【炊き出し準備】
「炊き出しを行うんだそうだ。リワマヒ国で。そして、我々はその手伝いをする」
ながみ藩国内で、その情報が伝わった時、国民達は目を輝かせた。
これは、まさに我ら米自慢のながみ藩国の出番ではないかと。
これは、まさに我ら米自慢のながみ藩国の出番ではないかと。
「これは、出るしか…」
「ありません」
「ありません」
特にイベント事大好きな面々は、眩しいくらいに笑顔を輝かせて喜んでいた。
しかも炊き出しである、ながみ藩国にはうってつけ。文句なしである。
「うん、そうだー。今って、お米はどれくらいあるっけ?」
何気ない亞白の一言に、一瞬場が静まり返った気がした。
つられて黙り込む亞白。何?何この静けさ?と目を丸くした。
つられて黙り込む亞白。何?何この静けさ?と目を丸くした。
「……今、足りてるっけ?米」
お茶汲み係りのつばきがポット片手に唸った後、小さく呟いた。
間があった後、亞白の耳に国民の悲鳴が聞こえた気がしたが、幻聴だったに違いない。
「(……)」
……まあそういう訳にも行かず、彼女は現実を受け止める決意をした。げんなり。
先の偵察機迎撃作戦など暗いニュースが続き、追い打ちのように起こった死の灰による食糧恐慌によりダメージをもろに受け、作物の育ちに影響を受けたながみ藩国は現実的に言って、食糧の生産率が下がっていた。
「でも、まったく支援出来ない訳じゃない。落ち着くんだ、みんな」
「慌てても仕方ねぇ…」
「慌てても仕方ねぇ…」
摂政二人が宥める中、やはり藩王は不在な訳で。
ちなみにしろ妃殿下も現在、席を外している。おおよそ田んぼデートでもしているのかと、利根坂とハロルドは溜息をつく。
ちなみにしろ妃殿下も現在、席を外している。おおよそ田んぼデートでもしているのかと、利根坂とハロルドは溜息をつく。
「あ…えーと、ほら!それに、リワマヒ国でもおにぎり作ったりお手伝いなんか出来るかも…?」
一応、混乱させた責任を感じたのか亞白がそう必死に付け足した。
国民全員がうーんと唸る。
国民全員がうーんと唸る。
「ダメですか。じゃあ……とりあえず作れるだけうちでつくりません?何か」
「……そうだな」
「……そうだな」
亞白の再度の発言に渋い顔をしつつ、何も出来ないよりは…と男性陣が頷く。
瞬間、女性陣が見間違いかと思うような笑顔を再度みせた。
瞬間、女性陣が見間違いかと思うような笑顔を再度みせた。
「やった、じゃあうちでも作りましょ。作りましょ」
「わーい」
「何にしましょうねー」
「わーい」
「何にしましょうねー」
え、何このテンションの差。
男性陣が困惑する中、女性陣はどんどん盛り上がって話を進めていた。
慌てて牽制する摂政s。
男性陣が困惑する中、女性陣はどんどん盛り上がって話を進めていた。
慌てて牽制する摂政s。
「材料にも限りがある」
「女性陣はあまり使いすぎないようn」
「女性陣はあまり使いすぎないようn」
「「「わかってまーす」」」
女性陣の鈴を転がしたような笑い声。
そして、またお互いの料理提案にはしゃぐ声が部屋に響きわたる。
そして、またお互いの料理提案にはしゃぐ声が部屋に響きわたる。
「……向こうでも作れるのになぁ」
「こっちでじゃないとイヤなのかな」
「こっちでじゃないとイヤなのかな」
「「「(どう違うんだ…?)」」」
女の子の心理は難しい。
男性陣、改めて感嘆の声をもらす。
男性陣、改めて感嘆の声をもらす。
「2人でリワマヒ国に送る分の米かき集めてきたっぺよー」
「ご飯炊く準備をしてたのよー」
「ご飯炊く準備をしてたのよー」
突然、部屋に響いたのは藩王夫妻の声である。
摂政sがはっと気づくと、また唐突にいなくなって!と詰め寄ろうとしたのだが……隣のしろ妃殿下のほわんとした雰囲気に、摂政s、うっかり怒るのを止めてなごんでしまいそうになった。
摂政sがはっと気づくと、また唐突にいなくなって!と詰め寄ろうとしたのだが……隣のしろ妃殿下のほわんとした雰囲気に、摂政s、うっかり怒るのを止めてなごんでしまいそうになった。
藩王夫妻を交互に見つめた後、コホンと咳払いをした。
「なかなか…食糧が危機ですが?」
「米も出さずに農業大国と言えるものか」
「そうですよー」
「そうですよー」
「……」
「「「(漢だ…夫婦揃って、ここにも漢がいる…)」」」
この2人がいる限り、あまり食糧恐慌関係ないんじゃないかと思ったとかそんなまさか。
次の日、みんなのお腹と笑顔がいっぱいになりますようにーと願いを込めながら、鮭や梅干しを自家製のものや手焼きしたもの、その他定番の具や変わり種のおにぎりなど、とりあえず味見用の皿2枚分を女性陣、男性陣で頂くことになった。
亞白、一口食べてうわーな感じの余計な事に気付く。
「あ」
「何?」
「このお皿の奴、塩と砂糖間違えて…る」
「!?…てことは向こうのお皿も…」
「何?」
「このお皿の奴、塩と砂糖間違えて…る」
「!?…てことは向こうのお皿も…」
扉を隔てた向こう側から、男性陣の味見班の悲鳴が聞こえた気がする。
亞白は今度こそそれを幻聴だったと思い込む事にした。
亞白は今度こそそれを幻聴だったと思い込む事にした。
損害:おにぎり28個(きちんと全員噛まずに飲み込んだ)
そんな事もありつつ、最終的にながみ藩国からは無事に国庫の米と、まともなおにぎりをリワマヒ国に提供でき、女性陣も料理作りを満喫出来たのだという。