【名前】霊幻(れいげん)H(ホームズ)・真由(まゆ)
【出典】
オリロワ6
【性別】女
【年齢】18歳
【キャラ解説】
ざっくり解説すると、シャーロック・ホームズの子孫の女探偵。
オリロワ6での生還者である
御神薙立華を助手にしている。
良くも悪くも両津勘吉じみたハチャメチャな性格の持ち主で、その性格が貧乏生活を余儀なくしている原因であるのと同時にヤクザの家系で友達ができなかった立華と気兼ねなく付き合うことができる、
一見するとダメ人間だが、依頼者が本当の意味で『泣いている』場合などに関しては無料で依頼を受けることがある人情家で、洞察力・行動力・勘など探偵に必要な能力に優れている。
【あらすじ】
主に岩学園長
アーク、自律AIロボの
ロボロン、最弱
勇者トロナと行動を共にする。
基本的にこの集団で漫才をやりながら進んでいたが、先祖と因縁のある魔人モリアーティに挑戦状を叩きつけられ、戦闘で燃えている江洲衛府高校へ駆けつけた。
そこで夕露ら対主催集団と魔人モリアーティの差金によって異能に目覚め暴走した雅と鉢合わせる。
この時、雅が異能者を排斥するテロリスト浄化杜や異能者を差別する無能力者への復讐に走っていると思われたが、真由のみは雅が復讐心以上に「友を守れなかった後悔から死にたがっていた」それによって「ずっと泣いていた」ことに気づき雅を対主催へ改心させることに協力する。
騒動の決着後はランチタイムを取るが、その僅かな隙がマーダーである田山の奇襲を許す形になり、投球で心臓を貫かれてしまう。
死に際にトロナに自分の代わりにモリアーティとの決着を託し、手袋を遺すのだった……
エピローグでは彼女の助手であった立華と彼女の相棒の真道が探偵事務所を引き継ぐことになった。
【本ロワの動向】
元ロワで一度殺されようとも彼女が主催が開いた殺し合いも、見せしめや火星への虐殺も認められるわけがなく、スタンスはもちろん対主催であった。
正直戦闘力は低い部類に入る真由であったが、探偵には探偵なりの戦いがあると、主催への調査を開始する。
火星を一つ滅ぼせる武力を持った主催にも弱点になる何かがあると見ていたからだ。
その道中で真由は二人の男女に出会うことになる。
一人は助手である立華そっくりの少女、藤丸立香であった。
あまりにも顔が似過ぎて立華と誤解して挨拶代わりの右ストレートを仕掛けてびっくりさせてしまった時は流石に謝った。
もう一人は胡散臭い風貌のアラフィフのおっさん、新宿の
アーチャーであった。
真由「新宿のアーチャー…アラフィフ……なんかしっくり来ないわねぇ」
新宿のアーチャー「ならば『ダンディ』でも私は構わんのだヨ!」
真由「よし、今からアンタのあだ名は新宿のアーチャーを略して『新茶』で! 改めてよろしくね、新茶さん」
新宿のアーチャー「」
こうして新宿のアーチャーの呼び名は新茶になったという……
なにわともあれ同じ対主催として行動をすることになり、新宿のアーチャーは立香のサーヴァントになり、三人は主催打倒への道を目指すことになる。
途中で新宿のアーチャーが魔人モリアーティの話を聞き、「モリアーティのくせにアラフィフじゃないとかマジ許せねー!」と意味不明な因縁をつけて、適当な掲示板に謎解き勝負の挑戦状をつきつけた新茶……何をやってるんだコイツはと呆れる真由と立香であったが、そこへマーダーのアスティオが現れる。
最初は爽やかな好青年風に現れたアスティオだが、真由は残留思念が相手とはいえアスティオのことを知っており、危険人物として警戒。
正体に気づかれたアスティオも今後のために生かしておけないと魔人ルシファーの力を使って真由たちを攻撃する。
