【名前】スレッタ・マーキュリー
【性別】女
【出展】妄想ウォーズ/機動戦士ガンダム 水星の魔女
【所属】関東軍

【設定】
水星の魔女における主人公。スペーシアン(宇宙居住者/他ガンダム作品で言うところのスペースノイド)の少女。
褐色肌に太い麻呂眉が特徴的なタヌキ顔。赤毛の長髪であり、髪質は癖毛。実は同年代のガンダム主人公の中では身長が高くスタイルも良い方でもある。
シン・セー開発公社のCEOの娘で、同社の推薦によりアスティカシア高等専門学園パイロット科2年生として編入した17歳。辺境の地・水星の出身であり、持参したモビルスーツのガンダム・エアリアルのパイロットを務め「ていた」。
将来の夢は水星に学校を建てること。

同年代の子供がいない水星育ち故に内向的で気弱で他人のペースに吞まれやすい面はあるものの正義感は強く、ビビりながらも他者の悪行をたしなめるなど肝が意外と太い。人との距離感を測りかねてはいるものの、むやみな謙遜や忖度はせず、ともすれば傲慢スレスレな図太さを見せる一方で、一度気を許した相手の事はあっさり信じてしまう故に騙されやすい面もあったりと、良くも悪くも真っ直ぐな正直者。
母であるプロスぺラを尊敬し彼女の言葉である「逃げたら1つ、進めば2つ」は彼女譲りの言葉であり、紆余曲折へて花嫁になったミオリネ(同性)とは友人以上恋人未満のような関係を築いていた。

しかし……ミオリネとプロスぺラ、ガンダム・エアリアルこと内部にいる姉「エリクト」の(大きな事情があるとはいえ)の突然の裏切り、また自分の正体が(肉体的には死亡した)エリクト・サマヤ(プロスぺラ=エルノラの娘)の細胞で作られた存在であり、したがってスレッタの正体はエアリアルを起動するための鍵…つまり、エリクト・サマヤのクローンであることを知る(この時、エアリアルことエリクトは自力で動けるようになっていたのでスレッタは不要となっていた)。
そのような理由で精神的に折れたところから、異世界転移し善の勢力・東京卍會と悪の勢力・ミラージュとの抗争に巻き込まれる形となった。

砂漠を彷徨う中、ほむらとカナデに救われ、リーダーであるマイキー率いる東京卍會に合流。
エアリアル(エリクト)がミラージュに組み込まれていることを知り、姉を取り戻すため、グラハム率いるパイロットと魔法少女の混成部隊に入り、ミラージュ引いてはライバル格のイグアスと主に戦っていく。
恩人ほむらや仲間の死に悲しみつつ、ひたむきに戦い続けたスレッタであったが、抗争も中盤が終わりに差し掛かったところで、エアリアルがイグアスの手に堕ちたことを知り、憤慨。
そして最終決戦となった遊戯王OCG世界の戦いにおいてガンダム・キャリバーンに乗り、肉体を捨ててガンダム・エアリアルと融合したイグアスと最後の戦いに挑むが――

エリクト「もちろん、一緒にいるよ。
     だって僕らは、家族だから」
スレッタ「エリクト、正気に戻って――」
エリクト「家族であるイグアスは僕が守るんだ!」
スレッタ「え」

エリクトの放った言葉による精神的なスタッガーが決まり、動揺し動きが鈍ったスレッタに至近距離で放たれたバルカンがキャリバーンのコクピットに浴びせられて撃墜、致命傷を負う。
泣きながら「自分は誰も助けられなかった……ほむらちゃんもグラハムさんも……」と悔いつつ、「でもせめて、カナデちゃんとラスティさんだけは生き延びて」とほむらと自分のリボンを形見としてカナデに託し、最期に機動がフラフラになったエアリアルに向けてロングライフルを放ってから息絶えた……

結果的に、東京卍會はミラージュに勝利した……が、スレッタはそのことを知らないまま死んでいる。
また恩人であるほむらたちを守れなかったことや、最後の戦いでイグアスに負けエリクトを取り戻すことは叶わなかったのである。
これが第二の生を受けることになった本企画において大きな影を落とすことになる……


なお、殺人については大切な人を守るため・参戦時期の都合という大前提があるが、優しい性格に似合わず躊躇はない(結果的に原作ではミオリネを守るために一人しか殺していないが、その際は一切の躊躇いはなかった)。
本企画では先の東京卍會とミラージュとの抗争経験もあり、戦闘の中で『倒すべき敵』と見なせば殺しも原作以上に戸惑わなくなっている。



【今大戦での動向】
大東亜共和国世界・東京の某所にてスレッタは目覚める。
死んだハズの自分がなぜ生き返り、どう見てもあの世には見えない場所にいるのか困惑と疑問をはらみつつ、人混みの中を探索すると東京卍會(以下東卍)のリーダーであったマイキーや戦友のほむら・正嗣を発見する。
しかし、いずれも塩対応というかよそよそしく素っ気ない対応を取られてしまう。
マイキーは自分が知らない東卍以外の者とは親しげに話していたのに対して、である。

こらら戦友たちの対応に対し、ほむらに関しては自分が助けられなかったことに腹を立てているのでは、マイキーや正嗣に関しては「実は東京卍會はミラージュに負けていて、自分たちはそのミラージュに囚われたかもしれないから気分を悪くしたのかもしれない」、ひいては「自分はなにか知らないうちに嫌われることをしたんじゃないか」とスレッタは誤解する。
(実はここにいるマイキーやほむら、正嗣は参加した抗争の戦友たちとは別世界線の別個体であることをスレッタは知らない)

そして唐突に始まったのは大東亜共和国の『関東軍』を自称する軍人たちによる「これからあなたたちには戦争をしてもらいます」という言葉から始まる、大東亜共和国におけるクーデター軍『関西軍』との戦争への強制参加であった。
よく見ると首には首輪がはめられており、無理に外せば爆発するのだという。
戦争への強制的参加は酷いと反論したスレッタやマイキー含めた数人だったが、そこに対立する関西軍の非道映像が流された。
いかに敵軍が外道か……暴力・略奪・虐殺・レ○プ……敵軍によりあらんかぎりの非道が戦場で行われていた、という内容だった。
関東軍は関西軍に勝つために召喚装置というもので、外の世界から戦える者を呼び込まないといけなかったのだという。
首輪はあくまで裏切り防止のための装置だと伝えられた――そんなプロパガンダである。

だが、スレッタや数名はこのプロパガンダを信じ、完全に騙されていた。
件の映像については関西軍はミラージュをも越える外道集団だと思い込ませるには十分であった。
そして関東軍として関西軍と戦っていくことを決める……敗戦したかもしれないミラージュとの抗争との二の前にならないように。



東京の格納庫にて、スレッタはMSであるストライク・ダガーを与えられ、慣熟訓練を行っていた。
ダガーの性能を乗っていたキャリバーンなどと比べると頼りない性能だったが、それでもお構いなしに訓練を続ける。
スレッタは前回の戦いでイグアスに完敗した経験から愚直に力を求めるが故、強くなりたいと考えていたがためである。

それから日をおかずして、ダガーに乗るスレッタは関西軍の基地である越後戦線に参加することになった。
与えられた任務はMSによる基地への強襲である。
外道集団である関西軍へは容赦がなく、MSや戦車はおろか、歩兵にも攻撃を加えて殺害していく。
そしてMSよりも格段に小さい機体、ヴァンツァー・ゼニスやギザに乗った関西軍のゲッタと香織が迎撃のために相対してきた。

比較的ましな状態なのもあって香織のゼニスとゲッタのギザの2機を同時に相手取っても有利に戦うスレッタ。
途中で関西軍の真一が右手(ミギー)を変形させて飛距離を増した大量の手榴弾を投げて援護されるものの、スレッタは慌てずにビームライフルで真一を蒸発させた。
それから格闘戦でゲッタ機を中破させると後ろから援護射撃をしていた香織機に肉薄する。
弾幕もかわしてビームサーベルを振るったところで、後ろから鳴ったアラートに慌てて距離を取った。

スレッタ「ホバークラフト? うわっ!?」

体制を立て直したゲッタの攻撃を咄嗟にかわしながらスレッタはミサイルを積んだホバークラフト型の珍妙な機体(ファンファン)を警戒した。
小型のファンファンなどMS相手には力不足には間違いなかったが、そこはエースであるノリスが乗っていた。
運動性の高さから来る小回りを生かし、スレッタによる射撃を躱していく。

そしてゲッタと香織も黙って見ているわけじゃない。

香織「これでも喰らいなさい!」
ゲッタ「くたばれ!」
スレッタ「邪魔を!ああッ!!」

ノリスが囮になったことで、気を取られたスレッタのダガーにゼニスのミサイル攻撃と、ギザのパンチが左足に集中し機体を転倒させられた。
さらにファンファンの攻撃がダガーの盾を、ゼニスのショットガンがライフルとサーベルを破壊する。
回避も防御もできなくなった、その追い込まれぶりにスレッタは恐怖で絶句。

スレッタ「あ、ああ……」
ゲッタ「ゲームセットだ」
香織「真一の仇!」
ノリス「怯えろぉ!!すくめぇ!!
    MSの性能を生かせぬまま、死んでゆけえ!!」
スレッタ「こないで!!」

失禁するほどの恐怖を覚えたスレッタは最後に残った頭部バルカンを放ち足掻くが、うろたえ弾のせいか接近するファンファンに当たらない。
ノリスはトドメのロケットを放たんとした。
そしてダガーはロケットの直撃で爆散したかに見えた。
ノリスはロケットが当たる寸前にポージングを決めた筋肉男の彫像がダガーを守ったのを見逃さなかった。

ノリス「むぅ!?何奴!!」
アームストロング「悪いが、これ以上仲間を殺させるわけにはいかんのでな」

関東軍の筋肉もとい錬金術師アームストロングが気絶したスレッタを抱える。
スレッタを抱えたアームストロングは脱兎の如く逃げ出す。
香織は追撃のためにショットガンを乱射するが錬成された岩の壁に阻まれ逃げられてしまった。




次にスレッタが目覚めたのは野戦病院であった。
隣のベッドにいる友軍のこーりんこと霖之助によると、越後基地の戦いは、追い詰められた関東軍は越後基地に毒ガスを撃ち込むことで「辛勝」に持ち込むことができたらしい。
毒ガスの使用など、非人道的この上ないが、スレッタの考えは違い、相手は外道集団である関西軍。
基地攻めの要であったハズの自分がノリスたちに負けたから関東軍が毒ガスなんてものを使わないといけなくなったと過剰に自分を責めることになる。
逆に自分を追い込んだ軍人――ノリスに関しては「私はあの人に勝ちたい」と歪んだ闘志を燃やすことも見せていた。

一方、同じ野戦病院に担ぎ込まれたこーりんはスレッタを虎視眈々と狙っていたことを知らない。

後日、越後基地とほぼ同時期に行われた名古屋基地防衛戦に敗北した関東軍は、適合という問題をクリアをすれば関東軍の機甲部隊の大戦力になるかもしれないスペルビアのパイロット候補探しを行う事になる。
スレッタもその一人として格納庫に召集されるが、越後基地での戦傷がまだ残っていたため、適合試験は後回しという形になった。
ちなみにこのスペルビア、デスドライヴスという元は人類を侵略していた心と命があるロボット生命体であったが、本人曰く「武人としての誉れ高い死」を望んでいるらしく、そこまで悪い人(ロボット)には見えないという感想であった。

再び、野戦病院に戻ったスレッタ。
予定される退院は間近に迫っていたが、ここでこーりんが口説きにかかり、胸を揉まれた。
これまでの傷心もあり、もう少しで危うく堕とされそうになるスレッタだったが、そこへ恩人であるアームストロングがやってきて慌てて行為を中断。
アームストロング曰く、助けたスレッタの様子を見に来たのと、関東軍の仲間である宝太郎たちが群馬で音信不通になった村の調査に向かっていたが、その仲間たちも音信不通になったという情報を持ってきたのだった。

