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『水炎の少女達』


(キャラ) 紫藤アリサ、スイ





「……ウチは、何をしていたんだっけか。」

 どこかの公園のベンチ。いつの間にか彼女は此処にいた。
 その恰好はどこかの刑務所からの脱獄でもしたのだろうか。
 足には鉄球のような時代錯誤の足かせを両足につけている少女が座っていた。
 けれど脱獄囚としてみるには、余りにも違う黒を基調とした服を身に着ける。
 黒いフード、黒いマスク、裏地や瞳は赤く、どこか近寄りがたい雰囲気を持つ。
 囚人が着るような、洒落た衣装は足かせの謎はともかくとしてそういう存在には見えなかった。
 魔女か怪異かと言われても、違和感のない姿をしているのだが、あながち間違いではない。
 彼女、紫藤アリサは魔女だ。厳密に言えばまだ魔女ではないが、魔女因子の宿った少女になる。
 人を殺してしまう魔女、魔女候補として拉致されて同じ候補と牢屋敷の生活を強いられてた。
 それが今の彼女にとっての日常。それに耐えながら自分が魔女化しているのではないか、
 そんな不安に駆られながら魔女にならないように耐えながら生活していた少女だ。

「氷上に薬を頼んで、それから……」

 あれから自分はどうなったのだったか。
 近くの噴水に反射する自分の顔を見ると、見慣れた顔が反射する。
 魔女やなれはてではない。まだ理性を保てているのかとどこかで思う。
 マスクを降ろして口元も確認するが、特に何があるわけでもなかった。
 一先ずは大丈夫そうだが、自分の力、発火の能力が強くなったと感じる。
 魔女化が進んでいるのだろうか。魔女化すればいずれは怪物になってしまう。

 それがアリサにとっては恐怖だ。
 魔女やなれはてを見てきた。同じ牢屋敷で過ごすことになったメンバーが。
 牢屋敷から抜け出せて心が落ち着いたかと思えば、次は殺し合いが始まっている。
 何も変わらない。命の奪い合いに辟易しながら、噴水の上に両手を置く。

「氷上に殺されたか、寝てる間に拉致られたのか……わかんねえな。」

 ゴクチョーもいる気配がない。と言うより生物のいる気配すらない。
 虫のさざめきとかそういうのも存在しない。自然が比較的豊富な場所で、
 何一つ生命を感じないのは中々に違和感があるものだった。
 いや、音はする。おそらく人の足音だ。芝生を踏んでいる音がしている。
 人数は音の感覚から一人だけだと判断しながら、ベンチの後方へと顔を向けた。

 見たのは見るだけで怯えてるのが分かる少女だ。
 白いフードつきのコートを羽織っている、水色の髪の少女だ。
 殺し合いには不釣り合いであることはよく分かる。怯え気味の表情だが、
 少なくとも殺し合いに乗ってないのは、こんなバレバレな忍び寄り方をしてないところから分かる。

「あ、あの。」

「断る。」

 内容を聞くこともなく即答でアリサは答えた。
 攻撃や武器を構えて仕掛けてくる様子もない。
 ならばわかっている。殺し合いに乗ってないのだと。
 だったら次の言葉は一緒にチームを組まないかと言うことだ。

「ウチは一人の方が良い。ほっといてくれ。」

「で、でもこんな開けた場所だと撃たれるかも……」

「ウチに関わるな。顔面とか焼けても知らねえぞ。」

 脅しのように人差し指を一本立てる。
 そこから噴き出すのは決して大きくはないが小さくもない炎。
 アリサの魔法は火炎だ。人を一瞬で殺す火力はでないものの、
 魔女化が進んで彼女を能力の有無を問わず殺してしまうかもしれない。
 だから断った。一人で何とかこの事態を解決するかどうかもあやふやだ。
 殺し合いを勝ち抜いてまでしたいことなんてないし、かといって自分の炎は危険だ。
 魔女になった時どう責任を取るのか。死ねない身体になって人を襲い続けるのか。
 同時に、そうなったとき誰を殺すのかが分かっている。まずは目の前の少女の方だろう。

「ウチは発火の魔法だ。しかも暴走するかもしれねえ。仲間集めならよそでやりな。」

 冷たい言葉ではあるが、彼女なりの気づかいだ。
 自分の能力がどうなるか分からない中仲間とかチームなど組めたものではない。
 それに、元々が一匹狼であることが多い彼女にとって一人の方が慣れている。
 これでいい。他者に迷惑をかけたくない、だからこのまま彼女と別れるのが吉だ。
 一人でいることについてはなれている。このまま別れるのが最適解だと。