正面からでの戦闘はめっぽう強いアスティオ相手に戦闘力が低い真由と立香と、戦闘力はあるがアスティオほどではない新茶は苦戦を強いられ、やむを得ず黒塗りの高級車に乗り込んで戦略的撤退。
アスティオもまた別の車に乗って、追いかけるカーチェイスを展開する。
ただし運転の担当が真由だったために運転は滅茶苦茶であり、街エリアにてオルガと世界一の殺し屋を轢いてしまう。
轢かれた後に二人共生きてたので殺し合いに乗ってなかったら謝りにいこう、ということで今は後回しにした。
アスティオから逃げ続ける真由たちであったがスピードが落ちる峠エリアに入ってしまい、そこをすかさずアスティオがレーザーで攻撃し、高級車を中破させて立香を崖下へと落下させてしまう。
だが立香は落ちる寸前で核爆弾
おにぎりをアスティオの車に投げ込んでおり、敵の車を大破させアスティオにも手傷を負わせる。
そして新茶による牽制と、真由によるアクセル全開の高級車による追突によりアスティオもまた崖下に落下した。
先に落ちた立香は死んでいるとみなした新茶であったが、真由はそれを否定し、きっと生きているハズだと崖下の捜索に入る。
捜索途中で放送が流れ、アスティオの死と立香の生存を知る。
さらに因縁ある魔人モリアーティが第一回の放送を待たずして死んでいたことは流石に真由をも驚かせた。
あのモリアーティをも凌ぐ悪意や知能がこの地にあるのかと……ただただ驚かせた。
同時に因縁の不完全燃焼感が拭えない真由であったが、それよりもまだ生きている仲間の捜索を優先し、モリアーティのことは一先ず忘れることにした。
しばらくして真由と新茶は立香を見つけ出す。
だが立香は裸であり、魂が抜けたように生気を感じなかった。
何より眼はほの暗い闇色を映し出していた。
真由には立香の眼の色に覚えがあった。
絶望から復讐者となった雅と同じであるが、あちらは復讐対象が明確にあったために狂気で輝いていたが、こちらはそれすらない。
だからこそ支給品のナイフを片手に握る立香が次ぐにやることはすぐに想像できた。
立香が自分の腹に向けてナイフを振りかぶる寸前、真由は掌に傷を負う覚悟の上で刃を握って自殺を阻止した。
そして立香を殴りつけて正気に戻した後に事情を聞く。
自分たちとはぐれている間に彼女は後輩のマシュと合流を果たしたが、直後に半妖である森近霖之助の罠にハマって捕まった。
そして調教されて純潔を奪われ、熱い獣液を胎に注がれた。
自分とマシュは
痴漢さんによって救助されたが、マシュは自分を何者かの狙撃から庇って死なせてしまい、狙撃手の襲来によって痴漢さんとも逸れ……森近と共に彼女の名前も放送で呼ばれた。
そしてサーヴァントがいないと何もできない自分の無力さを思い知り、守ることも復讐することもできないことに嫌気が差し、受胎しているであろう胎が気持ち悪くなって、ナイフでかっ捌いて死にたくなったというのだ。
はぐれている間にそんな悲しい出来事があったのかと真由は衝撃を受けるが、同情はしない。
自害しようとした立香の行為は身を守ってくれた後輩と恩人への裏切りに他ならず、死んで楽になろうとした彼女の行為が許せなかったのだ。
好きでもない男に孕まされた?
そんな短い時間で孕むわけはなく、実際に孕んでいても殺し合いを生き延びた後に堕胎すればいいだけの話だ。
守れなかったことを悔いる気持ち……それはわかるが、守れなかった者への償い方は生きてより多くの人を助けることではないのだろうか?
真由「そんなグダグダ言っている内は『ぐだ子』ね!
さあ、立ちなさい!
