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『人らしくあれ』


(キャラ) デイビッド・マルティネス、黒死牟、社美胡、ゲンスルー




「ナイトシティじゃないのか……何処なんだ?」


人気のない夜の街にて男性が歩いていた。黄色いジャケットを羽織った彼の名はデイビッド・マルティネス。
ファルコ、キーウィ、レベッカと共にフィクサーたるファラデーの依頼をこなそうとしていたが、突如として教師の様な服装をした女性の宣言により此処へ放り投げ出されたという訳だ。


(……AIの方が未だ良かったぐらいだ)


かつて通っていたアラサカ・アカデミーにて女性を模したAI教師から学んでいたが、命の授業と称して死を体験させるという見知らぬ女性は無機質なそれと一線を画し、不気味さを醸し出していた。
フィクサーの依頼でメイルストロームといいアニマルズといい、様々なギャングを葬ってきたが、無関係な人を襲うほど狂ってはいないのだ。


『待って……』


酷く怯えたアラサカ研究員の女性の姿がデイビッドの頭を過る。依頼の最中に出くわしたごく普通の母親だ。無関係な人を襲うほど狂っては――。


ドゴォ!
地震と思わせるような衝撃音。
デイビッドはエッジランナーとしてある程度のリスクを承知しながら、音源へと足を運ぶ。
進むにつれて地鳴りが酷くなり、崩壊の音も響いてくる。一体、どんなサイバーウェアをインストールすればこんな被害を出せるのか。


(なっ、何だよ!? ホログラムじゃないのか!?)


恐る恐る物陰から覗くデイビットは驚きを隠し切れなかった。
クロームだらけのギャングでもなければ、リパーから聞いたアダム・スマッシャーでもない――巨大な狐が牙を剥いて剣士に襲い掛かっていた。
日本刀といい着物といい、身なりからしてタイガークロウズの男性と思われたが顔を見れば一目瞭然、狐と対峙する剣士も普通ではなかった。


(ファラデーと似ているけど半端じゃねぇ威圧感だ……!)


額から頬にかけて六つの眼が生々しく凝視していた。血走る凶暴な狐に勝るとも劣らない形相だ。
異形ならではの威圧感がひしひしとデイビッドに伝わる。しまいには人工的な臓器ですら鷲掴みにする。


「弱い……弱すぎる」
「あぁあああああ!」


剣士が巨大な尾や爪をいなしながら呟くや否や、繊細な弧を描いた半月が狐の周囲に出現する。獣の全身が血飛沫と共に切り裂かれた。
禍々しく脈打っていそうな刀身を振るっていないにも拘わらず、どうしてあそこまで切り込めたのか、恐らくあの半月らしいが仕組みなど知る由もない。デイビッドも固唾を呑んで見守るしかなかった。


「はぁ、はぁ……」
(女……!? もしかしてあの狐なのか……糞っ、どうなってんだ)


狐の全身から夥しい煙が放出したかと思えば、その中心に佇むツインテールの赤毛の少女が息を切らして剣士を睨み続ける。
何とも理解し難い光景にデイビッドは必死に頭を回転させて理解しようとしていた。


「それだけの血の匂いを纏っておきながら……何故血肉を求めぬ……?」
「あたしはもう殺したくない……人と縁を切ったお前なんかには分からないだろうね」
「そうか……では死ね……!」


少女の強固な意思が剣士の誘いをはねのけた。そして彼は刀身の矛先を彼女に向け、振り下ろそうとした瞬間――、
剣士の足元の地面が爆ぜた。火薬の臭いと爆炎からしてミサイルでもぶちこまれたかのような威力だ。


「そこまでだ」
「ほう……お前の名は……」
「デイビッド・マルティネス、あの女の口に乗ってるなら容赦はしない」
「黒死牟……何か誤解があるらしいが……これは私自らが望んでいる事だ……奴の云う命とやらに興味はない……それに……」


少女の前に立つデイビッドが剣士を睨み、正々堂々と自身の名を名乗る。
勇猛果敢な彼を前にして剣士は、六つの目を一条に凝縮させた。問答無用で殺しにかかるかと思っていたが、そうでもないらしい。


「お前の体は物の怪擬きに蝕まれている様だな……その者と同様にいつまで正気を保っていられる……?」
(まさか……サンデヴィスタンの事なのか!? いや、それよりどうやって分かったんだ?)


