【名前】うちはマダラ
【出典】NARUTO
【性別】男
【人物】
木ノ葉隠れの里創始者の一人であり、その時のうちは一族の長。忍界最強とされる忍の一人。他の忍里に恐怖と共に刻まれたうちは最強伝説を築き上げた張本人でもある。
NARUTO本編開始時点では既に伝説上の人物的な扱いの一人であるが、第一部では名前がチラホラ出る程度であり、本格的に本編に登場してくるのは第二部終盤の戦争篇に入ってからである。
NARUTO本編における一連の戦乱の黒幕的立場(厳密には後に別人物によって踊らされていただけの所謂カマセ犬的な立場だが…)であり、幻術「無限月読」を用いて世界中の人間を幻術でコントロールしようとする「月の眼計画」を考案しうちはオビトと共に計画を実行すべく暗躍していたのだが……今回は参戦時期がそれより以前などで割愛する
目的の実現の為ならば手段を択ばない冷酷な一面を持つ反面、弟思いであり、本質的には非常に純粋で優しい男ともされている。しかし戦闘狂としての一面も強く、血沸き肉躍る戦いを嬉々として楽しもうとしているかのような言動も目立つ。また新しい術や力を手に入れるととりあえず自ら使って試してみようとする傾向も見受けられる。
特定の人物(主に初代火影こと千手柱間だが)に対しては執着や関心が非常に強く、暫し目的をそっちのけにしてでもそちらに関わろうとすることもある。それ故かネット上では度々それを揶揄されクレイジーサイコホモなる呼ばれ方をされることも多い
【眼】
「写輪眼」
うちは一族の一部の家系に伝わる特異体質であり、うちは一族の血継限界である。開眼条件は「大きな愛の喪失や自分自身の失意にもがき苦しんだ時」に起きるとされている
能力のON/OFFが可能で使用時には瞳に勾玉模様が現れ、目が赤く光って見えるのが特徴。
非常に多彩な能力を有しており、忍術・幻術・体術を看破でき、またその動きをコピーすることが可能(但し血継限界などに由来するものは不可能)であり驚異的な動体視力をも持つ。またその瞳の特性から幻術に関しては非常に高いアドバンテージを有する。
上位種に固有の強力な能力を宿す「万華鏡写輪眼」があり、マダラはこれに開眼しており一度は失明したものの弟の万華鏡写輪眼を移植され失明を克服した真の姿である「永遠の万華鏡写輪眼」の保持者である。開眼条件は「写輪眼の開眼者が家族や友人など近しい者の死を目撃し、それに対する深い悔恨や悲しみを抱くこと」とされる。使用時にはマダラの瞳の紋様は車のギアのような形に変化する
因みに本来マダラは死の直前に更に上位種であり瞳術の究極とも言える「輪廻眼」に開眼しているが今回は参戦時期の関係上、当然ながら開眼していない。
【本ロワでの動向】
参戦時期は後に終末の谷と呼ばれる地で九尾を率いて柱間と決着をつけようとしていた直前。
己の人生における最大の楽しみとも言えた時間を奪われたため開始早々は非常に不機嫌……というかやる気が激減していた。
この世の総ては月の眼計画発動までの余暇に過ぎず、肝心の柱間がロワ未参加だったためこの催しにまったく魅力を感じていなかったためでもある。
しかしそんなマダラではあったが初遭遇した参加者は完璧超人ガンマン。互いに闘争を欲した身であったこともあり暗黙の了解とでも言えるかのように自然な流れでバトルへと突入。
共に
魔眼ロワ参加者内における実力は最上位勢。互角の力量でぶつかり合えたことから最初はやる気皆無であったマダラも徐々に闘争狂としての一面を目覚めさせテンションが上がっていく。
最初からクライマックスの勢いで周囲の地形を破壊し合いながら戦った両者であったが、戦いの最中にマダラが口を滑らせた柱間や月の眼計画のことで戦闘は中断。「嘘で真実を塗りつぶすことなど許されものではな~い!」と月の眼計画を真っ向否定するガンマンに「脳筋に理解も共感も求めていない」とマダラの方からも拒絶を示す。
結局、戦いは白けた雰囲気からいずれ決着はつけるという両者共通の結論にて水入りとなる。
