沙羅をブルーの所に向かわせた後、アトラクナクアはクリスタルで移動していった。
敵はカセドリア軍と犬系の合成魔獣と思しき娘が一人。
手負いの兵士も多く居るが、それでも数千人は居るな。
これだけの人数が居れば、何人かは強そうなのが居るかもしれん。
しかしカセドリア軍は動こうとしなかった。
どうやら先ほどの攻撃で、自分達が敵う相手じゃないと解ったらしい。
残るは娘一人だけか…。
ヒ「一人でこの俺と戦おうという、その勇気はかってやろう。
だがお前では俺には勝てんぞ?」
佐「それは戦ってみないと解らないよ!」
娘の姿が消えたかと思うと、後ろから気配がした。
動きは早いようだな。
だが
ヒ「アトラクナクアの方が数倍早いぜ!」
振り返るのと同時に、娘に向かって裏拳を打ち込んだ。
俺の右手は狙い違わず娘の腹部を直撃した。
娘は後方に勢い良く飛んだが、すぐに体勢を立て直した。
佐「…ッ!」
少し顔が引き攣っているが、それほどダメージを受けていないようだった。
普通の兵士なら今ので即死だっただろうな。
ヒ「…少しは楽しめそうだな。」
佐「私は、負けないッ!」
~始まりの大地・中心部~
魔物達に指示をだしていると、アトラクナクアが戻ってきた。
アト「ブルー、あの子が此処に向かってきてるわよ。」
ブ「ヒロはどうした?」
沙羅が此処に向かってくるということは、ヒロが負けたかそれとも…。
アト「ヒロはあの子の妹と戦ってるわ。」
妹と聞いて、ゴブリンフォークで見たあの娘を思い出した。
ヒロなら負けるとは思えなかった。
ブ「…そうか。」
すぐに何処かに行くかと思ったが、アトラクナクアはそのまま立っていた。
ブ「まだ何かあるのか?」
アト「ブルー、貴方はあの子に負ける気なの?」
ブ「何故だ?」
アト「貴方は自分を殺して貰う為に、あの子を助けたようにしか見えないわ。
それとも、恨みも何もかも忘れたのかしら?」
こいつは……、何処まで解ってるんだ?
いや、今はそんな事はどうでも良い。
ブ「ふッ、俺は負けん!」
アト「……なら良いけど。」
ブ「疑うのならその証拠を見せてやろう。」
スモーキーさんの居る中心部に向かっていると、山の頂上付近に巨大な火の玉が現れた。
そして、エルソード軍に向かって巨大な火球が飛んでいった。
火球は地面に触れたかと思うと、物凄い光と爆発音が起こった。
あまりの眩さに、私は目を閉じた。
再び目を開けたときには、エルソード軍やその周りに居た魔物達は消えていた。
いや、微かに人影が見えた。
しかしそれは、まるで人の形をした炭だった。
沙「……今のは、いったい何?」
ユ「あれはヘルフレアだわ。ブルーが使える最高魔法よ。」
気がつくと、ユグドラさんが隣に立っていた。
ユ「あの魔法はかなりの体力を消費するから、あれほど使ってはいけないと言ったのに……。」
そう言うと、ユグドラさんは私に凭れ掛った。
よく見ると、体のあちこちに傷があった。
ユ「沙羅ちゃん……、早くブルーの所に行って。」
沙「そんな事より、ユグドラさんの傷を…。」
私がリジェネレートを取り出そうとすると、ユグドラさんは私から離れた。
ユ「これぐらいの傷は……、少しすれば治るわ。だから、早く行って!」
ユグドラさんに促され、私は中心部へ向かっていった。
螺旋状の坂道を登っていく途中で、魔物の群れと遭遇した。
私は走りながら武器を構えて襲撃に備えた。
しかし魔物達は私に気付いたが、襲い掛かっては来なかった。
リユウハワカリマセンガ、コノママトッパシマショウ。
エフリシアに言われた通り、私はそのまま魔物の群れを突っ切った。
その後も魔物の群れに遭遇したが、魔物達は私に襲い掛かって来なかった。
山の中腹に着くと、何か大きな気配を感じた。
私は周りを見渡したが、それらしきものは見当たらなかった。
しかしその気配は段々と近づいて来ている様だ。
いったい何処に居るの?
ドウヤラシタカラキテイルヨウデスネ。
下から?
その時、大きな人影が現れた。
ヒ「よう、まだこんなところに居たのか。」
誰かと思ったら、麓で佐紀と戦っているはずのヒロだった。
ここに居ると言う事は、佐紀が負けたって事だね。
よく見ると、右手に何か荷物のようなものを持っている。
しかしそれは、物ではなかった。
沙「……佐紀!」
佐紀は目立った外傷は無いようだが、ぐったりとしている。
私は佐紀を取り戻す為にヒロに迫った。
しかし、ヒロは素早い動きでそれをかわした。
ヒ「悪いが、お前に構ってる暇は無い。」
それだけ言うと、ヒロは山の頂上目掛けて飛翔した。
沙「待て!佐紀を帰せッ!!」
私は急いで頂上へ向かった。
次回辺り最終話となります。 byスモーキー
最終更新:2010年04月30日 01:50