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  • 潮の香り、うたかたの夢

たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ

潮の香り、うたかたの夢

最終更新:2009年09月27日 14:18

rm96

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管理者のみ編集可
 今日も穏やかな青い海の上。
 小さな舟がぷかりぷかりと浮いている。


   *


 波の音。
 かもめの声。
 目の前に広がる鮮やかな青。

 さら…。
 やんわりと足袋に包まれた足にまとわりつく砂。
 潮風が上質な織物で作られた袴の裾を躍らせて走っていく。
 ちょっと小柄な若いお侍はうーんっとよく晴れた空に両手を突き上げた。

「あーーーっ! やっぱ外はいいなぁ~」

 潮の香りが鼻をくすぐって、心も軽やかに弾みだす。
 振り返れば丘の上に美しい城の姿。

『おいらがいる限り、勝手な行動はぜぇったい許しませんからねっ!』
 って言ったお目付け役のちっこいのもいないし…。

 くふふっと笑うと、のんびりと寄せては返す波に向かって走り出した。

 すると…。

「あっ!!」

 と、声がして、

「みぃぃきすぅーけさまーっ!」

 ちょっと高い声。
 美貴介と呼ばれた若いお侍が立ち止まって声の方に顔を向けると、ぴょんと頭のてっぺんを結って作ったちょんまげをぶんぶんと揺らしながら、若々しい小麦色の肌をした小柄な若者が走ってくる。

「りか作ーーっ!」

 ぶんぶんと手を振ると、りか作と呼ばれた若者は飛びつくように美貴介に抱きついた。

「こんにちはなのらーーっ!」
「うん! って…うわぁっ!」

 りか作のあまりの勢いに砂浜に転がる二人。
「あいたかったのらーっ!」
「あはははっ! 私もだっ!」
 そのままじゃれ付くように砂浜をごろごろと転がると、美貴介の上になったりか作はぎゅっと抱きしめた。
「ほんとに…会いたかったのら」
「うん…」
 そっとりか作の背中に腕を回して同じように抱きしめる。
 ふわりと美貴介を包むりか作から潮の香り。
「今日は大丈夫だったのら?」
「うん。なんとかちっこいのを撒いてきた。まぁ、でっかいのに押し付けてきたってとこかな?」

『あぁ? まぁた抜け出すの? ちょっとはこっちの身に…って』
『あ』
『え?』
『おーい。よっすぃ。なんかおいらにお願いがあるんだって?』
『え? なにも…』
『そーなんですよぉっ! もっと女の子らしくなりたいって!』
『いや…そんなこと言ってな…』
『いやぁ、もーっ、よっちゃんさんきれいだから、いっつももったいないなぁって思ってたんだけど、とうとう…』
『え…? えぇ? いや、あたしゃこのままでじゅう…』
『そっか…』
 ちっこいお目付け役ががしっとでっかい男装の付き人の手を力いっぱい握り締めた。
『ようやくその気になってくれたんだね。よっすぃ。おいらうれしいよっ!』
 きらきらと輝くちっこいお目付け役の瞳にでっかい付き人はもう何も言えなかった。
『わかった!』
 どんと胸を叩いてちっこいのがでっかいのを問答無用と連れて行った。
『お願いねー!』
 離れていく後姿にひらひらと手を振る。

 思い出してまたくふふっと笑うと、ごろっと体を入れ替えてりか作のしっかりした胸板に顔をうずめた。
「いやぁ…おもしろかったなぁ。ふふふっ」
「でもなんか気の毒そうなのら。その家来さん」
「でもそうでないとそちに会えないからしかたないのじゃ」
「…そうらね」
 りか作はちょっと戸惑い気味な笑顔を見せると、
「お侍様も大変なんらね」
 と、梳くようにゆっくりと美貴介の髪をなでた。

   二人が出会ったのはかれこれと一月ほど前。
   仕来りやらなんやらがうざいし、これといって自由もない。
   やれ外出には誰かがつい来るし、あれこれうるせーってーの。
   というわけで、そっと一人で抜け出した時のこと。

  『いったいのらっ! なにするのらっ!』

   にぎやかな城下町。
   ちんぴらに絡まれた魚売り。
   負けじと大男達をきっとにらみつける。

   しかし…。

   多勢に無勢とは卑怯なり!

