たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
微笑みは、きっと神様の贈り物
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たぶん、二度と忘れない…。
悲しみって言うものは、何でこうも胸に焼きつくんだろう…。
悲しみって言うものは、何でこうも胸に焼きつくんだろう…。
動けなかった。
信じたくもなかった。
うそだろ?
さっきまで一緒だったのに…。
戦ってたのに…。
信じたくもなかった。
うそだろ?
さっきまで一緒だったのに…。
戦ってたのに…。
傷ついて輝きを失った鎧。
その隙間から流れ出る血。
その隙間から流れ出る血。
姫が泣き喚きながら身体を揺さぶっている。
いつものように眉を下げて困っているその顔は青を通り越して白い。
いつものように眉を下げて困っているその顔は青を通り越して白い。
安らかな、まるでそれは寝顔。
閉じたまぶたから涙が零れた。
手でそれを拭って、姫は傷ついた騎士に口付ける。
閉じたまぶたから涙が零れた。
手でそれを拭って、姫は傷ついた騎士に口付ける。
バカ! 泣かすんじゃねぇよ…!
置いてくんじゃねぇよ!!
「よっちゃん?」
あいぼんに肩を叩かれて、我に返った。
「どったの? 本番始まるって」
「あぁ…うん。いこっか」
きょとんとしてるあいぼんに笑って見せて、よいしょと立ち上がった。
あいぼんに肩を叩かれて、我に返った。
「どったの? 本番始まるって」
「あぁ…うん。いこっか」
きょとんとしてるあいぼんに笑って見せて、よいしょと立ち上がった。
ドアノブに手をかけつつ、振り返って楽屋を見渡す。
ここんとこ疲れ気味の梨華ちゃんはまだ眠っていた。
少し離れたところで美貴ちゃんがそれを…、そう、見守っている…そんな感じ。
不安そうで、さびしそうで。隣にいる矢口さんの話、たぶん、あんまり聞いてないだろうなぁ。
ここんとこ疲れ気味の梨華ちゃんはまだ眠っていた。
少し離れたところで美貴ちゃんがそれを…、そう、見守っている…そんな感じ。
不安そうで、さびしそうで。隣にいる矢口さんの話、たぶん、あんまり聞いてないだろうなぁ。
「もうすぐ本番だってさぁ!」
ちょっとだけ助け舟。そしたらあいぼんも「本番だぞーっ」って。
ちょっとだけ助け舟。そしたらあいぼんも「本番だぞーっ」って。
わらわらと動き出す。
美貴ちゃんは梨華ちゃんを起こすからって、それを確認して楽屋を後にした。
美貴ちゃんは梨華ちゃんを起こすからって、それを確認して楽屋を後にした。
この夢を見たときはいつもそうだ。
胸が締め付けられる。
息をするのが重苦しい…。
胸が締め付けられる。
息をするのが重苦しい…。
自分には何も出来ないのかと、突きつけられるようで…。
いつからか、悲しすぎて泣くことすら出来なくなっていた。
いつからか、悲しすぎて泣くことすら出来なくなっていた。
助けられたんじゃないのか?
悲しませないで済んだんじゃないのか?
悲しませないで済んだんじゃないのか?
この夢を見たときはいつもそう。
二人の姿が、まだ頭から離れない…。
二人の姿が、まだ頭から離れない…。
収録はそつなく終わる。
いつもどおり。いつもどおり。
完璧な笑顔の後ろに疲れと心配を隠して…。
いつもどおり。いつもどおり。
完璧な笑顔の後ろに疲れと心配を隠して…。
「じゃあ、お疲れ様でしたー!」
「お…お疲れ様でした」
戸惑う梨華ちゃんの手を引きながら、『お肉すきすき』を歌う空元気気味の美貴ちゃん。
「お…お疲れ様でした」
戸惑う梨華ちゃんの手を引きながら、『お肉すきすき』を歌う空元気気味の美貴ちゃん。
ドアが閉まる間際にふと、梨華ちゃんが笑ったのが見えた。
楽しそうな歌声が遠ざかっていく。
ほっとした。
ほっとした。
だけど、それでも、胸をじわりと締め付ける鈍い痛みは消えなかった。
城が燃えていた。
この国も終わるのかと思った。
この国も終わるのかと思った。
『まだ王もお妃様も、そして姫もいらっしゃる。終わりじゃない』
凛とした横顔。そこに姫のおもちゃだったあいつはいない。
力強いその言葉に、それこそ我に返る。
まだ終わりじゃない。
すべてが消えたわけじゃない。
力強いその言葉に、それこそ我に返る。
まだ終わりじゃない。
すべてが消えたわけじゃない。
少しでも安全にここから離れられるように…って。
より強い者が御守りするのが筋だからって。
あいつは自分に王家の人々を託し、馬に飛び乗った。
より強い者が御守りするのが筋だからって。
あいつは自分に王家の人々を託し、馬に飛び乗った。
変わらぬ決意に、硬く手を握り合う。
生きて会おう。
『必ず』
それが最後の言葉になった。
