【名前】ミラス・ヴァーミリエ
【出典】オリロワ5
【性別】女性
【年齢】18
【支給品】パンプキン@アカメが斬る!

【キャラ設定】
一言で表すなら正義の美少女ガンマン。
詳細なキャラ設定は。こちら
なお、元ロワでの出来事により、蛭摩輝美とは生き別れの妹であることが発覚し、ヴォルケーノ化の能力は喪失している。
トーテンタンツァとは妹以外の家族を皆殺しにされた因縁の相手であるのだが、ロワ内での(直接的な)絡みはなかった。
ちなみに使用AAはワイルドアームズ主人公のヴァージニア・マックスウェル。
本編でもワイルドアームズさながらの活躍をしている。
また、本ロワで苗木に支給された魔法の拳銃『ミオリ・輝式』はオリロワ5本編で彼女が手に入れた装備である。

このリピロワとは違うもう一つの物語はこちら

【あらすじ】
正義の味方として、対主催として行動。
主に正義を掲げる者同士として時峰空志郎、ヴィクトリカ率いる海賊組などを仲間に行動していた。
彼女の対主催としての戦いは茨を裸足で踏みしめるような苦難の道であり、数多くの対主催と関わるも、その関わった知り合いや仲間が次々と死んでいき、仲間だった時峰の暴走も加えて精神が摩耗する。
それでも、死んでいたと思われた妹(魔界植物から解放された蛭摩輝美)が生きていたことに喜び一時は持ち直す。
しかし、怪獣化した聖との戦いで聖と融合し変わり果てた亡き親友や仲間たちの姿を見て発狂、さらにデザイアの扇動によって内なる怪物『ヴォルケーノ』が目覚めてしまい、多くの参加者を虐殺した。
妹もヴォルケーノによって殺され、あわやここまでかと思われたが、美織と妹、正気に戻った時峰、仲間達の決死の思いによって覚醒、ヴォルケーノを肉体から追放し殲滅に成功する。
主催との最終決戦においてはシェイクスピアの運命すら操る脚本ノートを撃ち貫き、絶対と思われた運命も人の手で変えられることを証明し、殺し合いから生還する。
エピローグでは、外的要因によるものもあるとはいえ暴走で多くの人を殺めてしまった者同士、そして己の中にある正義の答えを求める者同士としてロワの序盤からの付き合いであった時峰と恋人になる。

正義の答えを見つけ、時峰と結ばれた数ヶ月後、彼女は二度目の殺し合いに召喚されることになった。
それはまるで最悪の運命という名のシナリオを一度は打ち破った彼女を試すように……


【本編での行動】
二度目の殺し合いに連れてこられたミラス。
見覚えのある異常事態に戸惑うも、一緒に連れてこられた恋人の時峰が隣にいたことで安堵する。
だがそれが恋人との最後のひと時でもあった。

司会のひでとヴァジュリーラにより、殺し合いの解説が始まる。
その前にルール説明を聞かずに司会を斬捨てようとしていた男の首輪が吹き飛んだ。
これに対し一人の魔法少女が非難するも、前の殺し合いでSAN値を減らしすぎた結果、他人を見捨ててしまった時の映像が流された挙句、失意と非難の目を向けられながら一人の少女が主催への反抗と見なされ爆殺された。
ひでがこれに対して参加者を煽り続けるも、煽ってばかりの役立たずはイラネとヴァジュリーラに蹴落とされ、落ちた先で一人の男にしばかれた後に爆殺された。
また、上からの指示で殺した方が良さそうな面子として幸の薄そうな少年と眼鏡の髭男……そして時峰が見せしめとして選ばれた。

主催の理不尽な仕打ちにミラスはショックを受け、激怒する。
だがこのままではミラスも見せしめに選ばれてしまうと思った時峰は彼女を落ち着かせ、ここで死ぬよりも生き延びて主催に抗って欲しいと伝えた。
そして爆破される直前に「君の正義を信じている」という遺言を残し、他の見せしめの二人と同時に時峰の首輪が爆破された。
こうしてミラスの殺し合いは伴侶との永遠の別れという悲劇から始まるのだった。


