『後悔先に立たず』
(キャラ) ジョン・アブルッチ、プッチ神父
模造された渋谷の中心街に、その教会はあった。
神の社は迷える仔羊に常に開かれているというがそれはこのバトルロワイヤルでも同じらしい。血が流れ舞うこんな煉獄であれば、なおさら人を惹きつけるのだろう。
「主よ、貴方は私を探り、私を知り尽くされました。貴方は我が座るをも、立つをも知り、遠くから我が思いをわきまえられます。貴方は我が歩むをも、伏すをも探り出し、我がもろもろの道をことごとく知っておられます。私の舌に一言もないのに、主よ、貴方はことごとくそれを知られます」
そこにいたのは二人の男だった。剃り込みの入った白髪頭の黒人が聖書を開き、その前では前髪の後退した白人が目をつむり祈りを捧げている。
文字だけを見れば老人たちの平和な日曜日だ。しかし、男たちの持つ凄みを見れば、それが誤りだと誰もがわかるだろう。
「貴方は後から、前から私を囲み、私の上に御手をおかれます。このような知識はあまりに不思議で、私には思いも及びません。これは高くて達することはできません。私はどこへ行って、あなたの御霊を離れましょうか。私はどこへ行って、貴方の御前を逃れましょうか。」
年齢はどちらも中年だろう。だがその体は運動不足とは無縁の絞れた姿だ。敬虔である者はストイックでもある。しかしそれだけでは理由のつかない、単に鍛えたのとは違う「暴力」がそこにはあった。
「私が天にのぼっても、貴方はそこにおられます。私が陰府に床を設けても、貴方はそこにおられます」
「──人を殺してきました」
聖書を閉じ、沈黙が満ちて、数十秒。シカゴ・マフィア『アブルッチ・ファミリー』のボス、ジョン・アブルッチは口を開いた。
「捕まるまで怖いものなんてありませんでした。神様のことなんてなんとも思ってませんでした。それでも」
膝の上で組んだ手に額を預けるようにして、アブルッチは震えた声で言う。
「俺のせいで、家族が危ない目に合いました。それでも罪を重ねて、死にかけて、信仰に目覚めました」
引き絞られた目からは光が一筋流れ、頬を伝う熱い涙が顎から腕へと走った。
「それでも俺は変われませんでした。復讐に走って、引き留める妻をほっぽって、そして……」
アブルッチの肩が震える。その声は今や嗚咽交じりのものへと変わっていた。
「神父様、俺はいいんです、覚悟はできてました。こんな地獄での殺し合えって言われても当然のクズです。でもあいつらは……家族は違う。マフィアなんかじゃない。もし、もし俺のせいで巻き込まれてやしないかって思ったら、俺は……」
「貴方は……覚悟のできる人ですね」
神父のその言葉が懺悔室と化える。
重々しさと若々しさ、相反するそれを両立させる声で神父は続けた。
「己の不明を恥じ、後悔に囚われている……人は皆、迷える仔羊にすぎない。」
神父は動かない。
だがその後ろには、まるでアメコミかなにかに出てくるような奇怪な姿の人型が立っていた。
「人は『恥』のために死ぬ……あのとき
ああすれば良かったとか、なぜ自分は
あんな事をしてしまったのかと後悔する『恥』のために……」
神父は動かない。
だが人型はアブルッチの頭へと触れていた。
「──ここを地獄と言ったが……そうであるならなおさら、『天国』に行きたいと思わないかな?」
「────────」
アブルッチの視界が暗転する。
アブルッチの額から奇妙なディスクが出てくる。
神父はそれを手に取ると自分の頭に入れて────
「……それにしても神父さん、俺の話をビビらず聞くなんて、何者なんです?」
「ああ、刑務所の教戒師をしていてね。もっとも、今となっていは『していた』か」
「てことは神父も……」
「ああ……私にも死んだ記憶がある。あの森口という女、死者を集める死神か、それとも堕天使か……」
「まさか悪魔がアジア系とはな、ポリコレってやつか?」
涙ぐみまだ赤い瞳だが、アブルッチは快活に話す。神父への懺悔は彼を変えていた。目を覆っていた霧がスッキリと晴れて、今や自分がやるべきことがハッキリわかっている。
即ち、神父への全面的な協力。この地獄に差し伸べられた救いの手を、自分は離してはいけない。
「そうだった、名前を聞き忘れてたな」
今や全幅の信頼を寄せてくるアブルッチのその問いに、少し考えてから答えた。
「プッチ神父、そう呼ばれている」
【ジョン・アブルッチ@PRISON BREAK】
[状態]:なんらかのDISKがONッ!
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:プッチ神父に付き従う。
1:プッチ神父の役に立つ。
2:プッチ神父の為に周囲を調べて使えそうな人間を教会に連れていく。
【プッチ神父@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:ジョン・アブルッチの記憶把握
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:プッチ神父は動かない。アブルッチに周囲を調べさせ、使えそうな人間を教会に連れてくるのを待つ。
1:たとえ地獄であろうと天国を目指す。
2:あの森口という女……スタンド使いか?
最終更新:2026年07月26日 00:57