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第4話 光の陰り



首都に帰る途中で、やふやふさんの姿が見えなくなった。

沙「あれ、やふやふさんは何処に?」

シ「沙羅ちゃん、今は…探さないであげて。」

張「うむ。やふやふ殿も、一人で考え事をしたい時もあるだろうしな。
  それにしても、魔物を統べる者がスモーだとはな…。」

シャーウッドさんと張文遠さんは、やふやふさんが居なくなったのを知っていたようだ。
魔物を統べる者は、スモーキーさんかもしれない。
しかし、とてもそうは思えなかった。
暗くて顔はよく見えなかったが、口調や雰囲気が違う気がした。

沙「魔物を統べる者は、本当にスモーキーさんなんでしょうか?」

青「隊長から話は聞きました。私もスモーキーさんではないと思います。
  隊長に対して容赦の無い攻撃といい、とてもスモーキーさんとは思えないですね。」

シ「…絶対という保障はできないけど。」

シャーウッドさんが呟いた言葉に、私達は立ち止まった。

張「絶対という保障はできないとは?」

シ「……隊長が見たのは、本当にスモーキーさんだったの?」

張「俺とスモーは長年戦場を共に戦ってきた戦友だぞ?
  その戦友を見間違えるとでも思っているのか?」

シ「…もし本物だとするなら、やふやふさんの居る所でこんな事すると思う?」

青「確かに、スモーキーさんがやふやふさんの敵になるとは思えません。」

張「しかし5年の間に何かあって、心境が変わったのやもしれぬぞ?」

シ「……。」

シャーウッドさんは何かを伝えたいが、それを言うべきか悩んでいるようだった。

沙「シャーウッドさん、二人で話しませんか?」

シ「…そうね。悪いけど二人は先に帰ってて。」



二人の姿が見えなくなるのを確認すると、シャーウッドさんが呟いた。

シ「今日現れた魔物を統べる者は、スモーキーさんじゃないわ。」

沙「今…何て?」

何故そう言えるのか、私には不思議だった。
シャーウッドさんは、徐に写真を取り出した。

シ「この写真は、魔物を統べる者を奇跡的に撮れた写真よ。」

その写真を見ると、にやりと笑うスモーキーさんの姿が写っていた。

沙「…やっぱり魔物を統べる者は、スモーキーさんでしたか。」

シ「早とちりしないで。この写真を…よく見て。」

意味が分からなかったが、とりあえずじっくり見る事にした。
しかし、何処を見てもスモーキーさんにしか見えない。

シ「…何か気付かない?」

沙「何も…シャーウッドさんは何が言いたいんですか?」

するとシャーウッドさんは、私の首筋に手を近づけた。
何をするのかと思えば、スモーキーさんから貰ったドラゴンソウルを手にした。
ドラゴンソウル……6年前、私が今よりずっと未熟だった頃に貰った物だ。
最初は、スモーキーさんが頼んだ物だからって断ったんだよね。
でもスモーキーさんも持ってるからって……あれ?
私はもう一度写真を見た。

沙「……あ。」

シ「気付いた?」

写真に写っているスモーキーさんは、ドラゴンソウルを身に付けていなかった。

沙「でも、失くしたか、もしくは捨てたのかもしれませんよ?」

シ「それは無いわ。」

沙「何でそう断言できるんですか?」

シ「ここをよく見て。」

シャーウッドさんが写真の中を指差した。
指差した場所は、スモーキーさんの胸のあたりだった。

シ「微かにクリスタルが見えるのが分かる?」

確かに、胸元にクリスタルのような物が移っている。
そしてその場所は、訓練人形達を起動させるクリスタルの位置だった。

沙「まさか、昨今現れている魔物を統べる者は訓練人形の零番?!」

シ「全部が全部そうとは言えないけど、でもこれだけは言える。
  カセドリア側に現れる魔物を統べる者は、スモーキーさん本人じゃないわ。」

沙「確かに、スモーキーさんが魔物を統べる者ではないとまでは言いきれませんね。
  でも今は、それだけで十分です。」



首都に着くと同時に、私は宿舎に向かって走った。
宿舎に入ると、集会所の方から大勢の人の声が聞こえた。
集会所の扉を開けると同時に、ニッシンさん達の怒声が聞こえた。