恋人を失ったミラスだったが時峰の遺言もあり、なんとか精神を持ち直す。
名簿を開けば仲間であるヨコヅナちゃんや、死んだハズのエルドリッジやガッツくんも甦せられて殺し合いに参加させられているようであり、頼れる仲間が二人と一匹いるだけでも殺し合い打破の希望を持てた。
支給品も愛銃のミオリ・輝式こそ没収されているが、銃型の帝具であるパンプキンが支給されており、ガンマンであるミラスとの合性は抜群であった。
殺し合いに参加させられた以上は苦難が待ち受けているに違いない。
しかし、彼女は一つの信念を元に主催に立ち向かおうとする。

「運命は人の手で変えられるんだ!」

ミラスは前の殺し合いで主催に敗北し世界が滅亡する最悪の運命を仲間たちと共に打ち砕いたのだ。
人には最悪の運命を変える力があると知った彼女は、恋人との死別にも負けずに徹底的に主催に抗うことを決める。


次の回で森の中を探索していた同じ対主催の中島敦と出会い、考察する。
敦によると、オリロワ5の主催であったシェイクスピアの所持していた書くことで世界の運命すら定めてしまう「脚本ノート」は、敦の所属する探偵社と敵対している組合の団長であるフィッツジェラルドが探していた「本」と共通点があるのだという。
まさかとは思うが脚本ノートと本は同一のものなのか?
パラレルワールドの存在は異世界出身であるメアリーズやデュランなどの仲間から把握しているため、他の世界から持ち込まれた可能性も一概に関係性がないとは言い切れないだろう。
あの魔のノートと再び相まみえるかはわからないが、覚えていて損はないとミラスは思った。

そのような考察をしていた二人だが、突如、二人がいた森は火に包まれた。
火の回りが早く逃げる途中で二人は離れ離れになってしまったが、敦が帝具であるライオネルを使用して半獣人のようになり、ミラスとの再会を約束しつつ爪で木々を切り開きながら脱出する様子をみて敦ならきっと大丈夫だろうと思い、自分はピンチになればなるほど威力を増すパンプキンによる砲撃で道を切り開いて炎の森を脱出する。
しかし、彼女が脱出する際に広角を三日月のように釣り上げる者がいた。
――森に火をつけて敦とミラスを分断した下手人・シックスである。
シックスは正義の味方である絶対悪とは正反対の存在を貶めるために行動を開始する。

森から脱出したミラスを待っていたのは衝撃の光景であった。
時峰の顔をした男が赤いジャケットの男の死体をグシャグシャにしている。
時峰は自分の目の前に死んだので生きてここにいることはまずありえないので、ここにいる男はまず偽物に違いない。
恋人の振りをして誰かの死体を弄ぶ何者かの行動にミラスの怒髪天が突かれ、パンプキンを乱射させる。
この時のミラスの状況は窮地ではないと帝具に判定され、弾丸の威力が出ないために肉体を硬くできるシックスの肉体を貫徹できず、乱射によって命中精度も悪くなっていたので時峰に化けた男を仕留めるにはいたらなかった。
できたのは頭部に被弾させてマスクの下を暴くことだけである。

「残念だが君の正義では絶対悪たる私には勝てないよ」

偽時峰の正体はシックスであった。
彼の支給品には時峰の生首が支給されており、ネウロ原作のアンドリューと同じく顔の皮を剥いでマスクにして変装したのだ。
もっともOPで死んだ時峰に関する観察はほぼできてないと言ってもいいので、変装の再現度は決して高くない。
だが、ミラスを煽り貶めるための布石のためならこれで十分であった。
実際、恋人の死を侮辱させられたミラスの心は十分にかき乱されている。
いくら撃っても倒れないシックスに焦るミラスは帝具使用の反動のせいで次第に体力だけを消耗していく。
一方シックスも、先の森でパンプキンが使用者が窮地に追い込まれるほど威力を発揮することは折込み済みなのでこの場は撤退する。
その際、ミラスの攻撃を全く意に介していない素振りを見せ、返礼に皮のなくなった時峰の頭を投げてよこした。