  『おい…』

   軽やかに舞うような美貴介の身のこなしと徹底した急所狙いの容赦ない蹴り。
   むさい男どもはあっけなく地べたとおともだち。

  『お侍様、ありがとうなのら』
  『よいよい、これくらいわけない』
  『そんなことないのら。ほんとうにありごとうございましたなのら』
   ぱっと足元にひざまずいて額を地に擦り付けて深く頭を下げられる。
   なんかくすぐったい。別に何をしたわけでもないのだから。
  『おら何もできないけど、何かお礼をさせてほしいのら』
   ふにゃっと眉毛を下げ、じっと見つめるりか作。
   ふと、考えた。

   ふわっと風が走り抜け、ふわりと漂うと潮の香り。

  『では、海に連れていってくれ。海が見たい』
  『おやすいごようなのら!』

   そしてもう一つ。

  『友に、なってくれぬか?』

 美貴介はそれとなく出会った頃の記憶を辿ると、少し言い聞かせるような口調でゆっくりと呟いた。
「武家に生まれたからにはしかたない」
「…」
「でも、今はこうしてここに来ているのだから、ほら。そんな顔をするなっ」
 美貴介は沈んでハの字に眉毛を下げて見つめるりか作のほっぺをうにっと引っ張った。
「いたっ!」
「はははははっ! だったらほらっ! 笑って!」
 美貴介はがばっと起き上がってぴょんと立ち上がると、りか作の腕を引っ張って波打ち際に向かって走り出した。

 ざーっ。ざーっ。

 波が穏やかに揺れている。

 暖かい陽射しの下、波が足に戯れて、
「それっ!」
 美貴介が波を蹴り上げる。
「うわっ! 冷たいのらっ」
 もおっ!
 りか作もえいっと波を蹴り上げる。

 ざばっ!
 ざばっ!

 そんなこんなでずぶぬれになって、
「やったなぁ!」
 美貴介はりか作の腰に腕を回してガッと抱き寄せると、自分もろとも寄せては返す波の中へと倒れこんだ。

 ばしゃっ!

 じゃれ付くように転がって波の中。
「美貴介さまっ! お召し物が濡れるのらっ!」
「かまわん。乾かせばよいことじゃ!」
 満開の笑顔でぎゅうっと抱きついて、自分から波に戯れていく。

 ざばっ!

 小さな波が二人上を飛び越えて、下をくぐって、そして砂がくすぐっていく。

 美貴介はそっと少しだけ体を離すと、緩やかな低い波の中でじっと自分を見つめるりか作の唇に唇を寄せた。
「美貴介さま…」

   それはかれこれ2週間ほど前のこと。
   驚かせようと、そーっとりか作の家へと来た美貴介。

   自分が住む城とは違う疲れた板の小さな家。
   『父様も母様ももうこの世にはいないのら』
   粗末な作り。言葉が出なかった。
   戸から少し離れたところには漁で使う小船。そして網。
   家の壁には縄。開いた魚を干している板。

   気付かれないように戸に忍び寄ると、
  『りか作っ! おる…』

  『きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!』
  『はぁぁぁぁぁっ!?』

   戸を開け放ったまま、美貴介ははっと目を見開いたまま、引き込まれたように見入っていた。
   着替えをしようとしていたのか、一糸まとわぬ姿のりか作。

   美しい褐色の肌。
   引き締まった均整のとれた体が描く優美な曲線。
   しなやかな腰、張りのある胸。

  『ばかーーーーーっ!』

   ぼすっ!