アームストロングは自分もいく、という結論を出したが、問題なのは群馬に行くための足がない。
そこで野戦病院から退院したスレッタが、自分がアームストロングを戦闘機であるコア・イージーに乗せて運ぶという提案をする。
スレッタが命の恩人であるアームストロングを慕ってるからこその提案であった。

野戦病院から退院したスレッタはアームストロングを乗せて群馬の村へと飛び立つのだった。
アームストロングからは危険地帯に連れて行くことに申し訳無さや不甲斐なさを感じながらも感謝されるが、スレッタは仲間のピンチと恩人の頼みなら構いませんと笑顔を向けるのだった。


そして二人は壊滅した夜の群馬の村に到着した。
そこには宝太郎が変身するガッチャードデイブレイク スチームホッパーが越後基地の空戦にも現れたという関西軍の化け物(ギャオス)と戦っていた。
ガッチャードデイブレイク スチームホッパーの方は必死で、何かに取り憑かれたかのようにギャオスを倒そうとしていた。
何かを感じ取ったアームストロングは降りて加勢し、スレッタもアームストロングが命の恩人であるがゆえに自分もコア・イージーでギャオスと戦うことに。

アームストロングは宝太郎に撤退を提案したがりんねを殺した化け物を倒すまで逃げないと引かなかった。
それが原因で残る加治木やゲロウジームやアームストロングやスレッタを危険な目に巻き込んでるとは気付かず……
だが好機到来。
戦いの中でギャオスが苦手な朝日があがり、スレッタたちの援護もあって宝太郎の必殺技が決まりそうになった。

だが、そこへジェット機並の速さを誇る関西軍のプロペラ魔戦闘機が上空から来襲。
機銃攻撃の命中で宝太郎の必殺技を空振りさせ、跳弾で応援していた加治木の命を奪った。

プロペラ魔戦闘機に乗っていたガーディルマンのおかげで九死に一生を得たギャオスは、関西方面へ一目散に逃げだす。
それに並ぶようにガーディルマンとドラえもんも一気に群馬から離脱しようとした。

だが、仲間と群馬の村の住人を殺された復讐に燃える1人の少女、スレッタが魔戦闘機をコア・イージーのミサイルと機銃で攻撃しようとした。

しかし、ミサイルは魔戦闘機に届く前にギャオスが超音波メスで粉砕。
機銃は多少命中したが、『撃墜』には至らず、離脱されてしまった。
この時、実は魔戦闘機の後部座席に乗っていたドラえもんに機銃が当たり、キルしていたが、そうとは知らないスレッタは歯噛みするしかなかった。

追撃が間に合わなかったスレッタは壊滅した群馬の村に降りた。
群馬の村の住人は全滅であり、調査に向かった仲間のほとんどもギャオスにやられたのだという。
これに関してスレッタは関西軍への怒りを募らせるのであった。

そんななか、スレッタはゲロウジームがいきなり消えたことに気付き、後に宝太郎やアームストロングに伝えた。
ゲロウジームはすぐに姿を現したがギャオス戦が激化するにつれて怯えてしまい、透過していたのだという。

宝太郎「加治木は最期まで頑張ったのに、お前は……!」

戦いが終わり、透過を解いたゲロウジームに宝太郎が怒りを顕わにする。
助けれなかったのは事実だと反論せずされるがままだったゲロウジーム…
スレッタやアームストロングは制止しようとするが親友を二人も奪われた宝太郎は思わずスレッタたちにも怒鳴り、その後宝太郎は自己嫌悪に襲われる。

宝太郎「ごめんなさい!二人は悪くないのに、悪いのはゲロウジームだけなのに……!」

自己嫌悪に陥ってスレッタとアームストロングに咄嗟に謝る宝太郎。
そこへスレッタは反論をする。

スレッタ「違います!ゲロウジームさんは何も悪くない!
     悪いのはあの怪獣と、あのプロペラ機のパイロット…関西軍なんです!」
宝太郎「そうか。たしかにこんな戦争が起こっていなければ、あんな怪獣や関西軍のパイロット達が居なければ誰も死ななかった。……だから関西軍は倒さなきゃダメだったんだ!」

メンタルボロボロの宝太郎にスレッタの言葉は効いてしまった。
おかげで宝太郎はギャオスとプロペラのパイロット(ただし中身は見えて居ないので宝太郎には誰かわからない)を第一に恨み、次に関西軍を恨むことに。
関西軍を敵で、早急に戦争を終わらせるべきだと関西軍全体に恨みを向けたのだった。
一方、アームストロングは主戦派になってしまった宝太郎と、関西軍へのヘイトが想像以上に溜まっていたスレッタの見えぬところで頭を抱えることになるのだった。



群馬から戻ったスレッタとアームストロングたち。
しかしアームストロングは派遣した仲間の多くを無駄死にさせたとしてアームストロングに非難が集中。
スレッタは反論するも効果はほとんどなかった。
信頼が泥に塗れたアームストロングを助けるには自分がもっと戦果を挙げるしかないと考えるスレッタ。

そんなスレッタが次に訪れたのはスペルビアのいる格納庫だった。
シロー・イオ・イプシロン・グラムたちが適合するか試したものの、全員排出かアビスの悪臭に耐えられないという結果になってしまったらしい。
その中でスレッタも試しに適合を試みた。
結局、排出こそされてしまうが、他の4人よりは長く持ち、アビスの悪臭も根性で耐えた。
全ては憎い関西軍を撃滅するために……

原作のルル(人物)のように何度も繰り返せばそのうち乗れるようになると判断した関東軍はスレッタにスぺルピアのパイロットに任命した。
ただし、完全な適応には時間がかかるため、この後に起きる佐渡島防衛戦と浜名湖防衛戦の戦いには参加が間に合わなかった。
スレッタとスペルビアの調整を行っていたギニアスも寿命が近いという理由で浜名湖にあるアプサラスⅢの完成に向かってしまったため、余計に遅れることになってしまった。
スペルビアとの適合訓練が難航し、焦るスレッタに火傷が治ってないので同じく佐度島・浜名湖戦には不参加だったこーりんがスペルビアとの適合を頑張る彼女にコーヒーをさしいれたりしていた(下心を隠しつつ)。
スレッタ視点だとこーりんはスケベだけど根は良い人に見えていた。

なお、マイキーが塩対応をしていたことを謝りに来ていたのをこーりんが口八丁でインターセプトしていたことをスレッタは知らない。

余談だが、この時点のスレッタの矢印はこーりんではなく恩人のアームストロングに向いている(と言っても恋というより敬愛の方が大きいが)。
こーりんはまだスケベな良い人どまりであった。
ミオリネについては参戦時期的にフラれた後やし、別れてから時間もだいぶ経ってるので、もはや諦めている。

そしてスペルビアとの適合を頑張るスレッタの周りにアームストロングのみならず、宝太郎、敷島、グリーグのような主戦派や、こーりんやMURのような隠れた危険人物、更には鶴見みたいに何か企んでそうな奴まで絡んできて仲良くなるのはひたすら不穏な様子を見せていた。
格納庫の周りにはスレッタを応援する者たちが日増しに増えていった。
その中で敷島と同じ戦闘機パイロットである孤門から「諦めるな」とフォローを受けた。


スレッタ(孤門さんも諦めるなと言ってる。
    私は諦めない、スペルビアさんと適合することも、強くなることも……
    そして、関西軍を討ち滅ぼすんだ!

    そうすればマイキーさんや東卍の皆にも貢献できる!)

宝太郎ほどではないが、スレッタの関西軍への憎しみはそうとうなものであった。
孤門の言葉でスレッタが関西軍殲滅を決意する回のタイトルは『ただそれだけできれば英雄さ』と皮肉なものになった。

また、支援レスでは三日月やハサウェイ(どちらも未参戦にして結末が悲惨)がスレッタを見ているだの、初代ガンダムのOPを替え歌にして

「燃えあがれ 燃えあがれ 憎しみ♪」
「まだ怒りに燃える闘志があるなら、巨大な敵を 撃てよ 撃てよ 撃てよー」
「(関西軍に)正義の怒りをぶつけろスレッタ 機動戦士スペルビア」

という人の心がなさそうな支援レスが挙げられたりしていた。


本編に戻る。
もうすぐ、関東軍の戦況は佐渡島は敗北し、浜名湖は勝利を収めたという一進一退の攻防を繰り広げていた。
ここで関東軍は膠着状態の戦況を一気に覆すため、関西軍の領域へ一気に侵攻する『桶狭間』の作戦が開始されようとしていた。
だが、スペルビアとスレッタの適合はまだ成功していない。

さらに焦るスレッタにこーりんはトマトの入ったダンボールと、「マイキーからの言伝」を差し入れる。
マイキーからは最初に会った時に塩対応してしまった件への謝罪であった(なお、マイキーのミスで別世界線の別人であることはこーりん・スレッタに伝わっていない)。
これによりマイキー達東京卍會に貢献したいという思いが強まった。
それにミラージュとの抗争でイグアスに負けた後悔をバネにモチベーションを保つスレッタ。

そんなスレッタとスペルビアは休憩がてらにこーりんが差し入れたトマトを一緒に食べた。
2人の間に少しだけほっこりした時間が流れる……

するとどうだろうか、今までうまくいかなかった適合が上手く行き、スレッタはスペルビアの中で魔法少女みたいにスーツを纏った。
スペルビア曰く、今のスレッタはルルとなんら変わりなしと言われ、適合の成功を宣言。
周りの宝太郎ら主戦派たちは2人の努力の賜物と見て祝福した。
……その中でトマトを差し入れたこーりんだけは冷ややかな目をしていたのを二人は気づかない。

その後、訓練を終えて自室に戻ったスレッタは髪の中にぽつぽつと白髪が生えているのに気づく……スレッタは訓練によるストレスのためであろうと思って無視した。



スペルビアとの適合から日をおかず、関東軍による桶狭間の侵攻作戦が始まった。
スレッタは出撃前に同じ輸送機ミデアに乗っていた火星生まれのグラムと話す時間があった。

スレッタ「火星生まれなんですか? アーシアンの人ばっかりだと思ってました」
グラム 「水星の出身なのか、俺の世界の水星とはずいぶん違うみたいだな」
スレッタ「どこも宇宙は大変なんですね……地球でも、こんな状況だったりしますけど……こんなに自然もあって美味しい食べ物もあるのに、なんで内戦なんてしてるんでしょう?」
グラム 「俺の火星も内戦があったり海賊がいたりしたけど、そうだな──」

言いかけたところでアラームがなる。
出撃警報だ。

グラム 「そうだな、この戦いが終わったら金星猫吐き戻しでもごちそうしながら話すよ」
スレッタ「き、金星猫……はきもどし……?」

大量のミデアで輸送される兵士、兵器、召喚者たちであったが、関西軍も黙って敵部隊を通す気はなく、狙撃型MS部隊や戦闘機やギャオスなどの航空戦力をもって迎撃に当たる。
スレッタの乗るスペルビアもミデアが狙撃で撃ち落とされる前に出撃し降下、関西軍への攻撃を始めるのだった。


そんな中で関西軍の織莉子と遭遇。
何やら負傷しているようだが、今のスレッタに躊躇はなし。
殺そうとした所を同じ関西軍のキリカが庇われ、負傷させるも織莉子には後方へ逃げられてしまう。
キリカは単身でスペルビアに挑むことになる。

キリカは原作同様に魔女化覚悟で足留めし続けたけたが、ここでデラーズの乗るMSドムが参戦。
総員退艦を指示して自分の専用機のドムでシローに続いて降下したデラーズから、ガンダムすら置き去りにするスピードと腹部のビーム兵器という機体性能を活かした一撃が、織莉子の目の前でキリカを肉片に変えるアシストをした。