古風な言葉に耳を傾けていたデイビッドは思わず息を呑む。
エッジランナーとして足を踏み入れたきっかけがサンデヴィスタンだ。本来ならジャケットに隠れていて見えない筈だが、黒死牟という剣士はその本質まで言い当ててみせた。


「気を付けて……アイツに近付いた瞬間、切り刻まれた」
「ヤバいのは知ってるよ……」
「もしかして、ずっと見てたの? へぇ~」
「敵か味方か、分からなかったんだ……!」


デイビッドに守られていた少女が助言を送る。
誰もが恐れる狐の割にはお人好しだ。やり取りをしていた彼は胸を撫で下ろしたいが、まずは目前の黒死牟をどうにかしなければならない。


「お願いがある、そのままでいてくれ――俺に考えがある」


デイビッドの応答に少女は力強く頷いた。
彼が加わっても大した戦力にはならないだろう。精々、足止め或いは――。


ガチャ――。
開いたデイビッドの腕部から砲口が顔を出して黒死牟に向かってミサイルを放つ。まず直撃しようものなら並の人間は爆死だろう。しかしながら、


ホオオオ――。
呼気に応じるかのように目にも止まらない斬撃がミサイルを真っ二つに切断する。爆風が生じ、辺りを埋め尽くしていく。


「それは見切った……爆竹より勝っただけでは私に届かぬ……そして……」
「同行(アカンパニー)使用(オン)!! デ、デイビッド・マルティネス!!」
「あの者も逃げたか……」


黒煙が晴れると同時に黒死牟は建物の物陰へ目移りすると――慌てているような男声と共に一条の光が空高く伸びて、遥か彼方へと消えていった。




「如何なる破滅を辿っても介錯は不要か……でいびっど……」


黒死牟はデイビッド達を追わず、刀身を鞘に納めた。彼が辿るべき結末は透き通る世界を通じて既に分かっていたからだ。
先程まで隠れていた男性もデイビッドのもとへ行ったのだろう。保身に走った獲物がわざわざ火中に飛び込んでいるようなものだ。
デイビッド達の逃げた先に向けられるのは、憐れみを込めた鬼らしからぬ眼差しだけだ。


🌑 🌙


何もない地面から出現したのは先程逃げたデイビッドと少女だ。
正確にはデイビッドがサンデヴィスタンを起動させて自分自身を加速させた。次第に取り巻く世界は彼らに追い付けなくなり止まり出す。
彼女を抱きかかえながら走っただけで、かなりの距離を離せた。あの黒死牟とて追ってこないだろう。


「はっ、はぁ、はぁ……!」
「ちょっと大丈夫!? 鼻血が出てるけど!」


少女をゆっくりと降ろしたデイビッドが苦しそうに倒れこむ。
サンデヴィスタンはただで力を貸すのではない。彼の体はおろか精神ですら貪り食う。
行き着く先がBD(ブレインダンス)で見たサイバーサイコシスだ。そしてチームを引っ張ってきた前任者のメインも辿ってしまった。


「なんてことはないよ……それと頼みがあるんだ、ジャケットの裏側に抑制剤がある……それを首元に打ってくれ……!」
「えっ、分かった! うわ、沢山ある……」


サイバーサイコシスに抗いながら言葉を絞り出すデイビッド。少女は彼のジャケットを脱がし、見るからに緑色の注射器を手に取る。
リパーから買い取ったもので一度注射すれば、内なる狂気を和らげられる。
あくまでこれは延命措置に過ぎない。最後の抑制剤を使えば、リパー曰くエッジを踏み越えた向こう側(きょうき)だ。
突如として二人の近くに一条の光が飛んできて着弾する。舞い上がる粉塵に人影が揺らめく。


「次から次へと何だよ!」
(不味い、もしここで襲われたら一溜りもない……!)


