るのは最後かもしれないと思った。
二人がドレスに着替え終わったので、使用人の人達は部屋から出て行った。
すると、ベルクさんがバルコニーの方へ向かった。
ベルクさんはバルコニーの手すりに手をついて、外を眺め始めた。
沙「…どうかしたんですか?」
ずっと外を眺めているベルクさんに話しかけてみた。
べ「沙羅さん、ありがとう。」
ベルクさんが振り返ったかと思うと、目には涙を浮かべていた。
沙「どうしたの?!目にゴミでも入っちゃった?!」
私が慌てて近寄ると、ベルクさんは顔を横に振った。
べ「違うんです。私には、友達なんて呼べる人は居ませんでした。
小さい頃から周りには使用人や大人の人しか居なくて、同年代の子どもは居ませんでした。
兵士育成機関に入った時も、ゲイル王の娘と知ると皆離れて行ってしまいました。
そんな時に、沙羅さんと相部屋になりました。
沙羅さんはとても強くて、優しくて、私を一人の人間として見てくれた。
だから怖かった。
知られたくなかった。
沙羅さんにゲイル王の娘と知られて、沙羅さんまで離れて行ってしまうのが…。」
ベルクさんはそこで言葉が詰った。
涙で言葉が出ないようだった。
そしてとうとう泣き崩れてしまった。
私はそんなベルクさんを優しく抱きしめた。
沙「大丈夫だよ、ベルクさん。
例えベルクさんがゲイル王の娘だとしても、そうじゃなかったとしても、私達は友達だよ!
ベルクさんはベルクさんだよ!
いつも笑顔で私に元気をくれる、大切な友達だよ!!
…だからほら、泣くのは辞めよう。」
ベルクさんは私にぎゅっと抱きついてきた。
悲しい時は気持ちが落ち着くまで泣きなさい。
昔、お母さんに言われた言葉を思い出した。
私はベルクさんの気持ちが落ち着くまでそのまま動かなかった。
数分後…落ち着いたのか、ベルクさんは泣き止んだ。
そして、ベルクさんはよろよろと立ち上がった。
べ「…ごめんなさい。」
沙「全然平気だよ。」
ベルクさんは涙を拭った。
べ「晩餐会までまだ時間がありますので、御城の中を案内しますよ。」
沙「うん!」
部屋を出た瞬間に、人とぶつかってしまった。
その人は何やら資料を持っていたらしく、資料が床に散らばってしまった。
沙「すみません!大丈夫ですか?」
その人は何も言わずに資料を拾い始めた。
私も資料を拾うのを手伝った。
私には意味の分からない数式等が書いてあった。
拾った資料を渡すと、少し顔を背けられた。
「あり……がとう。」
それだけ言うと、その場を走り去っていった。
べ「彼の名前はアーシェス。この城の研究員の一人です。」
ベルクさんの御城の研究員…。
どんな研究をしてるんだろう?
沙「どんな研究をしてるんですか?」
べ「よく……分かりません。」
一瞬、隠しているのかな?と思ったけども、どうやら本当に知らないようだ。
べ「沙羅さんの困った顔、ばっちり頂きましたよ。
これは教官達に見せてあげないと!」
何時の間に撮ったのか、ベルクさんが写真を持っていた。
沙「他の人に見せるのは、絶対に駄目ですよッ!」
私達はそのまま、御城の中を歩き出した。
べ「それにしても、アーシェスが喋る何て…。」
~シュリッツ城内部~
?「…この計画は成功するのだろうな?」
?「はい、誰一人として気付いては居りません。後は手筈通りに事が進めば…。」
?「この計画が成功すれば、この国は我手に……ふふふはっはっはッ!」
私達の知らない所で、何やら不穏な計画が決行されようとしていた。
しかしその時の私達には、それを知る術は無かった。
絵の勉強しようかな……byスモーキー
最終更新:2008年09月21日 11:03