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第14話 沙羅の旅立ち




一頻り泣くと、私は立ち上がった。
何時までも泣いているわけには行かない。
スモーキーさんの部屋から出て、やふやふさんの部屋に向かった。
やふやふさんは、私が荷物を持っているのを見ると無言頷いた。

や「そうですか。寂しくなりますね。」

沙「宿舎は出て行きますが、私はアマテラスの隊員です。」

や「…そうですね。」

一礼し、部屋を出た。
そのまま私は、荷物を持って家に帰った。



家に着くと、少女とお母さんが楽しげに話していた。

母「おかえり、沙羅。ずいぶん遅かったわね。」

沙「うん。荷造りに時間かかっちゃって。」

私の荷物を見て、お母さんは頷いた。

母「そう、沙羅もこの家に戻ってくるのね。
  ほら、昼食が出来てるから皆で食べよう。」

少女と3人で食卓を囲む。
人数が一人増えただけなのに、凄く賑やかに感じた。
しかしそんな事よりも、お母さんと少女の仲が凄く良い様に見えた。
少女とお母さんが早く打ち解けてくれて良かったと思った。

母「そういえば、沙羅が小さい頃着てた服は何処にしまったかしら?
  佐紀の着る服を探さないとね。」

沙「佐紀って?」

私の言葉に、お母さんはキョトンとした。
そして、少女と私を交互に見ている。
もしかして、少女の名前が佐紀なのかな?
いや、少女が名前を聞かれてそう答えたと考えたほうが良いだろう。

沙「あ、うん。物置部屋にしまってあると思うけど?」

母「そうだったかしらね?後で探してみるわ。」



昼食を終えると、私はユグドラさんの占い屋に向かった。
スモーキーさんの後をついて行ったため、おぼろげにしか道順を覚えていない。
しかし路地裏を進んで行くと、占い屋を見つけた。
中に入ると、誰も居なかった。

沙「留守かな?」

ユ「居るわよ。」

不意に後ろから声がすると思ったら、ユグドラさんだった。

ユ「貴方が此処に来る事は、ブルーから聞いてたわ。
  あの力について聞きたいのね?」

沙「はい。いつも私がピンチになると沸いてくるあの力は何なんですか?」

ユグドラさんは話すのを少し躊躇した様だった。
しばらくして、ユグドラさんは顔をあげた。

ユ「今から話す事を、信じるも信じないも貴方次第よ。」

私は黙って頷いた。

ユ「…心の中に住む獣って言うのかしら?
  私はそれを、英霊って言ってるわ。
  英霊にも色々居てね、動物だったり人だったりするのよ。
  そして、貴方にはエフリシアが憑いてるわ。」

沙「エフリシアって…、トルクマイヤ帝国を崩壊させる原因となったエルフの事ですか?!」

ユグドラさんは苦笑すると、頷いた。

ユ「貴方には、あの反乱姫エフリシアが憑いてるわ。
  だからこそ、貴方は世界に平和を齎す者って言ってるの。」

沙「それじゃ、スモーキーさんには何が憑いてるんですか?」

ユグドラさんは少し思案し、首を横に振った。

ユ「今の貴方に言っても意味は無いわ。
  今の貴方では、勝てないもの。」

勝てない?
スモーキーさんに勝てないって事かな?

沙「それじゃ、何時話してくれるんですか?」

試しに聞いてみると、ユグドラさんが値踏みするような目で見てきた。

ユ「…せめて、力を自在に操れる様になったらかしらね。
  どんなに強い英霊が憑いていても、それに見合った力を持たなければ意味は無いわ。
  今の貴方とブルーとでは、大人と赤子程の力の差があるわ。」

沙「…力を自在に操る為にはどうすれば良いんですか?!
  教えてください、お願いします!」

ユグドラさんは無言だった。
しかし何度もお願いしていると、ユグドラさんが呟いた。

ユ「ついて来なさい。」

首都を出て、アズルウッドが見えなくなるくらい遠ざかった。

ユ「今から私は貴方に攻撃するから、避けなさい。」

沙「え?」

訳が分からなかったが、ユグドラさんが詠唱を開始した。
ミギ!
不意に声が聞こえた。
そして、反射的に私は左に避けた。
すると、私の右後ろから爆発音の様なものが聞こえた。

