『動物女王と兵庫のアシュラと渋谷のキングと』
(キャラ) ポメラニアン、黒田光秀、藍川結実
その日、SHIBUYAの空気はいつもと違った。
飼い慣らされた生活から突然放り出されて何年経つだろう。
右も左もわからぬは、TOKYO、SHIBUYA。
泥水を啜ってでも生き抜いて守り抜いたいつもの寝床、いつもの部屋。
目が覚めた時無かったのは、家族の温もりだった。
殺し合い。
あのサゲメスの言っていたことなど何一つとしてわからなかったが、こうして久方ぶりに首輪を着けられて、まるで座敷犬の如く扱われたことに感じるのは当然の怒りだった。
取り払われた厄介な枷が、文字通りの物として嵌められて、それを部屋の隅にある鏡で確認して嘆息する。
昔に比べて毛量が少し減ったが、それでも長い毛足の下で異様な首輪が存在を主張していた。
断じて愛玩犬に着けられるようなPrettyな物ではない。一欠片の権利も認めないと言外に雄弁に語る、無機質なそれ。
Simpleに重い。
首が凝る。
不快だ。
「……くん」
鼻を鳴らすと、喉の圧迫を感じてまた溜息が出そうになる。
こんな物を着けてまでやることが、殺し合い。
あのサゲメスは全くSHIBUYAというTOKYO JUNGLEをわかっていないようだ。
所詮この街は弱肉強食。
強ければ生き、弱ければ死ぬ。
それをこの街をTerritoryとする自分に調教しようというのか?
思わず牙を剥く。
妻ができ、子供も産まれて丸くなった気でいたが、∑MALEな生き様は変わらぬStanceだったらしい。
成長して独り立ちを迎えた子供たちを送り出し、この街は後の世代に託して自分は妻と慎ましく、などというのはできそうにないようだ。
このダサい首輪にかけて誓う。
ペットショップでももう少しマシなデザインが並んでただろうにそれすらわからない死んでるSense。それで悦に入るあのメスを調教してやるのが渋谷のキングたる俺のBusiness。
守るべきモノと引き離されたことで、一匹のオスへと戻った野獣が会場に解き放たれる。
昂るはライオン・ハート。
その前には動物園から脱走したライオンもゴリラも彼にとっては等しく獲物でしかない。
目に映る生物これ即ち餌と考える獰猛な狩猟犬(ハウンド・ドッグ)。
彼がその気になればウイルスのスピードで大量殺人する。
その口がニヤリと笑みを作るまでにさしたる時間はかからなかった。
一匹のオス発見。年は20前あたりか。このSHIBUYAに合うFashionは及第点。
なら、その強さを試させてもらう──!
「なにっ」
(躱したっ!)
迅速い。
死角からの首を狙った一撃。
直接肉を抉れずとも首輪を破壊して終わらせる気でいたが、攻撃に入る直前のダッシュで即座に反応していた。
手練だ。
相手が悪い。
喧嘩は勝てる相手に売るべきであり、たとえゴリラに勝てるからと言って自分から仕掛けに行くなどバカのすることだ。
だがそのPrimitiveな欲求に身を任せたい己がいるッ!
「狂犬が!」
ボボパン!
男の拳が音を立てて迫る。
それを刹那の見切りで躱すが、フットワークで後ろに回り込むも後ろ蹴りが飛んでくる。
ふーん……
慣れてるな、やっぱりコイツ。
俺が狂犬ならお前は狂人だ。
コイツの動きの迷いのなさ、振るう拳の鋭さ、間違いない、コイツは人を殺している。
この人喰い、どう仕留めてくれようか?
「灘心陽流──」
舌打ちをする余裕も無くバックステップで距離をとる。
あのモーションはヤバい、全身の体毛が総毛立った。
喰らえば必殺受ければ決着。
自分の死を予感させられる『恐怖』がそこにあった。
しっかりと四足で地面を踏み締める。
態勢を崩しかけて一瞬ローリングで受け流してから立ち上がろうかと思ったが、そんな余裕は無い。
無茶な態勢結構。
無茶な筋肉の躍動結構。
初戦から負けるようではこのSHIBUYAでは生き抜けない。
「……フゥーー……」
「……ハァ……ハァ……」
互いに息が上がっている。
それでも笑みを作る。
大昔に誰かが言っていた。
笑みというのは本来牙を剥く動作であると。
なるほど、正解だ。
己の顎──AGITO──で奴の首をへし折る。
これだけの強敵の息の根を止めるところを想像すれば牙を剥かずにはいられない。
睨み合いはわずかな時間。
先に動くのは、奴。
凄まじい勢いのローキックを間一髪で躱すと、低空タックルを仕掛ける。
だがそれは読まれていたか、跳躍、空かされる。
昔、ナントカとかいう猛獣と戦ったことがある。
獣の筋力は脅威だったが、今は奴の技術(スキル)にそれを越す危機感を抱いている。
だから、いい。
この戦いが、俺を成長させステータスを彩ってくれる。
ボボパン!!
奴の腕がまるで六本になったような高速連撃。
Like so Asura、逝きそうな無頼漢。
躱し、きれない、バックに飛びつつ蹴りつけて、なんとか相殺する。
「グアッ!」
いや、できない。
ダメージが大きい。
今のでまともに腰が立たなくなった。
だが──ここからが『狩り』だ。
俺は連撃で崩れた奴に肉薄しようとしてそして──
「黒田さん……?」
「!?」
──俺は直感で理解した。
コイツはアゲメスだと。
そこに現れたのは、10歳ぐらいのメスガキだった。
まだ生理も来てないような、交尾不可能個体。
だが渋谷のキングとしての勘が確かに理解したっ!
コイツは間違い無くアゲメスだ!
積み上げた物を倍にして次へと繋げる、生物のパラダイム・シフトを起こす存在だと!
相手が子供だからとか関係ない。
俺は身構えるオスをすり抜けて尻尾を振って彼女の元に近づき、地面に寝転がって腹を見せた。
「キミはどこからきたんだ?」
「アン!」
【ポメラニアン@TOKYO JUNGLE】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本方針:アン!
1:ヘッヘッヘッヘ
2:クゥ~ン
※色々言っていましたが思考回路は犬です。
【黒田光秀@タフシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出する。
1:結実ちゃんを守りながら知り合いを探す。
2:この犬の目的は……?
【藍川結実@黒魔女さんが通る!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出する
1:よしよ~し。
2:黒田さんと知り合いを探す。
最終更新:2026年08月03日 21:46