二「あの野郎、見損なったぜ!」

エ「まったくだ。魔物を連れて暴れまわるのはともかく、隊長が居るのに暴れるとは…。」

皆が口々にスモーキーさんの事を罵っているのを感じた。

や「静まりなさいッ!」

やふやふさんの発言に、集会所に居た全員が固まった。

や「私の話を最後まで聞いて。
  確かに、スモーキーさんは魔物側に居るようです。
  しかし今日見たのは、スモーキーさん本人ではありませんでした。」

二「どうゆう事だ?!」

エ「張の奴がスモを見たって言ってたぞ。いったいどっちが本当なんだよ?」

や「それを今から確かめるんです。」

沙「確かめるって、どうやって?!」

その時、集会所に居た人達が一斉に私を見た。
どうやら私が聞いているのを気付いていなかったようだ。

や「沙羅さんも見たはずです。」

沙「教えてください、どうやってあれがスモーキーさんじゃないって確かめるんですか?!」

すると、やふやふさんが近づいてきた。

や「確か剣心さんが亡くなった後、訓練人形は倉庫の奥に放置していたはずです。」

二「まさか、隊長が見たのは零番だってのか?」

エ「おいおい、部隊の物資を管理してるのはラウだ。
  そのラウが物資に変化は無いって言ってたんだぞ?」

ラ「…でも、訓練人形は管理はしてない。」

や「という事は、見に行く価値はありますね。」

やふやふさんを先頭に、私達は倉庫に向かった。
倉庫の扉を開け、訓練人形が置いてある所に向かった。
訓練人形達は見るも無残な姿で横たわっていた。
剣心さんが亡くなった後、整備できる人が居なくなったみたいね。

エ「まったく、何度見ても気味が悪いぜ。」

状態は悪いが、訓練人形の番号は何とか確認できた。
近くの訓練人形から、順番に番号を調べて記録していった。
しかし、何時になっても訓練人形零番は読み上げられなかった。
他にも幾つかの番号が言われていないが、番号が見えない人形も数体あった。

二「ちょっと待て、零番は何処だ?!」

ラ「…見当たらないね。」

や「ここにあるはず無いじゃないですか。」

そう言うと、やふやふさんが奥の扉を開いた。
その部屋には、数体の訓練人形が横たわっていた。
その中の訓練人形の番号をニッシンさんが確認していった。
しかし、零番と他数個の番号は読み上げられなかった。

や「…やはり、そうですか。」

エ「訓練人形は剣心が戦死する前日まで毎日確認されていたしな。
  もしかしたらその後に盗まれたのかもしれん。」

二「しかし、一体誰が?」

や「それは、スモーキーさんに違いないでしょう。」

沙「確かに、でもどうやって?スモーキーさんは首都には入れないはずです。」

リ「おそらく何者かが協力したんだろうな。」

何者かが協力した。
スモーキーさんに協力する人……。
思い浮かんだのは、アトラクナクアとユグドラさんだった。
しかし、ユグドラさんはそんな事をする人には思えなかった。
でも、アトラクナクアなら…。

や「とにかく、この事は内密にお願いします。
  外に洩れたら、大事ですからね。」

「「了解」」

訓練人形を厳重に保管した後、私は宿舎を後にした。
そして、ユグドラさんの店に向かった。
しかし店に入っても誰も居なかった。
…外出かな?
少しの間待って居たが、ユグドラさんは帰ってこなかった。
あまり遅くなるとお母さん達が心配するね。
一応書置きを残して、私は家に向かった。


家に着くと、真っ先に佐紀が抱きついてきた。

佐「おかえり、お姉ちゃん!」

沙「ただいま。」

母「ずいぶん遅かったわね。二人で心配してたのよ。」

沙「うん。ちょっと寄り道してただけ。」

部屋に帰り、服を着替えていると、佐紀が箱を持ってきた。

沙「何その箱?」

佐紀が私にプレゼントでもくれるのかな?
そう思っていると、佐紀は持って来た箱をベッドの上に置いた。

佐「ついさっき届いたお姉ちゃん宛ての荷物だよ。」

沙「私に?」

箱は綺麗にラッピングされていて、中身はよく分からなかった。
何だろう?
ベツニキケンナモノデハナサソウネ。
もしかしたらベルからかな?
ラッピングを丁寧に剥いでいくと、どうやら店に売ってある防具セットの様だった。
箱を開けてみると、なんと中身はアゼリー一式だった。
でもおかしい、ベルからのプレゼントなら直接渡してくると思うし…。
テガミノヨウナモノガハイッテイマスネ。
手紙?
よく見ると、箱の中には手紙のような物も入っていた。
もしかして、差出人からの手紙かな?
私は差出人の名前が書いてあるところを見た。
差出人の名前を見た瞬間、私は驚愕した。

~沙羅のフィフス昇格を祝して。 スモーキー~


沙「…佐紀、ついさっきって言ってたわね。それは何時?!」

佐「え?さっきはさっきだよ。お姉ちゃんが部屋に行ってすぐだよ。」

私が部屋に行ってすぐ?

本当についさっきなんだね。
私は窓から外を見た。
しかし、人影らしき物は見えなかった。
スモーキーさんが、いったいどうやって首都に…。


別にアゼリーは俺の趣味じゃないんだからね!(まて byスモーキー

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最終更新:2009年03月12日 18:17