  『うげっ!』

   我に返ったりか作の投げたぼろい座布団を見事に顔面で受け止めた。
   こういうことはどこの世界でも絵空事によくあること。
   美貴介はそのままぱたりと真後ろに倒れた。

「だめ…」
 ふと瞳に覗いた艶めいた色、寂しさの影。
 りか作は美貴介の唇にそっと指を置いた。

  『そち…女…なのか?』
  『…』
  『なぜそのような格好で…』
  『…それは…わけあってたとえ美貴介様でも言えないのら。でも美貴介様のことは大切だと思ってるのら』
   そう言って笑ったりか作はいつもと違ってどこかせつなげで、きゅっと美貴介の心を突いた。

「いやじゃ。私は…そなたが…」
 言い終わる前に、りか作は強く美貴介を抱き締めた。
「言うてはなりませぬ」

 時折現れるたしなめるようなやわらかい口調。
 凛としたまなざし。
 そこはかとなく漂う気品は、ぼろい着物でも覆い隠せるものではない。

 ふと、美貴介は懐かしさに似た何かを感じることがあった。

「りか作…」
「言うては…なりませぬ」
 耳元で静かに囁く言葉が美貴介の胸をちくりと突く。

   屈託のない笑顔。
   身分の違いはあれどだからといってこびるわけでもない。
  『こうやって干物を作るのら。はい』
  『ふむ。…うまいっ!』
  『はははっ! よかったのら』

   知らない世界。
   遠くから眺めるだけだった世界。
   のびやかな空気。

  『あれぇ~。ずいぶん機嫌がいいじゃん。なんかありました?』
  『ふふっ。秘密じゃ』

   出会った時、すでに惹かれていたのだろう。

   だから…。

  『そちが言いたくないのなら、私は聞かぬ。ただ…』
  『ただ…』
  『会いたくないとか…言わないでほしい』

「…」

 ざばっ。
 ざざーっ。

 波が揺れ、雲一つない空には太陽が笑っている。

 りか作は美貴介の背中に腕を回したまま起き上がると、
「あーあー。びしょぬれなのら」
 少しだけ困ったようにマユゲを下げて笑った。
 その笑顔に美貴介は小さくため息をこぼすと、
「そうだな。とりあえず乾かさないとね」
 曇った笑顔を払うように更に明るい笑顔を見せた。

 遠くでかもめが鳴く。

 柔らかい日差しを浴びながら、それとなく美貴介は手をつないだ。
 りか作もそれを拒むことなく、やわらかく握り返す。
 りか作の家に向かってゆっくりと歩きながら、聞こえるのは波の寄せ返す音とかもめの声だけ。
 きらきらと輝く水平線。

 美貴介が手に持った草履と足袋もしっとりと濡れている。
 さらさらと少し焼けた砂を踏みながら、少しすると家の姿が松林の側、少し高いところに見えてくる。

「そういえば…お姫様、もうすぐ祝言挙げられるのらね」
 ふとりか作が言った言葉に美貴介がぎゅっと力を込めて手を握る。
 りか作は前を向いたまま、きゅっと美貴介の手を少しだけ力を入れて握り返した。
「町は今、とってもにぎやかなのら」
「うん…」
「幸せになるといいなのら」
「あぁ、そうだな」
 美貴介の笑顔にすっと落ちた淡い影。
「みんなに祝福してもらって、お姫様は幸せなのら」
 にこにこと笑っているりか作。
 その柔らかに微笑む笑顔をじっと見つめていたが、すっと美貴介は足元に視線を落とした。
「そなた、うらやましいのか?」
 そして、視線を上げて穏やかに微笑む横顔を伺う。
 りか作は一度視線を空に投げると、一度軽くうなずいて言った。
「うらやましいのら」
「なぜ?」
「だって、お姫様は愛されてるのら」
「りか作…そちは…」
 不安げに見つめる視線に気付いて、りか作はいつもと同じ笑顔を向けた。
「さびしいとかじゃないのら。でもみんながいて、みんなが喜んでくれて、それはとっても大切なことだと思うのら」
「…」
「だから幸せものなのら。でも、おらも村のみんなによくしてもらってるから、うらやましいっていうのもちょっと違うのら」
 えへっと笑ったりか作。
 美貴介は繋いだ手を強く握り締めた。

