家に帰ると、佐紀が新しく買った服を着ていた。
沙「ただいま。」
佐「おかえり!」
佐紀は服を自慢したいのか、どう?という感じで一度くるっと回った。
沙「似合うと思うよ。」
佐紀の頭を撫でてあげると、佐紀が笑った。
それから数日後、私は聖女王ティファリス様に呼ばれた。
「準備が整い次第、アズルウッド城に来るようにとの事です。」
沙「分かりました。」
私が部屋で正装に着替えていると、佐紀が入ってきた。
佐「今度は何処に行くの?」
沙「今日はティファリス様からのお呼び出しよ。」
佐「私も行く!」
沙「佐紀は駄目なの!」
私の言葉を聞くと、佐紀が少しだけ引いた。
どうやら強く言い過ぎた様だ。
沙「ごめんね佐紀、今日は私だけで来るようにって言われてるの。だから…。」
佐「…うん、無理言ってごめんね。」
残念がる佐紀をぎゅっと抱きしめた。
沙「ごめんね。次にベルから呼ばれたら、その時は佐紀も連れて行くからね。」
それを聞くと、佐紀が笑った。
そして私の部屋から出て行こうとしたが、扉を開けたまま振り返った。
佐「約束だよ!」
そう言って、扉を閉めた。
アズルウッド城に着くと、謁見の間に通された。
謁見の間にはティファリス様はもちろん、各国を治める王も居た。
その中には当然、ベルも居た。
私を見ると、小さく手を振った。
ベルが手を振るのを、隣に居たフレイヤ王が窘めた。
公の前という事もあり手を振らず、私も小さく会釈するだけに止めた。
「これより、星勲章授与式を行います。」
ティファリス様の前で跪き、頭を下げた。
テ「貴方のこれまでの功績を賞し、ここにフィフスの称号と星勲章を授与します。」
ティファリス様が近づいてきて、四つ並んだ星勲章の横に五つ目の星勲章を付けられた。
ティファリス様が星勲章を付けると同時に、拍手が沸きあがった。
テ「貴方のこれからの活躍を期待します。」
沙「はい。これからもカセドリアの繁栄の為に精進致します。」
星勲章授与式が終わると、各国の王達は謁見の間から出て行った。。
ベルが出て行く前に、佐紀がシュリッツ城に行きたいと思っている事を伝えた。
ベルは少し悩んだが、快く受け入れてくれた。
べ「良いですよ、あの子にはどれほど詫びても足りませんから。」
沙「佐紀はベルの事を怨んで無いわ。だからそんなに自分を苦しめないで。」
べ「そうだと良いのですが…。」
沙「大丈夫だよ。この5年間、佐紀は一度だってベルの事を悪く言った事は無いわ。」
べ「そうですか。」
ベルの表情が少しだけ明るくなった。
べ「それでは今度の休日にでも、城に来て下さい。」
沙「うん、そうする。」
フ「ずいぶんと仲が良いのね。今度は私の城にも来てね。」
何時の間にかフレイヤ王が隣に居た。
城に来てねって、私とベルを聞いていたのかな?
よく見ると、首からあのロケットを付けているの気付いた。
沙「そのロケット。」
私が言うと、フレイヤ王がロケットを手に持った。
べ「そういえば前から気になってましたが、そのロケットの中身は何が入っているんですか?」
それを聞くと、フレイヤ王は笑った。
フ「知りたかったら私の城に来るといいわ。」
そう言って、謁見の間を出て行った。
それを見送った後、二人でヒソヒソと話だした。
沙「そんなにお城に来て欲しいのかな?」
べ「しかし気になりますね。あのフレイヤ王の考えを変えさせるほどの物…。
これは言われたとおり見に行くしかありませんね。」
沙「その時は佐紀も連れて行かないとね。」
べ「ではまた、私の暇な時に使用人を行かせますのでその時に。」
そう言って、ベルも謁見の間を出て行った。
テ「本当に沙羅さんはグリュンベルク王と仲がよいのですね。
少し庭を散歩しますが、ご一緒にどうですか?」
振り返ると、ティファリス様が近くに居た。
散歩?
