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第3話 不穏な晩餐会 後編




走り出して数分、前方に村が見えた。
しかし…。

キ「どうゆうことッ?!」

その村は赤く燃えていた。
どうやらこの村にも賊が来たようだ。

沙「賊がまだ残ってるかもしれないし、別の村に行きましょう。」

べ「いえ、このまま行きましょう。教官達が待っているのなら、他よりも安全のはずです。」

3人で村に入ると、まだ賊が残っているようだった。

「居たぞ、殺せッ!」

数名の賊が誰かに向かって襲い掛かった。

?「まったくもう、さっさと逃げればいいものを。」

その人は私達の視界から消えたかと思うと、襲い掛かった賊全員が切り伏せられた。

「このままじゃ全滅だ。ほ、本隊と合流するぞ!」

残った賊は一目散にシュリッツ城の方へ向かって駆け出した。

キ「隊長、二人を連れてきました!」

隊長……やふやふさん?
しかしその人はやふやふさんではなく、ヌアージュさんだった。

ヌ「お疲れ様…と言いたい所だけど、どうやらもう一人連れてきたみたいね。」

此処に居るのは、ヌアージュさんを含めても4人。
辺りを見回しても、他には誰も居ない。

ヌ「出てきなさい、そこに居るのは分かってるわッ!」

すると、村の入り口から使用人らしき人が出てきた。
…この人は?!

?「お嬢様、無事でしたか!」

私とベルクさんが会話している時に、気配も無く近づいてきた使用人だった。

ヌ「そこで止まりなさい!」

ヌアージュさんが武器を構えた。

ヌ「貴方が…アトラクナクアかしら?」

アト「あら、どうして私の名前が分かるのかしら?」

ヌアージュさんが無言で戦闘態勢に入った。
アトラクナクアと言われた人も袖から短剣を出してきた。

アト「誰かは知らないけど、邪魔するなら……殺すよ?」

言い終わると同時に、二人の姿が消えた。
不意に後ろから金属同士がぶつかる様な音がしたかと思うと、また別の場所で音がした。

キ「速い…。」

しばらくすると、二人の姿が現れた。

アト「貴方、結構やるじゃない。このスピードに付いてくるなんて。」

ヌ「よく言うわね、まだ本気じゃないくせに。」

アト「だって本気だしたらつまらないもの……すぐ終わっちゃうから。」

ヌ「…そう。」

アト「でもまあ…、面倒だから少しだけ本気出しちゃおうかな。」

そう言うと、姿が消えた。
すぐにヌアージュさんは反応したけども、間に合わなかったようだ。
アトラクナクアの攻撃が体を掠めたのか、腕からは血が流れていた。

アト「へぇ、あれを避けたの?凄いわ、尊敬しちゃう!」

アトラクナクアは冷たい笑顔でヌアージュさんを見ていた。
対するヌアージュさんの顔からは、余裕が無くなっていた。

沙「私も戦いますッ!」

私がそう言って近づくのをヌアージュさんが止めた。

ヌ「止まりなさい、貴方が出てきても無意味よ!」

べ「沙羅さん、ここは下がりましょう。」

キ「血気に逸っちゃ駄目!」

二人に言われて、私は二人の所へ下がった。

アト「安心しなさい沙羅ちゃん。彼女を始末した後は、貴方だから。」

ヌ「私には夢があるの、その夢が叶うまで、死ぬ訳にはいかないのッ!」

アト「よく言うわね、避けるのが精一杯のくせに。むかつくのよ、弱いくせに強がって。
   夢ですって?笑わせないでよッ!夢ってのはね、叶わないから夢なのよ!
   もう少し遊んであげようかと思ったけど、気分が変わったわ。
   次で息の根をとめてあげるわッ!!」

アトラクナクアの姿が消えた。
しかしヌアージュさんは避けようとしなかった。
そして……、アトラクナクアは民家の壁に飛んで行った。
何時の間にかスモーキーさんがヌアージュさんの前に立っていた。

ヌ「遅い!」

ス「悪い、賊を倒してたら遅くなった。
  随分苦戦したらしいなヌアージュ、お前が血を流すなんて何年振りだ?」

ヌ「さあ?覚えて無いわ。」

二人が笑っていると、アトラクナクアが立ち上がった。

ス「沙羅達を頼む。」

ヌ「分かったわ。」

そう言うと、スモーキーさんはアトラクナクアと対峙した。
少しの間二人が睨み合ったかと思うと、アトラクナクアが動いた。

アト「邪魔をするなら……殺すッ!」

アトラクナクアがスモーキーさんに襲い掛かる。
しかしスモーキーさんは微動だにしなかった。
アトラクナクアのパニッシングストライクがスモーキーさんに当たった。

アト「……ッ!」

しかし、スモーキーさんを突き刺したはずの短剣に血はついていなかった。
そして、アトラクナクアの後ろにスモーキーさんが立っていた。
スモーキーさんが小声で何かを囁いたのか、アトラクナクアが振り返った。