ミラスはシックスに手傷こそ負わされていないものの、消耗でシックスを追いかけることもできず、みすみす悪を見逃すハメになってしまった。
正義の敗北である。
恋人の死を弄ばれ、一つの大きな悪を止められなかったという事実はミラスの精神に多大なダメージを与えた。
さらに不運は重なり、共に生還した仲間でかなりの猛者であったヨコヅナちゃんの戦死を放送で知ってしまう。
仲間の死に涙を流すミラスだったが、時峰の生首を見るや遺言を思い出し、なんとか挫けずに持ち直し、体力が回復したところでシックスを追跡すべく動き出す。
時峰の首はお守り代わりに、元の世界に戻った時にキチンと埋葬するためにディパックにしまって持っていくことにする。

「運命は人の手で変えられるんだ……」

だが、以前にも口にしたその言葉は、意味は同じでもあからさまにトーンダウンしていた。


ミラスが次に出会ったのは因縁のあるトーテンタンツァとオマケのMURのマーダーコンビ。
妹以外の家族を皆殺しにし、ミラスに悪魔・ヴォルケーノを発現させた元凶。
さらに多くの参加者が彼女に貶められたことをミラスは他の仲間から聞いている。
オリロワ5をまたいでの因縁の対決だったが……

トーテンタンツァ「私は前の殺しあいの顛末を知ってるけど言わせてもらって良い?
『運命を人の手で変えられる』? 笑わせないでちょうだい。
結局はシェイクスピアの掌で踊って奴の尻拭いをさせられただけじゃない。
あなたは自己満足のために、少しでも得るものが欲しかったがために自分の手で運命を変えたと言い聞かせてるだけよ」
MUR「そうだよ(便乗)」

トーテンタンツァは殺し合いの情報の大半が詰まった詳細名簿の上位互換品である宇宙完全大百科が支給されており、自分の死後のオリロワ5の顛末も知っていた。
そこで頭脳明晰なトーテンタンツァがオリロワ5を分析すると、オリロワ5とはシェイクスピアのミスの尻拭いが目的であり、対主催は自ら運命を切り開いたように見えるが、実はシェイクスピアに都合の良いように誘導(脚本ノートの破壊)されていただけであると結論付けられたのだ。
目的の善悪はともかく、全ては脚本家の掌で踊っていただけで、その目的を達成させたことを「運命を人の手で変えた」と言えるのか?
トーテンタンツァはそれは「NO」であるとミラスに言い放った。
自分はまだしも仲間の犠牲や努力すら侮辱するようなトーテンタンツァの言葉に逆上したミラスは怒りのまま二人に挑む。
しかし怒りで冷静な判断を失ってしまったことに加え、トーテンタンツァの明晰な知能と剣の召喚能力と頭はからっきしダメだが迫真空手により肉弾戦能力の高いMURによって、苦戦する。
そして因縁の対決はミラスの大敗という悲壮な結果で終わった……

倒れたミラスにトドメは刺さずに、トーテンタンツァとMURは立ち去った。
これはトーテンタンツァは同盟のシックスにより、ミラスは時が来るまで殺すなという契約がなされているからである。
ヴォルケーノを失ったミラスだが、別の参加者によってそれ以上の何かに変える手段があるらしい。
美味しい料理が出来上がるのを待つ子供のように、シックスらによるサプライズを待ち遠しく思いながら、高笑いを上げて去っていくトーテンタンツァとMUR。
ミラスは去っていく仇敵を追いかけることもできぬまま、意識を手放した。


ミラスが気絶から醒めると放送でエルドリッジとガッツくんの名前を耳にする。
絶対悪に二度も負けた上に、自分が寝ている内に前の殺し合いの仲間を全員失ってしまった。
その事実はミラスの胸を深く抉り、彼女を絶叫させ、怒りのまま空へとパンプキンを乱射させた。
トーテンタンツァは自分や仲間による運命を変えた戦いを「まやかし」だと言った。
だがミラスは彼女が言った通りに、オリロワ5での戦いをまやかしだと認める気はなかった……認めてしまえば輝美や美織、海賊組など多くの仲間の犠牲や努力が無駄になってしまうと思ったからだ。
先に逝ってしまった二人と一匹の仲間のためにも、例え一人になっても、主催やマーダーを打破し最悪の運命を変える証明者として彼女は我武者羅にでも進む。

