ゴブリンフォークに着くと、味方はモンスター達と戦っているようだった。
近くにやふやふさん達は居ないみたいだね。
佐「ここに強いモンスターは居ないね。」
辺りを見回しても、一番強いモンスターがホブリンらしい。
「南から援軍要請!」
沙「南に行くよ、佐紀。」
佐「待って!」
佐紀が私の服を引っ張った。
佐「こっち。」
そう言って、北の方へと佐紀は走っていった。
沙「佐紀、そっちは北だよ?」
佐「こっち!」
よく分からないが、佐紀に付いて行ってみる事にした。
北の方に少し進むと、オークグラントが数体居た。
中心にはオークチーフテンが居るわね。
私は集団の中に入ると同時に、オークチーフテンを倒した。
すると、周りのオークグラント達は浮き足立った。
オークグラント達は司令官を失い、困惑しているようだった。
沙「今のうちに行くよ。」
佐「うん!」
さらに進むと、今度はバロンオークの集団に出くわした。
先ほどの集団とは違い、数が多い。
およそ20はいるだろう。
バロンオーク達は私達を見ると、すぐに襲い掛かってきた。
沙「佐紀、無茶しちゃだめよ。」
佐「分かってる!」
最初に襲い掛かってきたバロンオークを撫で斬りにし、返し刃でもう一体斬った。
佐紀は少しきつそうだったが、何とかバロンオークを一体倒した。
次から次へとオーク達が襲い掛かって来る。
しかしバロンオーク程度なら苦戦する事は無い。
次々に襲い掛かってくるオーク達を倒していった。
そして最後の一体を倒し、一息ついた時だった。
佐「危ないッ!」
沙「え?」
振り返ると、ホブリンウォリアーが私に襲い掛かっていた。
沙「…ッ!」
あまりに不意だった為、迎撃が間に合わない。
私は多少のダメージは覚悟した。
しかしホブリンウォリアーは雄叫びと共に倒れた。
背中には、獣にでも引っ掻かれた様な傷がある。
佐紀を見ると、まるで野獣の様な目をしていた。
沙「佐紀…。」
佐「…良かった、できた。」
沙「できたって何が?」
佐「何でもない。」
多分この傷は、佐紀の攻撃によるものだね。
しかし傷口が浅いとはいえ、これはスモーキーさんの攻撃に似ている。
もしかしたら佐紀は、スモーキーさんと同じ事が出来るのかな?
それはそれで良いと思うけども、同時に恐ろしくもあった。
いや、佐紀を恐れてはいけない。
佐紀が間違った道に行かない為にも、注意しなくちゃね。
沙「佐紀、ありがとう。」
佐紀の頭を撫でると、佐紀が嬉しそうに笑った。
しかし通常時よりも耳が立っている。
それは、佐紀が全力を出しているという証拠だった。
沙「それにしても、何で北のほうに行くの?」
佐「こっちの方から強い気配を感じたの。
もしかしたら魔物を統べる者が居るかもって…。」
沙「もしそうだとするなら、行くわけには行かない。
佐紀を危険な目に遭わせる訳にはいかないから。」
佐「違うよ、強いっていってもそこまで強い気配じゃないよ。
それに、複数の気配も感じる。」
複数?
つまり、モンスターの集団かあるいはやふやふさん達って事だね。
可能性を考えると、後者の方が高いだろう。
沙「よし、それじゃ走るよ佐紀!」
佐「うん!」
しばらく走っていると、味方とモンスターが戦っているのが見えた。
…あれは、やふやふさん達だ!
周りをモンスター達に完全に包囲されている。
や「もうすぐ援軍が来るはずです。それまで持ちこたえるのです!」
「「了解」」
沙「佐紀、このまま突っ切るよ!」
佐「分かった!」
私達はそのまま全速力で包囲網の一角に突撃した。
モンスター達は突然の攻撃に驚いたようだった。
難なくやふやふさんの近くに行くことが出来た。
沙「やふやふさん!」
や「沙羅ちゃん?!何故此処に?」
沙「何だか胸騒ぎがしたので付いてきたら、案の定ピンチでしたね。」
私の言葉にやふやふさんが笑った。
や「ピンチ?沙羅ちゃん、ピンチっていうのはもっと厳しいものよ。」
沙「しかしこれだけの数に包囲されてるんですよ?」
すると、周りに居るニッシンさん達が笑い出した。
沙「この状況で、何で笑えるんですか?!」
すると、やふやふさんが詠唱を始めた。
二「やばいな、全員隊長の近くに集結せよ!」
「「おう!」」
やふやふさんを中心に円陣を組むと同時に、モンスター達の包囲網も縮まってきた。
沙「危ないんじゃないんですか?!」
二「ああ。モンスター達の方がな。」
エ「見てろよ、もうすぐ隊長の氷像フェスティバルのスタートだ。」
リ「ちびらないように気合入れろよ!」
リックさんの言葉が言い終わると同時に、やふやふさんの詠唱が終わった。
や「この戦場を彩る氷像となれ!ブリザード・ウェイブッ!!」
二「飛べ!」
ニッシンさんの声と同時に、反射的にその場で上に跳んだ。
すると地面が段々凍って行き、そのままモンスター達の足元まで凍った。
モンスターがその凍りに触れた次の瞬間、触れたモンスターが一瞬にして氷像となった。
そして、一瞬にして周りのモンスター全てが氷像と化してしまった。
や「絶対零度の世界に言葉は不要、静かに…散れ。」
やふやふさんがパチンッと指を鳴らした瞬間、全ての氷像が砕け散った。
これが、部隊員100名を統べる人の力?!