アト「……理解できないわ。」

それだけ言うと、アトラクナクアは闇の中へ消えていった。

ヌ「…終わったのかしら?」

ス「賊は全滅したし、俺たちは宿舎に戻るか。
  …っとその前に。」

スモーキーさんが私に近づいてきた。
すると、ベルクさんが私の前に出た。

べ「教官、沙羅さんを叱らないでください。」

しかしそんなベルクさんを無視し、スモーキーさんは私の前に立った。
スモーキーさんが手を振り上げた。
叩かれる!
私は目を瞑った。
しかしその手は、平手打ちでも拳骨でもなく、私の頭を優しく撫でた。

ス「…ったく、あんまり心配させるなよ。」

突然、目から涙が出た。
スモーキーさんの言う事をちゃんと聞いていれば、危険な目に会わなくて済んだのだ。
そして、スモーキーさん達にどれだけ心配をかけたのか。

ス「それじゃ、俺たちは宿舎に戻るか。」

ヌ「…そうね。キルシュちゃん、帰るわよ。」

キ「了解。」





3人が宿舎に帰ったので、私とベルクさんの二人だけが残った。

べ「賊は全滅したみたいですし、城に戻りましょう。」

沙「そうだね。」

二人でシュリッツ城の方へ歩いていった。
シュリッツ城前まで行くと、ゲイル王に迎えられた。

ゲ「二人とも無事で何よりじゃ。
  それにしても、先ほどの兵士は何処に行ったのやら?」

べ「先ほどの兵士とは?」

ゲ「うむ。一時は賊に殺される寸前まで追い込まれたのだ。
  しかしその時に、カセドリアの兵士と思しき兵士が現れて助けられたのだ。
  褒美の一つでも渡したかったのだが、その後何処かに消えていったのだ。」

思いつくのはスモーキーさんだけだった。

沙「多分それは、スモーキーさんだと思います。」

べ「私も教官だと思います。」

ゲ「おぉ、二人の知り合いか。ならば後日呼び出すとしよう。
  今宵は晩餐会という気分ではないな。ベル達の食事は部屋まで届けさせよう。」

二人で部屋に戻ると、部屋に置かれた鏡が目に入った。
その時始めて私のドレスに血がついていることに気付いた。

沙「ごめんなさいベルクさん。せっかく貸して貰ったドレスが…。」

べ「良いんですよ、ドレスの一つや二つ。沙羅さんが無事だっただけで十分です。」

その時、部屋の扉がノックされた。
扉を開けると、使用人が食事を運んできたらしい。

「お食事と代わりのお召物をお持ちいたしました。」

テーブルに食事が並べられている間に、私はドレスから普段着へ着替えた。
ベルクさんも泥だらけのドレスから綺麗なドレスへ着替えた。
食事を並び終えた使用人は、ベルクさんに一礼して出て行った。
料理人の人が腕によりをかけて作った料理なのだろう。
どの料理もとても美味しかった。
そしてその日はベットに入るとすぐ寝てしまった。
朝起きると隣にベルクさんが居て少し驚いた。
しかし女の子同士という事もあり、あまり気にしなかった。
朝食を済ませると、私は家に戻る事をゲイル王に告げた。
すると、シュリッツ城から首都アズルウッドまで馬車で送ってもらえる事になった。

ゲ「惜しいな…もしそなたが男だったなら、ベルの婿にしたいくらいじゃったのに。」

べ「少しの間、お別れですね。沙羅さんのお母様にもよろしくお伝えください。」

沙「それでは、失礼させていただきます。ベルクさん、またね!」

私は馬車に乗った。
馬車はゆっくりと動き出し、シュリッツ城を後にした。
早く家に戻らないと。




首都アズルウッドに着くと、馬車を降りた。
馬車の人にお礼を言い、私は家に向かった。
しかしその途中でゼノ君に会った。
走り回っていたみたいで、息がかなり乱れていた。

沙「どうかしたのゼノ君?またヌアージュさんに追われてるの??」

ゼ「ち、違うんだ…。き、教官が軍法会議に……軍法会議にかけられたんだッ!」

沙「……え?」

突然の報告に、私はその場で立ち竦んでしまった。



俺の運命や如何に!!(まて byスモーキー

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最終更新:2008年09月28日 10:05