第7話 ローグローブ防衛戦
コラント平原で決起した反乱軍は、そのままアベル渓谷やテルカノン遺跡を占領した。
首都アズルウッドでは、反乱軍の動きが騒がれている。
追放されて反乱を起こした人達のほとんどは玄人、こちらはほとんどが素人。
連戦に連戦を重ねた結果、カセドリアの領土は日増しに減っていった。
そして、ローグローブ台地から東側のほとんどが反乱軍の領土となった。
このままカセドリアは滅んでしまうんだろうか……。
私はシュリッツ城でベルクさんと対談していた。
沙「まさか、こんな事になるなんて……。」
べ「当然の結果ですね。
今までカセドリアに忠誠を誓っていたのに、噂の一つで首都を追放です。
反乱を起こしたくもなるでしょう。」
沙「私はこれに乗じて他国が攻めて来ると思います。」
今のカセドリアへ攻め込めば、容易く領土が増やせるだろう。
しかし、ベルクさんは笑った。
べ「沙羅さん、それは浅はかな考えです。」
沙「どうしてですか?!」
何故攻めて来ないと言えるのか、不思議だった。
べ「ネツァワル王国の獣人王ヒュンケルは獣ですし、
ゲブランド帝国の皇帝ライルは聡明と聞きます。」
沙「それが、どうして攻めて来ないと言えるんですか?」
べ「分かりませんか?」
ベルクさんは不思議そうな顔で私を見た。
私が分からないっといった顔をしていると、ベルクさんが優しく説明してくれた。
べ「今カセドリアに攻めたら、せっかく内部分裂してるのが元に戻るからです。
もしも攻めたとするなら、自国にも相当な痛手となるでしょう。
それよりも、内戦が一段落した所を攻めれば簡単に領土を増やせるでしょう。」
確かに、カセドリアが内部分裂して一番得をするのは他国だね。
べ「しかし、そうはならないでしょう。」
沙「何故?」
べ「反乱軍の目的は軍の上層部です。
さすがに聖女王ティファリス様まで憎んではいない筈です。
もしもティファリス様が軍の上層部を処罰し、和解を申し出たら」
沙「反乱してる人達も、それを受け入れるんですね!」
べ「そうです。父上もそう思い、近々ティファリス様にそれを申し出ます。」
微かに見えた希望に、私の胸は躍った。
チラッと時計を見ると、15時を回っていた。
沙「いけない、もう帰らないと!」
べ「もうそんな時間ですか、それでは馬車と護衛を用意します。
沙羅さんに何かあっては大変ですからね。」
沙「ありがとうベルクさん。またね。」
べ「沙羅さん、貴方にクリスタルの加護があらんことを…。」
馬車で帰宅していると、ローグローブ付近で張文遠さん達を見かけた。
何かあったのかな?
私は馬車の人に言って、ここで降ろしてもらった。
護衛の人は心配していたが、知り合いが居ると言ったら了承してくれた。
私が馬車を降りると、張文遠さん達が近づいてきた。
張「何故御主が此処に居る?」
の「早く帰りなさい、ここはもうすぐ戦場になるから。」
沙「ここが戦場って、反乱軍が攻めて来るんですか?」
シ「そうよ。おそらく南部に行ってる普通の兵士じゃなく、精鋭でしょうね。」
張「そしてその中には、少なからず
アマテラスも居るだろう。」
青「戦場とはいえ、昔の仲間と戦う事になるなんて…。」
張「敵は斬り、味方は守る。ただ、それだけだ。」
の「そんな事言って、実は寂しいんでしょ?」
すると、張文遠さんが俯いた。
確かに、私もスモーキーさん達と戦うなんて想像したくもなかった。
青「…何か、来るッ!」
突然青りんごさんが大きな声を出したので、私は驚いた。
張「うむ……、来た様だな。」
東の方向から砂塵が上ってきた。
の「沙羅ちゃんを帰らせる時間は無さそうね。
こうなったら、沙羅ちゃんにも戦ってもらうことになるわね。」
シ「前線は危ないと思うわ。」
張「うむ。ならば青りんごと一緒に裏方をしてもらうことにしよう。
各員、戦闘準備にかかれッ!」
「「「了解」」」
張文遠さん達以外にも、カセドリアの兵士達が集まってきた。
青「私達は【C:3】に向かいましょう。」
沙「はい。」
こんな形で初陣を迎えるなんて…。
青りんごさんについて行くと、大きなクリスタルが見えてきた。
青「あそこでクリスタルを採掘しましょう。」
クリスタルに近づくと、突然心の中に冷たい風が吹いた気がした。
青「沙羅さんにも感じますか?」
沙「心の中に、冷たい風が吹いた気がしました。」
青「クリスタルは人の思いで成長します。
このクリスタルには、戦場で散って逝った人達の思いが篭っているようですね。」
沙「先ほどの予感といい、このクリスタルといい、
青りんごさんには、私には見えない物が見えるんですか?」
青「え?見えるって言われても……ただ、何となく感じるだけよ。」
青りんごさんには、何か不思議な力があるのかも。
青「でも沙羅さんも感じたのなら、他にも感じる人が居るのでしょう。
隊長やのーくんでぃさん達は、何も感じないみたいですけどね。
そういえば私、動物と話す事ができるんですよ。」
沙「動物って犬や猫とかですか?」
青「そうですよ。犬や猫の他にも、鳥や木々の声も聞こえます。」
鳥や木々の声も聞こえる?!
だからこそ、クリスタルに篭った思いが分かるのかもしれない。
沙「もしかして、人の心の声も聞こえるとか?」
青「残念ながら、そこまでは聞こえません。
ただ……。」
沙「ただ?」
青「いえ、何でもありません。」
私は少し気になったが、深く詮索しないようにした。
戦闘が始まって数時間、戦況は反乱軍が優勢のまま夜を迎えた。
私は青りんごさんに連れられて、自軍のキープまで戻っていった。
キープに着くと、大多数の兵士が撤退の準備をしていた。
シ「遅かったわね。私達はローグローブから撤退する事になったわ。」
張「夜陰に乗じて撤退すれば、被害も少ないだろう。」
私は撤退の第2隊に加えられた。
第2隊には、青りんごさんとシャーウッドさんが居た。
沙「あれ、張文遠さんとのーくんでぃさんは?」
シ「二人は殿軍に居るわ。いきなり全軍が撤退したら、後ろから襲われちゃうからね。」
沙「無事に撤退できると良いんですけど。」
青「……。」
第1隊が撤退し、私達の番になった。
撤退を始めてEラインの窪地に近づいた瞬間だった。
不意に周りから声が上がった。
「敵襲ッ!!」
その声と同時に、私は何者かによって連れ去られてしまった。
しかし、それが誰なのかはすぐ分かった。
沙「スモーキーさん?!」
ス「騒ぐな。」
そしてそのまま、敵陣地内部に連れて行かれた。
陣地内部にある一つのテントの中に通されると、やふやふさん達が居た。
そして、
テ「貴女が、沙羅さんですね。」
聖女王ティファリス様が……居た。
今週はUP無いのかと思わせてUP。byスモーキー
最終更新:2008年10月26日 10:58