『異なる世界がクロスする時』
(キャラ) ロクサーヌ、獅子丸(ライオン丸)、ラフ・J・ダイヤモンド
「………」
『命の授業』と銘打たれた『殺し合い』の舞台として孤島に再現された渋谷の街。
そこに配置された一軒のコンビニエンスストアに、
ニット帽を目深に被り口元にマスクを付けて顔を隠した大柄な体格の男性が入店した。
「………」
男性は店内を一通り見渡すと一直線に食品コーナーへと向かい、
棚に陳列されているおにぎりや弁当、カップ麺やスナック菓子にパンといった食料品を
自身に支給されたデイバッグの中に次々と放り込んでいった。
アイスクリームや冷凍食品を除いたコンビニ内の食料品をあらかたデイバッグに詰め込むと、
男性はそのまま入店時と同じように退店………
「………ちょっと待ってください!」
「………ん?」
………しようとした時。
誰かが男性を呼び止めた。
見れば、イヌ科動物のような耳に黄土色の髪を持ち、
アイドルかモデルとして通用しそうな美しい容姿に
グラマーな体型をした女性が、険しい表情を浮かべて男性の左手を掴んでいたのだ。
☆☆☆
イヌ耳の女性………地球からファンタジーな世界へと転移した少年・加賀道夫(かがみちお)に仕える奴隷の一人である狼人族のロクサーヌは、
会場に飛ばされてすぐに生まれて初めて触れたスマートフォンの操作に四苦八苦しながら、
自身の置かれた『状況』とこの場における『ルール』を確認して会場の散策を開始した。
彼女の生まれ育った世界では見た事のない様式や構造の建物が立ち並ぶ街並みに困惑しつつ、
街をさ迷い歩いた末に前述のコンビニエンスストアへとたどり着いた。
近寄っただけで開閉するガラスの扉に驚きつつ、店内に陳列されている商品等から『雑貨屋の類い』だと判断し、
彼女の世界には存在しない物品を物珍しく眺めていた時………
件の男性が来店して食料品を堂々と万引き…………というか、堂々と『強奪』しようとする場面に出くわしたのだ。
☆☆☆
「………いくら状況が状況とは言え、泥棒のような真似を働くのは見過ごせません。せめて、いくらかのお金を置いていくのが筋ではありませんか?」
「…………」
ロクサーヌはその美しい顔には似合わない鋭い視線を男性に向ける。
そして、男性の方は………
「………ククク」
………唐突に笑い声を漏らしたのだ。
「?何を笑って………」
「………運が無かったな、姉ちゃん」
「……え?」
男性の口にした言葉の意味が分からず、ロクサーヌは一瞬動きを止める。
「黙って見逃してればもう少し長生きできたか………もしくは、家に帰れたのかもしれねぇのによぉ」
そう言った瞬間………ロクサーヌが掴んでいた男性の左腕が2~3倍近い大きさに変化した。
ロクサーヌが驚く暇もなく、男性は巨大化した腕でロクサーヌを手近な商品棚に叩きつけた。
「キャアッ!」
ロクサーヌの体が叩きつけられると同時に商品棚はガシャアンッ!という大きな音を立てながら床に倒れ、
棚に陳列されていた商品も店内のあちこちに散乱した。
「いつつ………えっ?」
ロクサーヌが起き上がると同時に………今度は男性の全身が大きく変化していく。
上半身は先ほどまでより2回りは肥大化し、
全身の皮膚がゴツゴツとした岩のようなものに覆われていく…………。
そこには『人の形をした岩石』とでも形容できる怪人が立っていたのだ。
「も、モンスター!?」
「………『モンスター』?言ってくれるじゃねぇか………テメーだって同類だろうが!!」
男性が変身した岩石怪人はロクサーヌの豊満な胸ぐらを掴むと、
コンビニの道路側に位置する窓ガラスに向けてロクサーヌを投げつけた。
窓ガラスは粉々に割れ、ロクサーヌの体はアスファルトで舗装された道路に叩きつけられたのだ。
「ぐぅっ!うぅぅ………」
狼人族であり、主人である道夫と共に日常的にダンジョンでモンスターと戦っているロクサーヌだったが、
それでもアスファルトの道路に叩きつけられた衝撃は彼女の肉体に多大なダメージを与えていた。
「女をいたぶるのは趣味じゃねぇが………ここはそういう『ルール』だからな」
岩石怪人は道路に横たわるロクサーヌを見やりながらコンビニから出てくる。
その右手にはコンビニ内で特に大きな四角い箱………コピー機が握られていた。
「正義面した自分を恨むんだな!あばよ!!」
岩石怪人はコピー機を握った右手を大きく振りかぶり、
まるでハンマーのようにロクサーヌに叩きつけた。
しかし………
「………あん?」
……岩石怪人によってハンマーのようにアスファルトに叩きつけられたコピー機は半壊状態となったが、
その下にロクサーヌの死体は無かった。
いつの間にかロクサーヌは、岩石怪人から5~6m程離れた地点に移動していた。
「………え?」
突然の瞬間移動に岩石怪人のみならず、ロクサーヌ自身にも訳が分からなかったが………
「………どうやら無事なようだな」
「………あ」
……ロクサーヌは自身の目の前に、