取り乱す少女の傍でデイビッドが一筋の冷や汗を流していた。注射器を打ったのはいいが、それでも正常までの時間を要する。
ようやく姿を露わになったのは眼鏡を掛けた長身痩躯の男性だ。印象としては内気で弱弱しい。


「待ってくれ、俺は殺し合いには乗っていない」
「どうもしっくりこないな……どうやって俺達の居場所を知った? 偶然にしては出来過ぎてる」


身構える少女達に長身痩躯の男性は両手を挙げるが、デイビッドは警戒を解かなかった。
ナイトシティで過酷に生き抜いてきたデイビッドからして、見た目だけで判断していては命取りになる。


「ブック、これはスペルカードで近くのプレイヤーの存在を探知し、その場所へたどり着けるのさ」
「何それ! めっちゃ便利じゃん!」
「ただ使用は一度きりなんだ、とんだ博打だったが……最初に会えたのが君達で良かった」


長身痩躯の男性が唱えるや否や、本が出現する。浮いていたそれにデイビッドと少女が目を大きく見開く。
今更、宙に浮く本など狐や剣士と比べれば未だマシな方だ。否、感覚が麻痺しているだけかもしれない。



「分かった……用件を言ってくれないか」
「俺と手を組んでほしい、ここから生き残るためにな」


デイビッドに向かって長身痩躯の男性が提案を持ち掛ける。僅かに口元を緩めながら――。
誰かがいったナイトシティでは人を信じるな、人は裏切ると。それは此処でも通用するものだった。


🌑 🌙


(指輪をしていない事からプレイヤーではなさそうだな……おかげでブラフを混ぜやすい)


長身痩躯の男性の正体はグリード・アイランドのプレイヤーを恐怖に陥れたゲンスルー。
五年間も組織に潜り込んでいた彼からすれば、くだらない正義感を掲げるデイビッド達は取るに足らない存在だ。


(アカンパニーの詳細を知る者は俺しかいない、使えば証拠隠滅出来るからな)


ブックにあるスペルカードを見せようが、アカンパニーのカードはもうない。つまりこの場においてグリード・アイランドに精通しているゲンスルーしか知らないのだ。


(未だに俺を疑っている餓鬼は見るからに強がっている、余程疲弊している様だ。そしてあの女も少し警戒しているが時間の問題だな――真っ先に戦うとなれば此方としても分が悪い)


デイビッドと比べて狐に化けた赤毛の少女は全くの別だ。世界最大の豚のグレイトスタンプよりも遥かに勝る巨体で襲い掛かれば、ある程度のリスクを被らなければならない。いくら人体を派手に欠損させる一握りの火薬(リトルフラワー)の威力と云っても限りがある。


(それより問題は黒死牟という怪物だ。最初から俺の気配に気付きやがった)


そんなゲンスルーとて予想外の出来事が起きる。
デイビッド達と対峙し、黒死牟と名乗った剣士。出来るだけ気配を殺して様子を窺っていたが、まさか此方に気付いていたとは驚きだ。
黒死牟も一筋縄ではいかない脅威そのもの。無数の斬撃を紙一重に掻い潜らなれば話にならない。言うまでもなく、接触で発動する一握りの火薬との相性は最悪だ。


(まぁいいさ、ゆっくりと時間を掛けるまでだ……!)


