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『空気軍神対人工吸血鬼』


(キャラ) 実相寺二矢、マイケル・モービウス、築城院真鍳




「…………」

『命の授業』と銘打たれた『殺し合い』の為に、
孤島に再現された渋谷の街………。

『命の授業の参加者』以外に人っ子一人居ない静かな街中を、
一人の人物があてもなくさ迷い歩いていた。

「………」

その人物は顔………というか、頭部を鉄兜のような仮面ですっぽりと覆い隠し、
いわゆる『旭日旗』のような刺繍が施されている昔の日本軍の兵隊のような服を着用し、
腰には用途不明の装置と拳銃のホルスターが付属しているベルトを装着し、
背中にはガスボンベらしき物を背負っている…………どこかちぐはぐというか、珍妙な格好をした人物だ。

彼の名は実相寺二矢(じっそうじ おとや)。
幼少期から特撮ヒーローをこよなく愛し、現在は『模型製作代行』と『デッサンのヌードモデル』で生計を立てている29歳の青年。

そして今、彼が装着しているのは………
大学時代に所属していたサークルで製作した、戦後まもなくの時代に公開された映画『空気軍神現る』に登場するヒーロー『空気軍神ミカドヴェヒター』を忠実に再現したスーツなのである。




ま、要するに『コスプレ衣裳』なのだが。

実相寺本人にも理由は分からなかったが、
何故だか彼はあの森口悠子による『命の授業』の説明の場から………そしてこの『殺し合い』の会場に飛ばされた時から、
いつの間にかミカドヴェヒターのスーツを装着した状態だったのだ。

「………ふぅ」

歩き続けて疲労したのか。
実相寺はとある建物前の小さな階段に腰を降ろした。

支給されたデイパックの中からご丁寧に『チューブ状の長ストロー』が付属されている水入りペットボトルを取り出すと、
チューブ状のストローの飲み口を器用に自身が装着しているマスクの隙間に入れて水を飲み始めた。

その姿を見た者は『マスク外せば良いじゃん』と思うかもしれないが………
現在実相寺が装着しているミカドヴェヒターのマスクは『上部のヘルメット部』と『口を覆う下部』がネジで固定されており、
構造上『装着者一人』だと簡単に取り外せないようになっている。
なので、『マスクの隙間からチューブ状のストローを通す』という方法でしか、ろくに水分補給もできないのだ。

「………」

実相寺が静かに水分補給をしていた時…………
その背後に『何か』が音も無く着地し………実相寺へと襲いかかった。

「………キシャアアア!!」
「!?」

突然何者かに背後から強襲を受け、実相寺は一瞬にして地面に組伏せられてしまった。

「キシャアアアッ!!」
「くっ………こ、この………離せ!」

突然自分に襲いかかった何者かを、実相寺は力任せに振り払う。
投げ飛ばされた相手はアスファルトで舗装された道路を転がるが、
まるでネコ科動物のような素早さで起き上がると同時に、再び実相寺と相対した。

「はぁ……はぁ……」

実相寺は息を整えながら、マスクに付属されている暗視スコープを起動させた。
そして…………

「……!?」

………自分に襲いかかった犯人の姿を目の当たりにし、仮面の内側で驚愕した。

「キシャアアア!!」

それは…………黒髪とヒゲを長く伸ばし、痩せこけた青白い顔に赤い瞳を輝かせ、
口から鋭く尖った牙を覗かせている………
まるでホラー映画かゲームに出てくる『吸血鬼(ヴァンパイア)』を、そのまま実体化させたような怪人だったのだ。

「キシャアアア!!」
「!」

吸血鬼のような怪人は、肉食動物さながらの素早さで再び実相寺に飛び掛かる。
実相寺は自身に襲い掛かる吸血鬼の牙を、
半ば反射的に右腕で受け止めた。

「ガァァァッ!ガァァァッ!」

実相寺の右腕に噛みついた吸血鬼はそのままスーツの下に隠された皮膚と肉を引き裂かんとばかりに顎の力を強め、
同時に刃物のように長く伸びた爪で実相寺の胴体を引っ掻いていく………。

「ガァァァッ!ガァァァッ!」

………だが、どれだけ顎に力を入れても吸血鬼の牙は実相寺の…………というか、ミカドヴェヒタースーツの袖を貫通する事はできず、
刃物のように鋭い爪で引っ掻かれている胴体も、
かすり傷程度にしか傷ついていなかった。

「………!」

実相寺は口部内に仕込まれたスイッチを噛み締める。
すると………ミカドヴェヒターマスクのゴーグルが、カメラのフラッシュのような目映い光を放った。

「グアアアッ!?」

至近距離で目映い光を浴びせられた吸血鬼は一瞬怯み、
右腕に噛みついていた口を離してしまった。

「………喰らえっ!」

直後に実相寺は、左手で腰のベルトに付属する用途不明な装置のスイッチを起動させる。
すると………ベルトの用途不明な装置から棒状の部位が銃弾かミサイルのように射出され、吸血鬼の胴体に叩き込まれた。

