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第6話 魔王降臨



ゴブリンフォークに着くと、味方はモンスター達と戦っているようだった。
近くにやふやふさん達は居ないみたいだね。

佐「ここに強いモンスターは居ないね。」

辺りを見回しても、一番強いモンスターがホブリンらしい。

「南から援軍要請!」

沙「南に行くよ、佐紀。」

佐「待って!」

佐紀が私の服を引っ張った。

佐「こっち。」

そう言って、北の方へと佐紀は走っていった。

沙「佐紀、そっちは北だよ?」

佐「こっち!」

よく分からないが、佐紀に付いて行ってみる事にした。
北の方に少し進むと、オークグラントが数体居た。
中心にはオークチーフテンが居るわね。
私は集団の中に入ると同時に、オークチーフテンを倒した。
すると、周りのオークグラント達は浮き足立った。
オークグラント達は司令官を失い、困惑しているようだった。

沙「今のうちに行くよ。」

佐「うん!」

さらに進むと、今度はバロンオークの集団に出くわした。
先ほどの集団とは違い、数が多い。
およそ20はいるだろう。
バロンオーク達は私達を見ると、すぐに襲い掛かってきた。

沙「佐紀、無茶しちゃだめよ。」

佐「分かってる!」

最初に襲い掛かってきたバロンオークを撫で斬りにし、返し刃でもう一体斬った。
佐紀は少しきつそうだったが、何とかバロンオークを一体倒した。
次から次へとオーク達が襲い掛かって来る。
しかしバロンオーク程度なら苦戦する事は無い。
次々に襲い掛かってくるオーク達を倒していった。
そして最後の一体を倒し、一息ついた時だった。

佐「危ないッ!」

沙「え?」

振り返ると、ホブリンウォリアーが私に襲い掛かっていた。

沙「…ッ!」

あまりに不意だった為、迎撃が間に合わない。
私は多少のダメージは覚悟した。
しかしホブリンウォリアーは雄叫びと共に倒れた。
背中には、獣にでも引っ掻かれた様な傷がある。
佐紀を見ると、まるで野獣の様な目をしていた。

沙「佐紀…。」

佐「…良かった、できた。」

沙「できたって何が?」

佐「何でもない。」

多分この傷は、佐紀の攻撃によるものだね。
しかし傷口が浅いとはいえ、これはスモーキーさんの攻撃に似ている。
もしかしたら佐紀は、スモーキーさんと同じ事が出来るのかな?
それはそれで良いと思うけども、同時に恐ろしくもあった。
いや、佐紀を恐れてはいけない。
佐紀が間違った道に行かない為にも、注意しなくちゃね。

沙「佐紀、ありがとう。」

佐紀の頭を撫でると、佐紀が嬉しそうに笑った。
しかし通常時よりも耳が立っている。
それは、佐紀が全力を出しているという証拠だった。

沙「それにしても、何で北のほうに行くの?」

佐「こっちの方から強い気配を感じたの。
  もしかしたら魔物を統べる者が居るかもって…。」

沙「もしそうだとするなら、行くわけには行かない。
  佐紀を危険な目に遭わせる訳にはいかないから。」

佐「違うよ、強いっていってもそこまで強い気配じゃないよ。
  それに、複数の気配も感じる。」

複数?
つまり、モンスターの集団かあるいはやふやふさん達って事だね。
可能性を考えると、後者の方が高いだろう。

沙「よし、それじゃ走るよ佐紀!」

佐「うん!」

しばらく走っていると、味方とモンスターが戦っているのが見えた。
…あれは、やふやふさん達だ!
周りをモンスター達に完全に包囲されている。

や「もうすぐ援軍が来るはずです。それまで持ちこたえるのです!」

「「了解」」

沙「佐紀、このまま突っ切るよ!」

佐「分かった!」

私達はそのまま全速力で包囲網の一角に突撃した。
モンスター達は突然の攻撃に驚いたようだった。
難なくやふやふさんの近くに行くことが出来た。

沙「やふやふさん!」

や「沙羅ちゃん?!何故此処に?」

沙「何だか胸騒ぎがしたので付いてきたら、案の定ピンチでしたね。」

私の言葉にやふやふさんが笑った。

や「ピンチ?沙羅ちゃん、ピンチっていうのはもっと厳しいものよ。」

沙「しかしこれだけの数に包囲されてるんですよ?」

すると、周りに居るニッシンさん達が笑い出した。

沙「この状況で、何で笑えるんですか?!」

すると、やふやふさんが詠唱を始めた。

二「やばいな、全員隊長の近くに集結せよ!」

「「おう!」」

やふやふさんを中心に円陣を組むと同時に、モンスター達の包囲網も縮まってきた。

沙「危ないんじゃないんですか?!」

二「ああ。モンスター達の方がな。」

エ「見てろよ、もうすぐ隊長の氷像フェスティバルのスタートだ。」

リ「ちびらないように気合入れろよ!」

リックさんの言葉が言い終わると同時に、やふやふさんの詠唱が終わった。

や「この戦場を彩る氷像となれ!ブリザード・ウェイブッ!!」

二「飛べ!」

ニッシンさんの声と同時に、反射的にその場で上に跳んだ。
すると地面が段々凍って行き、そのままモンスター達の足元まで凍った。
モンスターがその凍りに触れた次の瞬間、触れたモンスターが一瞬にして氷像となった。
そして、一瞬にして周りのモンスター全てが氷像と化してしまった。