キリカ「!!?(目が──織莉子──)」
デラーズ「ギニアス将軍、良い整備をしてくれた……」
スレッタ「直撃させます!」

魔法少女になって視力を強化していたことが仇になり目潰しを食らったところをついに、という形になり、スレッタの乗るスペルビアはキリカをなます斬りにした。
再び、デラーズと共に織莉子を追いかけることに。

織莉子「ここまで来れば……!」
スレッタ「逃さないっ、堕ちろぉ!」

それは今までのスレッタなら絶対言わない語気の強い台詞であったが、イグアスやノリスとの戦いの敗北、プロパガンダ、群馬におけるギャオスが起こした悲劇、ついでにミオリネとの失恋があいまって性格に変化が出てきたと読み手からは指摘された。

スペルビア「! 敵だ!」
スレッタ「なっ、キャァ!?」

ノリス「間に合ったな……攻撃を開始する!」
シロー「あのグフ、まさか!」

スペルビアにガトリングが突き刺さり、コックピットに当たる寸前で物陰に転がり込む。
シローの乗るEz-8(とバラート&大智)もまた、ノリスのグフカスタムと同じ戦場で対峙した
本格的な戦いが始まる前にデラーズと敵軍のノリスが元は同じジオン軍の将兵であったことがわかったが、デラーズはそれでも戦いを始め、スレッタもまた戦いを始めるのだった。

ちなみにこの場の状況としては、召喚者の数は関東軍のデラーズ側が圧倒的だが、その代わり随伴してる雑兵(MS含む)の数が関西軍の方が多いという状態であった。
雑兵と言えどは肉壁や時間稼ぎくらいはできる。
シローやスレッタたちはノリスとデラーズが戦ってる横で関西軍の名もなき兵士相手に戦っていた。

戦況は膠着状態であったが、状況が変わったのはこの場でノリスに自分たちを狙わないなんらかの事情があることに賭けてスレッタを襲おうとしたザクを墜としてビームサーベルで更に一機を大破させると、シローはスレッタたちに言った。

シロー「みんな、今のうちに脱出だ!」

その狙いはデラーズを孤立させて雑兵に襲わせるないしはノリスと別れされることだった。
困惑するスレッタたち。

スレッタ「ええ!?どういうことなんですかシローさん!」
シロー「デラーズはおそらく関西軍側の内通者だ、毒ガスを俺たちにばらまく危険がある......」
バラート「お、おい、その根拠は?」
シロー「根拠はモノアイの発光と、明らかにあのグフ相手に手を抜いていたところからだ」
大智「確かに、モノアイの件は見たが......」

スレッタにすればキリカとの戦いで援護してくれたデラーズが裏切るとは考えたくなかったが、ノリスと同じジオン軍というのは事実。
果たして信じるべきはシローだろうかデラーズだろうか……スレッタは悩んだが、その悩みが解決するより早く、ダリル率いるジムスナイパー部隊の遠距離攻撃に晒される羽目になった。
2機と2人は散開しないといけなくなり、戦場の中でバラバラに逸れる羽目になった。



そして狙撃ビーム攻撃から逃れた先でスレッタとスペルビアが見たものは、関西軍のブロリー相手に倒れ伏したマイキー、ゆき、めぐみん、マサツグ(正嗣とは別人)だった。
特にブロリーにはマイキーに手を出し、今にもトドメを刺そうとしているように見えた。
……少なくとも二人にはそう見えた。

迷っている暇はない、スレッタの乗るスペルビアは突入した。

スレッタ「やめなさい!!」

ブロリーを袈裟斬りにするべく、猛スピードで接近し槍を振るったのだ。
いかなブロリーでもボロボロの状態ではこの斬撃を避けることはできない。














マイキー「危ねえ!ブロリー!!」
ブロリー「マイキー!?」

マイキーはブロリーを蹴ってスペルビアの一撃から庇い、身代わりとなったその肉体は袈裟斬りに両断された。

即死である。

スレッタ「え……?何でマイキーさんが、敵を庇って、私が殺して……!」
スペルビア「これはいったいどういうことだ…?」
ブロリー「マイキー!?、マイキー!!
     貴様ァッ……ぐう」

スレッタはマイキーを自分の手で殺めた事実を受け入れられず、パニックに。
スペルビアはマイキーが敵を庇った事情がわからず、困惑。
ブロリーはスペルビアに怒りの攻撃を叩き込もうとしたが、傷の痛みに耐えられず悔しそうに片膝をついてしまう。

ゆきたち、周囲の者が気絶から覚めたのはこの直後であり。
ほむらたちが到着したのも同時であった。
余談だが、この場合、スレッタおよびスペルビアの首輪は誤殺および利敵行為を行ったマイキーへの粛清とカウントされて、爆破はされない。


ほむら「その刃から流れる血……あなたがマイキーを殺したのね、スレッタ・マーキュリー……!」

辿り着いたほむらがスペルビアを睨む。
同じ軍だからこそスペルビアの搭乗者がスレッタだということはわかった。

マサツグ様「やれやれ……。笑えない冗談だな。どうして東京卍會だったお前がマイキーを殺したんだ……!」

ウォーズめぐみん「仲間を殺すなんて……絶対に許せません!スレッタ、あなたはもう東京卍會失格です!」

そしてそこにキリトも辿り着いて……唖然とした。
自分達のリーダーの死と、彼を殺したのが明らかにスレッタだということに。
あのブロリーが片膝をついてるのも驚きだが、それ以上に仲間を殺したスレッタに問い掛ける。

キリト「どうして……どうしてパーティーメンバーを殺したんだ。答えろ、スレッタ!」

かつての仲間達やミラージュだったのに東京卍會になった男に言い詰められて……
マイキーの死骸に寄り添って「マイキーくん……!マイキーくん……!」と泣き声をあげるゆきを見て……

スレッタ「あ、え、あ……。私は、私は……」

パニックになったスレッタはスペルビアを動かし、まるで逃げるかのように走らせた。
なんで、どうして、こうなった、のか自分でもわからずに。


その先で待っていたのはまだ息のある溝口(ヨンファ)を担いで同じく前線から後退してきたアームストロングと、前線が押し上がったことで前進してきたガンタンク部隊の長であるこーりんだった。
スレッタはスペルビアから降りるなり、アームストロングの上裸に泣きついた。

アームストロング「どうしたのだスレッタ・マーキュリー?」
スレッタ「私、マイキーさんを…マイキーさんを殺してしまいました!」
アームストロング「なんと…」

泣きじゃくるスレッタと困惑を隠せないアームストロングを尻目にスペルビアとこーりんは不可解な事象について話し合う。

スペルビア「スレッタはマイキーを守ろうとしただけだ、だが、どういうわけかマイキーは尖兵(ブロリー)を守ろうとして、果てたのだ」
こーりん「ふーん、なるほどね」
スペルビア「何がなるほどなのだ?」
こーりん「マイキーの行為は立派な利敵行為じゃないか。
     周りの奴らもスレッタを非難するよりなぜ関西軍の尖兵を倒さない?
     思うにマイキーは…いや、東京卍會は、関西軍の回し者だったんじゃないか?」
スペルビア「憶測の域は出ぬ話だが、可能性もゼロではあるまい……が」
こーりん「これはただの直感だけど、奴らはきっと集団で関東軍を抜ける。
     仮にそうなれば推測は当たってたことになるね」

そんな四人の頭上の空を何発もの巡航ミサイルが通過していった。
関東軍側から飛ばされたものである。
同時にヨンファを担いだアームストロングの背中から生温い感触がし、スレッタの顔が青ざめる。
この時、スレッタはマイキーを誤殺したことでパニックに陥っていたので首輪爆破でヨンファが死んだことに気付けなかった。
こーりんとスペルビアもまだ困惑気味で気付けなかった。

スレッタ「アームストロングさん、どうして」

ヨンファを担いでいたアームストロングはヨンファを降ろして状態を確認するとヨンファは死んでいた。

ヨンファは実はこの時、大量のミサイルの中に毒ガスであるGUSOUを一発に仕込んでおり、必要のない大量虐殺を行おうとしたので、関東軍上層部の判断により首輪爆破を介して処刑が行われたのだが、スレッタたちは知る由もない。

それからしばらくして戦場の中心で強いEMPが発生。
それは東卍を中心とするメンバーが起こしたもので大量のミサイルを関西の町に飛来するのを防ぐのと同時に、首輪の機能がダウンした。
しかしスレッタたちは首輪解除されることはなかった。
全員首輪解除者のいる現場から遠い後方にいるから仕方ない部分もあるが、スレッタ、スペルビア、東卍から危険視されてるのでどのみち外してはもらえなかっただろう。

やがてEMPの効果も切れ、そして遠方から『グルヴェイグ』という関西軍の潜水艦から陽電子砲の雨が戦場に降ったりと、混迷を極める戦場だったが、そこへ関東軍の最終兵器と目される謎の巨大機動兵器が関東軍の援護に現れる。
見た目「だけ」は美しい女神像のように見えるせいか、遠巻きから見ていたスレッタは「なんて素敵なロボット」とか感想を述べた。
関東軍の上層部司令から『ヴェルム』という味方の切り札である兵器なので間違って攻撃しないように、と、注意を受けた。

その一方でスレッタは


スレッタ「ほむらさんも、キリトさんも帰ってこない……まさか……死んじゃ……」

『思うにマイキーは…いや、東京卍會は、関西軍の回し者だったんじゃないか?』
『奴らはきっと集団で関東軍を抜ける』

スレッタ「……! そんなはず、そんなはずない! 卍會の人たちは、裏切ったり仲間を見捨てて逃げる人じゃない! それは私が一番信じられる!」
スレッタ「スペルビアさん、お願いします!」
スペルビア(なんだ、スレッタが『馴染んでいく』……!)

未だ戦場には傷つきながらも生きている戦士たちがいる。
スレッタとスペルビアは負傷して動けなくなっている関西軍救出の為に再出撃した。

だが現実は無情。
名もなき兵士を助ける度に東卍と脱走したと思われる召喚者に対して嫌な情報しか集まらなかった(あくまで助けた名もなき兵士からスレッタが聞いた話での視点だが)
兵士曰く、デカマスターが武器も持たぬ少女に襲いかかったという、本人に聞いて確かめようにもドギーは死体で回収された。
なぜか男である曾良が女児にレイプされた後に切り殺された。
ほむらが助けるふりをして少女の首輪を吹き飛ばして殺害した、など。
更に途中で拾ったシャロから「めぐみん」には気を付けた方が良いと言われたりと、スレッタの感情はもはやぐちゃぐちゃだった。

そんなスレッタとスペルビアは、同じ関東軍でありながらヴェルムに攻撃する仮面ライダーナイトこと蓮を発見する。
首輪は外れていた、そしてヴェルムが不利とまではいかぬが、蓮の行動は完全な利敵行為、今のスレッタが許せるはずがなかった。

スレッタ及びスペルビアは、ヴェルムを援護するべく背後から蓮こと仮面ライダーナイトを槍で串刺しにした。

蓮「ぐはあ!」
スレッタ「この裏切り者ッ!!!」

致命傷を受けた蓮の変身は解除され、同時にスレッタ(スペルビア)は槍から引き抜くと同時に力強く地面に叩きつけた。
蓮の肉体は潰れたトマトのように戦場の土を赤く染めた。

ヴェルム「助かりました、勇者スレッタ、勇者スペルビア」
スレッタ「あなたは人が乗ってるMA……じゃない。
     スペルビアさんやバラートさんと同じ機械生命体?」
ヴェルム「その通り、私は数年前にこの星に降り立ち、召喚装置を人々に授けたもの…ヴェルム・ヴィータ」
スペルビア「ヴェルム・ヴィータ……」

2人に、関東軍に対してはまるで女神のような態度を取るヴェルム。

ヴェルム「どうやら桶狭間の戦いは我々の勝利です…が、こちらも離反者が多く被害が大きい様子。
     いったん、近くの基地まで後退します」
スレッタ「まだ負傷して動けない人や卍會の人がいるかもしれません!」
ヴェルム「……わかりました、私も可能な限り探しましょう」