恐ろしい、この一言に尽きるね。
二「隊長、これ以上行くのは危険だぜ。」
エ「ああ、回復薬も少なくなって来たし、今は潮時だな。」
や「…分かりました。各員、自軍キープまで撤退!」
「「了解!」
キープまで撤退すると、味方が集まっていた。
どうやら南のモンスター達も撃退し終わったらしい。
リ「それにしても、終戦時じゃなくてもモンスター達が襲撃してくるとはな。」
二「そうだな。今や他国との戦争の為ではなく、モンスター達を撃退する為の出撃だからな。」
エ「他国との領土の奪い合いよりも、モンスター達との戦いの方が多くなったしな。」
や「…そうね。今までいがみ合っていた他国の兵士を助けたり、逆に助けられたり。」
やふやふさん達の会話を聞いていて、ふと気付いた事がある。
5年前のカセドリアでは、他国は悪で、自国こそ正義だと言っていた。
しかし今は、モンスター達が悪で、対する5カ国は正義だと言っている。
国同士の争いが無くなった訳ではない。
しかし以前と比べると、激減したと言っても良い。
沙「ある意味、平和ですね。」
私の一言にやふやふさんは驚き、そして笑った。
や「人同士のいがみ合い程、悲しい物は無いものね。
そう考えると、今は平和ね!」
佐「でも、モンスター達に殺されてる人だって居るんだよ?!
平和だったら、人は死なないよッ!」
確かに、モンスター達との戦いで死傷する兵士も居る。
しかしその数は5年前と比べれば、本当に微々たるものだ。
それでも、佐紀の言いたいことも分かる。
沙「そうね。だから佐紀、これからも頑張っていこうね!」
佐「うん!」
傷は負っていないが、体力は減っている。
リジェネレートをバッグから2本取り出し、1本を佐紀に渡した。
佐紀は喉が渇いていたのか、リジェネレートを一気飲みした。
私はそれを横目に、リジェネレートを一口飲んだ。
その時、ふと違和感に気付いた。
ゴブリンフォーク中央部の崖近くに、人影が見えた。
他国の兵士かな?
しかしその兵士からは、何かを感じた。
兵士を見ていると、その周りに複数の狼が現れた。
狼達は、兵士の周りに整列した。
そして、その兵士が武器らしき物を持った時だった。
殺意の塊のような物が、私の体を突き抜けていった。
その瞬間、体中に今までに感じたことの無いような緊張が走った。
周りを見ると、倒れている兵士が多数居た。
やふやふさん達は兵士を凝視している。
次の瞬間、頭の中に声が聞こえてきた。
?「我名はブルーヘクサ。最凶の兵にして、魔物を統べる者なり。」
魔物を統べる者?!
「一体何処から言ってるんだ?」
「もしや、あの兵士じゃねえのか?!」
兵士を見ると、周りには先ほどよりも多くの狼達が居た。
ブ「貴様らに命令する。我前に平伏せ!」
「誰がお前なんかに平伏すかよ!」
「そうだそうだ!」
ブ「ならば…、死ね。」
言い終わるのと同時に、私達の周りに多数のモンスター達が現れた。
しかも、先ほどのモンスター達よりも上位のモンスター達だった。
「お、おいおいふざけるなよ!」
「デ、デュークオークにガルムだと?!」
「向こうにはタイタニアも居るぞ!」
…どうやら本気らしいね。
や「仕方ありませんね。各員、戦闘態勢をとれ!」
「「了解!」」
襲い掛かってくるモンスター達を次々と倒していくが、キリが無かった。
そして何時の間にか、やふやふさん達と分断されたようだ。
私の周りには、佐紀しか居なかった。
佐「数が多すぎるよ!」
沙「…ッ!」
モンスターの包囲の外に、ブルーへクサが立っていた。
私達が殺されるのを其処から見物する気だろうか?
その時、モンスター達の包囲の一箇所が開いた。
そして其処から、ブルーへクサが包囲の中に入ってきた。
直々に殺しに来たみたいだね。
ブ「よう、死ぬ覚悟はできたか?」
沙「例え死ぬとしても、貴方に一太刀食らわせてからよ!」
ブ「…そうか。」
言い終わった瞬間、ブルーへクサが目の前に現れた。
そして
ブ「それは…、残念だ。」
私の腹部を殴った。
沙「…ッ!?」
あまりの激痛に、言葉が出ない。
私は体に力が入らず、地面にうつ伏せで倒れこんだ。
佐紀が何か叫んでいる様に感じたが、何も聞こえなかった。
そしてそのまま、意識を失ってしまった。
次回は少し時間かかるかも byスモーキー
最終更新:2009年03月27日 14:37