マシュと痴漢さんとやらのためにも嫌でも立ち上がってもらうわよ!」
真由はぐだ子となった立香の姿にマシュたちが草間の間で泣いていると思い、叱咤し激励した。
些か強引ではあるが、立香は彼女なりの優しさによって立ち上がり、再び対主催として戦う決意を固めるのだった。
まずは自分を守るために掌に消えないであろう傷を負った立香を守って上げたいと願ったがために。
なお、立香はこの後にオリロワ6世界の助手である立華のようにこき使われる。
真由的には仕事を与えて不安になる時間を与えないようにするためであるが、新茶目線だと真由が楽したいだけに見えるのは秘密である。
立香との合流を果たした真由一行が次に向かったのは下北沢である。
そこで巨大な手の形をした構造物を三人は目にするが、すぐに消えてしまった。
あれは何だったのか……探偵の勘からして嫌な予感を感じた真由は調査に乗り出すが、ゴジラやメガシャークと言った怪獣たちが近づいていたので仕方なく後回しにして姫路城エリアへと向かう。
逆さのピラミッドと姫路城が合体したチェイテピラミッド姫路城なるヘンテコ建造物の中には対主催グループであるエリちゃんことエリザベードとカリンのアイドルコンビがいた。
(なお、立香はカルデラにてエリちゃんをサーヴァントとして所有しているが、こちらは
犯罪者ロワ出身であり別個体であるため、実質初対面である)
情報交換の後に休憩として食事タイムに入る一行。
お腹ペコペコなので楽しみに待つ真由らであったが、立香のみピラミッドエリアと姫路城エリアの捜索すると言ってなぜか退室。
真由は食事中に暗殺された元ロワでの苦い経験があるので、まあ見張りは必要だろと気に止めなかったが……
そしてエリちゃんの手作り料理のせいで酷い目にあう新茶やカリンを尻目に美味しそうに料理を頬張れるド貧乏人の真由。
こんな旨い料理を食べれないなんて勿体ないと、親切心から(適当な言い訳をつけた逃げた)立香にも食べさせることになった。
そんな感じで久方ぶりにのほほんとした雰囲気の一行であったが、ここでマーダーであるファヴニルが全参加者に向けて宣言をする。
今から数時間後に機動要塞デストロイヤーで核爆弾をぶっ放して会場全てを消し飛ばす、と。
チェイテピラミッド姫路城にいた一行もこれを聞いて動き出すことになる。
とはいえ、この戦力で機動要塞を落とせるのかと疑問に思う真由であったが、新茶が他の面子がエリちゃんの料理に舌鼓(悶絶)を打っている中で秘密裏にチェイテピラミッド姫路城の地下で準備をしていたという。
立香と読み手がメカエリチャンかと予想していたが、答えは斜め上。
チェイテピラミッド姫路城を魔改造して自立稼働式にしていたのだ。重量感あるよな!
これにはエリちゃん絶句。他の面子も絶句。遅れてヴィルキスに乗ってやってきたカリンの友人である未色とサーヴァント信長も絶句である。
新茶はノッブが来たのも含めて移動中に即席のメカノッブ兵団を作成に入るとのこと。
まあ、何はともあれ、サーヴァントとロボディ(オリロワ6世界の機動兵器の俗称)を大量に手に入れたので機動要塞攻略の目処が立った一行はファヴニルの下へ向かう。
機動要塞に向かいがてら、真由はオリロワ6生還者である未色から自分がいた殺し合いの顛末を聞く。
話によると立華は生還し、真道とともに自分の探偵事務所を引き継いでいるそうだ。
一方、行動を共にしていたロボロンとトロナ、助けた雅とアイリスフィアの生還は果たせなかったらしい。
トロナはこの殺し合いで生き返ったからまだ良いが、ロボロンたちが帰ることができなかったのは寂しく思えた。
立華については口汚く罵りつつも、内心では生還を喜んでいた。
彼女の思いを乗せながら姫路城ロボは進んでいく。
そして待ち受けていたファヴニル……が乗るアンパンガー!