見ず知らずの男性がいる事に気がついた。
歳は大体20代前半くらい。
ロクサーヌの主人である道夫と同じ、黒髪黒目を持つ精悍な顔つきをした青年で、
ロクサーヌがそれまでの人生で一度も見た事がない不思議なデザインの茶色い服を着用していた。
もしもロクサーヌの主人である道夫がその青年の姿を見たら、
きっとこう表現するだろう………。
『まるで忍者みたいな格好だ』と。
「………」
ロクサーヌの無事を確認すると、青年は岩石怪人に向き直る。
その青年の背中には………
鍔と鞘が鎖で縛られた一本の日本刀が背負われていた。
「なんだテメー?やろうってのか?」
「…………」
岩石怪人の言葉に答える事なく、青年は鋭い視線で岩石怪人を睨み付ける。
「………ゴースンの配下ではないようだが、まさかこんな所で魔人に出くわすとはな」
「……『魔人』だぁ?チッ。どいつもこいつも、言いたい放題言いやがって……」
青年の口にした言葉に岩石怪人は舌打ちを打ち、左手を強く握りしめる。
「だ、ダメです!いくらなんでも相手が………」
青年が岩石怪人と戦うつもりだと気づいたロクサーヌは止めようと声をあげた。
その時。
青年は自身の眼前で両腕を交差させ、雄叫びを上げた。
「風よー!!」
「!?」
「あっ?」
続けて青年は交差させた両腕を大きく左右に伸ばした。
「光よー!!」
その叫びを合図にしたように…………青年の背中に背負われた刀を縛る鎖が、一人でに外れた。
青年は背中の刀を抜き放ち、自身の顔前に構えた。
「忍法!獅子変化ぇぇ!!」
叫びと同時に…………青年の姿は一瞬にして変化する。
次の瞬間、そこには………
深紅の着物と中心に大きく『心』と刻まれた胴、そして黒いマントを身に纏い、
白い鬣をなびかせた雄々しい白い獅子の顔を持つ獣人の剣士が立っていた。
「……ライオン丸、見参!」
『!?』
獣人の剣士………ライオン丸が刀を構えて名乗りをあげると、ロクサーヌも岩石怪人も唖然となった。
「て、テメー!武士神の親戚かよ!?」
「『武士神』………?いや、そんな奴は知らんが………」
岩石怪人の口にした聞き覚えの無い名前に、
ライオン丸は首をかしげる。
「なんでも良い!これでもくらいやがれぇぇ!!」
岩石怪人は右手に持っていた半壊状態のコピー機を、
まるでドッジボールのボールのようにライオン丸に向けて投げつけた。
「………ふんっ!」
ライオン丸は刀を構えて身構えると…………
自身に投げつけられたコピー機を一刀両断した。
二つに切り裂かれたコピー機………いや、コピー機だったスクラップは道路の左右に立っている建物に叩きつけられた。
「な、なにぃ!?」
ライオン丸の鮮やかとも言える剣術に、岩石怪人はたじろいでしまう。
「とりゃあ!!」
続いてライオン丸は天高くジャンプすると、
そのまま岩石怪人に急降下落下していく。
「ライオン飛行切り!」
「うおっ!?」
ライオン丸が急降下落下しながらその刀を振るうと、
岩石怪人は自らの左腕を盾にして防ごうとした。
だが…………
ライオン丸の刀は、岩石怪人の左腕を半ばから切り落としたのだ。
「………ウギャアアアアア!!?」
左腕を切り落とされ、岩石怪人は苦痛の悲鳴を上げる。
切り落とされた岩石怪人の左腕は地面に落ちると同時に『人間の左腕』に変化し、
岩石怪人自体もまた、人間の姿へと戻った。
「ち、チクショー…………覚えてやがれっ!?」
人間の姿に戻った岩石怪人は三下っぽい捨て台詞を吐き、
無傷な右腕で自身のデイバッグを抱えながら、その場から逃げていったのだった。
「…………」
岩石怪人の姿が見えなくなると、ライオン丸は刀を背中の鞘に納める。
すると、獅子の顔をした獣人の剣士だったライオン丸は、
再び精悍な顔つきの青年に戻った。
「………」
ライオン丸と岩石怪人の戦いを目にし、ロクサーヌは口と目を丸くして唖然となっていた。
そして、唖然となっていたロクサーヌに青年が手を差し出した。
「…………あ」
「………大丈夫か?」
ロクサーヌは青年から差し出された手を握り返して立ち上がると、
改めて青年と向き直った。
「えっと…………助けていただき、ありがとうございます」
「なに、礼には及ばない。困った時はお互い様だ」
青年に感謝の言葉を告げるロクサーヌに、青年は何でもなさそうに答える。
「そうですか……あ、申し遅れました。私はロクサーヌです」
「俺は獅子丸(ししまる)。またの名をライオン丸という。よろしくな」
互いに自己紹介を済ませると、青年………獅子丸とロクサーヌは静かに笑いあったのだった。
【ロクサーヌ@異世界迷宮でハーレムを】
[状態]:ダメージ・小、打ち身、軽い打撲
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:ご主人様の下に帰る
1:獅子丸さんと行動する
2:あのモンスター(ラフ・J・ダイヤモンド)には注意する
3:ご主人様やセリーは無事でしょうか?