 さくさくと砂を踏む音。
 穏やかに凪ぐ海。
 鮮やかな青。
 言葉はないが繋いだ手のぬくもりがそれ以上に何かを伝えてくれていた。

 小屋に入ると、りか作は美貴介を中に招き入れ、自分の着物を手渡した。
「ぼろで申し訳ないのら。置いといてくれれば外に干しておくのら」
「うむ。すまない」
「じゃあ、外にいるのら」
「そなたは着替えないのか?」
「おらは外にいれば乾くのら。大丈夫なのら」
「しかし風邪を引くぞ?」
「平気なのら」
「いや、だめだ」
 美貴介はりか作の腕を掴んで引き寄せると、そのまま抱き締めた。
「美貴介…さま?」
「だめだ…」

 抱き締めればはっきりとわかる華奢な体。
 折れるくらいに強く抱きしめた。

 どうか…そんな笑顔で見ないでほしい。
 離れるのが辛くなる。

「美貴介…」
「美貴」
「え?」
「私は…美貴…だ」

 お姫様と同じ名前。
 苦しげにきつく唇を噛んで息苦しいくらいに自分を強く抱きしめる美しい人。
 りか作の手がぎゅっと着物の袖を握り締める。

「なっ…何言って…!」

 しかし言葉は続かない。
 美貴介はそのまま押し倒して組み敷くと、まっすぐにりか作を見つめた。
「もう…よい」
「…え?」
 戸惑うりか作を見つめたまま、美貴は懐に手を掛けて上半身を露にした。
「…!」
 さらしを巻いた胸。
「見ての通りだ。もっとも…」
 するするとさらしを解いていく。
 現れたのは緩やかな胸の膨らみと真っ白い肌。
「大して変わらないけど…」
 自嘲気味に笑って見せた。
「そちとかわらん。これが本当の私の姿…」
「美貴…様?」
「でも、私は…そちがすきだ」
 そっと頬を包み込んで唇を額に寄せる。
 きゅっとりか作が目を閉じると、ふわりとやわらかい感触。
「理由なんかどうでもいい。すきなんだ」
「…」
「ほしい…。そなたが」
 美貴の手がりか作の着物にかかる。そこでりか作はようやく我に返った。
「だっ! だめっ!」
「いやだっ! そなたがほしいっ!」
「だめっ! いやっ!」
 突っぱねるように肩を押してみたものの、強引に着物を襟の開かれて鎖骨に落ちた口付け。
「っあっ!」
 くっとりか作の体が強張る。
「いやぁ…っ! みきっ…さまっ…」
 鎖骨を辿る口付けに体をよじらせながら、それでも精一杯美貴の肩を押して拒むと、唇をきつく噛みながら美貴が顔を上げた。
「なぜ…。なぜ頑なに拒む。私のこと…嫌い…?」
 りか作は小さく首を横に振った。

   凛々しいお侍。
   歳は同じだという。
   なんかいろいろと、
  『いや、そうじゃないから』
  『は? っていうか、それちがくない?』
   とかっておとぼけにガツンときたりするけど、
  『昨日は荒れたけど、漁は大丈夫だった?』
   気遣ってくれて、意外にけっこうやさしくて…。