「グアアアッ!?」

突如として棒状の物体に腹部を殴打され、
吸血鬼は実相寺から5~6mほど離れた地点まで吹き飛ばされてしまった。

「………」

そのまま実相寺は静かに応戦の構えに入ったのだ。


一応念のため記述しておくが、
前述の通り、実相寺が装着している空気軍神ミカドヴェヒターのスーツは『大学時代のサークル活動』で製作した『映画のキャラクターを再現した』スーツであり、
別に『身体能力を強化する』だとか『装着者にスーパーパワーを与える』だとか…………そういった超常的な機能は一切ない。

だが………彼が所属していたサークル『帝都工業大学特撮美術研究会(通称・特美研)』が製作したヒーロースーツは『劇光服(げきこうふく)』といい、
『外見』のみならず『能力』や『武装』等も、可能な限り『元になったキャラクター』を忠実に再現している。

実相寺が装着するミカドヴェヒターの場合、
背中のガスボンベは『ただの飾り』ではなく、圧縮空気を用いてスーツに内蔵された各種ギミックを発動させる為のエネルギー源であり、
腰のベルトに付属されている装置は、圧縮空気を用いてセットされた軍刀を猟銃と同等の速度で発射して高速の居合い切りを実現させる『軍刀加速尾錠』といい、
頭部ゴーグルには『暗視スコープ』の他に『目眩まし用のストロボ』が内蔵されている、等々…………
『戦える仕様になっているほうが、信じて着れる』という特美研の信念が形となったスーツなのだ。

「………」

実相寺は予断無く吸血鬼からの反撃を警戒する。
この時、実相寺は身も心もミカドヴェヒターとして『実装』していた。
※外見のみを模したものが『仮装』であり、『実装』は実用性を伴うものを指す。

「ウゥ~………」

起き上がった吸血鬼は実相寺に対して警戒するような唸り声を上げる。
そして………

「!」

………そのまま実相寺に背を向けると、夜の闇の中へと姿を消した。

実相寺はそのまま1~2分程警戒を続けたが…………吸血鬼が再び姿を現す事はなかった。

「………ふぅ」

相手が逃亡した事を確認し、実相寺は警戒と構えを解いた。
先ほど吸血鬼に噛まれた右腕を擦りながら自身のデイパックを回収すると、
吸血鬼が逃げたのとは正反対の方向へと移動し始めたのだった………。


【実相寺二矢@劇光仮面】
[状態]:健康、軽い疲労、右腕に軽い痛み
[装備]:ミカドヴェヒターの劇光服@劇光仮面
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:できれば早く帰りたい
1:なるべく戦いたくはないが、身を守る場合は仕方ない
2:まさか本物の怪人がいるとは………
3:知り合いが巻き込まれていない事を祈る
[備考]:単行本第5巻での人龍戦終了後からの参戦。
ミカドヴェヒターの劇光服を装着した状態で参加させられています。

さてその頃………

「んぐ………んぐ………」

実相寺を襲撃した吸血鬼………本名・マイケル・モービウスは、ビルの谷間の暗闇で輸血用パックに入れられた血液をゼリー飲料のように飲んでいた。

輸血パックの血液を飲んでいくと、痩せこけていた顔は徐々に張りを取り戻していき、
青白かった肌も健康的な色に染まっていき………

「……ぷはぁ!」

………輸血パックを一つ飲み干す頃には、モービウスの外見は先ほどまでの『いかにもな吸血鬼』から『ごく普通の人間』に変化していたのだった。

「ちょっとちょっとぉ~。ダメじゃん、途中で逃げちゃったらさぁ~」
「………」

不意に誰かがモービウスに声をかけ、モービウスは目に見えて不機嫌な表情を浮かべた。

声のした方には、
紫がかった長髪を一つの三つ編みにまとめ、黒いセーラー服を着用した少女が立っていた。
その少女………築城院 真鍳(ちくじょういん まがね)は見た者に不快感を与えるようなニヤニヤ笑いを顔に浮かべており、
口からはサメかトカゲのようなギザギザとした歯を覗かせていた。

「あたしさぁ、『とりあえず一人か二人殺してきて』って言ったじゃん。何でちょっと反撃されたくらいで逃げだしちゃうかなぁ~?」
「………別に私の勝手だろ。それに、見てたんなら自分でやれば良かっただろうが」

真鍳の言葉に答えつつ、モービウスはますます不愉快な様子を隠そうともしない。

「そりゃあ確かにそうかもしれないけどさぁ~………『TVに出てくるヒーローみたいな格好した人と吸血鬼との対決』なんて面白いものは遠くから見物するに限りじゃん♪なのに途中で逃げちゃうなんてさぁ………見かけ倒しも良いとこだね」
「!!」

