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ホットミルク

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rozen-yuri

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TV『続いて、台風情報です。台風はこのまま関東を直撃するでしょう。戸締まりにはお気を付けて』

 リビングのテレビから流れる、台風の情報。それを偶々見ていた翠星石は、窓の向こうを見つめた。

「……もうすぐ、来そうですね…」

 空はどんよりと曇っており、木々は時々強い風に煽られている。
 徐々に酷くなっていた。

「………! 裏庭…」

 そう呟き、そのまま玄関へと一直線に走った。

「……あ、雨だ…」

 翠星石と入れ替わる様に、蒼星石が二階から降りてきて、窓を見ながらリビングのソファに座った。
 空は徐々に激しく雨を落としていった。

「すごい雨だなぁ………! す、翠星石…!?」

 空を眺めていた蒼星石の視界に、一瞬だけ、窓の向こうの翠星石が見えた。雨が降っているのに、傘もカッパも持たず、薄着だった。

「一体何して………まさか…!」

 蒼星石の中に、一つの推測が現れた。慌てて玄関に向かい、カッパを着ると、雨と風が支配する外に飛び出した。

「翠星石ー!!」

 裏庭に着くと、翠星石はビニールシートで何かを覆っていた。
 蒼星石の声に気付き、翠星石が振り向いた。

「そ…蒼星石…」
「こんな台風の時に何やってるんだ!!」

 蒼星石は翠星石を怒鳴りつけた。普段の蒼星石からでは想像も出来ない程、怒っていた。

「こ、このままじゃ、花が危ないから…」
「君にもしもの事があったらどうするんだよ!!」

 蒼星石の迫力に少し怯む翠星石だが、強い眼差しで言った。 

「こ、この花壇は…翠星石と蒼星石の大事な花壇です!絶対守るんです!!」
「…じゃあ、君は家に戻って。僕がやっておくから…」
「私だって庭師です!花を育て、守るのが役目です!!」

 今度は翠星石の思いに、蒼星石が怯む。翠星石の決意は、揺るがなかった。
 その後、二人はなんとか花壇にビニールシートをかけ、家へと戻った。

「……くしゅんっ……うぅ……」
「ほら、お風呂に行って着替えておいで。ホットミルク作っておくから」

 翠星石はコクリと頷き、風呂場に向かった。

――――― 

「大丈夫?」
「もう平気ですぅ」

 すっかり暖まった翠星石は、ホットミルクをすすっていた。

「……あの、翠星石…」
「ん?」
「……怒鳴って、ごめんね…」
「別に良いですよ。気にしてないですし」

 蒼星石が翠星石を怒鳴ったのは、心配したからこそ。それは翠星石もちゃんと分かっていた。寧ろ、心配されて嬉しかった。
 一方の蒼星石は、少し浮かない顔をしていた。どうやら言い過ぎてしまっと思ってるらしい。

「……んー…まだ寒いですぅー」

 そう言うと、少し距離があった蒼星石に、くっついた。

「ふー…暖かいですぅー」

 一瞬だけ驚いた蒼星石だが、すぐに翠星石の優しさに気付き、翠星石と手を重ねた。
 机の上のホットミルクは、まだ湯気がのぼっていた。

end

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