その性能はファヴニルとの相性の高さもあって、非常に高く、メカノッブ軍団を軽く一掃。
三人のサーヴァントや姫路城ロボでも勝つのは厳しい状態にあった。
さらに不運なことにメガシャークが乱入し、ヴィルキスを撃墜し未色に深い傷を負わせる。
首輪による制限のせいで怪我を自己回復しきれない未色を助けるためには誰かが抜けるしかない。
そこでエリザは姫路城ロボを動かしている自分以外の全員に撤退を進言する。
機動要塞を落とすには戦力が少なすぎた。
ロボ軍団は壊滅、全員ボロボロであるが、後続には対主催が乗るバイキンロボが迫っており、役目を引き継がせることができる。
このままでは全滅であるため、他のメンバーを逃がすためにエリザは囮になるというのだ。
真由と立香はエリザを見捨てる選択はできないと言うが、新茶は脱出装置があるためエリザも運がよければ後から逃げられると言い、仕方なく未色を回収して脱出する。
自分たちが脱出した直後、姫路城ロボがエリザが脱出する暇もなくアンパンガーによって小麦へと還っていく姿を見て真由は肩を落とす。
だがエリザベートの犠牲は無駄ではなく、機動要塞は永夢らの活躍によってファヴニルの野望ごと陥落。
未色もまたドバーランドにたどり着くことによって首輪解除と治療が行われ、一命を取り留めた。
ドバーランドは対主催最後の拠点となっており、そこには友人である勇者トロナもいた。
トロナもまた喧しいアメコミヒーローと分かり合えるかもしれなかった騎士を戦いの中で失っていたが、彼女は自分が見ていない間に逞しく成長していた。
少なくとも自分の生前は戦いや殺し合いにもっと臆病だった筈なのだから。
一方でトロナは真由の相棒としてすっかり定着した新茶を見て「どこかであった覚えがする」気がしたと語った。
生き残った対主催が総集合したところでアクアが捕虜として投降した放送役のBBから主催の目的が明かされる。
簡単に言えば全ての命を首魁であるキアラが吸収して全ての世界に滅びをもたらすことであり、幹部であるTDN・正宗・浄化杜指導者はそのお零れに与ろうとしている。
元ロワでの主催である
スエボシなどはこれより前に行われた殺し合いの生還者であり、キアラに立ち向かうためにそれぞれの方法でロワを開いたが真の理由。
パイロットロワ火星はマクギリスとガエリオが生還後にその真実を知ってしまったためにひとまとめに粛清されたのだいう。
巨悪を止めなければもっと多くの世界が犠牲になるために対主催の総力を持って事に当たらなくてはいけなくなった。
一方、下北沢で見つけた巨大な手のような建造物が気になることも真由は対主催たちに伝え、実際にそこにはエネルギーが集中していることもわかった。
主催がキアラや幹部が計画が失敗した場合に備えて何か手を打っているとも考えられるため、真由・新茶・トロナがそちらへ調査に向かうことになった。
最後に真由に別れを告げる立香……彼女はキアラとも因縁を持っており、配下にソロモンがいるならばどうしても自分の手で戦わなくてはならないと決めていた。
真由はここで生きて帰らなければアンタのことを永遠にぐだ子と罵り続けると言い、立香はお互いにと告げる。
二人は違う場所で、生き延び合うための戦いを始めるのだった。
下北沢に現れた巨大な手……それは平行世界移動装置である「エニグマ」を内包する施設であった。
怪獣たちが暴れたことによって存在を隠蔽する装置が故障したらしく中に入ることは決して難しくなかった。
だが、現状の三人では決して勝てる相手ではない男が内部に待ち構えていたのだ。
魔人セラフィム・田山!
真由を投球で暗殺した相手であり、あと一歩のところで優勝を逃した最強のマーダーである。
ところが田山は交戦の意思はなく、ただVRギアによく似た装置を真由に渡す。
何のつもりよと怖気づかずに問いかける真由に対し、田山は俺はただ「親友」を大罪人にしたてあげたくないと述べ、真実を知りたいのならばこれを使えとだけ言って、主催本拠地へ羽を羽ばたかせて向かった。
何かの罠では疑う真由と新茶であったが、トロナの勘は今の田山は大丈夫だと言う。
彼女によると何度か田山と接触したが、纏っていた殺意や狂気が綺麗さっぱりなくなっているらしい。
いったい田山に何があったのか知る由もないが、新茶による調査でも機械に罠が仕掛けられている様子もない。
真由もまた田山が「泣いている」ように見えたので自分とトロナの勘を信じ、さっそく機械を被ることになった。
そしていくつかの真実を知ることになる。
真由「なによ…これは…え?嘘これは…」
田山が作った装置を介してエニグマと直接脳を繋いだ真由が見たもの……
真由は当初、立香と立華が他人の空似だと思っていたが、実際は違う。
藤丸立香は御神薙立華は違う世界線と環境で育った名前の違う同一人物……「可能性存在」だったのだ。
他にもトロナが行動を共にしていたデッドプールはスーサイドの可能性存在であり、田山はTDNの可能性存在である。
同じ葡萄酒でも使った葡萄や製法によって味に差が出る……サーヴァントを例にすると同じアルトリア・ペンドラゴンでもクラスによって人格がコロコロ変わるのと同じ理屈である。
そのような可能性存在がこの殺し合いには意図的に数多く参加させられている。
ではなぜ、こうまで多くの本人に限りなく近い別人を用意されているのか?