少しはやる気を取り戻したマダラではあったがやはり月の眼計画をガンマンに否定されたのは腹に据えかねているのかやや不機嫌なままであった。
そんなマダラが次に出会ったのは六道骸と鯨。とりあえず警戒感を抱かせぬよう油断させるために物腰柔らかに近づいてきた骸だがマダラからすればそんなことは知ったことではない。問答無用で襲い掛かるマダラに二人も応戦せざるを得なくなる。
彼らにガンマン程の魅力を感じなかったマダラは理不尽な火力のごり押しで猛攻を仕掛ける。手の内を出来る限り曝したくないと渋っていた骸も殺されては意味がないと六道輪廻を使用するのだが……
骸「どうです! アナタの恐れる柱間という男ですよ!」
マダラ「柱間ァ! (フルフルニィ)」
……完全に裏目に出た六道骸痛恨のミスであった。幻覚を用い絶対にマダラが敵わぬイメージにて彼を止めようとした骸だったがよりにもよってマダラが見た幻覚は柱間。むしろマダラからすれば絶望どころか歓喜である。
ノリノリの対柱間モードに移行したマダラは惜しみなくスサノオを召喚し、もはや骸と鯨をそっちのけにして幻覚の柱間と全開バトルを始める始末であった。
マダラ「……この俺が化かされる側に回るとはな。……大した奴だ」
結局、幻の柱間とは決着がつかず写輪眼使いの自分が幻術にかかる側になったことに屈辱を憶える。しかしその無駄な全開バトルの余波に巻き込まれ死んでしまった六道骸からすれば堪ったことではなかったことだろう。
実はこの時まだ近くで鯨が生きていたのだが、賢者タイムを通り越した虚無感を抱いていたマダラはそれに気づくことすらないままその場を去ってしまう。
やさぐれたチンピラのようになってしまったマダラが次に遭遇したのはルルーシュ・ランペルージ、古明地さとり、神峰翔太の三人組であった。見るからに戦闘に長けてるようにも見えない彼らを面倒だから早々に始末しようと考えたマダラであったが、ここで思いも寄らぬ事態となる。
読心能力持ちのチームである彼らはマダラの心の奥にある千手柱間という男への並々ならぬ執着を見事に突き止めてみせる。
ルルーシュ先導の下に巧みな話術で話し合いのテーブルへと着かせた彼らはマダラから柱間のことを聞き出す。柱間について話したがりなマダラも興が乗ったというように以後放送直前までの残り数時間を柱間語りによって延々と費やすことになる。
無論、ルルーシュたち側からすればストレス以外の何ものでもない。柱間を語る上で避けては通れぬ卑劣な愚弟たる扉間の話題とルルーシュをイメージで結びつけてしまったマダラは、
マダラ「……ふん、青二才が。お前は扉間と同じだな」
ルルーシュ「トビラマ……?」
マダラ「ああ。姑息で卑劣な、俺が最も嫌いな忍の名さ」
としなくてもいい無駄な挑発をしたせいでルルーシュを怒らせることになる。
我慢の限界に達していたルルーシュにより「他の参加者に柱間の素晴らしさを知らしめろ」とギアスをかけられたマダラは、それを実行するためにすんなりと彼らとの対談を打ち切って布教活動へと飛び出していく。
……まさかこれが後の魔眼ロワの結末すらも左右したであろう分岐路だったなどとはこの時点では誰一人夢にも思わなかった。
これ以降のマダラの行動がどんなものだったかと言えば、布教活動の一言だろう。弾けたギャグキャラ化とでも言うのだろうか、当時は掲載雑誌にて現在進行形でラスボスを張ってた(後に降格したが)貫録は彼方へと追いやり、参加者を見つけては「話してやろう、柱間という男のことを」の文句を切り口に対主催・マーダー問わずに布教を始める始末である。
恐ろしいのはこの男、割と原作でも同じことを平然とやってるので完全なキャラ崩壊とまで言えず、「まあこれはセーフの範囲だろ」と書き手・読み手から許され、それから終盤までずっとこんな調子であった。
ただ今回のロワは参加者内にも話が通じない者、そもそも参加者外のクリッターがロワ会場を闊歩している始末である。マダラは当然彼らにも柱間布教を行うが聞く耳持たぬのが大半であった。
マダラ「ここには柱間の話を聞くことも出来ん畜生が多すぎる」