「運命を私の手で変えるんだ……」

……いつしか情勢が悪化する度に焦りが増し、信念が強迫概念に変わりつつあったことに気づかぬまま、彼女は進んでいく。


殺し合いも中盤に差し掛かったところでミラスは一人の少女の惨殺死体を発見する。
それはロジェの配下であるマーダー・飛鳥によって、心臓を抉られ、殺した後に服を剥いて串刺しの晒しものにされた聖沙である。
前述の通り、下手人は飛鳥なのだが、彼女によって巧妙な偽装工作をされており、周辺にはウルフウッドが使う弾丸の薬莢が転がり(これは飛鳥がこっそりと拾ったもの)、遺体には敦の装備していた帝具・ライオネルによる爪によく似た傷がついていた。
飛鳥による聖沙殺害の瞬間は目撃していないのでミラスはまさか敦が下手人なのかと疑うが、敦と初めて会った時に彼にそんな印象は持ってなかったので犯人と疑いたくはなかった。

ところがミラスはとある少女と出会ってしまったことで、疑問は確信へと変わってしまう。
少女はオルフェンズと名乗る集団によって仲間の聖沙が殺害される瞬間を目撃したのだという。
ただ殺すだけでなく、善人を装って男数人で囲った後に暴行・凌辱・殺害。
その中には敦と特徴が一致する少年もいた。
それを聞いた瞬間、ミラスの怒りに火がついてしまった。
善人を装った敦が許せなかった。裏切られたのだと思った。
そして彼の仲間である危険集団オルフェンズは殺してでも止めなくてはならないと思った。
悪逆非道のオルフェンズに完全に怯えきっている少女は、自分は戦えそうにないのでミラスに秘密兵器になるであろう支給品の魔法のタロットを渡した。
そして仲間の仇を取って欲しいと言い、ミラスに全てを託したのだった。
ミラスもまた、少女の想いに報いるために、そして最悪の未来を潰すためにオルフェンズ討伐を決意し、怯える少女を残して単身オルフェンズが隠れている格納庫郡へ向かう。



――そんな戦いに向かうミラスの背中を、少女はほくそ笑んでいた。
少女の名は江ノ島盾子。超高校級の絶望の首謀者にして、シックスやトーテンタンツァとトップ争いができるほどの吐き気を催す邪悪である。
ミラスは度重なる悪への敗北と仲間の死によって焦ってしまったばかりに冷静な判断ができなくなったせいで、江ノ島が邪魔なオルフェンズをミラスに抹殺させるために『偽証』している悪党だと見抜けなかった……疑うことすら失念していたのである。
ミラスに渡した魔法のタロットの正体も、ケルブレムが江ノ島と同盟を結ぶ際に渡したディアボロスタロットである。
ディアボロスタロットを使った瞬間、ミラスはダエモニアという怪物に転じてしまうという希望の切り札に見せかけた絶望の地雷。
そしてタロットの絵は塔。それはまさしく頭に血が昇ったミラスの未来を暗示しているかのようだった。

「塔」の正位置の意味:崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇



中盤の終わり頃、ミラスはオルフェンズの拠点となっていた格納庫を発見する。
オルフェンズはACという機動兵器を二機も所持しており、仮に起動すれば正面からはまず勝てなくなるのでコクピットに忍び込んでこっそりとコクピットのコンソールを破壊し、三日月と野獣先輩を出撃不能に追い込む。
後は一人づつ始末しようとしたが、そこで考察した仲である敦とウルフウッドに見つかった。
ガンマンであるミラスはウルフウッドの使う銃・パニッシャーと弾丸の形状から聖沙惨殺の犯人が江ノ島の言った通りのオルフェンズであると決めつけてしまう。
さらにオルフェンズのメンバーにはMURの後輩である野獣先輩がいたことで、世界線の違う者同士とは気づかず、やはりオルフェンズは危険集団だとみなしてしまう。
敦は誤解や騙されているだけだとミラスを説得しようと試みるが、怒り心頭の彼女は耳を貸さない。
それどころかおまえたちを皆殺しにして他の対主催への被害を未然に防ぎ、自分の手で最悪の未来を変えてやるという旨をオルフェンズに伝える。