とうとう我慢の限界に達したのか。
モービウスは先ほど実相寺に襲い掛かった時と同様に、肉食動物のような素早さで真鍳に飛び掛か………

「……ステイ、ステイだよ」
「!?」

………ろうとした瞬間、真鍳から犬のように『待て』と言われて固まってしまった。

「……あれれぇ~?さっき『真鍳ちゃんの事は絶対傷つけません』って約束したじゃん。忘れちゃったぁ~?」
「はぁ?ふざけるな!そんな約束………!」

『した覚えない』………と最後まで言い切る前に、モービウスは慌てて自分の口を両手で覆った。

「う~ん………どうも効きがいつもより薄いんだよねぇ~。これの性かな?」

真鍳は自分の首に装着された金属製の無骨な首輪を指で撫でる。
顔こそ笑っていたが………その金色の目はどこか不機嫌な様子だった。

彼女、築城院 真鍳は『言葉無限欺(ことのはむげんのあざむき)』という能力を持つ。
簡単に言えば、彼女が口にした言葉を第三者が『嘘だ』と否定するとそれが現実になる、という物だ。

モービウスもこの会場に飛ばされてすぐに真鍳と遭遇し、
その能力によって配下にされてしまった。
しかし…………
本来であれば言葉無限欺で配下にされた者が真鍳に歯向かったり、ましてや自我が残っているというのはあり得ない事だ。

この『命の授業』とやらを企画した女性が手を加えたのだろう。
特に明確な証拠はなかったが、真鍳はそう確信していた。

「……まっ、それならそれで楽しみようがあるけどねぇ~♪」

真鍳はひとまず能力の制限については脇に置くと、あの女性………主催者である森口悠子の言葉を思い出してほくそ笑む。

『人は恐怖によってしか、命の価値を理解できません』
『起こしてみませんか。この閉ざされた島で、誰一人として逃れることのできない──“死因百パーセントの予期せぬ死”を』

「『授業』って言い方は正直ちょっと萎えるけどさぁ~、『人を何十人も集めて殺し合わせる』なんて最っ高にエキサイティングじゃん♪真鍳ちゃんこういうの大好きだよ~♪」
「…………」

満面の笑みを浮かべながらくねくねと変な踊りをする真鍳の姿に、モービウスはドン引きしていた。
能力で縛られていなかったら、全速力で真鍳から逃亡していただろう。

「………まぁそういう訳だからさぁ、今度こそちゃんと殺してきてねマイキー?」
「………」

モービウスは『馴れ馴れしい呼び方するな!』と叫びたかった…………
だが、否定をすればするだけ真鍳の思い通りになってしまうので、歯を食い縛って必死に耐えた。
そして、真鍳の命令通りに新たな獲物を探しに行こうとした時だった。

「………覚えておけ」
「ん?」
「………この呪縛が解けたら、真っ先にお前の喉笛を噛みちぎってやる」

その真紅の瞳に怒りを燃やしながら、モービウスは真鍳を睨み付ける。

「……あっそ。楽しみにしてるねぇ~♪」

一方の真鍳は、相変わらず人に不快感を与えるようなニヤニヤとした笑いを浮かべながら手を振ったのだった。


【マイケル・モービウス@ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース】
[状態]:健康、人間状態、築城院 真鍳に隷属中、強い不快感と嫌悪
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:築城院 真鍳の命令に従う
1:真鍳の命令に従って参加者を襲う
2:何で私がこんな奴(真鍳)の手下なんか…………
3:呪縛が解けたら、真鍳を殺して自分も死ぬ
[備考]:主演映画『モービウス』終了後、ポストクレジットシーンでヴァルチャーと対面する前からの参戦。
『言葉無限欺』によって築城院 真鍳に隷属されています………が、意識等ははっきり残っています。
支給されたデイパックには食料や水の代わりに『輸血用の血液パック』が入れられています。

【築城院 真鍳@Re:CREATORS】
[状態]:健康、愉快
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺し合いをエンジョイする
1:ひとまずマイキー(マイケル・モービウス)に参加者を襲わせていく
2:『授業』って言い方は萎える
[備考]:第9話『花咲く乙女よ穴を掘れ』時点からの参戦。
制限により『言葉無限欺(ことのはむげんのあざむき)』の効力が弱体化しています。


[支給品解説]
【ミカドヴェヒターの劇光服@劇光仮面】
実相寺二矢に支給。
戦後まもなくの時代に公開された特撮映画『空気軍神現る』に登場するヒーロー『空気軍神ミカドヴェヒター』を再現したスーツ。
当時の撮影で実際に使用された鉄製のオリジナルを劇光服にしている。
鉄製のマスク、軍服を模した防熱衣スーツ、防刃手袋、軍刀村正を背負い、腰に南部十四式拳銃(プロップ)を携行する。
マスクは防毒機能を持ち、ゴーグルは暗視機能と目くらましのためのストロボライトの発光に加え、目を守るための防御機能を持つ。
背中に装備された圧縮空気瓶は腰の「軍刀加速尾錠」と踵の爆心踵に空気圧エネルギーを与える。これにより両脛からトウガラシと石灰を混ぜた目つぶし「き2号瓦斯弾」を放つ技「天狗擽(てんぐうち)」を使い、また爆心踵で3メートル飛び上がることができる。
腰にある「軍刀加速尾錠」に軍刀を装着することで圧縮空気を用いた高速高威力のなぎ斬りが可能。
手袋は砂鉄を集めて重量を増す機電によってパンチ力を増す。
(以上、Wikipediaより抜粋)







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最終更新:2026年08月03日 22:37