それは単に賑やかしやすれ違いを発生させるために用意されたわけではなく、可能性存在を引き合わせることで時空の歪みが生じ、同時に多大なエントロピーが発生しやすくなるためだ。
この当たりは時空修復を生業にしている立香ならばわかるであろう。
(ちなみに本人同士を引き合わせてしまうと不老不死化するか逆に消滅する危険があるので、正嗣とマサツグ並に違う人生を歩んだ存在でない限りは参戦させられなかった)
そして稼いだエネルギーはキアラ・正宗・TDN・浄化杜指導者に注がれていた。
これはBBでも知らされてなかった事実である。
他にもキアラの人類悪完成はBBが知っている時間よりも早く、対主催が襲撃する頃には完成してしまうこと。
人質として取られているテツヲの正体も、人類を苦しめ火星で虐殺を指揮した浄化杜指導者であり、このままでは背後から撃たれて対主催が壊滅の危機を迎えてしまう。
そうなる前に対主催に伝えようとした真由であったが、ここでアクシデントが発生する。
かつて最上という男はエニグマを使って平行世界を繋げてもう一人の自分と一つになることで不老不死となろうとした。
TDNはキアラが失敗するか意に沿わない行動を取った場合の保険としてエニグマを使って各妄想ロワ内の平行世界を一つにさせる事で消滅させようとしたのだ。
これはまずいと思った真由はエニグマを破壊しようとするが、物理的に破壊を加えると何が起こるか予測できず、最悪参加者が全滅する以上の悲劇が起きると新茶から言われる。
そこでTDNからもらった装置で脳を直接繋げることを思い出し、自分自身の脳と精神力を使ってエニグマのPCの動きを阻害しようとする。
ちょっと被っただけで脳が焼き切れそうな痛みが走るが、実際にエニグマの動きは止まった。
しかし、TDNもそれは折り込み済みであり、手駒として捕獲した魔女カラミティ・メアリを送り込んだのだ。
迫る疫病神に対し、とても自分とトロナでは太刀打ちできない相手に新茶は諦めムードだった。
そもそもキアラが完成した時点で対主催の作戦失敗は明白。
エニグマを止めたところで対主催は、世界は滅ぼされるだろうと新宿のアーチャーは言う。
……真由もそのことは頭ではわかっていた。
エニグマ「だけ」を止めたところでアインストの大いなる力を手にしたテツヲに、時すら支配する正宗に、怨恨と淫夢コンテンツがある限り存在できるTDNに、人類の悪という悪を吸収したキアラに勝てないだろうというのは理解している。
だが、ある映像をエニグマを介して見たことから、真由の中で諦めの心は消えていた。
自分たち対主催が戦っている外野の世界では、多くの人々がキアラの軍勢と戦っていた。
宇宙ではロボロンが守った江洲衛府島の軍隊が火星のヴェイガンと手を取り合って戦っている。
地上では金髪の少女を軸に各世界の「勇者」が集められて世界を守っており、その中には立華やアークが守りたかった江洲衛府島高校の生徒たちも戦っている。
ここで真由が諦めれば、エニグマによって彼らの生きている世界も消失する。
仮に何らかの奇跡が起きてキアラたちを討てても、真由一人が頑張らなかったせいで帰るべき世界が消滅し、大切な人々と合えなくなっては意味がない。
立華たち、外の世界で頑張っている人々の努力も無駄になる。
だから真由は諦めないことにした。
手がけている事件を放棄することは探偵として最悪の行為だ。
人を泣かせることを見過ごすことは人間として最低の行為だ。
例え自分がこの場で死んでも後悔しないように、真由はエニグマとの接続を続け、トロナとアーチャーに戦い続けるよう指示を出した。
最初から仲間を置いて逃げるつもりはなかったトロナに異論はない。
逃げるべきだと言ったはずの新宿のアーチャーも「お嬢さんならそう言うと思った」と満足気に微笑み、戦いに移るのだった。
