「ごめんねぇ、真紅ぅ…どうしても、って頼まれちゃってぇ…」
――いつだって、そうなんだから。
「…そう。別に私と約束があったわけでもないのだから、行ってくればいいじゃない」
ふい、と後ろを向いて歩き出す。後ろで水銀燈が何か言っているけど、知らない。
――いつもいつも、断ってはくれないわね。
一緒に、二人並んで歩く帰り道。一日にあったことを話しながら帰るのが、日課だった。
「…今日も、一人…ね」
別にいい。私の事なんか構わずに、楽しくやってればいいのだ。嫉妬なんて、持っても無駄な感情なのだから…
――もう、8時。
少し勉強して、お風呂に入ろう…、今日は少し、早めに眠ろうかしら。
コツン。
窓の方を向く。確かこちらから音がした筈だけれど…
窓を少しだけ開け、下を覗く。――水銀燈…?
「こんばんわぁ、真紅ぅ」
「え、ええ、今晩わ。こんな時間に、何の用?」
ピシャリと冷たく言い放つ。嬉しくなんてない。涙が出てしまいそうなのは、外の風が冷たいからよ。
「今日は、ごめんなさいねぇ…」
「…そんなことッ、別に…」
「真紅。…私ね、遊んでても、貴方の事ばかりが頭に浮かぶの。ずっとよ。」
そんな、こと。
「…私、寂しいみたい。真紅…」
どうして言うのよ…
「…っ私だって!私だって、寂しかった!!一人だったわ!なんでよ、どうして他の子に、優しく、するのよぉ…っ」
――ああもう、涙が、止まらないじゃないの。
「ごめんね…ごめんね、真紅っ!」
「ばか、ばかばか。本当に、馬鹿…!!」
――この私が、嫉妬、するなんて。ただ会いに来てくれたことが、こんなにも嬉しいだなんて。
「水銀、燈…」
「真紅…」
涙を脱ぐって、真っ直ぐ目を見つめる。大好きな、貴方の姿を目に焼き付けながら。
「大好き、なんだから…」
もう、離さないで…
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