奴らにどうやって柱間の話を聞かせるか……こんなことに割と真剣に頭を悩ます彼を宣教師などと呼ぶ読み手も多かったとか。
しかしネタに走ってこそいるが別に悪ふざけをしているわけでもなく、割と布教活動の決裂から戦闘になることなども多々あり、冷静に戦況を見極めながら消耗を避け、相手の手の内を探るなど後々の伏線になる行動もちゃんとしていたりもする。
とはいえ、スーパー宝貝金蛟剪を使って木龍ごっこに興じたり、これを使って山を削り初代火影の顔岩を再現して柱間の容姿を説明したりしていたのも事実であり言い訳は出来ない。
マダラの布教活動において最も注目すべき点は、他の参加者との遭遇率であろう。驚くべきことにこの男、ロワ内において各放送までに生き残っていた多くの参加者と出会い、ほぼ全員に布教を行っている。
真面目に”眼”という観点から考察を行い、身軽な単独行動を進んで行っていた摩多羅夜行にすら他参加者との遭遇率では勝っていたりする。本当に大した奴である。
夜行「成程、貴殿の話を総合するにその千手柱間という男はいわゆる神のような存在なのかな」
マダラ「そうだ。奴こそが忍の神と呼ばれるに相応しい男だった」
その夜行とのやり取りの際に柱間=神などと言い始めたのが切っ掛けで柱間教という新興宗教のような扱いで会場に流布され始めたため、柱間をこのロワの黒幕だと当時盛大に勘違いしていたルルーシュによるアンチ柱間活動などというものが生まれることになった。
マダラは巷間のこの噂に激怒し全力で火消し活動を行ったりもしていた。因みに、この活動の副産物として扉間再評価運動が起こったりもしたため増々マダラがこれを撤廃させるために布教活動に熱を入れ込むことになる。
当然それは真っ当な対主催からすれば迷惑なだけでしかなく、当時主君であるルルーシュの行方を捜していたジェレミア・ゴッドバルトを無理矢理スサノオで捕縛して布教活動を強行したりなどもしていた。
マダラ「体力を回復させる傍らにでも聞け、あの柱間の話を」
ジェレミア「そんなことよりルルーシュ様は何処だ!?」
マダラ「俺は今柱間の話をしている。黙って聞け」
傍迷惑な話である。しかしこの時にマダラがルルーシュのギアスにかかっているということにジェレミアが気づきギアス・キャンセラーを使っていれば……或いは未来も変わっていたのかもしれない。
奇行が目立つせいでマダラは危険人物と言うより変人と言うイメージが強かったのもあるのだろう。同じ木の葉出身の忍、ましてや同族のうちは一族と出会った際にも自分たちが警戒していたマダラとどこか違うなどと困惑される羽目にもなっていた。
イタチに至っては失明寸前であったところを同族の情けということで逆に回収したサスケの写輪眼を移植手術して助けたりもしている。
ただ
鈴仙・優曇華院・イナバを助手に執刀しながらも柱間布教を絶えず止めないあたりはもはや病気である。
同じうちは一族どころか、自分の未来の共犯者でもあるうちはオビトに出会った際には一騒動どころの騒ぎではなかった。
参戦時期のズレというものを最も顕著に現したのが彼ら二人でもあった。うちはマダラの名を継ぎ、来るべき月の眼計画の発動に備えてそれだけに人生を捧げてきたオビトに対し、未だこのマダラは月の眼計画は構想段階の時期である。
ましてやギアスで柱間教の布教活動を優先するよう強要されているマダラにとってオビトの話は寝耳に水である。亀裂が入るのはそれこそ容易であり、そしてその修復は決定的に不可能。
オビト「おのれ! 裏切るかマダラァッ!?」
マダラからすれば知る由もない言いがかりに等しかったが、しかしこの彼らの決裂が魔眼ロワにおけるこの後最大の騒動の引鉄ともなっていた。
はたけカカシと出会った際にも柱間教の布教は当然行ったが、まさか三代目より強いはずもないだろうと内心で疑われた事実など彼は知る由もなかった。
むしろマダラにとって出会いとして得るものがあったのは彼と同行していた別世界の忍者である
甲賀弦之介との語り合いだろう。
