あの時、僕はおかしかったのかもしれない。
カタン、と少し乱暴に二人共用の寝室のドアを開けた。
寝る寸前だったのであろう彼女は、サイドテーブルの灯りに手をかけている。
彼女はしばしばこちらを見つめているが、やがて僕との異瞳を大きく見開いた。
「な、何を持って…」
「分かんない?」
シャキ、と金属特有の冷たい音が響いた。
「鋏、だよ?」
──鋏の取り扱いにご注意を
ゆっくりと彼女のキャミソールワンピースの肩紐に刃をかける。
「いや、ですっ…」
頭上で拘束された自由の効かない腕で必死にもがいている。
「しーっ」
「しー、って!…ひっ」
刃先を翠星石の鼻先に突きつける。
「舌、切っちゃうよ?」
「んっ…」
今にも泣きそうな顔。絶望と恐怖に歪んだ顔。ゾクリと背中が震えた。
ジャキン、と少し手応えを感じた。肩紐が切れた感触だ。
両紐を切ると、次に横を縦に真っ直ぐ裂く。
「どうして…?」
「ん?んー…、したいから?」
全て切り裂くとワンピースをスルリと脱がす。
小さな灯りに灯された姿はびくびくと恐怖に少し震えていた。
「怖い?」
鋏を一旦横に置き、耳元で囁きながらふくよかな膨らみに手をかける。
少し安心したのか震えが止まり、鼻に抜ける特有の甘い声が漏れた。
「んっ…ふっ」
少しずつ存在を示してきた突起をぐりぐりと押し潰すと違う意味で翠星石の体が震えた。
「気持ちいいの?」
「ちがっ…っあ…ひぁ…っ」
ちゅ、と頬を啄みながら、脇腹をなぞる。
唇をそのまま首筋、鎖骨を辿り、突起を口に含む。
「ひぁぁ…っ」
「気持ちいいんだね」
「ちが、って…んんんっ…」
脇腹を伝った手は仄かに湿っている下着の中央に辿り着いた。
そのまま筋をなぞるように指で擦る。
「ぁぁ…」
「邪魔だね」
小さくそう呟いてまた鋏を取り出す。
それだけで何をされるか分かったらしい彼女の顔は真っ青だ。
「やめ…」
下着の中と外に鋏を構えると再び金属音を響かせた。
「やぁぁっ…」
「大丈夫…」
怯えたあまり、恐怖の対象であろう僕にすがってくる彼女の柔らかい髪に手をかける。
殊更、優しく名前を呼んでやると不安げな瞳でこちらを見つめてきた。
普段、気丈に振る舞って見せる彼女のその頼りなさげな表情が僕に危険な何かを芽生えさせる。
ちゅ、と音を立てて頬を啄んでやると少し体の緊張が抜けたらしい。
左右に切り目を入れてやると、ワンピース同様スルリと脱がしてやる。
「ほら、糸引いてる。いやらしいね」
極力ゆっくりと下着を話してやると秘部から下着に愛液の橋がかかった。
「や、…ちがっ…」
「何が違うの?こんなにぐちょぐちょにして」
「ひゃぁ、ぁっ」
鋏を左手に持ち変え、右手の指を自分の唾液で濡らすと、いきなり最奥へ挿し込んだ。
「やぁぁ、…ひぃっぬい、…抜いてっ…あ、っそうせ、せき」
人差し指と中指を微妙に振動させながら、翠星石のイイトコロを刺激してやる。
「ひ、やぁぁっ…あっ…あぁっ」
「エッチだね…。恥ずかしいと感じちゃうんでしょ?」
「ちがっ…」
「もっと恥ずかしいことしてあげる」
一旦、指を抜き鋏を右手に持ち直し、秘部に近付けた。
「えっ…」
信じられない、と言った表情でその刃先をまじまじと見つめている。
「や、やっ…」
秘部の周りの黒い茂みを二枚の刃で挟むと、それを切り取る。
「やっやぁぁっ…!」
「暴れると危ないよ?」
その言葉にハッとしたように驚くと、悔しげに口を結んだ。
周りの茂みを全て切り取ると鋏を危なくないよう、遠くへ置いた。
膝を掴んで足を大きく開かせると幼い少女のようになったそこをジッと見つめる。
見た目と裏腹に性的行為を知るそこは、物欲しげにひくひくと小さく痙攣している。
「ふふ…、えっちぃね」
そう言いながら再び指を挿入した。
「やぁ…あっ…あああっ…ひゃっ」
「僕の指をきゅうきゅう締め付けてるよ?抜かないで、って言ってるみたい」
「やっ、ちが…ひゃぁぁっ…」
「違う?本当かな?」
中の指を三本に増やし、親指で突起をぐりぐりと潰す。
「やぁぁ、そ、れ…いやぁぁっ…」
体を弓のようにしならせ、快感に翠星石は跳ねる。
「全部見えてるよ?中から液体が出てくるのも」
空いてる手で胸の先端も転がす。
「ひゃぁぁっ…や、…やぁぁっ」
「キモチイイんでしょ?いっぱい溢れてるよ?」
「や、やぁぁ…言わ、ないでぇ」
「今度、皆でプールでも行こうか?皆に翠星石のえっちなつるつるの場所見てもらおっか?」
その発言を聞いて翠星石の顔色がサッと変わった。
「い、やですぅ…そ、せ、せき…以外なん、…て…」
泣きながら懇願してくる翠星石の頭を優しく撫でてやる。
「僕以外、…何?」
「そう、せ…せき、以外とするのは、やです…っ…!」
その声を聞いた途端何だか全てがどうでも良くなって翠星石をきつく抱き締めた。
「うん、そうだね。僕だって嫌だよ」
首筋に赤い痕を残すと、中の指の動きを激しくする。
「ひぁぁ…や、ぁぁぁっ…もぅ…イっちゃっ…」
おそらく今日初めてであろう口づけを彼女の唇へ。
「んんんん────っ!」
何でこんなことをしたのかは分からない。
けれども今、幸せそうに眠る彼女の姿を見るとどうしようもない罪悪感を感じる。
だから、日は彼女に優しくしようと誓うように、その手の甲に口づけた。
終わり
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