ヴェルムも手伝う形でスレッタの捜索を手伝う(フリをした)、だが、見つかったのはほとんどが無惨な死体に成り果てているか、既に戦場にいないかのどちらかであった。
途中再び、ギーツキラーこと釘宮と交戦していた宝太郎を発見。
圧倒的に押されながら宝太郎も頑張って食らいついてはいたが、ここでヴェルム、スレッタ(スペルビア)が宝太郎に加勢したのもあり…最終的に数の理で押し切られ釘宮は限界を迎えた後、宝太郎のアイアンナックルでふっ飛ばされそのまま海中に没した。


結果、スレッタが助けられたのは宝太郎と名もなき兵士のみ、彼は虚空に向けて会話しだすほど精神をやられており、スレッタやアームストロングはその様を見ていられない様子だった。
蓮の突然の裏切りについては洗脳されていたんじゃないか?という疑惑に発展し、仮にもしそうなら洗脳したものへの怒りと蓮を殺してしまった自己嫌悪がスレッタに襲い掛かる。

スレッタにとってはマイキーを殺してしまうことを始め、同じパイロット組として支えてくれたグラム・孤門の戦死も聞かされた。
そして東卍含む多くの召喚者が第三軍として抜けていったことなど最悪の日だったが、桶狭間の戦い自体は関東軍の勝利で終わった。



ヴェルムは桶狭間の戦いが終わって最寄りの基地まで戻った後、この戦いの『真実』を残った召喚者の面々に話した。

元々、別の星からやってきたヴェルムはこの星の住人と共生していたが、人類に豊かさを与え、場合によっては死すら超越する「異世界召喚装置」を作り上げた
ところが召喚者の中に裏切り者が出て、3機あった召喚装置の1つを強奪(もう1機は地震で喪失)されてしまった。
その強奪した者たちが今の関西軍であると。
仮に関西軍に関東軍側に残った装置を奪われれば、装置の精度は完全となり私利私欲に使うだろう。

また、これまでの関東軍側の毒ガスによる虐殺や大量破壊兵器使用の責任は全部溝口を騙っていたヨンファとデラーズのせいだと彼女は語る。
スレッタは桶狭間の戦いではキリカ撃破を援護してくれたデラーズが裏切者であると信じたくはなかったが、ヴェルムの言葉を真実と鵜呑みにし、なお関西軍への敵意を高めるスレッタであった。



桶狭間の戦いから数日後、奈良県でギャオスとグラトニーによる大虐殺事件が起きる。
奈良県はまだ関西軍の領域である上に、名古屋(愛知県)からは遠すぎるため、余程の機動力がないと向かえない。
それでもミラージュと抗争をしていた東京卍會・第三軍なら動くとスレッタは信じていた、が……


スレッタ「だ、大丈夫…東卍のみんなならきっと来ます、あの人たちなら怪獣も……」

関西軍側からのプロパガンダ報道。
敵軍の報道だが、第三軍が全く助けにこないので余計に真実味を帯びる。

スレッタ「どうして……」

結局その日は第三軍は全く動かず、敵軍である関西軍が迎撃に向かうも蹴散らされ、民間人は次々と犠牲になった。
関西軍に被害が出るのは良いが、流石に民間人まで巻き添えを喰うのはスレッタ自身も良くはなかった。
そして復讐心にしびれをきらした宝太郎がギャオスを殺したいがために独断で奈良県にバイクを走らせて行ってしまった。
スレッタやアームストロングが追いかけようとするけど、ヴェルムに止められてしまう。
スレッタたちでできることは何もなかった。
東京卍會が奈良に来ることを信じてたこの回は「大丈夫だって嘘ついて一人きりで震えてる」と名付けられた。



桶狭間の戦いが終わり、奈良県がギャオスグラトニー襲来の報道が流れたその日の夜のこと……

アームストロングとこーりんは次の作戦が始まる前にシャワーを浴びていた。
こーりんは勝ちを重ねる関東軍に対し余裕の心さえ持っており桶狭間では(味方に隠れてだが)敵女兵士のレ○プも久しぶりに行えてホクホクだが、隣でシャワーを浴びているアームストロングの辛気臭さに押され、表情に出せないでいた。
というのも彼は群馬県での件以来全ての頑張りは空回り、宝太郎は壊れ、スレッタは迷い、デラーズたちは離反、他の関東軍の面子は戦争を肯定。
もはや自分はこの内戦でどうすれば良いかわからず、シャワーを浴びながらため息を吐いていたほどだ。

その時だった、二人の前に彼女が現れたのは

スレッタ「アームストロングさん、リンノスケさん……」
アームストロング「ス、スレッタ・マーキュリー!?」
こーりん「おいおい、裸じゃないか?!」
スレッタ「ごごご、ごめんなさい、シャワー交代の時間を間違えました……でも……」

スレッタが裸でシャワールームに現れたことに驚くアームストロング(全裸)と、流石にこの展開は予測してなかったこーりん(全裸)は狼狽える。
しかし彼女の表情は慌てた表情からすぐに羞恥とは違う泣き顔に代わるのだった。

スレッタ「アームストロングさん、リンノスケさん、私もう、自分でもどうすれば良いかわからないんです」
アームストロング「スレッタ……」
こーりん「どうしたのさ?、言ってみてごらん」
スレッタ「ミオリネさんに振られた、マイキーさんを殺してしまった、……東卍失格と言われた私にはもう何も残ってない……
     それこそ私にはもう二人しかいないんです」

アームストロングは理解する、頑張りが空回りしたり悩んでいたのは自分だけではないと。
そしてスレッタは越後以来の命の恩人である自分を頼っているのだと。
対するこーりんも、これはアームストロングさえ何とかすれば彼女の処女を奪えるチャンスだと睨む一方、自分が想像していた以上に自分がスレッタに人として信頼を向けられていたことに複雑な感情を抱いていた……

アームストロングは悩みではち切れそうになっているスレッタを優しく抱き締めた。

アームストロング「我輩もだ、スレッタ・マーキュリー」
スレッタ「アームストロングさん…」
アームストロング「我輩はお主を助けた事に関する責任がある。
         スレッタがマイキー殿を死なせてしまった事故は我輩の責任でもある。
         お主が地獄に堕ちるべきとあらば、我輩も共に堕ちよう。
         お主は1人じゃない、我輩も共に戦おう」
スレッタ「アームストロングさん!」

二人は強く抱き締めあった。
お互いの心臓の高鳴りを感じつつ……

こーりん(あーあ、完全に出し抜かれたな。
     縁がなかったと今回は諦めて腹いせに捕虜でもレ○プしてくるか)

二人の世界になったシャワールームに付け入る隙がないと見たこーりんは「撤退」しようとする。
……なぜかスレッタを一人占めできなかった事に苛立ちを覚えながらも。
ところが

スレッタ「リンノスケさん、も」
こーりん「おや?」
スレッタ「ありがとうございます」

スレッタはアームストロングだけでなく、こーりんをも抱き締めた。
なぜだが、こーりんは悪い気はしなかった。
いつものこーりんならこの後、スレッタを部屋にでも誘ってセ○クスでもするところだが、スレッタの真っ直ぐな眼差しを見て今はヤル気が起きなかった。

こーりん「決めたよ、この戦争が終わったら君の処女を奪いに行く」
スレッタ「ふぇ?!」
アームストロング「なっ、森近殿!?」
こーりん「自分へのご褒美がないとやる気が出なくてね。
     僕が抱くまで絶対に死なんでくれよスレッタ。
     アームストロング少佐、いや、アームストロング。
     戦争が終わるまでにどちらが彼女をものにできるか競争だ……今日のところはおやすみ」

こーりんはいつもの怪しげな笑顔を向けてシャワー室を後にした。

スレッタ「リンノスケさん……」
アームストロング(なんか我輩、勝手に恋敵にされてるのか……?)

この後、二人もシャワー室を出たが、三人でシャワー室から出る姿が目撃されたため「三人はシャワー室でいたしてた」という噂が前線基地に流れた。
「生まれたままの姿で抱き合った」のは事実なため、後から頬を赤らめるスレッタとアームストロング。
こーりんは逆に涼しい感じだったという。

ちなみに噂を聞いた当時の召喚者たちの反応は

グリーグ「お嬢ちゃんも案外好きモンだな、で、小娘の具合はどうだったんだよ? 少佐」

敷島「破廉恥と言いたいところだけど、これが文化の違いか、世界は広いな」

シャロ「……不潔」

ゲロウジーム「ええと、その、反応に困ります……」

MUR「女の体なんて抱いて何が気持ちいいんだゾ……」

スペルビア「これがOMIAIという奴か」

※宝太郎のみ、無反応で虚空に話しかけていたという



スレッタの告白した次の日、グリーグの提案でアプサラスⅢが鎮座している浜名湖基地が第三軍に襲われる可能性を指摘、また防空網基地に改造された埼玉のグワデンも狙われる可能性があるということで、スレッタ・スペルビア・こーりんは浜名湖基地側へ、アームストロングは埼玉に向かうことになった。
具体的にはグリーグの浜名湖駐留を許可したヴェルムは、念のためにスレッタ&スペルビアとこーりん&ガンタンク部隊を名古屋・浜名湖の中間地点に配置し、もし仮に浜名湖が襲撃されても、万が一関西軍が進軍したとしてもどちらにも対応できるように配置したのである。

それともう一つ、ヴェルムはグリーグに依頼する。
もし万が一アプサラスⅢが強奪されるケースを想定して、当機を破壊できる程の爆薬を仕掛けるように、と。
無論解析班がロックを解除してくれれば御の字だが難しそうであり、敵に奪われるぐらいなら破壊した方がいいと計算の上である。

そしてスペルビアには新装備として巨大な対艦刀フツノミタマが配備された。
それからスレッタ、アームストロング、こーりんの三人はそれぞれの戦場に赴く前にスペルビアの前で円陣を組んだ。

スレッタ「三人とも生きて、また帰ってきましょう」
こーりん「ああ、君を抱くまで死にたくないし、ライバルがいなくなるのもつまらないからね」
アームストロング「スレッタの初体験は……うむ、リンノスケ殿には奪わせたくないな」
スペルビア「これが友情というものか……背丈が同じならば私もエンジンに入りたかった」

戦争を通じて結果的に仲良しになった、この三人と一機。
君たちは生きて帰ることができるだろうか?