甲賀と伊賀。千手一族とうちは一族。酷似した構図を持つ争い合う一族の中から芽生えたという一つの愛。それはあるいは遠き少年の日、河原で石を飛ばし合い築いた無二の友との友情と同じものであったのかもしれない。
大切なのは憎むことに非ず、赦すことこそが本当の未来へと繋がるはずの選択だ――若き忍の頭領が説くその言葉は、自分と友が終始追い求めながらも手に入れられなかった叶わぬ願いであったのかもしれない……そう内心で苦笑するマダラであった。
ロワ会場を闊歩しながら、あらゆる相手と対峙し布教を行うマダラであったが終盤において一部の参加者が局所的に集結し大騒動を起こしていることを察知する。戦の臭いへと釣られるように殴り込む形で彼は魔眼忍法帖と呼ばれたイベントへと乱入する。
丁度折良く、そこはカカシとオビトの因縁の戦いが決着へと導かれんとしていたまさにその時であった。
空気も読まずに乱入しながら柱間布教を行おうとするマダラ。この期に及んで自分の人生を最後まで愚弄するのかと怒れるオビト。
挑みかかってくるオビトを視界の端に捉えながらも、マダラは冷静にこの場にいる顔ぶれ、そしてこの場にはいない顔ぶれ、放送で呼ばれた名前の数と生き残りの人数などを冷静に整理し、カウントする。
整理が終わった際、恐ろしいほど自然にマダラの中のスイッチが唐突に切り替わる。
マダラ「もはや言葉で語る段階は過ぎた。後は実戦で教えてやる」
その言葉を言い切るとほぼ同時に向かってきたオビトを返り討ちにし、状況の急変に対応し切れていない対主催達に委細構わずと襲い掛かる。
マダラの頭の中の理屈では全ての参加者への布教はこの時点で完了しており、話は聞かせ終わったのだから次は実際に柱間がどれ程に強かったのかを柱間を最も知る自分が教えてやると言う理屈である。
自分すらも凌駕した偉大なる忍である千手柱間。もともと彼との決着こそを望むマダラにしてみればこのロワなど単なる余興に過ぎない。
長くお預けを与えられ闘争本能が眠らされていたという反動もある。血沸き肉躍る闘争こそ、最も手早い理解へのコミュニケーションと決めつけるようにここから先のマダラには加減も容赦もなかった。
それでも多勢に無勢、数の上では圧倒的に不利であったにも関わらずマダラが対主催陣営を相手に無双に近い立ち回りを得られたのはここに至るまでに形成されてしまっていた状況であろう。
過酷な修羅場を幾度も潜り抜け消耗してきた対主催と、ほぼ無消耗のマダラ。ましてやこの場の全員の手口を探りを入れて知っているマダラは忍界最強を誇る忍者の一角である。ずば抜けた戦闘技術と経験を有するマダラはこと殺し合いに関しては誰よりも長けている。
ましてや最強の写輪眼使いでもある彼の幻術は屈指のものであり、多対一の不利など物ともしない動きで戦況を引っくり返す。
幾人と力尽き倒れていく対主催を確認しながらも、しかしマダラは冷静にそれでも相手が徐々に形勢を立て直してくるのを察し撤退する。
マダラ「まあいい、決着はこのくだらぬ殺し合いを企てた張本人を始末してからだ」
捨て台詞も同然だったことに自覚はあったが、しかし実際に高みから観戦気分で自分たちの戦いが覗かれているというのは不愉快なことである。
柱間や自分とあるいは本来ならば同等以上と見込める相手が幾人かいたというのも事実だ。どうせなら最高の戦場で愉しみたいという欲求がマダラにもあった故の撤退であった。
しかしマダラとて流石に魔眼忍法帖を無傷にて切り抜けたわけではない。相応の消耗や負傷もあった。身を隠しながら休息へと入ったマダラであったが、この時対主催陣営たちは既にロワからの脱出へと移りかけていた。
休息に入ったマダラは夢という形で柱間との過去の回想が入ったりもしていたが、流石にクオリティが高かろうと「NARUTOでやれ!w」と読み手から盛大につっこまれることになった。
休息を終え体調を万全に整えたマダラは脱出のために主催本拠地へと向かった対主催の後を追う。