ここまで過激な発言ができたのは単に焦燥にかられていただけでなく、ディアボロスタロットの影響で精神汚染されていることにも起因する。
それを知らないウルフウッドと敦からはただの傲慢やら独りよがりの考えだとミラスを非難する。
特にウルフウッドは一回殺し合いを乗り切っただけで「運命を変えられる」ことに執着したミラスの正義を、ガキの正義だと言い放ち、冷静さを欠いたおまえじゃ真実を見極めることも運命を変えることも到底無理や。と更に厳しく非難した。
補足するとウルフウッドはミラスの姿を同じ正義のガンマンと言えるヴァッシュと重ねており、ミラスにはヴァッシュのように冷静さを持ち合わせて欲しかったためにあえて厳しい発言を放ったのである。
しかしまともな判断ができなくなったミラスには通じず、彼女は激昂して二人に銃弾をブチかます。
だが生身での戦闘はミラスほど強くない三日月とフーカ、迫真空手の使い手だが負傷している野獣先輩、異能者以外には滅法弱く更に弱体化までしているナイ、ナラクに裏切られてニンジャ能力を喪失したフジキドなど物陰に隠れた面子はミラスの敵ではなかったが、GUNG-HO-GUNSのウルフウッドと月が出ていないので月下獣が使えない代わりにライオネル装備で獣化と回復力を得た敦は強敵であり苦戦する。

「変えられるんだ変えるんだ変えられるんだ変えるんだ」

パンプキンの能力をもってしてもこのままでは負けてしまうと思ったミラスは大いに焦る。
そして心の焦りがディアボロスタロットの作用により澱みとなり、ミラスはだんだんと狂っていった。
その悪循環の果てに自分の体が黒くなっていく感覚に包まれ……


自分の決定的な何かが終わってしまう感覚に戸惑うミラス。
何が起こったのかさっぱりわからない。
闇の中でどうすれば良いのかわからない。
目の前にはドス黒く染まったタロットが置いてあるが、オルフェンズを倒すために取るべきなのか迷うミラス。
そうこうしている内に世界は闇で染まっていく――どうすれば良いのか?


――また、君の正義を見失うつもりかい?


ミラスの世界が闇に包まれた瞬間。
一筋の光が差し込み、そこには時峰の姿が見えたのだ。
ドス黒かったタロットが光るタロットへと変わる。
恋人に励まされていることにミラスの迷いは打ち払われた。



(そうだ……私は輝美や美織を失った時のように闇に心を閉ざすわけにはいかない。
自分の中の悪魔(ヴォルケーノ)に屈することだけはしちゃいけない。

ありがとう、空志郎。
多くの人に希望をもたらすこと、最悪の運命を変えること。
私はそのために正義のガンマンでいつづけなきゃいけないんだ。

だから私のやるべきことは――

















――オルフェンズを ひ と り 残 ら ず 駆 逐 す る こ と。

あいつらには犠牲者に死んで償ってもらうんだから!!!)


そして彼女は絶望の「光」を纏ったディアボロスタロットをとうとう手に取ってしまった。

「塔」の逆位置:緊迫、突然のアクシデント、誤解

塔のタロットは正位置でも逆位置でも災厄しかもたらさないカードなのである。
手にとった瞬間、彼女の正義と人としての生は終わるのだ。どんなに輝いて見えてもそこに希望などない。
そして黒くなるのは止まった……だが、半身がまるで「ヴォルケーノ」みたいな姿に変わった怪物と化した。
塔に篭城するように己の正義と完全に強迫概念と化した信念に執着したダエモニアに。
こうなれば彼女を救う手段は殺すしかなく、さもなくば殺戮の限りを尽くす悪鬼となる。