アームストロングたちが埼玉に向かってからしばらく後に、浜名湖基地の異常はスレッタたちにも伝わり、すぐにでも出撃するように要請が入った。

こーりん「どうやらグリーグの予感は的中したな、遠距離から支援するから急いで行ってくれ、スレッタ」
スレッタ「分かりました、リンノスケさん。行くよ、スペルビア!」
スペルビア「この新たな刀と共に、いざ推して参る!」

スレッタのスペルビアの呼び方から「さん」付けが消えた。
これすなわち、エアリアルと同じくらいスペルビアは彼女にとって信頼できる大切な存在となったのである。

こーりん「僕はガンタンク部隊で援護を行う。
     前にも言った通り、君の処女をいただくのは僕だ。
     死なずに帰ってくるんだ」

こーりんはガンタンクのキャノピー越しにサムズアップをスレッタに見せた。

スレッタ「ええ、わかりました。
     スレッタ・マーキュリー、スペルビア出ます!」

こーりん率いるガンタンク部隊の援護開始まで3分。
スレッタの乗るスペルビア戦場到着まで5分。
勝機が時間と共に失われていく短くも長い戦いが始まった。

ガンダムとブレイバーンの2機相手に戦い続けたグリーグのヴァンツァー・フロストの元にスレッタが駆けつけ、牽制の攻撃で2機を後退させつつグリーグの横に並び立った。

スレッタ「グリーグさん、大丈夫ですか!」
グリーグ「助かったぜ、嬢ちゃん。ついでに聞くが、ガンタンク部隊はいまどの辺りいるか分からないか?」
スレッタ「ちょっと待って下さい、確かこの辺りです」

スペルビアから地図情報が送られ、ガンタンク部隊と浜名湖基地の位置を確認する
そしてグリーグは敵機と交戦しつつ、ヴァンツァー部隊の部下に指示を出す

グリーグ「ガンタンク部隊に光学通信を送れ、内容は――

『浜名湖基地に敵が侵入した可能性大、ガンタンク部隊での基地砲撃を要請』

まだ味方が残っている基地に攻撃指示を出されて困惑するこーりんであったが、出撃前にヴェルムから各部隊に向けて伝達された情報を思い出す。
曰く、浜名湖基地には新潟から連れ出した関西軍捕虜に特別な首輪を付けて洗脳状態にしてある、彼らを殺してしまったとしても首輪は爆破しないように設定してある、と。
ヴェルムの話には半信半疑な部分もあるものの、ここで第三軍にガンダムやアプサラスⅢを奪われるわけにはいかないと判断し、こーりんは号令を出した。

こーりん「ガンタンク部隊全機へ、浜名湖基地に砲撃せよ!機体が奪われるぐらいなら、敵兵諸共破壊してしまえ!」

そして浜名湖基地に落ちる砲撃

ノリス「奴らめ…自軍の基地ごとアプサラスを吹き飛ばす気か!」
ゲッタ「あの戦車モドキをぶっ潰さねえと!」

スレッタ「行かせません!」
スペルビア「行かせんぞ!ブレイバーン!」
ゲッタ「くそっ、邪魔しやがって」
ブレイバーン「スペルビア!この戦争に加担する気か!」
スペルビア「全ては武人として果てるため、推して参る!!」
ブレイバーン「……くっ、『変えられなかった』ということか、やむを得ない。ここで討たせてもらう!」

グリーグ「これで1VS1だな髑髏のガンダム!」
ノリス「望むところだ。例えここが死に場所になったとしても、貴様を討ち、仲間を守らせてから死のう!」

スペルビアとブレイバーン フロストとガンダムEX
今、意地と信念がぶつかり合う。


戦いの中でゲッタとブレイバーンはスペルビア相手に苦戦していた。
前にも増して適合率の上がったスレッタとスペルビアそして新装備のフツノミタマの切れ味と硬度はバーンブレイドのそれを上回っており、ブレイバーンは剣ごと右腕を切断された。

ゲッタ「……ッ! まだだ、仲間たちのためにもここで引くわけにはいかねえんだよ!」

イサミのそれと比べるとだいぶ荒々しいが、ゲッタの勇気が爆発しそうな感じをブレイバーンは感じた。
今ならバーンドラゴンと合体できると睨んだブレイバーンはゲッタに合体用レバーを動かすことを伝えた。
そして、ブレイバーンの指示通り、合体を行うゲッタ。
格納庫からバーンドラゴンが呼び出され、合体が始まった。

しかし……

ブレイバーン「BURN! BURN! BUR......ユ、ユユユユユユユユユウスケェ!!?」
ゲッタ「なんだこりゃあ! うわああああ!!」

ブレイバーンがバーンブレイバーンになる直前、ブレイバーンの装甲が汚濁で黒一色に染まる。
さらにコクピットの中にも汚濁が染みだし、ゲッタはその汚濁に飲み込まれた。
スレッタたちは知る由もないが、ここにきて勇気ではなくジュマによる汚染が爆発、完全発症してしまったのである。
その異様さに戦っていたスレッタたちも警戒から距離をとっていた。


汚濁爆発バーンジュマバーン、降臨。
そして肩から放たれた特大の光線は浜名湖基地を貫通し、周囲の街まで焼き払った。
このジュマバーンひいては第三軍の大虐殺にスレッタは憤った。

スペルビアとジュマバーンは互いに鍔迫り合い、ビームを撃ち合う激戦を繰り広げられる。

そんな中、


鬼龍「さあ、ここから灘神陰流の極意を――」


次の瞬間、スペルビアのフツノミタマにより浜名湖を泳いでいた鬼龍の首が切断された。
ジュマバーンとスペルビアは高速戦闘で戦っていたが、その最中、偶然スペルビアの刀の切っ先が触れたのだ。

スレッタ「あれ……なんか斬ってしまいました?」
スペルビア「味方じゃないから気にするな!」

完全なる事故死、宮沢鬼龍、哀れなり。


視点をスレッタに戻そう。
戦いはスペルビア側が不利であり、ついにはジュマバーンに高い切れ味と硬度を誇るフツノミタマ破壊されてしまい、同時に基地の瓦礫に吹き飛ばされるスペルビアおよびスレッタ。
そしてダメージからスペルビアは一時的に機能停止(気絶)してしまう。
スレッタもまた、痛みで意識を保ってられない。

そしてジュマバーンはスペルビアとコクピットに乗るスレッタにトドメの一撃を叩き込もうとしたその時。
一発の砲弾がジュマバーンの背中に命中する。

それを放ったのはこーりんの乗るガンタンク。
遠距離から受けたそれによりダメージを受けたジュマバーンは、遠方にいるガンタンクに向き直る。

こーりん「化け物め、直撃を受けたのに倒れないか!」
スレッタ「リンノスケさん!」
こーりん「君をアームストロングに取られたくないからね、ほんの点数稼ぎさ」

ジュマバーンは攻撃を与えたガンタンクに向けて高速で突っ込んでいく!
だが、遠のく意識の中でスレッタができることは何もなかった……



スレッタは夢を見た、それは二人の愛した男に抱かれる夢だった。
淫夢であろうか?

こーりん「だからそっちの穴じゃないって言ってるだろ、それから強く体を揺らしすぎ、アンタの身体のデカさじゃスレッタの体が壊れてしまうだろ」
アームストロング「そ、そうなのか…?」
こーりん「まったく、アームストロング家は性指導もしっかりと行うべきだな。
     アームストロング家に代々伝わる性技~って言うね」
アームストロング「我が家に変な流儀を足さないで欲しいものだなリンノスケ殿」
スレッタ「あははは、性行為って意外と楽しいんですねアームストロングさん、リンノスケさん」

アームストロング「ああ、そうだな」
こーりん「そうだよ、性行は楽しいんだ。君もいつか『本物』を味わえるかもね」

とにかく夢の中のスレッタは、幸せであった。
初夜を終えて2人の男に想い想いのキスをするスレッタ。


しかし――キスのあとに二人ともスレッタに背を向けて。

「すまぬスレッタ、さらばだ」
「じゃあね、僕らがいなくても頑張るんだよ」

と去っていくように二人ともフッと消えていった。

「そんな……おいていかないでください、アームストロングさぁーん、リンノスケさぁーん!」



スレッタが目覚めたのは野戦病院のベッドの上。
楽しい時間は全てが夢だったこと、グリーグが持ってきた手紙から状況を把握した。

  • 全体的な戦況はヴェルムの力もあり、関東軍に優勢である
  • 奈良のギャオスとグラトニーの一件は関西軍と遅れてやってきた第三軍が始末をつけたらしい
  • 埼玉のグワデンに向かった召喚者は皆殺しにされた
 そのまま防空網と基地を奪われるわけにはいかないのでミサイル攻撃でグワデンを破壊した
  • 浜名湖基地は壊滅したがアプサラスⅢの奪取だけは防げた、だがこちらの被害も甚大だった――

二人とも既にこの世にいないことをなんとなく察したスレッタのお気持ちは……意気消沈というところだった、
幸い、食欲だけはあったので、グリーグが事前に持ってきたトマトにかぶりついた。
鏡を見ると白髪は余計に増えていたが、スレッタはもはや気にする気もなかった。
そんななか、ふと外からヴェルムの話し声と宝太郎の怒声が聞こえた。
奈良県に言った彼は無事に帰還できたようである。

宝太郎はヴェルムにグワデンの仲間は第三軍に皆殺しにされた。第三軍が虐殺を引き起こしたと教え込まれるんだけど、それを全く信じようとしない。

宝太郎「違う!エース達がそんなことするわけない!悪いのはきっと全部、関西軍なんだ!」

この話し合いに目を覚ましたスレッタが偶然聞き、そのスレッタがギャオスの一件他諸々から第三軍への失望や怒りがアームストロングとこーりん死亡の一件でもうどうにもならないようになっていた。
その上でスレッタがこんな一言。

スレッタ「エースさんとマーベラスさんって人はもしかして第三軍に騙されているんじゃ」
宝太郎「……たしかに第三軍には関西軍の刀を形見みたいに持ってる女の子も居て、エースやマーベラスと一緒に俺に襲い掛かってきた。あの子はきっと関西軍の侍の仲間だ!
    ていうことは、エースとマーベラスは第三軍に利用されてるのか?
    ああ、もうわけがわかんないけど……それが本当なら第三軍も関西軍も許せない!」

スレッタはともかく、宝太郎は混乱状態だ。
そこにヴェルムの護衛を受け持っていた敷島も入って一言。

敷島「……関西軍も反乱軍も誰かに騙されてるんじゃ?」
宝太郎「どういうこと?まさかこの内戦に真の黒幕がいるとか!?だとしたら俺はそいつを許せない!」

そんな黒幕探しをする関東軍の皆様方にMURが帰ってきた。
いつもの陽気なあんちゃんなノリで。

MUR「何?黒幕探しをしてるのか?
   だったら関西軍と第三軍の捕虜を何人か捕まえてきたゾ」

こんなこともあろうかと、MURは敵兵モブ数人を下手に皆殺しにせず、あとで気に入った男をホモレ○プするための……ゲフンゲフン、情報をもたらしてくれる捕虜として捕まえていた。
捕虜たちは首輪をつけられた上に完全に心折れた命乞いモードであり、ありのままのことを話すつもりの軍の屑でもある。

そして、浮上する容疑者たち。

まず、関西軍はダリルという男は一年前から目撃されており他の召喚者よりずっと前からいるということ。
上層部の令嬢に過ぎないハズの幼女、村田ユリカがなぜか潜水艦グルヴェイグに乗っているのを見た者がおり、あたかも指揮を取るような姿を見たとも。

そして第三軍。
デラーズなど戦死した者を除くと、まとめ役てして上がっているのは現・東卍の二代目総長であるゆき、参謀としてブレインとなっている月が上がった。

ヴェルム「おそらくなのですが、ダリルとユリカという存在は召喚装置を盗んだ犯人だと思います。
     ダリル・ローレンツは召喚前はテロリストの経歴もある危険人物。
     村田ユリカは……おそらく偽名で、本名はアウラ・マハ・ハイバル、こちらは元の世界で世界征服を行おうとしたダリル以上の危険人物です」
敷島「知っていたのか?」
宝太郎「なんで黙っていたんだ」
ヴェルム「関西軍の黒幕と思える確証が持てなかったので……、まさか今になって戦場に自ら出てくるとは思いませんでした。
     それからアウラの少女姿に騙されてはいけません、中身は50代を越えた中年女性です」
敷島「ええ……」
宝太郎「ロリババアって奴か……」

スレッタ「ゆきなんて子、前の戦いにはいなかった。
     仮にマイキーさんがやられたらキリトさんかめぐみんさん辺りが総長になってるハズ。
     なんで、いきなり現れた子が総長になってるの?!」
スペルビア「そやつが東卍の面子をマインドコンドロールしていた可能性はあるな。なれば、マイキーがブロリーを庇った理由もわかる。
      戦力にするならマイキーよりブロリーの方が都合が良かったのだろう」
MUR「あいつら、デキてたっぽいけど、SRT(スレッタ)の話を聞くと急に仲良くなったようにしかみえねえな。
   あとRIT(月)には気をつけろ、あいつに名前を知られるとたぶん殺される能力があるゾ、そして仲間を殺せるくらい冷酷」

グリーグ「黒幕探しには興味ねえが、察するに要はそいつらを優先して殺せば関西軍も第三軍も瓦解するんだろ」
ヴェルム「そうですね、アウラ・ダリル・ゆき・月は要注意人物として狙いましょう。
     この内戦を一秒でも早く終わらせるためにも」

