【名前】キング
【出典】ワンパンマン
【性別】男
【名ゼリフ】
「家に、帰りたいんだが……」
【本ロワでの動向】
ヒーローが組織化されランク分けされる『ワンパンマン』世界において、最上位の「S級」第7位に属するヒーロー。左目に爪牙の三本傷、歴戦の威容を秘めた強面、寡黙ながら恐ろしいまでのオーラと規格外の実力とを兼ね備え、ABCランクとは別次元的な能力者(バケモノ)揃いのS級の中でも、単純な強さのみで“地上最強の男”として恐れられている。戦闘態勢や高揚状態に入ると、「キングエンジン」と呼ばれる内燃鼓動を周囲へ響かせることで有名で、これを聞いて生きて帰った悪人怪人はいない。
原作三十二話、超災害への非常会議に招集される直前よりロワに参戦。
登場話にて、
ブラックホールに追いかけられている伊藤開司を発見し、異能の通用しないブラックホールを気迫とオーラのみで撤退させてカイジを救う。一般人である彼の保護と主催打倒のために二人連れだって動き出したところで、息つく暇もなく、今度は別世界のヒーローであるゾフィーが出現。主催によってマーダー化させられていた光の戦士に対し、圧倒的なサイズ差をまったくものともせず「エンジン」を発動させ、実際の実力差を察知させてこれも退散させている(この登場話の、カイジによる福本調の観戦(まるで観衆もいるかのような)は非常に見物で、支援レスも「ざわ・・ざわ・・」「ドッドッドッドッ」の二音が入り乱れるカオスなものであった)。
ところがその後、補給のためにキングから離れていたカイジが、そこを狙った
ふなっしーによって襲撃され、離れ離れになってしまう。
保護対象をむざむざ引き離された自分を悔やんだキングは、「エンジン」発動状態のまま油断なくカイジ捜索に走るが、その中途でどうやらゾフィーすら遥かに凌駕する得体のしれない存在と遭遇したらしく、激戦の末に手ひどい重傷を負う。この、序盤でキングと交戦した存在はこのロワでも謎のひとつであり、キングと引き分ける実力から、一番厄介な相手を潰しにかかったダークザギだったのではないかと考察されているものの、常人の認識できない領域でのバトルは描写すらままならなかった(気功術を駆使するキングの秘奥義「煉獄無双爆熱波動砲」とグラビティザギが衝突した光の柱を見たなどという情報もあるが定かでない)。この戦いの後、やむなく体力回復を行おうと休んでいたキングだが、悪いことに、次に現れたのは危険対主催である
ストライダー飛竜であった。作戦行動の効率的遂行を旨とする飛竜は一目見てキングの実力を危険視し、光剣サイファーによる先手の一撃を仕掛ける。さしものS級ヒーローも死にかけの状態でストライダーの一撃を受けきることは出来ず、一瞬の交差の後、斃れたのはキングであった。しかし、最期の瞬間まで「エンジン」の爆音と不動の威容で以て、感情を表さぬはずのストライダーに一筋の汗をかかせたのはさすがである。
“地上最強の男”と称されるほどの主催打倒の要となるチートスペックを持っていながら、あっさり序盤退場となった例として、巡り合わせ次第では何が起こるかわからない、パロロワ世界の無情さを体現しているキャラクターと言えよう。
……
…………
……………と、いうのは、あくまでこのロワにおける「周囲の認識によるキング」である。本気にしないで頂きたい。
実際のところを言えば、キング本人は原作でも、ゲームフリークで自宅にいるのが好きなだけの、ちょっとコワモテなただのオタクに過ぎない。S級ヒーローの座に収まっているものの、それは他のヒーロー(サイタマ)が強大な敵の数々を倒した場に居合わせ、功績が彼のものと誤認された結果によるもの(片目の三本傷はその時に襲われてついた傷)で、本人は流されるようにそうなってしまっただけだった。「キングエンジン」は単に緊張や恐怖による心臓の鼓動が周りに聞こえているだけ。戦闘力はないに等しい。むろん気功の使い手でもなんでもなく、「煉獄無双爆熱波動砲」は存在すらしていない(うわさが独り歩きして勝手にあるということにされた)。
本人としても申し訳ない情けないと思いつつも、生活の糧とするためにずるずると設定を引っ張ってきている状況。普段はS級の威光と自身の風聞を利用したハッタリで何とか怪人との相対をやり過ごしている。
混沌ロワにおいても、よく知らない場所で殺し合いに放り込まれた事実に恐怖しながら、どこかへ隠れようとしていたところで、ブラックホールとカイジを目撃。ブラックホールが何なのかわからずにポカンとしていたのだが、ちょうどキングの近くへ来たタイミングでたまたまブラックホールの進行方向が変化して消えたために、「あの得体のしれない現象を追い払った」と、カイジから誤解を受けてしまった。
さらには、四月馬鹿仕様と化したゾフィー相手にも、すさまじい大きさの巨人に対して固まって動けずにいたところ、恐怖と緊張のせいで脅しに返事できなかったことが「余裕」と解釈され、さらにはキングエンジンのものすごい爆音、ブラックホールを倒したというカイジの台詞(隊長的には当然、宇宙にある方を想像した)などによって「ヤバイ相手」と認識されてゾフィーが勝手に逃げて行ったのであった。このような経緯ですっかりカイジに信頼され、奇しくもハッタリコンビを組むことになったもののやはり長続きはせず、たまたま離れていた時に、遠くから様子をうかがっていたふなっしーが、キングの見た目と雰囲気でこれも勝手に警戒し、カイジの方を襲った。キングはそのことに気付いていながら、後をおいかけることができなかった。怖かったのである。
ごめん、ごめん、と心中でひたすらあやまり、恐怖とストレスですごい音になったキングエンジンを響かせながら逆方向へ走ったあげく、崖から足を滑らせて落下。そう、「崖から落ちた」のである。一命は取り留めたものの、大けがを負って動けないでいたところを飛竜に発見され、なすすべもなく殺されてしまった。ちなみに、飛竜もキングの実力は見誤っており、「危険な実力者が戦力低下状態にある」という判断であった。
原作におけるキングは、かつて自分を救ったヒーローであるサイタマとの再会をきっかけに、偽りのS級、偽りの「最強」である自身の姿に疑問を抱き、少しずつ変わっていく素振りを見せているのだが、このロワでは、サイタマと出会う前、流されるまま現状に甘んじている時点からの参戦となった。先へ進むこと、自ら変わろうとすることが出来ずに逃げた結果のあっけない死、一方で「最強」の実力者という風聞だけが、何も変わらずに参加者間に残る……という混沌ロワでの顛末は、「変化」の可能性を芽吹かせた原作とまるきり対照的なものであったと言えるであろう。
最終更新:2014年01月24日 16:00