「嫌いなわけ…ないじゃない」

  ヘンなところ素直じゃないけど、でもその笑顔は本当に素直で…。

  それに…。

「なら、どうして…」
 美貴の手が震えている。
 りか作はそっとその手を包み込んだ。
「美貴様、松浦様のこと、どう思ってるの?」
 隣国松浦家の城主の息子、亜弥之輔。それが許婚の相手である。
 美貴は少し気持ちを落ち着けるように息を吐くと、強いまなざしで見つめるりか作から目を逸らさずに答えた。
「よい方だと思ってる」
「すき…なのよね?」
「うん…」
「だったら…だめだよ」
 ふわりと笑って、りか作の手がまだ濡れたままの美貴の髪の中に滑り込んで行く。
「花嫁は…穢れてはなりませぬ。綺麗なままでいなければなりません」
 穏やかにたしなめるりか作に微笑むと、美貴はゆっくりと髪をなでるりか作の手を取った。
「かまわない」
 返ってきた言葉に慌てるりか作にそっと顔を近づけて囁く。
「りか」
 ぴくっとりか作の体が跳ね、目がふっと見開いた。
 美貴は優しく微笑みかけると、
「そなたがすき。誰のものにも…なってほしくない」
 驚きに薄く開いたままの唇に自らの唇を重ねた。
「美貴…」
「もう、会えない。だから…せめて…」

 あなたを感じて、あなたをずっとこの胸に残しておきたい。

 そして、あなたの中にも…。

「恨んでくれるなら…それでもかまわぬ」

「…ばか」

 あなたはひどい人。
 忘れられるはずがない。

 だから…。
 だけど…。

 震える指先が恐る恐る体を辿る。
 触れる肌の少し辛い潮の味。
 唇も微かに震えていて…。

 少し遠くに感じる波の音。
 かもめが鳴いて、青い空を駆けている。
 窓から射す光の暖かさ。
 重なり合ってちらばった着物も、金色に輝いて日が傾く頃にはすっかり乾いていた。


   □


 町の中を大勢の従者を伴って行列がゆっくりと進んでいく。
 華やかな装飾、掛け声。
 人々が行列に目を凝らし、輿に乗った美しい姫を見ようとやんややんやと通りに押し寄せる。
 姫がうつむいた顔を少し上げると、それだけで起こる歓声。そしてため息。

 町の人たちの笑顔。その中をちらりちらりと見ながら一つの顔を捜す。

 輿はゆっくりと牛に引かれて進んでいく。
、結局町を出るまで見たかった笑顔はどこにもなかった。

 見上げた青い空に笑顔を思い浮かべたら、ふと風に運ばれてきた潮の香りを感じた。


   □


 沖の方、波間に漂う1艘の小舟。
 山の方を見れば行列の姿。
「お幸せに」
 褐色の若者は網の様子を見ながら、笑顔で手なんか振ってみる。
 すると、後ろから「おいおい」という呟きとため息が聞こえた。
「これでよかったの?」
 腰に刀。男装してるのかわかりにくい若者の呆れたような目。
 褐色の若者はにこっと笑った。
「いいのら」
「…」
 男装の若者のなんとなくにらむような目。
 くすっと褐色の若者は笑った。
「いいの。だって…そしたら…おかしなことになっちゃうでしょ?」
「…」

   町娘と殿様の恋。
   身分違いの恋は熱く燃えがってもせつなさばかりが増していく。

   愛の証は小さな命。
   しかし、それは危険の種。

   あなたを想うから、あなたの幸せを願うから、もう二度と会わないと決めた母親。
   静かに生きて、心得と一生涯背負っていく真実を残して早々とこの世を旅立っていった。

   だから…私も静かに生きていく。

「これでいいんだよ」
「…まぁ、そうかもな」

 小舟がゆらゆらと揺れる。
「じゃあさ、あたしがもらってあげよっか」
 にかっと笑った男装の若者。
「は? 何言ってんの?」
 ばーかと笑って、にぎやかな声が青い青い空に吸い込まれていく。

 行列の姿が見えなくなっていく。
 若者は沈めていた網をゆっくりと引き上げ始めた。


   *


 鮮やかな青。
 今日も穏やかな波間に小舟が揺れている。
 かもめが鳴いて、潮の香りを乗せて風は町へと駆けていった。


(2004/12/30)
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