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短編 翠×紅

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rozen-yuri

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「…あら…」
朝起きるといつも私以外寝ていて、少し寂しさを感じるくらいなのに
「翠星石、どこにいるのかしら。」
翠星石のカバンは開いており、彼女が既に起きていることを示していた。
する事も無かったので外の空気を吸おうと、ベランダに向かうとそこには先着がいた。 
「おはよう、翠星石。」
「………はぁ。」
何か考え事をしているのか、翠星石はため息をつくだけでこっちに気付いていないようだ。

「翠星石?」
今度は呼び掛けながら、軽く肩を叩いてみる。
「ひゃあっ!?真紅ですか、ビックリしたですぅ。」「ふふっ、おはよう翠星石。」
「おはようなのですぅ…」やはり元気が無い気がする。そう思った真紅は思い切って聞いてみた。
「どうしたの?元気無いみたいだけど。」
「そっそんな事は無いです、翠星石は何時だって元気はつらつなのです!」
「視線が泳いでるわよ、遠慮せずに話なさい。」
「むぅ…」
見抜かれたのが悔しいのか、少し唸ったあと話しはじめた。
翠星石の話はこうだった。
一人また一人と脱落していくドール達を見て、少し寂しさと不安を感じている、とのこと。
それも仕方の無いことである。
実際ローザミスティカを奪われるとどうなるかは分からないのだ。人が死に対して感じる物と似ている。
そして、それはまた真紅も少なからず感じていることであった。
「…守るわ。」と、真紅。「何があっても守ってあげる。もう何も失いたくないもの…」
「真紅…」
「だって翠星石は大切な“家族”だもの」
「“家族”…真紅。ありがとう、翠星石もチビ人間や金糸雀を守るですぅ!」
「あら、私は守ってくれないの?」
「真紅も守ってやるですよ、だってみんな大事な…」「家族なのだわ。」
それからしばらく二人で談笑していた。
「じゃ、そろそろ下に降りるです。」
「待って。」
「なんですぅ?きゃっ…。」
突然翠星石に抱きついてこういう。
「もうちょっとこうしていたいのだわ。」
「…翠星石もですぅ。」
二人はしばらく抱き合っていた。

その様子を鏡から見ていた者にその平和を壊されるとも知らずに。

おわり


「暑いわね…」

連日の猛暑が続いたおかげで汗という汗が枯渇したと思ってたけど
そんなことはないようだ。
体中の汗腺から汗が止め処なく噴出している。
まあ、こんな日に紅茶を飲んでるからかも知れないけど…

こんな暑い日はすべてにおいてやる気が起きなくなる。
今日の午後は4講目に講義があるのだがまったく行く気がおきない。
しかし私は確実にその講義に出席することになるだろう。
あの娘と一緒だから…

「真紅ーそろそろ学校行くですよー」

勢いよくドアが開き本人登場。
にしてもこの娘はホントに元気がいいわね、こんな猛暑だというのに。

「どうしたですか?」
「いいえ、なんでもないわ。行きましょうか」


~講義終わって学食へ~


「こんな日だというのに貴女よくそんなに食べれるわね…」
「そうですか?真紅が小食過ぎるんですよ」
「そうかしら」
「そうです」

ビビンバ丼を掻きこみながらそう言う翠星石。
ふむ、たしかに自分は他人と比べても小食かもしれない。
というより、翠星石と比べれば誰でも小食に見えると思うんだけど…
たしか姉妹の中でも一番の大食女だったはずだ。

「おいしかったです、ご馳走様です」
「ごちそうさま」
「そろそろ行くです真紅」
「そうね」

私たちはほとんど人のいない学食を後にした。

時間も時間なので太陽も少し傾きかけさっきよりは暑さが和らいだ気がする。
といっても湿度だけは変わらないようだ。

「真紅、コンビニ寄っても良いですか?アイス買いたいです」
「ええ、私も何か飲み物買うわ」

私たちは目に入ったコンビニへと入って一時的な涼しさを得る。

ピロリロリロン

「家までまだ結構あるですね」
「ええ、どっかの公園のベンチで休んでいきましょうか」
「そうですね」

ちょっとしたデートみたいな気分だ。いや、デートは言いすぎかもしれないけど…
誰もいない公園を見つけたのでそこのベンチへと腰を下ろす。

「はあ疲れたです~」

ベンチへと腰を下ろすと開口一番にそう言った。
無造作にアイスの袋をビリビリ破きそのまま口へと放り込んだ。

「はあ~生き返るです~」

風呂上りの一杯のようなセリフね

「風も出てきたわね」
「涼しいです~」

火照った体に生ぬるい風が心地いい。

「はあもう動きたくないですー」

コテッと私に寄りかかり体重を預けてくる翠星石。

「もうしょうがないわね」
「エヘへ」

私たちはしばらく身を寄せ合っていた。
気が付くと私たちは互いに手を握り合っていた。
汗で滲んでいたがそんなのは関係なかった。

私たちを祝福するかのように蝉の声だけが鳴り響いていた

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