たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
わがままと願いと誓い
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泣かないで…。
お願いだから…笑って……。
お願いだから…笑って……。
いつもわがままばかり言って困らせる愛しい人。
いっつもからかわれてばかりいたのにね。
眩しいほどに可憐で、そして無邪気な笑顔。
何もかも許せた。なんだって出来た…。
いっつもからかわれてばかりいたのにね。
眩しいほどに可憐で、そして無邪気な笑顔。
何もかも許せた。なんだって出来た…。
その笑顔が見れるなら…。
『お願いだからっ! ねぇ…っ…!』
ごめんなさい。ごめんなさい…。
貴女のわがままを…もう聞いてあげられない……。
ごめんなさい。ごめんなさい…。
貴女のわがままを…もう聞いてあげられない……。
もうその涙も拭えない…。
せめて…せめて最期まで……そう思って目を閉じた。
いつだって胸にある、貴女の笑顔。
せめて…せめて最期まで……そう思って目を閉じた。
いつだって胸にある、貴女の笑顔。
そう。笑っていて?
…ねぇ……。
…ねぇ……。
「…梨華ちゃん」
現実に引き戻された。そんな感じ。
現実に引き戻された。そんな感じ。
肩をぴくっと震わせて目を覚ました私を、美貴ちゃんが心配そうに覗き込んでいた。
ずきっ…と胸が痛む。
目尻からするっと零れた雫。さりげなさを装って指先でぬぐったそれは涙。
ずきっ…と胸が痛む。
目尻からするっと零れた雫。さりげなさを装って指先でぬぐったそれは涙。
「大丈夫? もうすぐ本番だよ」
「あ…うん」
ここは…楽屋。そっか。…もうすぐ収録だよね。残ってるのは私と美貴ちゃんだけ。
「ごめん。行こう」
曇ったままの顔に何でもなかったかのように微笑みかけて、慌てて立ち上がった。
まだ納得してないみたいだから、手を繋いで、わざとらしいくらいにぶんぶんと大きく振ってみた。
「さぁっ! きょうもはりきっていきまっしょーいっ!」
「何それ!?」
とか言いながらも、一緒になって手を振って歩く美貴ちゃんの笑顔が眩しかった。
「あ…うん」
ここは…楽屋。そっか。…もうすぐ収録だよね。残ってるのは私と美貴ちゃんだけ。
「ごめん。行こう」
曇ったままの顔に何でもなかったかのように微笑みかけて、慌てて立ち上がった。
まだ納得してないみたいだから、手を繋いで、わざとらしいくらいにぶんぶんと大きく振ってみた。
「さぁっ! きょうもはりきっていきまっしょーいっ!」
「何それ!?」
とか言いながらも、一緒になって手を振って歩く美貴ちゃんの笑顔が眩しかった。
あの夢を見ると、いつも決まって胸が苦しくなる。
切なくて、悲しくて……。
いつも激しい疲労感に襲われる。
そして、起きて泣いたことに気づく。
切なくて、悲しくて……。
いつも激しい疲労感に襲われる。
そして、起きて泣いたことに気づく。
なぜ?
どうして…せつなくて、こんなに苦しいの?