魔女メアリの戦闘力は、やはりアーチャーとトロナのそれを上回っていた。
それでも二人が粘ったおかげで、戦線が早急に崩壊することはなかった。
二人が戦う中で真由は必死にエニグマを止めようとする。
脳の激痛で目血や耳血も出てくるが歯を食いしばって精神の限り戦い続ける真由。
しかし、アーチャーが力尽きた僅かな綻びから魔女のエニグマ侵入を許してしまう。
弾丸により太ももや肩を打ち抜かれる真由。
それでも戦いをやめない。
こんな痛み、田山の投球の方が遥かに痛かったと思いながら。
おそらく次の瞬間には撃たれて死ぬであろうが、刹那の間でも真由は弱気にならずに戦い続けることを選択した。
『Guns!Guns!Guns!』
疫病神の弾丸が放たれる寸前、聞き覚えのある幻聴が聞こえるやいなや、鉄の腕がカラミティ・メアリを殴りつけて真由を守った。
トロナが友のピンチの中で、元々あった聖属性魔法への素質が開花し守護霊を召喚したのだ。
しかもその守護霊のホーリーゴーレムは、あの陽気なロボディ・ロボロンにそっくりである。
そしてトロナちゃんの覚醒した勇者の力に引かれたのか、偶然にも主催本拠地から飛んできた聖剣(正嗣が所持していたもの)を拾ったことで魔女化したメアリを両断し、討ち果たしたのである。
それからまもなくしてキアラたち主催陣営は壊滅し、エニグマも停止。
対主催は勝利し、真由も消耗はするが死なずに済み、多大な犠牲は払ったものの立香も生き残った。
味方の勝利を知り、会場が鮫によって崩壊する前に脱出艇に乗って脱出しようとするトロナと仲間たち。
しかし真由は参加者が脱出していく中、皆に対し「先に行って」と告げ残る真由。
何故残ったか、なぜならば最後の謎が解決していないからである。
「やっぱり、ホームズの因縁からは逃れられないみたいね――新茶、いえ『モリアーティ』!」
「――気づいていたか。いや、気づいて当然だ。」
これまで仲間として慕っていた男、新宿のアーチャーの真名はジェームズ・モリアーティ。
ホームズにとって不倶戴天のライバルである。
真由がなぜそれに気づいたのか?
それは殺し合いの序盤でモリアーティへの挑戦状を掲示板に書き込んでいたが、その正体は同じモリアーティにしかわからない暗号文。
最初の内は真由にもわからず、魔人の方がモリアーティの脱落が早すぎたために無駄になってしまったが、暗号は自分と立香がこれから何をするかが書かれており、仮に魔人モリアーティが長く存命していれば対主催の潜り込んだ英霊モリアーティとの二正面作戦で対主催は全滅していたかもしれない。
また、トロナが新茶に対して「会ったことがある気がする」と述べたが、トロナがこの殺し合いに参戦させられている中で元ロワで出会った人物は真由・ミリア・舞菜・
Deus・魔人モリアーティしかいない。
この殺し合いにおいてもトロナはドバーランドにたどり着くまでデッドプール以外の対主催に中々出会えず、出会ったマーダーも全員死亡。
となると女性陣を省けばDeus・魔人モリアーティだけになるが、両者共に死亡している。
このままではトロナの勘違いで済まされるが、エニグマで知った限りなく本人に近い別人「可能性存在」というものがあればコレに説明がつく。
そう、目の前にいる新宿のアーチャーと魔人のモリアーティは、可能性存在同士なのだ!
本当に僅かな綻びから自分の正体を看破したことに拍手喝采するモリアーティ。
だが、真由の中で疑問も残る。
自分を殺すタイミングはいくらでもあった……特にエニグマを止めるために接続状態であった真由を殺せば対主催は敗北する。
実際、(このロワに参加させられた犯罪者ロワの参加者は知らないが)元ロワでは新宿のアーチャーが真の記憶を取り戻して裏切ったことが対主催の敗因の一つに繋がった。
なぜそれを今回はやらなかったのか?