そこでマダラは対主催が発見しその場に放置した薬師寺天膳の死体を見つける。既に主催者が死んでいたという事実に本当に茶番だったのかと呆れながら、先の言葉通りに対主催達と決着をつけるべく動き出す。
丁度ほぼ同時に、残存マーダーと対主催達の最終決戦が幕を開けていた。
向こうの方からわざわざ戦力を分散してくれるなどというのはマダラからすれば重畳でしかなく、当然のようにマダラが真っ先に始末すべく襲撃を仕掛けたのは弦之介と朧の二人であった。
瞳術と破幻の瞳……そのどちらもが最も厄介な能力であることを理解していた故にである。
最後まで諦めることなく愛を説いた彼らをしかしマダラは無情に斬り捨てる。
愛する者よ死に候え――その運命に最期まで抗った彼らへとマダラが抱いた感情は敬意かあるいは憐憫か。
マダラ「いずれ俺がこの世の因果を断ち切る。そこにあるのは勝者だけの世界。平和だけの世界。愛だけの世界だ
……次は二度と引き離れされることのないように、その世界で番いとして生きるが良いだろう」
寄り添う彼らの亡骸へと手向けた自らの言葉に驚きつつ、しかし彼らのようなものこそが無限月読によって救われるべき価値のあるものだというのがマダラの本音だった。
弦之介と朧を葬ったマダラは戦場を移動し獲物を探しながら、そこでガンマンと再会する。
跡部景吾との全身全霊の死闘によって既にその身は満身創痍。それでも尚ガンマンは完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)としての誇りを失ってはいない。
無論、それは当然マダラを相手に向ける背などないということであり、
マダラ「いつかの約束だったな。決着をつけようか、一つ目」
ガンマン「シャババババ、良いだろう! 私は逃げも隠れもしなーーい――!」
血沸き肉躍る死闘こそが至高の瞬間。両者はまさにそれを体現するように惜しみなく全力を尽くす。
戦いの中で真実を見通すガンマンの真眼(サイクロプス)がマダラの真実を暴き立てる。
ガンマン「見える、見えるぞ~! 私の真眼が、お前の遠い未来の姿を見抜いた!」
マダラ「それで?」
ガンマン「貴様は、私が最も嫌悪するイレギュラーだ! 嘘で真実を覆い隠し真理に取って代わろうなど、許されることではない!」
マダラ「……なるほど、あのオビトという同胞の言っていたことも含めれば……確かに、俺ならばそういう結論にも至るか」
ガンマン「世界を化かす大嘘つきめが! この私が直々に成敗してくれる!」
マダラ「やってみろ」
互いに譲れぬ信念・矜持の下にぶつかり合った両者は、やがてマダラが勝利を掴んだ。
ガンマンの強さに敬意を表し、お前も無限月読が叶った際には救済してやろうというマダラではあったが、しかし肝心の当人がそれを激しく拒絶。
死んでも御免だ、そう吐き捨てながら命尽きたガンマンに対しマダラはそれも良かろうと彼の遺志を尊重した。
或いは、跡部との死闘がなければ結果は逆になっていた可能性もある。勝利を掴みながらもそう素直に認めてもいたのだ。
加速度的に終幕へと進んでいく殺し合い。その最終決戦においてマダラが対峙したのは巡回医師ギーと求道神・摩多羅夜行。
どちらも全盛の自分と五分以上の実力。消耗は相手の方が激しいが、数は相手の方が有利。……尤も、この期に及んでまだ自力で生きる術すらない足手まといを切り捨てられずに抱え込んでいる始末であったが。
天秤はどちらに転んだところでおかしくはなく、事実、戦いにおいて押されていたのはマダラの方であった。
だが負けない。負けるはずがない。俺に勝てるのは柱間だけだ。理屈云々など度外視した狂的な信奉でギーや夜行とマダラは渡り合う。
しかし遂には夜行の術に捕縛され、その寸隙を突くかのようにトドメの一撃をギーが放とうとした刹那、
――ガンQの乱入。それによって乱される戦場。
その瞬間、二人の注意が己から逸れたのを見逃すマダラではない。
即座に術の拘束を解き放ち、ガンQを始末した直後で隙が出来たギーの胸を一撃で貫く。
妙な術を使って回復するのは知っていたがこればかりは致命傷だ、逃れられない。