スレッタ「そうだ、きっとあの子のせいだ...東卍が変わってしまったのは......!
     あの子だけは絶対に殺す......!」

未だにマイキーが自分の知るリーダーのマイキーと別個体だと知らないスレッタ視点からすると、ゆきという少年(ニューハーフ?)の介入でいきなり東卍が操られたように見えたのだった。
なまじ、前大戦では支配の悪魔たるマキマなんて存在もいたので余計に同じ能力を持っているのではと勝手に思い込んでしまっていた。
これまでのストレスと失ったものが多すぎるせいでスレッタの性格も攻撃的になり、段々正常な判断ができなくなってきているのであった。

仲間とは疎遠になり
一人だけ首輪解除してもらえず
頼りにしていた男たちには先立たれ
それでも生きていた



標的を定めた関東軍は、いよいよ関西軍の本拠地である大阪へと攻め込むことになった。
双方と第三軍も介入してくるだろう総力を尽くした最終決戦である。
途中、ダリルが乗るパーフェクトガンダムによるダインスレイブ攻撃で地上戦力の大部分がやられたが、それでも召喚者とヴェルムは進軍をやめない。
ある者は平和を願い、またある者は欲望のために、またある者は復讐のために――

ふと、進軍中のヴェルムが何かに気づく。

ヴェルム「おや?」
スレッタ「どうしたんですかヴェルムさん」
ヴェルム「大阪の……この位置は大阪城ですね。
     召喚装置を起動したという波動をキャッチしました」
スペルビア「そこまでわかるのか?」
ヴェルム「召喚装置を作ったのはそもそも私です……と言っても以前は遠すぎて詳しい場所まではわかりませんでしたが、ここまで近づけば妨害電波を出して召喚を止めてしまうこともできます」

ヴェルムの瞳が妖しく輝いた同時刻。
大阪城の前に巨大なジャンクの塊が現れた。
ヴェルムのおかげで関西軍は新たな召喚者の失敗に終わり、どうやら大阪城にもう一つの召喚装置があることがわかった。

召喚装置が大阪城にあることがわかった関東軍は、そこへまず向かうようにした。
だが、関西軍の黒幕であるアウラも即座にグルヴェイグに乗船し、大阪城までの道を遮断するように遠距離から陽電子砲やミサイルを放つ。

これでは的が大きい機甲部隊が大阪城に迎えないため、グルヴェイグを先に潰すべく、ヴェルム・グリーグ・スレッタ&スペルビア・敷島はグルヴェイグ撃沈を目指して大阪湾へ。
他がグルヴェイグを引き付けてる間にMURと宝太郎は名もなき兵士たちと共に大阪城へ向かう。


グルヴェイグへ向かう途中、スレッタは中破したゾックから脱出して浜辺を移動する第三軍の一団を捕捉する。
しかもその中には写真で見ていたゆきの姿を見つけたので真っ先に狙いにいった。

スレッタ「あなたが、東京卍會を狂わせた元凶かぁぁぁーーー!!」

怒りと共に放たれたスペルビアの刀は確かに当たった。
ゆきではなく、ブロリーに。
マイキーがブロリーを庇ったように、今度はブロリーがゆきを庇ったのだ。
そしてスペルビアの刀は膨れ上がったブロリーの筋肉を完全に切り裂くことは出来ない。
深傷を負ったブロリーだが、己が肉体のおかげで命拾いはした。
もっとも自らの命がもう残り少ないことは悟ったが……

ブロリー「東京卍會を狂わせたのは……マイキーを殺したのはお前だァ!」

マイキーを殺された時よりも、今のブロリーは回復している。
だからマイキーの仇であるスペルビアとそのパイロットであるスレッタに怒りをぶつけられる。
まだまだ調子が悪いから、本調子の時ほどの威力ではないが、不完全なイレイザーキャノンがスペルビアとスレッタに向けて放たれた。

ブロリー「俺は悪魔だ!だからお前も道連れにする!マイキーを殺したことを地獄で後悔しろ!!」

その気迫は、第三軍の仲間達すらも息を呑む程であった。

イレイザーキャノンを受けて、スペルビアは大阪の浜まで吹き飛ばされる。
コクピットのスレッタは無事だが、今の一撃でスペルビアは致命的なダメージを受けたようだ。

スレッタ「スペルビア、死ぬ時は一緒…でも、ゆきを討つまでは死なないで」
スペルビア「……ああ!武人としての最高の果てを迎えるために!」
ブロリー「死ねええええええええ!!」

弾丸のように向かってくるブロリーにスペルビアは刀を構える。
ブロリーはもはや気弾を撃つ体力もなく、全力全開の拳でスペルビアとスレッタを殺すつもりだ。

そして、拳と刀が交差する瞬間。
スペルビアはスレッタをコクピットから排出した。

スレッタ「スペルビア!?」
スペルビア「すまぬスレッタ、拙者は任務を全うできそうにない……御主に託すぞ…!」

スレッタを失ったスペルビアは龍拳を受けたピッコロ大魔王のように、腹をブロリーに貫かれ、大阪の浜に倒れた。

ブロリー「マイキー……おまえとあの世で……」

しかし、ブロリーもまた、一言呟いた後に首がコロリと落ちた。
相討ちである。

スレッタ「そんな……スペルビア!」

彼女の目線で見るとアームストロング、こーりんに次いでスペルビアまで亡くなった。
グラムも孤門も鶴見も死んだ。
マイキーは自分で殺してしまった。
東京卍會は第三軍として自分を裏切り続けた。

大切な人がどんどん死んでいく現状にスレッタの精神はグチャグチャになっていた。
せめてカナデかグラハムかラスティでもいれば、彼女の精神は保たれただろうが、それはたらればに過ぎない。

スペルビアから強制的に脱出させられたスレッタはブロリーの生首に一蹴り入れた後に虚ろな目をしながらフラフラとした足取りで何処かへと向かっていく…



SSタイトル「今、災厄の魔女が生まれる」



この時のスレッタは、完全に髪の色が全部白く染まっていた……
実はスレッタが関東軍に食べさせられていたトマトはルル化を促進するナノマシンが入っていたのだ。
ルルになれば人間電池としてスペルビアのようなデスドライブズと適合が可能になる上に、身体能力の向上も見られる、人間電池にして人間兵器になるのである。
全ては関東軍側の黒幕であるヴェルムの掌の上であった。

そうとは知らないスレッタはスペルビアの亡骸からそう遠くない場所で関西軍の輸送トラックを発見した。
トラックの中に戦える機体があるならまだ自分は戦えると信じ、名もなき搭乗者たちを元々の身体能力の高さとルル化でさらに足されたパワーで皆殺しにしてトラックを奪った。

その中にはガンダムにしてはふた回りは大きいクスィーガンダム。
ちなみにこのクスィーガンダム、出展元は原作ではなくリピロワ2021であり、原典にはないサイコフレームが積まれている。
そんな魔改造クスィーが関西軍でこれまで出てこなかった理由は、大破した状態で召喚されていたが、最近になって漸く一回だけなら出撃できる程度には修理が終わった。
本来はニュータイプのダリルの予備機として届けられる予定だったが此度の輸送中にスレッタに盗まれる形になったのである。

引き寄せられるようにクスィーに乗り込んだスレッタ。
今迄の悲劇と、先のブロリー戦におけるスペルビア死亡がトドメになってスレッタの精神は完全に崩壊していた。


「絶対に許さない」

「東京卍會を狂わせたあの男(ゆき)も」

「私から大切なものを奪っていった第三軍も」

「こんなくだらない戦争を引き起こしたあいつら(関西軍)も」

「私からすべてを奪っていったこの残酷な世界も」

「――次はお前たちが奪われる番だ。みんなみんな、私に奪われてしまえ」


スレッタの憎悪に呼応するようにクスィーのサイコフレームがどす黒く光り輝き、それに吸い寄せられるようにスペルビアの残骸がクスィーに取り込まれていって



「逃げたら一つ、進めば二つ。――奪えば全部ゥ!!!」



ここに、一人/一機の魔女が誕生した。
魔女と言うにはあまりにも純白で神々しい機体に生まれ変わる。
水星の魔女。スレッタ・マーキュリー/クスィー改め、ガンダム・ヴァルプルギスナハト、誕生。



なお、支援レスには大量のクルーゼが押し寄せていた。


「行けーっ人の業!!」
「まもなく最後の扉が開く!彼女(スレッタ)が開く!」
「彼女にはあるのだよ!全ての世界を裁き望むもの全てを奪う権利が!!」
「人のGO!Let's業!」
「もう誰にも止められはしないさ、彼女達の憎しみの連鎖は!!」
「どの道この国は終わりだ!ジャンクの塊をスレッタ嬢のMSが撃ち抜けば、この一帯は吹き飛ぶ!
 最早止める術はない!諸外国の介入によりこの国の地はまたもや焼かれ、涙と悲鳴はまた新たなる争いの狼煙となる!!
 そして滅ぶ!この世界は滅ぶべくしてなあ!!」

支援レス群には笑いと捉える人も多かったが、今のスレッタの現状だけいうとクルーゼを更にたち悪くしたようなものだから全く笑えない事態であった。
善悪ひっくるめた「人の業」から生まれ落ちてしまったのが今のスレッタ。
魔女の名前と反して神々しいガンダム・ヴァルプルギスナハトの外見も相まって書かれた「愚かな人間を滅ぼすために神が遣わした天使」のようであった。

しかしニュータイプでもないスレッタが何故クスィーの力を引き出せたのか
その答えはルル化も一因だが…

かつての戦い…リピロワ2021でクスィーは二代目マフティーを中心に人々の生きたいという意志…希望を集めた
だがこの戦いでは両軍はひたすら戦火を拡大し、第三軍はいたずらに状況を引っ掻き回している…
これにより大東亜共和国の民の多くは疲れ果て各勢力に対する失望や絶望を抱き始めている。
これに散っていった者たちの負の意志やスレッタの憎悪が合わさったことでかつてのクスィーとは真逆の絶望の意志を集めてしまい、このような変化を遂げる事態に繋がってしまったのだ。

絶望の意志を集める都合、犠牲が出る度に更に強くなり当然その意志が更にスレッタへ流れ込んで…となる以上、憎悪だけが膨らみ続けて最終的にはこの世界そのものを憎しみのままに好き勝手奪った挙句に破壊しかねないと、危惧される。



魔女となったスレッタはラクス&赤倉VSヴェルムの拮抗状態のところにやってきた。
不運にも魔女スレッタに対して反射的にラクスがアコード能力使ってしまったが運の尽き。

第三軍や関西軍への憎しみどころか、この大東亜共和国の民全ての絶望や怨嗟の塊と化した魔女スレッタのプレッシャーをもろに受けてラクスの精神が滅茶苦茶にされてしまう。
しかもこれラクスがスレッタの憎悪に共鳴し始めてる疑惑があり、ラクスの思惟からは融合炉の塊であるジャンクの塊の位置把握してる事と、同じアコードであるオルフェ(先のヴェルムの召喚妨害で犠牲になった)の思念もヴァルプルギスナハトには入ってるおり、更に共鳴しかねない事。
最もヴェルムもヴェルムで、今のスレッタとヴァルプルギスナハトには関西軍第三軍だけでなく関東軍に対する失望や絶望、怨嗟も宿っているから味方が増えた!とは言い難く、当のヴェルム本人は「第三軍と関西軍巻き込んでどっちも潰した後に自滅してくれないかな」と魔女スレッタに対して思っていたが、こちらも思惟を通して筒抜けであった。
だが今はヴェルムを殺しはしない。
首輪が外れていないので今殺そうとしたら、憎悪を巻き散らし切らす前に自分もヨンファのように首輪爆破で殺されるからである。
その程度の理性はスレッタにはまだ残っていた。