突然のダエモニア化によるミラスのパワーアップにより押していたウルフウッドと敦が逆に追い詰められ始める。
爪や弾丸をかすらせるだけでも精一杯であり、途中でウルフウッドがミラスの持っていた時峰の首をパニッシャーの弾で玉砕してしまった時は、更にミラスの怒りのボルテージを上げてしまうだけであった。

ミラス「時…峰…ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
    独り…私は独りに…どうして…くれるのよ…」
ウルフウッド「チッ」
敦「あ、あの…ウルフウッドさん?」
ウルフウッド「敦…あの嬢ちゃんは、ワシ独りでやる、おんどれは手を出すな」
敦「だめですよそんなの!」
フーカ「そうじゃ、ニコ兄…絶対戻るつもりだったんじゃろ子供たちのみんなの処に!」
ニコラス「…無理なんや…」
フーカ「何が無理なんじゃ…」
三日月「…分かったよ、ウルフウッド」
ウルフウッド「すまんなあ三日月、おい野獣、虎やフーカのこと頼むで…」
野獣先輩「か、かしこまり!」
ウルフウッド「すまんなあ」
ミラス「死ねええええええええええええええええええええええ!!!」
ウルフウッド「ガキめ」

このままではミラスに勝てないとウルフウッドは仲間たちを逃がし、支給品の劇薬を使ってミラスに挑むウルフウッド。
それでもパワーアップしたミラスには勝てず、逃げる仲間への突破を許してしまう。
逃げ遅れていたフジキドとナイの前に壁をぶち破って登場し、二人に襲いかかろうとする。
この時、フジキドは通信越しのケルブレムの甘言によりミラスと同じディアボロスタロットを使って戦うか、支給品の普通のショットガンで人のまま戦うかの瀬戸際に立たされていた。
人の身ならまずミラスには勝てないが、ナイが本能的にタロットの危険を感じ取っており、使用は危険だと知らされた。
最終的にフジキドはナイの直感を信じてタロットの誘惑を断ち切り、「アンタイセイ(=抗う)!!」と言いながらショットガンを手に持ってミラスに吶喊。
死を覚悟して幼いナイを逃がすための行動であったが、人間の時のミラスはいざ知らず、ダエモニアと化した彼女にはフジキドの覚悟の強さなどわからず、散弾を躱した直後に返礼としてフジキドの片腕を粉々に打ち砕く。
倒れるフジキドの頭にミラスは無情にもパンプキンの銃口を向ける。
だがフジキドの頭が吹き飛ばされかけた間一髪の瞬間にウルフウッドが駆けつけ、銃殺は阻止された。

満身創痍のフジキドを逃がした直後にウルフウッドはもはや生きて帰ることを度外視して二本目の劇薬を体に打ち込む。
これでようやくダエモニア・ミラスと互角の戦いができるようになった。
人知を凌駕した銃撃戦の中で今度こそミラスを追い詰めるウルフウッド、しかしパンプキンの特性で逆に追い詰めたのはミラスであった。
主のピンチによりパワーアップしたパンプキンの砲撃がパニッシャーを吹き飛ばしウルフウッドに致命傷を与えた。

しかしパニッシャーが爆散したことによる粉塵と一瞬の隙をついてミラスの懐に潜りこみ、残ったパニッシャーの弾を巻きつけ、爆破した。

ミラス「ガッ…」
ウルフウッド「これで…終いや!」

この一撃と戦闘で消耗したこともあってミラスもとうとう倒れる。
ウルフウッドの勝利であったが、彼もまた致命傷と劇薬を二本使用したことによって肉体が限界を迎えており、ほどなくして死亡する。
実質的に相打ちであった。


 ☆ ☆ ☆


(ダメよ、こんなところで終われない。私は運命を変えないと――)

まだ諦めのついてなかったミラスは死に体でありながらパンプキンを手に取り、戦い続けようとする。
が、銃に向けて伸ばされた腕は何者かに止められ、届くことはなかった。
止めたのは仲間であったマルガレッテ、主催だったシェイクスピア、親友の美織と妹の輝美であった。
その四人は責めるような、呆れるような、もしくは悲しむような目線でミラスを見つめている。