グリード・アイランドから此処へ引っ張り出してくれたあの女性に内心苛立ちを覚えるゲンスルー。
だが自分だけでなく黒死牟も同じ事がいえる。彼も同じように忌まわしい首輪を嵌めていた。あれ程までの猛威を振るっておきながらも隙がある筈だ。かつて爆弾魔(ボマー)として脅かしてきたゲンスルーは無害な参加者を装いつつ静かに牙を研いでいた。



【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:強者の血肉を求め、相応の実力者を鬼にする。
1:此処がどこなのか……把握せねば……。
2:あの者(デイビッド、社美胡)達を追わずとも……いずれ破滅を辿るだろう……。
3:血を求む獣(社美胡)にも拘わらず……人とやらに絆されるとは……愚かなり……。
4:奴(ゲンスルー)は無粋にも……観察していたか……。
5:あのお方(鬼舞辻無惨)と猗窩座が此処に居れば……合流せねば……。

【デイビッド・マルティネス@サイバーパンク:エッジランナーズ】
[状態]:疲労(中)、流血(中)、精神汚染(中)
[装備]:サンデヴィスタン@サイバーパンク:エッジランナーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:チームの為にもナイトシティに戻る。
1:今は休みつつ目の前の男(ゲンスルー)を警戒。
2:狐といい目玉だらけといい、どうなっているんだ?
3:あいつ(黒死牟)との戦闘は避けたい。
4:出来る事なら……ルーシーに会いたい。

【社美胡@私を喰べたい、ひとでなし】
[状態]:血に対する食欲(小)、流血(小)、全身に裂傷(傷は塞がりつつある)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:一刻も早く比名子の元に戻らないと……!
1:今はデイビッドを助ける!
2:とにかく、あいつ(黒死牟)は危険!
3:こいつ(ゲンスルー)を信用するかどうかは一先ず保留。

【ゲンスルー@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康、黒死牟への恐怖心(大)
[装備]:指輪@HUNTER×HUNTER
[道具]:基本支給品一式、本(ブック)&G.Iカード×4@HUNTER×HUNTE、不明支給品×0~2
[思考]:どんな手を使ってでも生還する
1:一先ずデイビッド達と手を組み行動する。
2:デイビッド達の信用をどう得るか……。
3:怪物(黒死牟)の対抗策を見出す。
4:有利に運ぶべく参加者(プレイヤー擬き)に命の音を仕掛けておきたい。

【サンデヴィスタン@サイバーパンク:エッジランナーズ】
人間の脊髄(背骨)に直接埋め込むタイプのオペレーティングシステム。
起動することでユーザーの神経伝達速度を爆発的に高め、「周囲の時間が止まった(あるいは極限まで遅くなった)」かのような超加速状態を生み出す。
一般人から見れば、起動者は「目にも留まらぬ速さで瞬間移動した」ように映る。銃弾を文字通り見てから回避したり、敵がトリガーを引く前に間合いを詰めて一刀両断するといった超人的な戦闘が可能になる。
ただし、その強力さゆえに肉体と精神(脳)にかかる負荷は尋常ではない。

【虚哭神去@鬼滅の刃】
外観は一見すると日本刀だが、その刀身や鍔には血管の様な模様が走り、更に刀全体に眼が無数に付いている。拵に関しては彼が人間であった頃に使っていた刀に似ており、同様の四ツ木瓜型の鍔、黒い柄巻といった仕様になっている。一方で、鞘は全体的に肉に覆われている。
他の多くの鬼が使う武器と同様に、黒死牟自身の肉と骨を用いて造られている。その為、鬼が有する変形能力と再生能力を備えており、相手に応じて刀の形を変えたり、破壊されても即座に復元・作り直したり出来る為、武器破損を気にせず戦闘を行える。

【本@HUNTER×HUNTER】
付属の指輪を嵌め、「ブック」「ゲイン」と呼称する事で出し入れが可能。
グリード・アイランドのカードを出し入れできるバインダーで、念能力者以外も使用可能。
100種の指定ポケットカード、45種の呪文カードの管理が可能。
ゲンスルーに支給された時点で複数枚のカードが入っている。詳細は後続の書き手にお任せします






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最終更新:2026年08月03日 19:54