夢の中 - たぶん素敵妄想集（爆@ ウィキ

　たんがまたヘンなことを言った。

「あぁぁぁぁぁ！　こないでぇ！」

　って。何？　あなた今寝てるでしょ。
　バタバタバタって。
　なんかじたばたしてるし。

　んー。
　なんかねえ、どんな夢見てるんだろ。
　両手をあげてるから何って思ったら『新聞読んでる』だったし…って、聞けばいいのか。

「ね、何が追っかけてくるの？」
「さるっ！」
「さるぅ？」
「たっ…たすけてっ！　あやちゃん！」

　んー。
　フクザツ。

　バタバタバタ。
　本気で逃げてるし。汗びっしょりだし。追っかけてるのサルだし。
　しかも…。

「うー…。ピンクのサルがおっかけてくるぅ！」

　なんか、ほんっとにフクザツなんだけど、じたばたしてるたんはかわいい。
　まだ布団をばたばた蹴っ飛ばして、だから…。

「えい！」
「ぐあ！」

　上に乗っかって思いっきり首にかじりついて抱きしめた。
　って…あたた…。
　もがいてぽかぽか叩かれた。ちょっと痛い…。

「うー！　やぁ…食べられるぅ！」
　って、もぉ。
「とっくに食べられてるでしょ」
「へ！？」
　ぴたっ。
　動きが止まった。
　ぽかんとしている顔。少し間抜けて開いた唇を唇で塞ぐ。
　しゅーってたんから力が抜けてく。
　そっと離れたら、びっくりしてた。うん。かわいい。
「たん？」
「…」
「たーん？」
「あや…ちゃん？」
「まだ追っかけてくる？」
「うぅん。来ない」
　ふるふるって首を振って、ぎゅってあたしにしがみついて…。

　怖い夢は消えたのかな？
　ちっちゃいコみたい。
　なんかあたし、ぬいぐるみな気分。

「ん…だいすき」
「うん…」

　言葉の代わりにキスをして、夢の続きはあなたと一緒。

（2005/5/8）