魔女スレッタは憎悪を剥き出しにしてMSカルラに攻撃を開始した。

ヴェルム(なんだ、あの機体は? 何故彼女はスペルビアではなく、あのような機体に乗り込んでいる…?)
ヴェルム(…ともかく、この場は彼女に任せましょう)
ヴェルム「スレッタ・マーキュリー、貴女はあの敵機を抑えてください。願わくばあの脅威を排除してください。私は、敵艦を潰しにいきます」
スレッタ「…了解です」

ひとまずヴェルムは状況を整理し、それなりにダメージを負った関西軍のカルラを謎の機体に乗ったスレッタに任せて自分は敵艦(グルヴェイグ)に向かう事にした。
2機で攻めれば早く片付けられるかもしれないが、明らかに憎悪に飲まれて行動が読めない彼女と共に戦うには一抹の不安もあってかそのような判断を下したのだ。
幸い、まだ指示にしたがってくれる様子であり目の前の敵に集中してくれるようなので、ヴェルムはその場から離脱してグルヴェイグに向けて移動し始めた。

ラクス「……ッ!」
赤倉「大丈夫か、ラクス!くそっ、デカブツを追いかけたくても、新手が手強すぎる!!」
スレッタ「私から何もかも奪ったなら、私もお前達から奪ってやる!!」

それでもある程度拮抗されていたのは、スレッタ自身がヴァルプルギスナハトの操作に慣れていなかった部分が大きかった。
でもスレッタが段々と操作が慣れて来た結果、ラクスの精神が異常事態なのもあって二人が追い詰められていく。
そしてスレッタが意図して誘導したかどうかは不明だが、放ったインパルス砲をスレッタが回避した結果、大阪戦線のど真ん中に向かってしまい……
ラクスは人々の死により、さらに精神を蝕まれることになる。

――――

周囲の被害を考えてたら撃墜される赤倉&ラクスvs周囲の被害をむしろ出したいヴェルム&スレッタなんで巻き添えで兵士や逃げ遅れた民間人たちが死んでいく死んでいく。
特にヴェルムは避難場所になっている公園にわざと移動して動くたびに轢き潰したりカルラがかわすのを見こして大阪港から脱出しようとする輸送船を吹き飛ばして数百人単位で殺していく。
これにより、大阪の戦いで死んでいった何千人もの人々の新鮮な絶望の意思が更にスレッタへと集まる。

ただこんなにポンポン負の感情が集まっていくと、スレッタ自身が耐えれるのかって問題が出てくるんだよね
どこぞの全裸もといフル・フロンタルよろしく器に徹するのなら兎も角、現状のように壊れ変わり果ててなおスレッタ・マーキュリーという個を、自我を保とうとするなら…耐えれる限界が近づいている可能性があるとは、ある読み手の推論及び考察であった。
ひょっとしたら姉のエリクトみたいに、または前大戦で負けたライバルであるイグアスみたいに肉体を失っても機体だけ動き続けそうとも、少なくとも今のスレッタは賽は投げられた√のC-621(アーマードコア6の主人公)と変わらないとも言われていたりした。

――――

インパルス砲が齎した惨状に一瞬でも赤倉が動揺してしまったのが運の尽きだった。
ビームサーベルでレヴィテーターぶった切り半壊させ、そのまま墜落へと追い込む。

地面に墜落したカルラを見向きもせず、魔女は別の戦場へと向かった。



魔女スレッタが次に向かった戦場はゆき&ダクネスVS敷島の空戦が繰り広げられている場所だった。
今のスレッタにとって関東軍と第三軍はどちらも憎むべき対象。
しかも標的のゆきが居たのでBFD(ブラックフェザードラゴン)の上に乗るゆきを狙うが、間一髪でBFDが避けた。スレッタは更に憎悪を募らせる。
その怒りに任せたような戦い方や乗ってるロボが違うこと、口振りが以前のスレッタとかけ離れてることで敷島はすぐにスレッタの様子がおかしいことに気付いた。
だが敷島の言葉は別の攻撃に阻まれ弾切れもあり一時戦線離脱へ、ついにその火蓋が上がるゆきたちVS魔女スレッタ。
戦いの最中、スレッタの憎悪……もといこの戦争で犠牲になった者たちの怨嗟がスレッタの意思と共にプレッシャーとなってゆきの心を蝕む。
互いに攻撃を躱しながら、海上で空中で高速戦闘を繰り広げる中、途中でスレッタが行く手を阻むように立ち塞がって口論にも発展していく。


スレッタ「お前たち反乱軍はこの戦争で何をした! お前たちがやったことは闇雲に被害を広めて、余計な死を広めただけだ!」
ゆき「違う、ぼく達はこの戦争を止めて――」
スレッタ「戦争を止めると言って、お前たちはその先の事を考えたことはあるの!?」
ゆき「そ、それは……」

スレッタ「戦争を止めて、あなた達はそれで満足なんでしょうね! その後の事なんて考えてない! 都合よく家族だとか仲間だとか、本当は自分たちだけが大切なんでしょ!?」
ゆき「それは違うっ! 確かに助けられなかった人も、そうするしかなかったのもあるけれど、それでもぼくはみんなのことを……」
スレッタ「そのみんなの中から、私を追放したお前たちが……!」
ダグネス「それはお前がマイキーを殺し……」


スレッタ「黙れ裏切り者共がぁ!! 同じ仲間だって信じてたのに、あいつはブロリーなんていう敵のこと助けて、利敵行為をした裏切り者をやっつけた私のことをただの悪いやつだって罵って」
    「裏切ったのはお前たちだ、お前たちが私の信頼を先に裏切ったんだ!!!」
    「この薄汚い偽善者どもめぇ!」

もはや自分自身へのブーメランとなってることすら認識できぬ程に狂ったスレッタの暴論に、ゆきの中の何かがプツンと切れて

ゆき「……お前だって、お前だってマイキーを殺したくせにっ!! この化け物がぁっーーーーーーぁ」

衝動的に叫んだその怒りは。ゆきの中に巣食っていたどす黒い感情をここで初めて自覚したゆきは錯乱。

スレッタ「――ああ、そうなんですか。あなたも結局、そういう人だったんですね」
ゆき「ち、違う。ぼくは、こんな、こんな違う違う違う、こんなのぼくじゃ、あああああーーーーっ!!!!!」
ダグネス「ゆき、しっかりしろ! ゆきぃ!」
スレッタ「……どんなろくでなしだって、化け物なんて言われたら泣きたくなります」

スレッタの、その憐れむような言葉と共に、BFDはビームライフルに撃ち抜かれた。
ゆきとダグネスはゆっくりと、海へと堕ちていく。

――――

すれ違いがあったとはいえ東卍が、第三軍が反戦派と共に戦おうとしたスレッタを拒絶し続けたのもまた事実。
それらの積み重ねと誘導があった結果スレッタを狂気と憎悪と絶望に染めてしまった。
そして今それがゆきの…第三軍の抱える欺瞞を突く。

…今にして思うと反戦派が急に言い出した疑似家族云々も「実はこいつら現実から目を背けようとしてるんじゃ」と考察されていた。
また、スレッタはこのようになり果てるまで卍會をずっと心配してたのに卍會側は「スレッタぶっ飛ばさないやついねえよなあ!?」みたいなテンションになっており、誰も彼女を助けようとはしなかった……裏切ったのは事実なのである。

――――

魔女スレッタは通信により、ヴェルムに援護してほしいと頼まれたため、グルヴェイグへの追撃をやめて海を離れて再び大阪の町に舞い戻る。
そしてレッド・デーモンズ・ドラゴンの背後から突如ビームサーベルの閃光が届きそうになるも、マサツグ様の『守る』スキルで間一髪防ぐことに成功する。

めぐみん「スレッタ!あなたはどこまで恥知らずな……!」
マサツグ「このいじめっ子が……!」

スレッタは以前とは違う憎しみと侮蔑の、視線と言葉をぶつける。

スレッタ「お前たちがどの面を下げて私を非難できる?このエゴイストの腐れ外道どもが」

めぐみん「なっ!?なぜそんなことを言われなければならないんですか!マイキーだけじゃなくゆんゆんも殺したあなたなんかが……」

スレッタ「何回も言わせるな」

めぐみんの反論はぴしゃりと遮られる。間髪入れずスレッタは怒りを再度ぶつける。

スレッタ「何がマイキーだ!同じ仲間だってずっと信じてたのに、あいつは私を無視した癖にブロリーなんて敵なんかを優先したんだ!
     そんな利敵行為をした裏切り者をやっつけたのに、お前たちはそんな私を寄ってたかって悪いやつだって罵って……!!」

     「私だけじゃない!お前たち反乱軍は闇雲に被害を広めて、無関係な人たちを余計に殺しただけじゃないか!」」

     「お前たちは自分たちのことしか眼中に入れなかった!どうしてその万分の一でも私たちを気に掛けようとしなかった!この偽善者の疫病神共がぁ!」

暫く呆然としていためぐみんだが、突如瞳孔が開き歯をガチガチ鳴らし耳を塞ぎしゃがみこんでしまった。

スレッタの絶望を知ったのも、自分たちが周囲を殺戮の被害を不要に及ぼしたのも理解できる。
なによりその中で一つの可能性に気づいてしまった。

―仲間を殺すなんて……絶対に許せません!スレッタ、あなたはもう東京卍會失格です!―

自分が冷たく突き放したためスレッタを苦しませ、今のように怒りのまま暴れさせてしまった。
その結果ゆんゆんが死に、もう一人の私との仲を引き裂かせてしまった。
と、いうことは、ゆんゆんともう一人の自分を殺したのは自分も同然ではないかという事実にめぐみんは気づいてしまったのだった。



この後の魔女スレッタの戦いは三つの結末が用意されている。


【A・Cルート】
+ ...
めぐみんは絶望し、勝負は決したと思われた。
黒い翼の天使のような……BFDと憑依召喚(ポゼッション)したゆきが現れるまでは。
ゆきが来た途端、スレッタは怒りの矛先をゆきに向ける。何よりも許せない、東卍を狂わせた元凶だから。

ゆき「めぐみんちゃんも……何か言われたんだね……」

めぐみんの様子を見て、スレッタに対抗しながらゆきは口を開く。

ゆき「めぐみんちゃん。この人(スレッタ)を狂わせたことは、ぼくに責任があるんだよ。――だからこの人はぼくに任せて。全ての罪は、ぼくが背負うから」

そしてそんな憎悪の塊となったスレッタをゆきが引き受けた。

スレッタ「お前が、お前たちさえいなければぁーーーーっ!!! お前たちが全てーー!」
ゆき「――そうだよ。全て、ぼく達のせいだよ」
スレッタ「ーーっ!?」

確固たる決意を秘めた瞳で告げるゆきに、スレッタが一瞬たじろぐ。

ゆき「だからその責任を取りに来た。ぼく達は戦争を止めるというお題目で、この現実から逃げようとしていた」
  「東京卍會だって、家族だって。この世界のことをよく知らないで、他人事みたいに目を逸らしていた」
  「……スレッタさんの事をよく知ろうとすらしなかった」

スレッタ「それがどうした!! そんな事で――」
ゆき「だから、ぼくはスレッタさんの事を許すよ」
スレッタ「――は?」
    「許す、許すだって? ふざけるな、ふざけるな今更お前のそんな謝罪なんてただの傲慢な自己満足じゃない!!!」
ゆき「そうだね。ただの自己満足だよ。でも許されないからって謝ることから逃げたくなかったから」
  「自分の行動の結末に、責任を取りに来た」
  「スレッタさんは、ぼく達を倒して、その後どうしたいの?」

スレッタ「…………それ、は」

ゆき「ぼくは、この戦争を、あなたをそう変えてしまったことも。全部背負うよ」
  「ぼく達のせいでこうなった全てに、決着をつけるよ」
  「例えどれだけ傷ついても、心がボロボロになっても。それにぼくは、ちゃんとあなたとお話したい。だからまずはあなたを止める」
  「だから、スレッタさん。ーーあなたこそ、憎むなんて手段で、ぼくから逃げないで」

