【名前】黄ノ下残花
【性別】男性
【出典】双亡亭壊すべし
【スタンス】対主催



【人物】
昭和7年を生きる帝国陸軍少尉。首相暗殺犯を追って突入した双亡亭で幼馴染の坂巻泥努と邂逅し、彼が描いた絵に引きずり込まれる。重傷を負いながらも生還したが部下を全員失い、泥努への復讐鬼となった。

軍服軍帽にマントを纏い、全身と顔を覆う包帯の間から隻眼を光らせた異様な風体。〈侵略者〉に打ち勝つ強靭な精神と恐るべき剣技・戦闘体術を併せ持つ。



【ロワでの動向】
現代の双亡亭破壊部隊と接触・共闘を決めた後の時期より参戦。
状況に混乱するも、元より時間・空間の捻れを経験した身であったためすぐに受け入れ、双亡亭への帰還を果たさんと対主催の立場で行動を開始する。

なお、支給装備は浅打@BLEACHであり、使用者の魂から形作られる特性上、霊的存在への攻撃も可能とする(残花の弱点のひとつを補える)この刀との相性は抜群であった。


行動開始してから、最初に出会った参加者は、“死狂ひ”たる武士道に憑かれた隻腕の虎眼流剣士、藤木源之助。


藤木「いざ、尋常に、参る」

残花「……片腕で"それ"を使うのか」

藤木「剣は腕(かいな)にて操るものではない。どう在ろうと、剣術は剣術ゆえに…」


幾つか会話を交わすも、やがて互いの中に眠る鬼気が惹かれ合ったか、息をする如く戦闘に発展し、範馬勇次郎から逃げてきたデスクローの来襲によって分断されるまで、シグルイ本編さながらの熾烈かつ凄絶な剣戟を繰り広げた。

再び一人で歩きだす残花だったが、会場の一角へ即席の砦を造り上げ籠城していたロビンソン・クルーソーの「領地」に踏み込んでしまい、彼の迎撃を受け、なし崩し的に砦罠を突破していくこととなる(ロビンソン視点からは「悪魔」と称された)。

砦の最奥にて対峙する二者。片や旧帝国軍人、片や航海時代の英国人漂流者と互いに人種的な偏見も大きく、(ロワの仕様によって)言語が通ずるとて、和解は不可能かに思われたが…


「無辜の民もこの馬鹿げた催しに多く巻き込まれている。…貴方の力を借りたい」

「…フム…“悪魔の囁き”ではない、か…」



原作本編において現代の自衛隊や外国人たちと共同戦線を張った経験を活かし、残花が粘り強くロビンソンを説得して、脱出までの協力を約することに成功。

信心深く気難しいながら、孤独な無人島生活を二十年以上生き延びたロビンソンのサバイバル技術・研ぎ澄まされた五感と精神力はこの場において非常に有用なものであり、ファイン・プレーであったと言えよう。

ロビンソンとは互いに「総督」「少尉(セコンド・リテナン)」と呼び合いながら次第に打ち解け、息の合った連携をするようになる。

また、戦闘や軍務以外の面で意外と不器用なところを見せる残花にとっては、彼の料理(非常に野趣溢れる代物だったが)や縫製、工作などのスキルに助けられることも多く、「この初老のおっさん、少尉の女房役なのでは?」「帰黒さん涙目」などといった指摘もされていた。

また、ロビンソンが再会を願っていた奴隷・フライデーについて、奴隷制度への価値観の相違から衝突したりはしたものの、経緯と雇用形態を聞いて一先ず納得し、今はそこに食って掛かるべきではないと刀を納めるなど、双亡亭での時代を超えたイレギュラーな体験が、苛烈な残花にかなりの柔軟性をもたらしていたようである。

会場にばらまかれていたFalloutやMTG出典の怪物とも道行きの中で何度か交戦しつつ、移動していく途上で、包帯軍人&無人島生活者はアシュリー・アルヴァスティ&錆兎のコンビと出会う。