ぽんと肩を叩かれて、はっと我に返る。
物思いに耽ってしまっていたみたいで、また美貴ちゃんは心配そうな顔していた。
「ホントお疲れみたいだね」
「んー…少しね」
「じゃあさ、これから美貴と焼肉デートしよ!」
そう言うなり、唖然としてる私と自分のカバンを持つと、私の手を引っ張って挨拶もそこそこに楽屋を後にする。
「やっぱ元気がないときは、おーにくー!でしょ」
って、『お肉すきすき』って歌う横顔は楽しげで、繋がれている手には少しだけ力が込められていた。
物思いに耽ってしまっていたみたいで、また美貴ちゃんは心配そうな顔していた。
「ホントお疲れみたいだね」
「んー…少しね」
「じゃあさ、これから美貴と焼肉デートしよ!」
そう言うなり、唖然としてる私と自分のカバンを持つと、私の手を引っ張って挨拶もそこそこに楽屋を後にする。
「やっぱ元気がないときは、おーにくー!でしょ」
って、『お肉すきすき』って歌う横顔は楽しげで、繋がれている手には少しだけ力が込められていた。
突然訪れる貴女のわがまま。
城を抜け出し、馬を飛ばして訪れた湖畔。
闇色の水面に浮かぶ満月を眺めていた貴女に、すがりつくように抱きしめられた。
闇色の水面に浮かぶ満月を眺めていた貴女に、すがりつくように抱きしめられた。
ずっとそばいるように。
絶対に死なないように。
絶対に死なないように。
ひどくわがままな、とてつもないお願い事。
暗くなる一方の戦況。
次々と死んでゆく仲間たち。
次々と死んでゆく仲間たち。
悲しみを押し殺して毅然と振舞う貴女。
努めて眩しいくらいの笑顔を振りまいて…。
努めて眩しいくらいの笑顔を振りまいて…。
抱きしめることがかなわないから、その小さな肩に手を置いた。
誓います。
ずっと…貴女の御側に……。
ずっと…貴女の御側に……。
涙が流れていた。
幸いお風呂の中だったから必死になってお湯で顔を拭ったけど、止まらなかった。
頭の中がぐるぐる回って、わけがわからない。
涙のように次々と溢れては零れていく気持ち。
幸いお風呂の中だったから必死になってお湯で顔を拭ったけど、止まらなかった。
頭の中がぐるぐる回って、わけがわからない。
涙のように次々と溢れては零れていく気持ち。
わからない。でも、わかった…。
着替えて戻ると、美貴ちゃんはすでにベッドの中に入っていて、布団を少し上げて、何も言わずに笑いかけてくれる。
電気を消すと、美貴ちゃんはくるりと背中を向けた。
電気を消すと、美貴ちゃんはくるりと背中を向けた。
真っ暗な闇を見つめながら、ふうっと息を整えてみる。
「あのさ、聞いてくれるかな?」
私はたぶんお姫様の側に仕える騎士。
長く仕えていたらしく、よくからかわれたり、わがままを言われたり…。
長く仕えていたらしく、よくからかわれたり、わがままを言われたり…。
どうやら戦争中だったらしくて、何人もの仲間が死んでいく。
でもお姫様は悲しむ姿を誰にも見せなくて…。
でもお姫様は悲しむ姿を誰にも見せなくて…。
ある日、夜中に抜け出して湖に行ったとき、私にこう言うの。
ずっとそばにいて。
絶対に死なないで。
絶対に死なないで。
誓った。
誓ったけど、守れなかった。
誓ったけど、守れなかった。
お姫様の前で、私は死んでしまう…。
身分違いの恋。
叶わないまでも、側にいたかった…。
叶わないまでも、側にいたかった…。
いとおしくてたまらない、その笑顔の側に…。
閉じたまぶたからすーっと零れる涙。
ふと、体に重みを感じて、指先が涙を掬い取るように頬を伝っていく。
ふと、体に重みを感じて、指先が涙を掬い取るように頬を伝っていく。
「…美貴ちゃん…?」
頬にぱたりと落ちた雫。目を開けると、美貴ちゃんが泣いていた。
頬にぱたりと落ちた雫。目を開けると、美貴ちゃんが泣いていた。
ぎゅうっ…と、胸が締め付けられる。
涙で歪む視界の向こうで、映像が微かにだぶっていく。
涙で歪む視界の向こうで、映像が微かにだぶっていく。
目を閉じると唇にやわらかい温かさ。微かに震えていて、切なさばかりが伝わってくるようなキス。
「笑って…」
そっと指の背で涙を拭うと微かにだけど笑って、そして小さく頷いてくれた。
そっと指の背で涙を拭うと微かにだけど笑って、そして小さく頷いてくれた。
強く、強く胸に抱きしめる。
貴女の匂い。貴女のぬくもり。貴女の……
貴女の匂い。貴女のぬくもり。貴女の……
「…そばに……いさせて…。どこにも…いかない」
返事の代わりに強く強く抱きしめられた。
『離さないから』
って美貴ちゃんが言うから、
『離れないから』
って答える。
って美貴ちゃんが言うから、
『離れないから』
って答える。
『いいの? わがままだよ? きっと』
『いいよ。なれてるから。たぶん』
『いいよ。なれてるから。たぶん』
笑ってくれるなら、私は貴女のおもちゃでかまわない。たぶん、それは変わらない気持ち。
それがたとえどんなキオクだとしても、ユメだとしても、私たちしか知らない世界。
たぶん、きっと…。
たぶん、きっと…。
この続きはきっと、これから出来ていくんだと思った。
(2004.1.19)