ドワーフについて

北欧神話や他の様々なファンタジー作品にもドワーフは登場しますが、
この項ではJ.R.R.トールキンの描いた中つ国におけるドワーフについて学んでいきましょう。

ドワーフの成り立ち

J.R.R.トールキンの創造した世界には、大勢の神に近い存在がいます。
ただし、「神」と言えるのは「唯一神イルーヴァタール」のみです。

 その下に「ヴァラール」と呼ばれる天使に近い存在がいます。

 さらにその下に「マイアール」(ガンダルフやサルマン)と呼ばれる、
精霊に近い存在がいます(サウロンも元マイアールで追放された)。

この「ヴァラール」の中の一人である「鍛治の神アウレ」がドワーフを無断で7人創造してしまいました。

このことがバレてしまったアウレは自らの恭順を示すため、ドワーフたちを自らの手で破壊しようとします。
しかしこのことを憐れんだイルーヴァタールは、
「死すべき運命を与えること」「アルダ(地球、中つ国のこと)で生を受けるようにすること」
を条件に、来るべき時まで眠りにつかせることにします。
これはイルーヴァタールが、
「最初に目覚めるのはエルフ」だと決めていたためです。

この時の7人のドワーフたちが「ドワーフ七氏族の父祖」となりました。

ドワーフ七氏族

ドワーフには上記の通り7人のドワーフを父祖とする、
七つの氏族が存在します。
  • 長髭族
  • Firebears
  • Broadbeams
  • Ironfists
  • Stiffbeards
  • Blacklocks
  • Stonefoots
このうち長髭族以外は公式和訳が存在しないため英語表記にしています。
ドワーフ誕生時の最長老は長髭族の「不死のドゥリン」でした。

ドワーフの文化

ドワーフは坑道と仕事場を兼ねる、
地下や山岳をくり貫いて造った住居に住むことを好み、
その内部は非常に雄大で都市の様相を呈することが多いです。
よく知られるものとして、
  • 霧ふり山脈のカザド=ドゥム(モリア)
  • 青の山脈のノグロドとベレグオスト
  • エレボールの山の下の王国
などがあります。
ゲームにも出てきましたね!

ドワーフは採掘と工芸の技術に非常に長けており、
時に魔法(ルーンの力)を込めた見事な武具や美しい装飾品を作り出し、
その技術のなかにはエルフを凌駕するものもあります。
特に石の扱いにかけては並ぶものがありません。

死生観としては、死者を石で築いた墓の中に葬る習慣を持ち、
死体を放置したり、土葬や火葬にすることを好みません。
(ゲーム内のドワーフの亡骸への敬意は、この後葬ったため消失したとも捉えることができる)
ドワーフの信仰では、死んだドワーフはアウレによって、
彼らのためのマンドスの館に運ばれると信じれています。

また七人の父祖たちはそれぞれの一族のもとに戻り、
同じ名を帯びるとも伝えています。
「ドゥリンが目覚めるその時まで!」

ナンドゥヒリオンの合戦

合戦が起きるまで

まず、ドワーフたちがモリアを追われたのは、
第三紀1981年、ミスリルを地中深くまで求め過ぎたために
「バルログ」という悪霊(元マイアール)を目覚めさせたためでした。

その後、財宝への飢えでおかしくなってしまったドゥリン一族の王、
「スロール」は、例の指輪を息子の「スライン2世」に譲り、
無謀にも従者の「ナール」1人を連れてモリアへ入山してしまったのです。

数日後、門の外で待っていたナールの前に投げ出されたのは
「駄賃」の小袋を口に入れられたスロールの首。
王の額にはには「アゾグ」とルーン文字で刻まれていました。

これをナールから聞いたスライン2世は当然大激怒。
各地に軍勢召集の使者を送ります。

怒りに燃えるスライン2世の元にはドワーフ七氏族全てから軍勢が集まりました。
彼らは最北の「グンダバド」を皮切りに、霧ふり山脈のオークの拠点を
片っ端から制圧していきました。

ナンドゥヒリオンの合戦

そしてアゾグがナンドゥヒリオンに待ち伏せさせていたオーク軍と
進撃してきたドワーフ軍との合戦が始まりました。
当初は悪条件が重なり、ドワーフ軍が劣勢でしたが、
「ナーイン」くろがね連山からの軍勢が到着すると形勢が逆転します。

ナーインは東門の前でアゾグと対決をしますが打ち取られてしまいます。
しかしその息子「ダイン2世」(あの鉄の足!)がアゾグを討ち倒します。
この辺りは映画版「ホビット」では改変されていますね。

かくしてドワーフ軍は勝利を収め、モリア奪回を一時的に宣言します。

しかしドワーフ軍も多大な被害を被っていたこと、
そして東門から感じるバルログからの異様な恐怖を感じていたことから、
ダインはスラーインを留め、
「ドゥリンの一族がふたたびモリアを歩くまでには、世の中が変わり、
われわれ以外の別の力が出現しなければならないのです。」
と予言しました。

バリンのモリア奪還

「ホビットの冒険」にも登場した「バリン」。
「指輪物語」ではすでに故人となっていましたね。

ナンドゥヒリオンの合戦から200年ほど後、
若いドワーフを中心として父祖の地であるモリアを奪回する機が熟したとの声が聞かれるようになります。
バリンは彼らの声に押されてて一族の者のうち一部を率いてエレボールを後にし、
モリア復興を試みることにしました(その中にはオーリとオーインも含まれていた)。

当初はモリア内のオークを駆逐、バリンは「モリアの領主」と
名乗れるほどまで復興が進みました。

しかし新手のオークがモリアへ襲来、バリン一党は危機に陥ります。
バリン一党は「マザルブルの間」を玉座に定めますが、
バリンはおぼろ谷へ鏡の湖を見に出かけに行った際に射殺され、
残った一党もマザルブルの間で最期の抵抗を試みます。

しかし善戦虚しく全滅し、
モリアは再びオークの手中に落ちてしまったのでした。

クズドゥル(ドワーフ語とは)

ドワーフたちは自身の言語、「クズドゥル」を持っていますが、
その言語はドワーフの秘密として他の種族にはほとんど明かそうとしません。
ドワーフ個人の「内向き」の名前、
つまりクズドゥルによる真の名は決して他の種族に明かそうとはせず、
墓にすら刻まれませんでした。
作中でガンダルフが読んでいた「モリアの領主〜」
というのはルーン文字、「キルス」を解読していました。

これはドワーフがクズドゥルをエルフに話した時に、
「非常に不快な発音、嫌悪感がある」
などと言われたことも遠因になったと言われています。

作中に登場する人名、「ギムリ」、「バリン」、
そして「ドゥリン」ですら真の名ではないのです。

さて、
本ゲーム内にはロードのタイミングや
「ドゥリンの歌」などの場面で数多くの「クズドゥル」が登場します。
この項目でゲームへの没入感、
ひいては中つ国への興味を深く持っていただければ幸いです。

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最終更新:2024年10月10日 23:28