互いに主催打倒を目指していることを知ると、ロビンソンの饗する山羊肉料理で昼食の卓を囲んで、様々な会話を交わした。

残花はこの時、坂巻泥努の「絵」とそこに潜む〈侵略者〉について二人に伝え、逆に錆兎からは「鬼」や鬼殺隊の存在についてを、アシュリーからは彼女の世界のことや「力」についてを知らされる。

結局、調査の為に会場の一角を占める廃校へと向かう残花たちと、鬼の気配を追ってヌカ・タウンへと向かうアシュリーたちは、再会を約して別れたが、


錆兎「男と生まれたからには…どれだけ努力をしても足るということはない。そして…どれだけ傷ついても、前を向いて進む他ない……俺は…そう考えてる。あんたもそうなんだろう、軍人さん」

残花「己のこの傷は己の油断と未熟の招いたものだが……同感だ。未だ若年ながら、帝国男子たるにふさわしい意気だな」

錆兎とは上記のような会話を交わしていたこともあってか、のちに彼の名が放送で呼ばれた時には、軍帽に手をやり暫し黙祷する。

また、フライデーの名が同時に呼ばれ、拳を握り締めて奴隷の名を呼びながら落涙するロビンソンの姿に、少し目を見開いたまま、沈黙していた。


そして、残花とロビンソンは、廃校へとたどり着く。

昏い影を背負う不気味な校舎を見上げた残花は、どこか懐かしい、憎むべき建造物と同じ匂いを感じ取った。


残花「……“双亡亭”……!?」


思わず口走ったものの確証はなく、兎も角民間人の保護にと突入した校舎内では、墓石の階段/Tombstone Stairwellから発生した黒のゾンビ・クリーチャー・トークンが跋扈、さらには恐怖のアニマトロニクスが徘徊し、狂人が醒めぬ夢を見る、悪夢のような光景が広がっていた。

人見広介亡き後、一人きりで校舎内を逃げ惑っていた黒澤ダイヤ、そして彼女を保護した霊水の巫女・帰黒の二人も、物量によって押し切られようとしていたが――

押し寄せるゾンビたちは、フリントロック銃で狙撃され、通路端に仕掛けられた即席杭と蔓のトラップに足を取られて次々と倒れた。

そして、その間を風のような速さで走り抜けながら、瞬時に斬り倒して土に還していく包帯だらけの影が一つ。


残花「──帝国陸軍人として命令する。潔く、在るべき黄泉へと帰還せよ」

ダイヤ「あ…新手のお化け……?」

帰黒「残花少尉!!」

ロビンソン「……おお主よ、彼らの御霊に、せめても救いを与えたまえ」


同出典の帰黒と、ここでようやくの再会であった。

また、衰弱したダイヤから、フライデーによってフレディ・ファズベアーから守られ、それによって彼が命を散らしたことを知らされる。

ごめんなさいと何度も謝るダイヤに、ロビンソンは言った。


「…いいんだ。彼ならそうしただろう。私だって、きっとそうした」


目を閉じて深々と十字を切り、「フライデーと出会えたことを、感謝します、主よ」と呟くその姿を見つめながら、残花は、理解する。


「……総督とその"奴隷"の関係は、己と、己の部下たちと……同じであったのだな」


井郷准尉。樺島上等兵。矢内兵長。大庭。佐々木。山波。……
志を共にした、帝国陸軍東京憲兵隊沼半井第四小隊・通称「残花班」の部下たち。

化け物屋敷に呑まれ、人ならざるモノへと変貌させられていった彼らの姿、そして、自らの手で引導を渡していった樺島や矢内の最期を脳裏によぎらせて、残花はロビンソンへと、静かに語りかけていた。


その後、帰黒からこの会場での経緯を聞き、回復の霊水を受けると共に、蓋世の鬼殺しである継国縁壱の記憶の一部を共有し、残花は錆兎の話していた「全集中の呼吸」の一端を掴んだ。

帰黒の「味知覚」によって、外に要救助者がいないことを確認すると、ダイヤの疲弊が激しいこともあり、四人はひとまずこの場を離れることとしたが、廃校を出てからしばらく、全体が考察・掘り下げの流れとなった事もあり、結果的にこの四人でそれなりに長い時間を過ごしている。