マルガレッテ「俺は言ったよな? もしてめぇが偽善すら貫ぬけねぇ外道になっちまった時はオレが文字通り‘浄化’してやるってな」

ミラスは最後の最後で偽善すら貫けない外道となった。ダエモニア化がその証である。

シェイクスピア「君は心の中の悪魔(ヴォルケーノ)に打ち勝つことはできた。
だが、君は自分自身(ミラス)には勝てなかったんだ。
君は最悪な運命を変えて抗おうとするより、もっと大切な残酷な運命をも受け入れて冷静に物事を見れる心の強さを失ってしまったんだよ」

最悪の運命を変えようとする意志に間違いはない……だが人生にうまくいかないことは付き物であり、焦るあまりにそれを受け入れられる強さが欠けていったのだ。
この心の強さを保っていれば、悪鬼どもに負けることも騙されることも、自分が悪鬼になることもなかっただろう。
それが脚本家たる彼の分析であった。

それでも銃を手に取って戦おうとするミラス。
まだ運命を変えるんだとうわごとのようにつぶやきながら、悪党やオルフェンズへの殺意を抱きながら。

輝美「もう眠ろう、お姉ちゃん……」

現実世界でウルフウッドがミラスの『肉体』を殺したように、輝美は悪足掻きをする姉の『魂』を弾丸で打ち抜いて介錯した。

美織「大丈夫、彼らが真実を知れば誰もあなたを責めないよ……お休み、ミラ」

最後に眠りにつくミラスに美織が膝枕をし、彼女の魂を永遠の眠りにつかせたのであった。


なお、このSSの下りはミラスの死ぬ間際の幻覚なのか、死後の世界の出来事なのかはっきりしていない――
 ☆ ☆ ☆

こうしてミラスの殺し合いは終わった。
元ロワのオリロワ5やオールリピロワとも違う茨の道の果てに彼女は不幸のドン底に落とされ、そのまま浮上できないまま悲壮な最期を迎えた。
被害こそウルフウッド一人だが、対主催としては終始有力マーダーに振り回され、誰の助けにもなれないまま化物として救いなく死んでいったのはなんたる不幸か。
ここまでミラスが空回りしだしたのは周囲にストッパーがいなかった事が原因とも言われている。
オリロワ5で仲間だったヨコヅナちゃん、エフィ、ガッツくんは死に、他は絡みがない。
違う世界線のオールリピのようにスパイクのような頼れる仲間や精神の支えである妹もいなかった。
対主催の敦とは早々と別れてしまい、会うのは死体やマーダーや扇動者ばかりであり、孤独なまま戦い続けた結果、暴走を招いたと思われる。

余談だがオルフェンズは改心した遠野経由でミラス暴走の経緯がオルフェンズやトレーズに教えられ、彼女は悪人たちに踊らされていた哀れな参加者だと知られることとなった。
彼女を貶めた邪悪もまた、全て何らかの形で裁きを受けている。
トーテンタンツァは自分を上回る策略と正義の炎に焼かれて灰と化し。
MURは友人の死に怒れる聖帝の鳳凰の前に木っ端微塵となる。
シックスは悪意をも跳ね除ける硬い鉄血の意志の前に粉砕。
ケルブレムは自分が操り人形にされた挙句、インガオホーの弾丸に貫かれ。
江ノ島はもっとも望まない希望の光の中に消えていった。

更に殺し合いの黒幕である管理者の口からオリロワ5世界はシェイクスピアの脚本ノートによって滅亡するのが本来の正史であり、それを打ち破った世界線こそイレギュラーであることが明かされた。
すなわちトーテンタンツァの否定は間違いであり、ミラスらオリロワ5の対主催はシェイクスピアの掌で踊っていたのではなく、明確に自らの力で自分たちの運命を変えていたのだ。
これを知っていれば、知る時まで生き延びていれば、ミラスは冷静さを失わずにここまで堕ちることもなかったであろう。

最悪の運命は人の手できっと変えられる。
運命を変えるその時までに必要なのは、残酷な運命に負けず囚われない強い心と支え合う仲間なのかもしれない。
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最終更新:2024年01月23日 17:22