大きく身体が揺れて意識が戻る。
まだ頬に感覚の残る涙の跡。
袖で抑えるように拭って、帽子をさらに深くかぶった。
袖で抑えるように拭って、帽子をさらに深くかぶった。
『姫が笑顔でいてくれるなら、自分はそれでいい』
照れもせずに、ただ、側にいたいと…。
照れもせずに、ただ、側にいたいと…。
そして、いつも夢の中のその人は儚げに笑う。
どこか諦めたように、なのに、どこか幸せそうに。
どこか諦めたように、なのに、どこか幸せそうに。
好きなんだなって、思った。
ただ、そんな笑顔が見てると辛くて、夢の中のウチはゴメンって言って抱きしめる。
大丈夫だからって繰り返して、背中を叩いて、精一杯笑って見せるんだ。
大丈夫だからって繰り返して、背中を叩いて、精一杯笑って見せるんだ。
ぎゅっと爪が食い込むぐらい強く拳を握る。
電車が暗闇に向かってまた滑り出した。
電車が暗闇に向かってまた滑り出した。
隠れていた小屋から姫が飛び出した。
服を変えたところで顔は知れている。
生き残った配下の者に警護を申し付けると、すぐさま後を追いかけた。
服を変えたところで顔は知れている。
生き残った配下の者に警護を申し付けると、すぐさま後を追いかけた。
思ったより早く姫は見つかった。
誰かが倒れているようで、姫がその前にひざまずいている。
横には見慣れた馬。
誰かが倒れているようで、姫がその前にひざまずいている。
横には見慣れた馬。
まさか…。
全身から力が抜けた。
うそだろ?
泣きじゃくる姫。
あいつは何か言いたげに口を少しだけ開き、時折ぴくりと指が動いた。
あいつは何か言いたげに口を少しだけ開き、時折ぴくりと指が動いた。
閉じたまぶたから零れる一滴の涙。
触れた唇の温かさに気づくことなく、あいつは愛した人のもとを去った…。
触れた唇の温かさに気づくことなく、あいつは愛した人のもとを去った…。
うああああああああっ!!!!!
空に向かって叫んでも、神様は何もしてくれなかった。
「……!!!!!!!」
飛び起きた。
心臓が痛いくらいドクドクいってて、のどが渇く。全身にものすごい汗をかいていた。
飛び起きた。
心臓が痛いくらいドクドクいってて、のどが渇く。全身にものすごい汗をかいていた。
次から次から頬を伝って暗闇の中に消えていく涙。
自分も一緒だったらどうだったんだろう?
他にも仲間がいたんだから。
自分が行けばよかったんじゃないか?
だってウチの方が強かったんでしょ?
他にも仲間がいたんだから。
自分が行けばよかったんじゃないか?
だってウチの方が強かったんでしょ?
夢の中の人はお姫様のおもちゃだったけど、他の誰よりも、一番近くにあの人がいることを望んでいた。
夢の中のウチにはじゃれてきても、辛いとき、悲しいとき、それを一番近くで見ていたのはあの人。
だって素直じゃないお姫様のわがままは、いつだって辛かったり悲しかったり、どうしようもなく落ち込んでる時なんだから…。
夢の中のウチにはじゃれてきても、辛いとき、悲しいとき、それを一番近くで見ていたのはあの人。
だって素直じゃないお姫様のわがままは、いつだって辛かったり悲しかったり、どうしようもなく落ち込んでる時なんだから…。
立場なんて関係ないんだ。本当は。
パタンと布団に倒れこんで目を閉じた。
みんなが笑っている。
なんか懐かしい…。なんだかうれしい…。
なんか懐かしい…。なんだかうれしい…。
そんな夢を見た。
昨日の重苦しさは消えて、疲労感だけは残っていたけど清々しい。
ケータイにメールが届いていた。
相手は梨華ちゃんで、たった一言。
相手は梨華ちゃんで、たった一言。
『 わらってくれた 』
少しはれぼったいままの目を見て、梨華ちゃんが、
「ごめんね」
って言うから、
「何のこと」
って、とぼけたふりをした。そしたら、
「でも…ありがと」
って、ウチの手を取ってしっかりと握る。
握り返すと、じっとその手を見た後、大きく深呼吸してから顔を上げた。
「ごめんね」
って言うから、
「何のこと」
って、とぼけたふりをした。そしたら、
「でも…ありがと」
って、ウチの手を取ってしっかりと握る。
握り返すと、じっとその手を見た後、大きく深呼吸してから顔を上げた。
やわらかく暖かい笑顔。そして芯の通った強い瞳。
「なんだよ。改まってさぁ」
「そうだよね。でも……うん」
「そうだよね。でも……うん」
それとなくお互いの手が離れる。
でもそれは別れじゃない。
でもそれは別れじゃない。
離れていった手がお姫様の手を取って、一つになる。
悲しいユメは終わったんだ。
みんなが笑っていられるなら、そんなキオクも何もいらないよ。
みんなが笑っていられるなら、そんなキオクも何もいらないよ。
新しい世界ができていくんだから。
(2004.1.24)