ユ「今のを避けるって事は、少しは力が使えてるのね。」

ユグドラさんがまた詠唱を開始した。
ウシロニサガッテ!
言葉の通りに後ろにさがると、さっきまで居た位置に巨大な雷が落ちた。

ユ「貴方が私に触れるまで、攻撃は辞めないわ。」

なるほど。
無理やりにでも力を使わせて、自在に操れるようにさせるんだね。
私の英霊…エフリシアさん、私に力を貸してください。
アナタガワタシノチカラヲツカイコナセルカ、タメシテアゲマショウ。
声が終わると同時に、力が漲って来た。
私はユグドラさんに近づこうとしたが、容易には近づけなかった。
今まで詠唱していたユグドラさんが、無詠唱で魔法を使ってきたからだ。
私が力を使い始めたのが分かっているのか、魔法の威力が上がった気がした。
しかし多少の怪我を覚悟すれば、近づけなくもない気がした。
私が少しづつ近づいているのを確認したのか、不意に魔法が途絶えた。
私は警戒しつつ、ユグドラさんに近づいた。
アブナイ!
しかしもう少しで触れるという時に、ユグドラさんの体から強力な電気が発生した。

ユ「不用意に近づきすぎよ。エレクトリックウェイブッ!」

ユグドラさんの体から発せられた電気により、私の体は弾き返された。
マダアキラメルノハハヤイデス。
着地すると同時に、私はユグドラさんに向かって走った。

ユ「私の魔法を喰らって、まだ動けますか。」

再度ユグドラさんの体から電気が発せられた。
ドンナキョウリョクナマホウニモ、ケッテンハアリマス。
ハッセラレルマホウヲヨクカンサツスルノデス。
さっきは突然の事で分からなかったが、よく見ると発せられる電気に隙間があるのが見えた。
しかし、身を縮めてもぎりぎり入れるかどうかだった。
それでも、行くしかない。
ダメージを受ける事を覚悟し、その隙間に向かった。
電気が肩や脚に掠ったが、弾き返される事は無かった。
そして、ユグドラさんに触れることに成功した。

ユ「よくできました。これで少しは、エフリシアも認めてもらえるでしょう。」

ヨクゾマホウノスキマヲミツケ、ソレヲコウリャクシマシタ。
マダマダアブナイトコロモアリマスガ、アナタヲアルジトミトメマショウ。
どうやら、エフリシアに認めてもらえたようだった。




首都に戻り、占い屋に着いた。

ユ「今此処で、もう一度力を出して見て。」

沙「はい。」

私の英霊…エフリシアよ、力を少しお借りします。
イイデショウ。
声が聞こえると同時に、力が漲ってくるのを感じた。

ユ「今の時点では十分ね。
  後は実戦で経験を積むしかないわ。
  何か困った事があったり、占って欲しい事があったら、また家に来なさい。
  貴方のこれからの活躍を、ブルーに代わって見てて上げるわ。」

沙「はい。見ててくださいね!」



自宅に帰ると、佐紀が私の古着を着ていた。

佐「おかえり、沙羅!」

母「おかえりなさい、沙羅。その肩はどうしたの?すこし焦げてるわよ。」

エフリシアの力で傷は治ったが、服までは直っていなかった。

沙「何でもないよ。」

母「そう?なら良いけど。」

スモーキーさんは居なくなってしまったが、私にはお母さんと佐紀が居る。
佐紀やお母さん、そしてこの国を守るために私は戦います!
私の活躍を、この世界の何処かで見ててくださいねッ!






カセドリア連合王国軍アマテラス~鍛錬の書~








やっと第2部完だぜ。読み返すと、急展開しすぎだったなorz byスモーキー

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最終更新:2009年01月10日 10:13