アレより先に俺を始末するべきだったな、弱者を護ることに囚われて優先順位を間違えた未熟者。どだい医者が戦場になど立つものではない。
崩れ落ちるギーを既に視界から外しながら、態勢を整えかけた夜行に向かい勝負を決するべく術を解き放つ。
結果は紙一重……ここまでの消耗の度合いと耐久力の差であろう。
夜行「……一歩、及ばずか」
マダラ「枷に囚われたな」
夜行もまた咄嗟に生き残っていた娘たちの安否を優先し、判断が遅れた。
柱間のごとき正道を歩みながらも、最期はそれが死因に繋がった。
守るべきものなど持つからこうなる、力尽きたギーと夜行を惜しみながらマダラは己の勝利をここに確信した。
ギーと夜行。最大の敵であった両者を下したマダラにとって残った非戦闘員の少女三人など物の数ではない。
幕引きが鼠狩りとは興醒めだと内心で嘆息しながら、必死に最後まで諦めずに逃げる三人娘を容赦なく追い詰める。
圓城寺怜は病弱な身の上ながらも一巡先の未来を見通すその能力を使い、マダラの不意打ちから残りの二人を庇い斃れる。
メアリ・クラリッサ・クリスティは怜が守った最後の命であるキーラ・ゲオルギエヴナ・グルジェワを逃がすためにたった一人でマダラの前に立ち塞がる。
マダラ「諦めろ、誰一人逃がさん。お前たちは全員ここで死ぬ」
メアリ「諦めない。五分でも三分でも、一分一秒でもあの子が遠くに逃げるまであなたは絶対に通さない!」
三分もいらん三十秒で充分だ、と黒の権能を振るい抗うメアリへと冷酷に返しながらマダラは彼女の命を絶つべく襲い掛かった。
都合、七分と四十五秒。
メアリ・クラリッサ・クリスティがうちはマダラを相手に命を絶たれるまで稼ぎ切った時間である。
妙な剣を使っていたとはいえ、身のこなしのそれは素人も同然。そんな小娘を相手に当初の宣言を優に超える時間を稼がれた。
結果的に殺したことに変わりはないが、それでもマダラの胸中に言い知れぬ執念をメアリへと感じたのも事実だった。
しかしどちらにせよ後一人。最後の小娘を縊り殺せばそれで全てに幕は引かれる。
どこまで逃げようと関係なく追い詰める。逃がしはしないとマダラはキーラを遂には捕捉する。
よくよく見ればこの娘、柱間の布教をした際には己は人に非ずなど豪語しながら聞く耳を持たなかった畜生娘ではないか。
見る影もない落ちぶれた姿で怯える少女を、哀れなものだと思いながらお前で最後だと告げてトドメを刺そうと動きかけ、
不意に、それは破れかぶれの最後の悪足掻きだったのだろうか。
ギーが救ってくれた命を、怜が守ってくれた命を、メアリが逃がしてくれた命を。
おまえなんかには奪わせないと、必死に恐怖に打ち克つように先んじて踏み込んでくるキーラの拳。
以前に見極めた獣の拳とは比べるべくもないガキの拳。それこそ防ぐのも躱すのもあまりに容易であったはず。
自分や柱間が同じ年の頃は、いいや、自分たちの弟たちが同じくらいの年ですらもっとマシな拳を振るえたはず。
だがそれをふと思い出してしまったからこそ、マダラの動きは一瞬止まってしまった。
結果、蚊の刺すようなまったく効きもしない拳の一撃がマダラの頬に叩き込まれる。
マダラ「……ガキの拳だな」
ああ、まったく効きもしない。痛くも痒くもないような無意味な一撃。
どだいガキなど無力なのだから当然だ。
千手柱間も、そしてかつてのうちはマダラも。こういう無力なガキが戦場で死ぬことこそを何よりも嫌っていたはずで……
らしくもない感傷だと刹那の思考を即座に打ち切り、マダラはキーアを無情に斬り捨てる。
血だまりの中でそれでも最期まで手を伸ばし足掻く少女の姿を無感動に見下ろしながら、
柱間が今の俺を見れば決して許さんだろうな、そんな苦笑に似た思いしかマダラの中には残らなかった。
全ての参加者の命を断ち切り優勝者となったうちはマダラ。
くだらない茶番も幕が引き、元の世界へと帰還して柱間との決着を再度つけようと願っていたマダラのもとに姿を現したのは二人の男。
