たぶん素敵妄想集(爆@ ウィキ
ストラップ
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落し物をした。
急いで教室に戻った。走って、走って、ホント祈るような気持ちで…。
急いで教室に戻った。走って、走って、ホント祈るような気持ちで…。
ガラッ。
夕暮れの教室のドアを開けたら、真っ赤な夕焼けの中にあの子がいた。
「あれ? 美貴ちゃん?」
こっちを向いて、読んでいた雑誌から目を離して微笑んで…。
「あれ? 美貴ちゃん?」
こっちを向いて、読んでいた雑誌から目を離して微笑んで…。
あぁ…キレイだなぁ。
そう思った。
「帰んないの?」
「うん。柴ちゃん待ってんの」
「そうなんだ」
「そっちは?」
窓際の一番後ろ。彼女はおっとりと微笑んで、美貴を見つめる。
なんでもないような顔をした。
「うん。なんかさぁ、落し物したらしくってさぁ」
「何落としたの?」
「ストラップ。携帯の」
「ストラップ…」
「亜弥ちゃんがくれたやつでさ」
「あの…へんなクマの?」
「うん。そう。あれ…なんかさぁ、恋愛のお守りなんだって」
「ふ~ん…」
「うん。柴ちゃん待ってんの」
「そうなんだ」
「そっちは?」
窓際の一番後ろ。彼女はおっとりと微笑んで、美貴を見つめる。
なんでもないような顔をした。
「うん。なんかさぁ、落し物したらしくってさぁ」
「何落としたの?」
「ストラップ。携帯の」
「ストラップ…」
「亜弥ちゃんがくれたやつでさ」
「あの…へんなクマの?」
「うん。そう。あれ…なんかさぁ、恋愛のお守りなんだって」
「ふ~ん…」
しゃがんで机の下を覗き込んだり、ちょっとイスを引いてみたり…。
背中に感じる、そんな美貴をずっと見つめている彼女の視線。
彼女を見るのが怖くって、床の上を忙しなくさまよう美貴の視線。
彼女を見るのが怖くって、床の上を忙しなくさまよう美貴の視線。
ほんの一瞬。
教室のドアを引いた向こうに、赤い光の中、頬杖をついてうつむく彼女。
教室のドアを引いた向こうに、赤い光の中、頬杖をついてうつむく彼女。
心臓がドキッっていって、美貴は……。
ガタッ。
ふいにイスが動いた音がして、ポンと肩に乗っかった手。
「美貴ちゃん」
振り向いたら、クマ。ピンク色のギターを持ったクマ。
そして、その向こうで微笑んでる彼女。
「あ…!」
「これでしょ?」
そっと美貴の手を取って、ピンクのクマを握らせる。
やわらかい感触にカラダがふっと熱くなった。
「美貴ちゃん」
振り向いたら、クマ。ピンク色のギターを持ったクマ。
そして、その向こうで微笑んでる彼女。
「あ…!」
「これでしょ?」
そっと美貴の手を取って、ピンクのクマを握らせる。
やわらかい感触にカラダがふっと熱くなった。
クマは赤い光の中で、きらりと目を光らせてニッと笑ってる。
「これ…どこに?」
「ん? 美貴ちゃんの席のイスの下。なんか大事そうにしてたから、ね?」
「…ありがと。梨華ちゃん」
「ふふっ。どーいたしまして」
はにかむように微笑んで、さっき見た大人びた笑顔が胸をよぎる。
「ん? 美貴ちゃんの席のイスの下。なんか大事そうにしてたから、ね?」
「…ありがと。梨華ちゃん」
「ふふっ。どーいたしまして」
はにかむように微笑んで、さっき見た大人びた笑顔が胸をよぎる。
また心臓が鳴った。
「美貴ちゃん?」
「…うん」
どうでもいい返事をして、惹きこまれるように目を見つめて…。
「…うん」
どうでもいい返事をして、惹きこまれるように目を見つめて…。
美貴は……この人がすきなんだって、気づいちゃった。
ちょっと抜けてて、へんに気が強くって意外に短気で。
けど、仲間思いでやさしくって、いつも笑ってる。
けど、仲間思いでやさしくって、いつも笑ってる。
ふわりと笑った笑顔が、いつか美貴だけのものになればいいなって…思ってた。
赤い夕焼け。
静かな教室。
やさしいキス。
静かな教室。
やさしいキス。
『このストラップって、落としちゃった時に拾ってくれた人と結ばれるんだって』
『けどさぁ、誰も拾ってくんなくって見つかんなかったらどーなるの?』
『それは縁がなかったってことじゃない』
『けどさぁ、誰も拾ってくんなくって見つかんなかったらどーなるの?』
『それは縁がなかったってことじゃない』
ぎゅっと手の中のストラップを握り締めた。
トンと美貴に体重を預ける梨華ちゃん。
「…梨華ちゃん?」
「…ごめん」
「なに…が?」
「うん。ちょっとでいいから…このままでいたい」
ぎゅっと夏服のシャツの袖を握り締める小さな手。
答えの代わりに、そっと包むように華奢な体を抱き締めた。
「…梨華ちゃん?」
「…ごめん」
「なに…が?」
「うん。ちょっとでいいから…このままでいたい」
ぎゅっと夏服のシャツの袖を握り締める小さな手。
答えの代わりに、そっと包むように華奢な体を抱き締めた。
手の中のクマさんは、強く握りすぎて手の中で少し汗ばんでいた。
(2004/8/31)