自分を庇った人見やフライデーの死などで落ち込んでいたダイヤも、帰黒に励まされて元気を取り戻し、ロビンソンの作る、野趣溢れるヤギ肉料理には、目を白黒させていた。


ダイヤ「こ、これは……ちょっと……」

ロビンソン「要らないなら構わんぞ、お嬢さん。ただ、生き残る時には好き嫌いなんて言えないものだ……私はそうやって生きてきた」

残花「良家子女として抵抗があるのもわかる。だが、戦時においては栄養補給の機会を逃すことは死に繋がる……総督、己にも一皿もらおう」

帰黒「少尉、ロビンソン様。ダイヤ様は、争いとは無縁の未来で暮らされていたのです。仕方ないことだと思います。わたくしに支給されていた、この『かろりいめいと』をば…」

ダイヤ「……帰黒さん、ありがとう。

でも、私も皆さんと一緒に戦うのですから、こんなことでわがままを言っていては笑われますわね。そちらを頂きますわ。総督さん、私にもお皿を!」


このことやフライデーの話をきっかけに、ロビンソンとダイヤが、まるで時代の違う二人ながら、祖父と孫のように、互いにサバイバル知識や現代日本のことを教えあって交流していく微笑ましい光景も見られた。

その他、腹筋崩壊太郎&コンのヒューマギア・改造魂魄コンビに行き会って四人でそのコントを見る、会場トラップを協力して切り抜けるなど、幾つかのイベントをこなしている。

…しかし、穏やかな道行きは、残花と帰黒を危険視した因縁の敵の手によって、終わりを告げた。

廃校に潜む〈侵略者〉によって体を乗っ取られた、竹田敬太郎&デスクローの襲来である。

廃校より「射出」された二者の初撃は、制限をかけられた帰黒の味知覚では察知が間に合わず――ロビンソンが咄嗟にダイヤを庇い、第六感とも言うべき直感で警戒を叫ばなければ、そこで全滅していたかもしれない。

体をざっくり斬られ、吹き飛ばされて転がるロビンソン、ダイヤが、悲鳴を上げてそれに縋る。

流石に残花と帰黒の、そこからの動きは阿吽の呼吸であった。


残花「帰黒!総督を!」

帰黒「承知!」


残花は浅打を構えてデスクローと竹田に斬りかかり、帰黒は霊水を帯びた髪の毛を伸ばして、ダイヤたちの元へと駆ける。

額の黒子から〈侵略者〉の膿を垂れ流しつつ、桂木弥子にとってのトラウマの化身であった刑事は、今や名実ともに「トラウマ」と成り果て、哄笑した。


竹田「ああ、素晴らしいね。思った通りゾクゾクする。帰黒ちゃんも、それからそこの女の子もォォ……
ふっふふ……今死んだ外人の爺さんの次は、あんただよ少尉さん……もっと、もっと被害者遺族の表情を『加工』させてくれ」

残花「そこな怪物共々、双亡亭の絵に呑まれたか……ならば引導を渡してくれる」


いささかも怯むことなく、時間を稼ぐため、残花は立て続けに苛烈な攻撃を加えていく。
ロビンソンを治療してから舞い戻った帰黒が加勢して、二対二の構図となったが、相手はFalloutシリーズの名物クリーチャーにして核に焼かれた世紀末アメリカ最強の生物と、予測のつかない変形攻撃を仕掛けてくる人ならざるモノである。修羅の憲兵&コズミック巫女の二人も苦戦を強いられ、やがて、前衛を一手に担っていた残花は、活動時間の限界を迎えた隙を突かれ、竹田の攻撃でバランスを崩してしまう。