よく分からないけど断るのは辞めておこう。
沙「はい。ご一緒させていただきます。」
ティファリス様に連れられて、城の中の庭に向かった。
庭に着くと、まるで森にでも入った様な感覚になった。
テ「私が何度も城から出て森に行っていると、ウィンビーンが庭を造ってくれたのです。
私の為にこんな庭まで造ってくれるウィンビーンには、いくら感謝しても足りません。」
さすが、建国以来ティファリス様を支えて来た人だね。
だからこそ、ティファリス様の森が恋しいって気持ちが分かったのだろう。
それにしても、此処はまるで森の中みたいだね。
とてもお城の中とは思えない。
木々を見ると、元気な物や弱っている物も居た。
コノバショデハキガカワイソウダ。
珍しくエフリシアが嘆いた。
テ「この木は他の木と違い、弱って行く一方です。」
ティファリス様が弱っている木に水を与えてた。
キギノコエヲキイテアゲテ。
私は木に近づき、耳を澄ませた。
すると、木々の会話が聞こえだした。
木「こんな土壌で水をたくさん与えられては、根が腐ってしまう。
このエルフにはわし達の声が聞こえないのかのう?」
なるほど、水の与えすぎが問題なんだね。
沙「ティファリス様、その水を与えるのを控えてはどうでしょうか?」
テ「何故ですか?」
ティファリス様が不思議そうに尋ねてきた。
私はどう説明したものかと思ったが、素直に伝える事にした。
沙「木々は、お城の中の土壌で水をたくさん与えられては根が腐ってしまう。
そう言ってます。」
テ「沙羅さんは神霊達の心がわかるんですね!
エフリシアもきっと貴方のような方だったのでしょう。」
コノコハムカシカラシンレイタチノコエガキコエテイナカッタ。
きっとエフリシアが特別だったんだよ。
エルフハミンナシンレイタチノコエガキコエテイタ。
そんな風に言っちゃ駄目だよ。
ティファリス様だって色々あったと思うし。
…ゴメン、スコシダマルワ。
そのままエフリシアは黙った。
ティファリス様と散歩をしていると、小屋の様な物が見えた。
テ「あそこで少し休憩しましょうか。」
沙「はい。」
小屋に入ると、テーブルと二人分の椅子があった。
テ「どうぞお掛けになってください。」
ティファリス様に促され、椅子に座った。
小屋を見渡すと、まるで家の様だった。
少しすると、ティファリス様がお茶を持ってきてくれた。
テ「お茶しか出せなくてすみません。」
沙「いえそんな、お茶を頂くだけでも嬉しいです。」
テ「そうですか、それは良かったです。」
沙「この小屋へはよく来るのですか?」
テ「はい。暇を見つけてはよくウィンビーンと此処に来ます。
そういえば、沙羅さんは諸王の間でもよく噂になっています。
皆さん自国にお誘いしたいようですが…。」
確かに、ベルから何度も自分の国に来て欲しいと言われたことはある。
しかし私はカセドリアの兵士だからと断ってきた。
でも本当の理由は、佐紀を匿う為だった。
そこをベルも理解しているのか、あまり強くは言ってこなかった。
ティファリス様はお茶を一口飲んだ後、悩む様な顔になった。
テ「何時になったら平和な世になるのでしょうね…?」
沙「僭越ながら申し上げますが、争いは争いしか呼ばないと思います。」
テ「戦は憎しみを生みます。わかっています…。でも、私にはすべき事があるのです!」
沙「はい。申し訳ありません。」
テ「沙羅さんは、自分が正しいと思ったことをしてくださいね。」
沙「はい。私は、自分が世界に光を齎す者だと信じてますから。」
お茶を飲み終わると、ティファリス様に一礼し小屋を出た。
そしてそのまま自宅へと帰って行った。
私は世界に光を齎す者…。
何故だがスモーキーさんの事が気になったが、それを振り払った。
私は私、自分が正しいと思ったことをするだけよ!
来週からテスト期間だぜ\(^o^)/ byスモーキー
最終更新:2009年01月31日 10:08