や「絶対零度の世界に言葉は不要、静かに…散れ。」

やふやふさんがパチンッと指を鳴らした瞬間、全ての氷像が砕け散った。
これが、部隊員100名を統べる人の力?!
恐ろしい、この一言に尽きるね。

二「隊長、これ以上行くのは危険だぜ。」

エ「ああ、回復薬も少なくなって来たし、今は潮時だな。」

や「…分かりました。各員、自軍キープまで撤退!」

「「了解!」


キープまで撤退すると、味方が集まっていた。
どうやら南のモンスター達も撃退し終わったらしい。

リ「それにしても、終戦時じゃなくてもモンスター達が襲撃してくるとはな。」

二「そうだな。今や他国との戦争の為ではなく、モンスター達を撃退する為の出撃だからな。」

エ「他国との領土の奪い合いよりも、モンスター達との戦いの方が多くなったしな。」

や「…そうね。今までいがみ合っていた他国の兵士を助けたり、逆に助けられたり。」

やふやふさん達の会話を聞いていて、ふと気付いた事がある。
5年前のカセドリアでは、他国は悪で、自国こそ正義だと言っていた。
しかし今は、モンスター達が悪で、対する5カ国は正義だと言っている。
国同士の争いが無くなった訳ではない。
しかし以前と比べると、激減したと言っても良い。

沙「ある意味、平和ですね。」

私の一言にやふやふさんは驚き、そして笑った。

や「人同士のいがみ合い程、悲しい物は無いものね。
  そう考えると、今は平和ね!」

佐「でも、モンスター達に殺されてる人だって居るんだよ?!
  平和だったら、人は死なないよッ!」

確かに、モンスター達との戦いで死傷する兵士も居る。
しかしその数は5年前と比べれば、本当に微々たるものだ。
それでも、佐紀の言いたいことも分かる。

沙「そうね。だから佐紀、これからも頑張っていこうね!」

佐「うん!」

傷は負っていないが、体力は減っている。
リジェネレートをバッグから2本取り出し、1本を佐紀に渡した。
佐紀は喉が渇いていたのか、リジェネレートを一気飲みした。
私はそれを横目に、リジェネレートを一口飲んだ。
その時、ふと違和感に気付いた。
ゴブリンフォーク中央部の崖近くに、人影が見えた。
他国の兵士かな?
しかしその兵士からは、何かを感じた。
兵士を見ていると、その周りに複数の狼が現れた。
狼達は、兵士の周りに整列した。
そして、その兵士が武器らしき物を持った時だった。
殺意の塊のような物が、私の体を突き抜けていった。
その瞬間、体中に今までに感じたことの無いような緊張が走った。
周りを見ると、倒れている兵士が多数居た。
やふやふさん達は兵士を凝視している。
次の瞬間、頭の中に声が聞こえてきた。

?「我名はブルーヘクサ。最凶の兵にして、魔物を統べる者なり。」

魔物を統べる者?!

「一体何処から言ってるんだ?」

「もしや、あの兵士じゃねえのか?!」

兵士を見ると、周りには先ほどよりも多くの狼達が居た。

ブ「貴様らに命令する。我前に平伏せ!」

「誰がお前なんかに平伏すかよ!」

「そうだそうだ!」

ブ「ならば…、死ね。」

言い終わるのと同時に、私達の周りに多数のモンスター達が現れた。
しかも、先ほどのモンスター達よりも上位のモンスター達だった。

「お、おいおいふざけるなよ!」

「デ、デュークオークにガルムだと?!」

「向こうにはタイタニアも居るぞ!」

…どうやら本気らしいね。

や「仕方ありませんね。各員、戦闘態勢をとれ!」

「「了解!」」

襲い掛かってくるモンスター達を次々と倒していくが、キリが無かった。
そして何時の間にか、やふやふさん達と分断されたようだ。
私の周りには、佐紀しか居なかった。

佐「数が多すぎるよ!」

沙「…ッ!」

モンスターの包囲の外に、ブルーへクサが立っていた。
私達が殺されるのを其処から見物する気だろうか?
その時、モンスター達の包囲の一箇所が開いた。
そして其処から、ブルーへクサが包囲の中に入ってきた。
直々に殺しに来たみたいだね。

ブ「よう、死ぬ覚悟はできたか?」

沙「例え死ぬとしても、貴方に一太刀食らわせてからよ!」

ブ「…そうか。」

言い終わった瞬間、ブルーへクサが目の前に現れた。
そして

ブ「それは…、残念だ。」

私の腹部を殴った。

沙「…ッ!?」

あまりの激痛に、言葉が出ない。
私は体に力が入らず、地面にうつ伏せで倒れこんだ。
佐紀が何か叫んでいる様に感じたが、何も聞こえなかった。
そしてそのまま、意識を失ってしまった。


次回は少し時間かかるかも byスモーキー

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最終更新:2009年03月27日 14:37