その答えはモリアーティ自身の口から語られる。
新宿のアーチャーは思い出した。自分が元々は主催者側の存在であったことを。
主催側がいざという時、記憶を思い出させ自分達の計画を進めやすくするための存在だったことを。
新宿のアーチャー自身にも目的があり、それ故にその計画に賛同したことを。
そして全てを思い出した今、目の前にいる参加者を殺害しセンチネルへと還元する事こそが彼の―
「…なんて三文じみた悪役ムーブじゃ犯罪界のナポレオンの名が泣くものだからネ!」
モリアーティは確かに主催が用意したスリーパー(潜伏者)であったが、犯罪者ロワでの主催・ギルベルトの契約とは違い、キアラの目的には最初から賛同していなかったのだ。
目的はただ一つ、「ホームズに勝つこと」だけである。
キアラに擦り寄れば彼女に勝利の味を奪われる。
そのためだけに対主催も主催の目も欺き、ホームズの子孫である真由に挑んでいたのだ。
仮に真由が最後まで自分の正体に気づかないつもりであれば背後から撃つつもりであった。
直前で気づくとは流石はホームズの子孫とモリアーティは賞賛する。
しかし名探偵と犯罪紳士は決着はつけねばならない運命にある。
可能性存在だろうが別世界線だろうが、それは関係ない。
モリアーティは真由に銃口を向け、真由も宿命を感じていた。
そして――
「よろしい、では決着といこう。探偵が勝つか犯人が勝つか…い(ry」
「さーいしょーはグー!」
「え、ちょっ」
「じゃーんけーんポーン!」
真由:パー アラフィフ:グー
「はい私の勝ちー!」
「えええええええええええええええええ!?」
意外ッ!!決着方法はまさかのジャンケン。
「――決着付けたいって言うから望みどおり決着付けてやったわ。というわけでアタシの勝ちね」
「……え、ちょっと、あの……私あれでもカッコよく決め(ry」
「はいグダグダうるさい! 何はともあれアンタは負けたの。これで決着ついたんだから満足でしょ?」
「いや、そういうことじゃな(ry」
「さーて、帰るわよー! アンタもさっさと歩きなさい!」
「―――(思考停止)」
モリアーティは考えるのをやめた。
なんだか滅茶苦茶な決着方法だが、これには真由なりの三つの理由がある。
一つはトロナが魔人の方のモリアーティに殺された際は不意打ちによるものであり、その趣向返しの不意打ちジャンケンである。
一つはモリアーティの銃は既に先の戦闘で壊れ、肝心の魔力も底をついており、現状の戦闘力は本当にアラフィフ相当の一般人程度しかなく真由でも殴り合いで勝てるレベルまで落ち込んでいる。
そんなヨボヨボのジジイ相手に暴力で勝っても嬉しくはなかったので力に頼らない決着方法を思いついた。
もう一つはモリアーティの、少なくともこのロワでは最後まで対主催を裏切らなかったプライドの高さと善性を信じたかったのである。
探偵と犯罪者は戦う宿命であるが、事件がなければ友であっても良いだろう。
真由は多くは語らなかったが、つまるところモリアーティを殺したくはなかったのである。
しばらく思考停止していたモリアーティもなんとなく真由の目的を察し、名探偵と犯罪紳士が決着をつけるのはここではないと思い、今は敗北を甘んじて受け入れるのだった。
こうして真由は生還を果たした。
殺し合いの中で友情を育んだ立香たちやトロナに別れを告げ、元のオリロワ6世界へと帰っていく。
その際モリアーティだけなぜかついてきたが、真由のことが気に入ったらしく「次は負けないヨ」と言って江洲衛府島へと行き、こっそりと奪った主催の財産と巧みな人脈構築力によって江洲衛府島高校の新学園長になったことには真由もたまげていた。
帰還直後にわかっていたとは言え自分の墓を見て微妙そうな顔をする真由。
そこに墓参りに来た立華と感動の再開……かと思いきやお互い右ストレート。
ちょっと殴り合いした後に普通に再開を喜ぶ。これには立華についてきていた真道君困惑。
そして探偵事務所にて立華と真道は真由によってこき使われる日々が始まるのであった。
そんな三人のもとに久しぶりの依頼者。どうやらカイアンツのメンバー失踪事件の捜索を頼みたいとのこと。
行方不明者の名は「
田山秀雄」。
彼は魔人と化して大量虐殺を行い、球界からも抹消された最悪の存在と世に知れ渡っているが、彼の一途なファンたちは事実を否定し、殺し合いの場にいたのは本物の田山ではないと主張。
その根拠として田山らしき人物が各地でたまに目撃されるそうである。
二つの殺し合いの真実を知る者にとって、田山が虐殺を行ったのは事実であるし、田山は二つの殺し合いを含めても死んでいるのが確認されている。
普通の探偵なら捜査するだけ無駄だと言うだろうが、型破りなこの三人は違った。
依頼者である田山のファンが泣いていることを汲み取り、更なる真実の追求のために動き出したのである。
これが霊幻・ホームズ・真由の帰還後初の事件にして、彼女にとっての『空き家の冒険』となる。
最終更新:2024年01月20日 22:11