「……は?」

 だと言うのに、少女は距離は取りつつも同じベンチに座り込む。
 怪訝そうな顔を見ていると、少女は彼女に視線を向けながら言葉を紡いだ。

「その時は、私『達』が止めます。だから、一緒に来ませんか?」

「何を言ってるんだ。ウチの炎は火力がどんどん上がってきているんだ。
 自分でも制御できなくなるかもしれない。そんなウチをどうやって止め……」

 アリサの言葉は途中で止まる。止まらざるを得なかった。
 噴水から流れ続ける噴水の水が突如として意志を持ったように動き始める。
 水のベールのように二人の間に水が飛んできて、空中で簡単な壁を作っていく。
 気になって指から炎を出して壁に突き立てようとするが、あっという間に炎は蒸発する。

「私は水が操れる力があります。だから、一緒にクランをお願いできませんか?」

 噴水の水を元に戻しながら少女は紡ぐ。
 これだけの水を操れるなら、暴走しても止められるんじゃないか。
 そんな淡い希望をどこかに感じるものの、その思考を振り払う。

「人を殺したことのあるウチにに、そういう希望を持たせるもんじゃねえぞ。」

 諦めてもらうため、彼女は黙っていたことを話す。
 結局自分は人殺しだ。だから自分を許すことができない。
 これを言えば、流石に諦めてくれる。そのはずなのに。

「私も、似たようなものです。」

 彼女は語った。あるゲームに参加した彼女とその仲間は、
 非道な手段も合わせた結果としてその組織を壊滅に追い込んだ。
 自分の力が原因で死んだ人物(まあこれには砕こうと足に銃弾を撃つバカもいたが)はいる。
 だから間接的ではないが、人を殺していないわけじゃない。アリサと形は違えど、同じ存在なのだと。

「……年齢、サバ読んでるとかないよな。」

 冗談だろうと思い、年齢を確認する。
 牢屋敷にも大人びた女性がいたが、15歳であったこともある。
 だから何か上位存在とかで見た目が変わらない何かかと思うも、

「? 11歳ですけど。」

「マジかよ。」

 11歳で事故ではなく意図的に人を殺している。
 年齢で言えば小学生だ。どんな人生を歩んだのかと思わずにいられない。
 世の中分からないものだと心の隅で感じ取ることができた。

「ダメ、ですか?」

「……はぁ。」

 仕方ない、とでも言いたげな顔と共にベンチから立ち上がるアリサ。
 何処へ行くのか分からず、少女はついて行くように同じく歩き出す。

「えっと、どっちなんでしょうか、これって。」

「そっちにも会いたい奴が何処かにいるんだろ。
 で、ベンチに居座ってもウチが首を縦に振るまで待ち続けるはずだ。
 そう思うと面倒だからだ。だから、知り合いが見つかるまでの間なら別に構わねえだろ。」

 あのままずっと放置するのも彼女としては気分が悪い。
 知り合いが参加してるかもしれないのに自分のせいで動けない。
 そうなれば流石に後ろ髪を引かれるようなものを感じて仕方なく動く。
 ぶっきらぼうな彼女ではあるが、根底は育ちのいい、優しい人間なのだから。
 だから先ほどまで噴水で能力の暴走の際に備えて動かないを選んでいた。
 最悪、あれだけの水を操れる彼女ならいざと言うとき魔女になる前に窒息死とかもできるかもしれない。
 そういうネガティブな思考も含まれているのは否定できないものの、当然それを理由にはしなかった。
 やるときはやるタイプなのだろうが、普段は大人しいタイプで、牢屋敷のメンバーと違って静かな方だ。
 桜羽エマほどグイグイ行くわけでもないし、距離感としては一番落ち着く場所なのかもしれないと。

「……アリサ。」

「え?」

「紫藤アリサだ。名乗ってなかっただろ。そっちは?」





「私は───スイって言います。」

 水と炎。
 交わることのない力は、今だけは混ざり合っていた。


【紫藤アリサ@魔法少女ノ魔女裁判】
[状態]:精神的疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:とりあえず魔女にならないまま生き残る。
1:スイと行動……と言うか勝手についてきてるか。
2:魔女化だけは避けたい。

※参戦時期は1週目死亡後です。
 魔女に近づけば近づく程発火の力が強くなります。

【スイ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:クランを組んで抗う。
1:サンセットレーベンズの皆はいるのかな……
2:アリサさんと行動。いざと言うときは私が止めないと。

※参戦時期は少なくともグリード襲来前







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最終更新:2026年08月03日 20:15