[備考]:コミカライズ版単行本12巻時点(ミリア加入前)からの参戦。
ラフ・J・ダイヤモンドを『人間への擬態能力を持つモンスター』と認識しています。
【獅子丸(ライオン丸)@快傑ライオン丸】
[状態]:健康
[装備]:金砂地の太刀@快傑ライオン丸
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:主催の女(森口悠子)を倒し、参加者達を救う
1:ロクサーヌと行動する
2:あの岩の魔人(ラフ・J・ダイヤモンド)は警戒する
3:沙織や小助がいるならば、合流する
4:あの女(森口悠子)はゴースンの配下か?
[備考]:少なくとも『ライオン回転飛行斬り』や『ライオン飛行返し』の習得前(第25話以前)からの参戦。
ロクサーヌを『南蛮人』、ラフ・J・ダイヤモンドを『ゴースン配下ではない魔人』と認識しています。
今ロワの主催者・森口悠子を『大魔王ゴースンの配下ではないか?』と疑っています。
一方その頃-
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ライオン丸によって左腕を切り落とされた岩石怪人………またの名を犯罪ノッカーズ『ラフ・J(ジャック)・ダイヤモンド』は、
大通りから離れた路地裏のゴミ捨て場に隠れ潜んでいた。
切り落とされた左腕の傷口には着用していた服の切れ端をきつく巻き付けて、
簡易的な止血を行っていた。
「はぁ………はぁ………」
荒く息を漏らしながら、ラフ・Jは先ほどのロクサーヌや獅子丸の言葉を思い出す。
『も、モンスター!?』
『………ゴースンの配下ではないようだが、まさかこんな所で魔人に出くわすとはな』
「ちくしょう………どいつもこいつも、人を『化け物』扱いしやがって……」
無数に存在する平行世界の中から、自分が望み得る能力を自由に引き出せる特殊能力者………『ノッカーズ』として覚醒して以来、
ラフ・Jは周囲の人間や社会から『侮蔑の言葉』や『恐怖の視線』を嫌というほど浴びせかけられてきたが………直接的に『怪物扱い』される事程、腹の立つ事は無かった。
「………ふざけんじゃねぇぞ!クソッ!」
腹の虫がおさまらないラフ・Jは、ごみ捨て場に置かれていたポリバケツを蹴り飛ばした。
『本来の歴史』において。
ラフ・Jは『最強のノッカーズ』と評される少年や『透明化』及び『物質透過能力』を持つノッカーズの少女との出会いと交流を経て、
『完全な更生』………とまではいかないまでも『憎めない奴』程度には丸くなっていくはずだった。
だが、ここに居るラフ・Jはその少年や少女と『出会う以前の時間』から呼び出された………いわば『更生の機会を奪われた状態』でこの殺し合いに参加させられたのだ。
「ちくしょう、アイツら………次会ったら、ぜってぇーぶっ殺してやる……」
先ほどコンビニから強奪したおにぎりの一つを頬張りながら、
ニット帽の隙間から覗くラフ・Jの目には怒りと憎悪の炎が燃えていたのだった………。
【ラフ・J・ダイヤモンド@ヒーロークロスライン】
[状態]:ダメージ・中、左腕欠損(止血中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3、コンビニの食料@現実
[思考]:自分以外皆殺しにしてでも生き残る。
1:腕痛ぇー………
2:あの武士神もどき(獅子丸/ライオン丸)とイヌ耳女(ロクサーヌ)はぶっ殺す
3:とりあえず、腹ごしらえだ
[備考]:『ジエンド』第1話以前からの参戦。
獅子丸とロクサーヌを『ノッカーズ』だと思っています。
会場内に存在するコンビニエンスストアの一つから、大量の食料品を強奪しました。
[支給品解説]
【金砂地の太刀@快傑ライオン丸】
ライオン丸こと獅子丸が、師匠である日本最高の忍者・果心居士から形見分けされた刀。
ライオン丸の専用武器にして変身アイテムでもあり、通常時は鍔と鞘の部分が鎖で縛られているが、獅子丸が『忍法獅子変化』を発動させると自動的に鎖が外れ、獅子丸をライオン丸へと変身させる。
元々は果心居士がインドでの修行中に、ジャラモン教の教主『大聖人ゴーファ・ジャラモン』から譲り受けた物。
ライオン丸のライバル・タイガージョーが持つ『銀砂地の太刀』とは対をなす兄弟のような関係にある。
【コンビニの食料@現実】
文字通り、ロー○ンやセ○ンイ○ブンといったコンビニエンスストアで販売されているおにぎりや弁当といった食料品の類い。
ラフ・J・ダイヤモンドが会場内に立地するコンビニの一つから大量に強奪した。
最終更新:2026年07月26日 19:56