スレッタ「黙れ、黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!」

黒と白。黒羽の少年と白なる異形の魔女
間違えた、間違うしかなかった少年少女たちはその力を奮い、ぶつかり合う。
不利なのはゆきの方だ。だがスレッタの駆るガンダム・ヴァルプルギスナハトも機体やスレッタ本人も限界に達しようとしており、その駆体にはヒビが入っている。
そしてスレッタは失念してしまっている。ゆきが憑依召喚(ポゼッション)した、ブラックフェザー・ドラゴンのその効果を。

(1):自分が効果ダメージを受ける場合、代わりにこのカードに黒羽カウンターを1つ置く。
(2):このカードの攻撃力は、このカードの黒羽カウンターの数×700ダウンする。
(3):1ターンに1度、このカードの黒羽カウンターを全て取り除き、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターの攻撃力は取り除いた黒羽カウンターの数×700ダウンし、
ダウンした数値分のダメージを相手に与える。

スレッタは憎しみに飲まれるばかりに、自分の優勢にのみ執着してしまった。
傷つくゆきにどれだけの黒羽カウンターが載っていたのか。

ゆき「……ぼく(ブラックフェザー・ドラゴン)の効果」
  「ぼくに載った黒羽カウンターを全て取り除いて」

  「カウンターの数×700ポイント、相手モンスターの攻撃力を下げて、下げた数値分のダメージを与える!」

スレッタ「あ、ああ、ああああああ!!!!!!」
ゆき「目を覚まして、スレッタ・マーキュリー!!!」

ゆきの身体から爆発するように解き放たれた黒い翼の弾丸。
それが雨あられのようにヴァルプルギスナハトのひび割れた駆体を砕く。
そしてほぼ全ての武装を破壊し無力化された。勝敗は誰が見ても明らかだった。
自らの負けを悟ったスレッタは、ただ項垂れるように、憑き物が落ちたかのように。



―――その憎しみは霧散した


この直後のスレッタ、ゆきに対して何気ない会話し始めた。
「お話したい」と、ゆきの思いを受け取ったのが理由なのであろう。
学生寮のみんなのこと、好きなもののこと、ミオリネさんのこと、そして「逃げたら一つ、進めば二つ」のこと
そして

スレッタ「ゆき、さん。ーーあなたは、わたしみたいに、ならないでね」
    「やくそく、やぶっちゃだめだよ」

ゆき「………………うん」


スレッタ・マーキュリーは、まるで消滅するかのように
ワルプルギスの夜の名を冠したガンダムとともに崩れ落ちて

海の底へと、沈んでいった。


スレッタが消えた後、ゆきの肉体も限界が来て砕けはじめていたな…
元々片道切符の無理な手術を施されており、その改造された肉体は一時間と持たない、だから今まで誰にも使われなかったのだ。
生還不可、事実上時限式の処刑である。

だが、ゆきに後悔の念はない。
アウラとゆきの筋書きでは、
「第三軍は黒幕の月見由紀雄により全員マインドコントロールされてたから悪事を働いていた」
「その黒幕・月見由紀雄が今、大阪の決戦で死ぬことにより関西軍に敗北した第三軍のマインドコントロールは解けて、生き残っている皆は無罪放免で元の世界へ送還される」
となるからである。

それはアウラが嘘をついてなければの話だが、自分の覚悟を試し見届けた彼女の眼差しに嘘は見えなかった。
昔の彼女は知らないが、今の彼女なら約束は破らないだろう。

「大好きなマイキーくんへ、ヒロインの務め、果たしたよ」

ゆきは笑顔を浮かべながら、全身がバリンと砕けて消滅した
その破片は風に乗り、天へと昇っていく……


これが魔女スレッタと東京卍會二代目総長の切ない最期であった……


【Bルート】
+ ...
めぐみんは絶望し、勝負は決したと思われた。
BFDと憑依召喚(ポゼッション)したゆきが現れるまでは。
だが、それは救世主というにはあまりにも歪で醜悪な姿をしていた――ゆきだった。

――――

「自分たちが悪いか良いか、もうどうだっていい、スレッタさえ、関東軍さえ殺せれば」

――――

関西軍の手術によりBFDと合体したゆきはマイキーを殺した憎しみにかられていた。
それはまさに今の魔女スレッタと変わりない……むしろより歪な存在へとなり果てていた。
スレッタ殲滅優先のため、町や逃げ遅れた人々の被害無視で戦う様にこれを見ていた第三軍の仲間たちは絶句。
スレッタに欺瞞をつかれてめぐみんが曇ってしまい、マサツグ様が奮い立たせようとしたら、ゆきがこんな有り様で返ってきたせいでマサツグ様は何も言えず、めぐみんのメンタルが回復しないという最悪の結果に。

戦いの過程もA・Cルートとも全然違う形となった。
「スレッタを赦す」という選択肢を取れば、スレッタが動揺し精神的スタッガーを喰らわせたのだろうが、こっちはそんなことはなくスレッタは最後まで冷静。
むしろゆきの方がとにかく迫る寿命が来る前にスレッタを殺そうと焦っていた。
さらにその攻撃は味方であったハズのめぐみんや『守る』スキルを発動できほど消耗したマサツグ様を殺すフレンドリーファイアを引き起こす。
ゆきは完全に暴走していた。

BFDの能力によるカウンター狙いだったけど、(ゆきと比べれば)冷静だったスレッタには何か狙ってることはバレバレで、あえて積極的に攻撃せず、様子を見ながら長期戦に持ち込む事に。

結果、技の発動条件を満たすことができず、ゆきの肉体の方が時間切れにより先に崩壊を始める。
もはや、必殺技を狙ってる場合じゃないと無茶な特攻を仕掛けるが今のスレッタには通じず、ナハトに捕まってその腕の中で肉体崩壊する直前に握りつぶされて、スレッタへと恨み事を呟きながら粉々になっていった。

スレッタ「あなた程度の男じゃ東京卍會を率いる器を持っているわけないじゃないですか」
ゆき「死ねえ、スレッタ、死んでしまええええ怪物……ぐぎゃ」


ただこの結果、憎悪を向けるべき対象を失ったスレッタに大量の死者の想念が集まった結果、最後には自分自身への憎悪で自壊してしまうことに……
一番殺したかった相手から命を奪ったのになにも手に入らなかったことに呆然とする中で憎悪だけが募った結果は、それまでの集中が一気に切れて無防備になりグルヴェイグの陽電子砲に撃墜されるという結末。
幸いパイロットだったスレッタ無事であり破壊された機体を脱してまたフラフラと彷徨ううちに廃人のルルとなったスレッタは、ヴェルムの指示で関東軍兵士によって連行された。
この状態ではもはや戦力にならないが、仮にデスドライブズに改造したら面白いデータが取れそうということで、いったん後方へ下げることに。



大阪での最終決戦はMURがもう一つの召喚装置を奪取し、ヴェルムがグルヴェイグをアウラごと沈めることで戦いは決した。
関西軍の召喚者並びに第三軍は全滅し、ヴェルム率いる関東軍は内戦に勝利したのである。


多くの犠牲を払いながらも内戦に勝利した関東軍。
そして契約通り、二つ揃って完璧になった召喚装置で召喚者たちは想い人たちを蘇生や元の世界に帰還……はされなかったな。
ヴェルムは最初から召喚者たちに約束を守る気などなかったのである。

生き残った敷島、スレッタ、MURはヴェルムに眠らされたあと、召喚装置で取り寄せたパーツを使ってデスドライヴスに改造された。
事前にヴェルムと密約を交わしていたMUR以外は生前の記憶も全て奪われて、力と才能だけを残された機械の巨人に三人はされた。
元敷島だった飛行型のデスドライブス幹部『カミカゼ』
元MURだった格闘特化型のデスドライブス幹部『ミュラー』
そして、元スレッタだったガンダムによく似た魔女型のデスドライブス幹部『ウィキッド(悪しき魔女)』の三機である。

さらに内戦終戦から半年後、完全にヴェルムの修理が終わり、内戦を生き残った兵士や住人たちもルルかデスドライヴスに改造され、大東亜共和国世界はヴェルムと三人の幹部を中心に世界征服と大虐殺を始めた新生デスドライヴス相手に勝ち目のない地獄のような戦いを強いられることになる。


ウィキッド『逃げたら一つ、進めば二つ。――奪えば全部ゥ!!!』


【Ⅾルート】

+ ...
ゆきを討ち取り、乗っていたヴァルプルギスナハトが撃墜されて脱出するまではBルートと同じだが、そこからが違う。
スレッタの目に入ったのは大阪城の前にある巨大ジャンク(つまり巨大融合炉)、それにに惹かれるように彼女は目指す。

怨念たちがスレッタの耳元で囁くのだ、あそこを目指せば「内戦は終わる」と。

もちろん、道中で名もなき関西軍兵士に襲われるが廃人ながらもルル化で肉体強化された故に弾は一発も当たらず返り討ちに殺していく。
召喚者はそれぞれの戦いでスレッタどころではないし、機体を失ったのでヴェルム含め脅威度は低いと思われて半ば見捨てられていた。

そんな幸運も重なり、スレッタは一人大阪城にたどり着き、巨大ジャンクの……何かの機体のコクピットだった場所に入りこみ、融合炉を起動させた。
余談だが、コクピット描写が0083のGP02サイサリスのそれと酷似しており、核になっていた機体はこれではないかと思われる。
つまり、大阪、否、関西を全て飲み込む大爆発がスレッタ一人の手で起ころうとしている。

ヴェルム『スレッタ・マーキュリー?!
     今、それを動かしてはダメです、止めて!!』
アウラ『誰でも良い!動き出した融合炉を止めるのじゃあ!!大阪が、関西が消滅する!』

両陣営のボスがスレッタを制止しようとするが、既に手遅れ。
召喚者たちの努力も虚しく賽は投げられた。
巨大融合炉は起動し、全てを爆光に包んだ。
ヴェルムも、海中のグルヴェイグも、ここまで生き抜いた召喚者や兵士や住人たちも全て飲み込まれた。

そんな光に包まれるスレッタの最期の言葉は、狂喜で満ちていた。

「これで戦争が終わるんです......早く会いたいな、アームストロングさん、リンノスケさん」

彼女の願い通り、大東亜共和国があらゆる要を失ったことで滅んだことにより、この内戦は「終わり」を告げた。
汚染された大東亜共和国の土地は誰も欲しがらないため、他国に侵略される心配もないであろう……

SSタイトル『勝利者などいない、戦いに疲れ果て』




























全てが光に包まれた後、死んだはずのスレッタが次に目を開けるとそこは大東亜共和国世界の東京の某所。
つまり、この内戦の始まりの地と時間になぜかスレッタは飛ばされていたのだ。
白髪に染まった髪も元通りになっており、スレッタ自身も引き受けていた怨念がどこかへ行ったのか、正気に戻っていた。
同時に蘇る悪しき内戦の記憶がスレッタから再び狂乱に導こうとしていた。

しかし、聞き覚えのある四者の声がどこからともなく聞こえた。

そこにはマイキーやアームストロング、こーりん、スペルビアたちだった。
愛していた者たちが戻ってきたことに思わず泣きだすスレッタ。
どういうわけか召喚者全員が前の内戦の記憶を保持しているらしく、原因はスレッタが起爆させた巨大ジャンクではないかとこーりんは推測する。
あの中に爆破すると時を巻き戻す魔法のアイテムでも眠っていたのだろうか……よくわからないが、今度こそみんな間違った道を辿らず、生きてこの世界の内戦を終わらせられるかもしれないと、水星の魔女スレッタは泣いた。

――ここから先の物語は語られていない。
  これが魔女スレッタが本当に起こした奇跡か、それとも死に際に見た都合の良い妄想(ユメ)なのかもわからない。
  それはこの記事を読んだ読者に委ねよう。
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最終更新:2025年11月17日 20:50