好機を狙ったデスクローの必殺の一撃を、髪の毛を盾にした帰黒が防ごうとするも――その体を、盾ごとデスクローの爪が凪ぎ裂いていた。


竹田「あーあ、何だよ、そっちが死んじゃあ、意味がないじゃないか……おごッ?あっがッがッあがががが、こッこの感覚はぁぁぁぁあぎゃああああ」


その脳天から生えた刃は、残花が投擲した浅打であり、竹田はこれによって、真の消滅を迎える。

しかし、それと共に。


残花「帰黒……!」

帰黒「しょう、い……わたくしは、もう……」


傷を抱えたまま帰黒のもとへ体を引きずる残花だったが、残花の傷を霊水で癒しながら、身体を殆ど両断された帰黒の白い顔は、逃れられぬ死の色であった。

デスクローの絶望的な巨体が、無慈悲に近づいてくる……だが今度は、無数に打ち込まれた杭と、引っ掛けられた蔓とが、それを縫い留めた。


ロビンソン「私の友人たちに、手を……出すな……」


動いたら死ぬ、深い傷を構わずに立ち上がったロビンソン・クルーソーと、その最期の願いを聞き届け、共に迎撃トラップを仕掛けた、泥まみれのダイヤ。

それでも、デスクローはその恐るべき力で以て原始的な罠を引き千切り、その場の全員を殺戮すべく咆哮する。

その中で、帰黒の流す血溜まりに膝を染めながら、残花は、落ちて来た浅打を掴み、無意識のうちに、呟いていた。


「“仇、討ち果たして……帰らずば……死して護國の鬼とぞ成らん―――”」


それは、残花の親しんだ、軍歌の一節に過ぎなかった。

しかし、仲間を守るため、己を鼓舞するために呟いたその言霊に合わせて、浅打の形状が変化する。

桜花の鍔を持つ、軍刀に似た形状へと。

――浅打とは本来、死神の魂に応じて形作られる「斬魄刀」の雛であり、刀の内なるものとの対話、その解号の詠唱によって、真の力の一端を解き放たれる。

――これを「始解」という。


「――不帰(フキ)」

いかなる理によってか、残花の手の中の刀はその名と力を疑似的に解放し、それに導かれるがまま、修羅の憲兵はデスクローへと跳んだ。

同時に、瀕死の帰黒がダイヤへと託した白い星の水の力が迸り、怪物の動きを止める。

そのまま、“帰らず”の銘を持つ刀身が深々と怪物の核を穿ち……その呪われた機構を永遠に停止させたのだった。

そう、彼らは勝利した。
あまりにも大きい代償と引き換えに。


ロビンソン「すまないな、カエリクロ……せっかく、君が助けてくれた命を…私はすぐに使ってしまったよ……」

帰黒「私たちを助けるために、でしょう。ふふ……無茶はお互い様、というところですか。ロビンソン様……」

ダイヤ「帰黒さん!しっかりして下さい、しっかり……ぐすっ、私なんかに、なぜ……」

帰黒「ダイヤ様。ほんの少しのお付き合いでありましたけれど、優しく懸命なあなた様ならば、私と"オジイチャン"の…あの白い星の力を、正しく使ってくださると信じます」

残花「帰黒……己は……」


もはや動かぬ帰黒は、テレパスで残花へと告げる。


帰黒『──少尉、私は後悔して居りませぬ。あの日、少尉が教団から連れ出して下さった時から…私の使命を思い出させ、一人の戦士としてお傍に居させて下さった。帰黒は……凧葉真琴は、幸せでした。
どうか兄に……青一に、伝えて下されませ。真琴は最後まで戦ったと……』


残花の命の恩人にして相棒であった巫女は、そのまま静かに事切れた。

そして。

主催の打倒と脱出を誓い合った男も、また。


残花「……ロビンソン・クルーソー総督。
貴方の示してくれた勇気と友情とに……心より感謝する」

ロビンソン「……少尉、ダイヤと共に……きっと、この『絶望の島』から生還してくれ。
どんな場所であっても、必ずどこかに希望の灯はある。人間は、絶望に負けずに生きて行ける……」


絶望を打ち払い、希望を信じた老船乗りは、最後まで残花たちを勇気づけ、ダイヤにその手を握られながら、微笑んでその命を終えていった。


顔を覆い泣く少女の傍で、残花は、戦うことしか知らぬ憲兵は、あまりに無力であった。
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最終更新:2024年01月20日 02:05