仙界の双頭の一角、偉大なる三大仙人の一人、元始天尊。
集合的無意識へと繋がる夢界を完全踏破した最初にして最強の盧生、甘粕正彦。
薬師寺天膳を表向きの主催者として隠れ蓑にしながら、会場に流布された数多の誤情報の裏へと潜んでいたこの殺し合いの真の黒幕たち。
マダラの優勝を認め寿ぐように現れた彼らに対し、しかしマダラは別段興味を抱くこともなかった。
明かされるこの殺し合いが開かれた真の目的である新封神計画――くだらない。
そう、くだらない。まったく興味を抱くにも値しない。自分にはまったく関係もない文字通りの茶番だ。
それをさも崇高な目的であるかのように語る元始天尊。……ああまさにこれこそが老醜ここに極まるとでも言ったところか。
マダラ「……貴様は柱間の話を聞かせるにすら値せん」
静かにそう告げたマダラの言葉を聞き逃したのだろう。元始天尊は怪訝な表情を見せかけるもそれが彼の最期の所作となった。
まったくのほぼノーモーションに近い不意打ちにて元始天尊はマダラの手にかかり絶命する。
優勝者がこの期に及んで主催者を手にかけるようなどとは予想もしていなかったのか。最強の仙人として真っ向勝負ならば返り討ちにも可能であったかも知れないというのに、それはあまりにも呆気ない最期であった。
そしてマダラが相方を殺害するという暴挙に出ても尚、甘粕正彦は咎めることはおろか驚く様子すらも見せることはなかった。
甘粕が語るには既に計画は完了しており今更元始天尊や自分が死んだところでそれが破綻するということもない。
仙界は此度の殺し合いのノウハウをまた次へと活かし来たるべき脅威へと備えるだけだと告げるのみ。
無論そんなものにマダラは何一つも興味もなく、元始天尊を殺害して少しは溜飲が下がったのでもはや用もないとその場を去ろうとしたまさにその時だった。
――あるいは、これこそが一つの「呪い」とでも言えるものだったのかもしれない。
マダラ「そう言えば……まだ柱間の話を聞かせていない者が一人残っていたな」
そう告げて振り返り甘粕を見据える写輪眼に現れていたのは、ギアスをかけられた者がその強制力に動かされる時に見える特有の色合い。
ルルーシュ・ランペルージはうちはマダラに命じた。「他の参加者に柱間の素晴らしさを知らしめろ」――と……
厳密に言えば甘粕は主催者であり参加者ではない。しかし二人以外の全ての者が死に絶えた今となってしまえば彼らの立場は極めて等しい位置にあり……そして何よりも甘粕自身にも重んじる持論がある。
甘粕「我も人、彼も人。故に対等、基本だろう」
甘粕もまた徹頭徹尾命を懸けて此度のロワには望んだのだ。本人の願いに反して対主催達は全て儚く相対する前に散ってしまったが、どのようなスタンスであろうともたった一人でも眼前に立ち挑んでくるというのならば是非もない。
故に「呪い」はここに成立する。ルルーシュの遺したギアスは皮肉にも全ての参加者を駆逐した優勝者によって事の元凶たちへと最後の逆襲の牙を剥く。
闘争本能を解き放ち全霊の術理の応酬によってぶつかり合う二人の魔人。
物語の結末は激突の瞬間をもって幕を閉じており、どちらが勝者になるかすらも明かされてはいない。
しかし仮にどちらが生き残ったとしてもその後に待ち受ける結末は……世界は決して明るいものではないだろう。
現実を夢(無限月読)に堕とし、永遠に続く虚構の楽園こそを救済と願ううちはマダラ。
邯鄲の夢を現実世界へと解き放ち、試練と勇気の名の下に闘争の楽園(ぱらいぞ)を実現せんとする甘粕正彦。
生き残った勝者がどちらであれ、ディストピア実現の為に今回のロワ以上の血で血を洗う戦乱が起こる確率は非常に高い。
そして何よりマダラ自身が嬉々として布教して語った千手柱間本人は、どちらが勝ってもちょっかい出されて巻き込まれる確率が高いとも予測されているのは実に皮肉な話であろう。
先見えぬ断崖の果てにはいったいどのような光景があるのか……それを目にするものが現れるかどうかすらも、未だ誰にも分からない
最終更新:2024年04月03日 22:25