『新しい自分になりたいなら北へ』
(キャラ) 天内理子、ヨウ、飛影
2度目の生と安堵と喜びを噛みしめる暇などない。
殺し合いの舞台、森口と名乗る教師による命の授業。バトルロワイヤル。
理解が追いつかない中で、天内理子は野を駈ける。
目前に迫る、己に迫る脅威から逃れんが為に。
「く、来るではないッ!」
「けっ、どれだけ逃げようと無駄なことだ」
対し、追いかけるは理子よりも背の小さい少年。
天内理子とて別に早くもないが遅くもない。
なのに、こうも簡単に追いつかれそうになっているのは、青年が鍛え上げたものの結果
詰まるところ、根本の基礎能力が違いすぎる。
いくらその身を狙われる事が多い立場だからとは言え、その脅威たる青年相手はどうしようもない。
「それと、流石に追いかけっこで遊ぶのは飽きた」
青年の額、存在するはずのない第三の瞼が開かれ、青年の姿が消える。
「なっ、いつの間に……あぐっ!?」
瞠目する暇もなく、青年の姿は真後ろに。
呆気にとられ、首根っこを掴まれる。
それでも藻掻く当たり心も体もタフなのだろう、と青年は笑み混じりに理解する。
「何が目的じゃ! 他の奴らのように妾の……」
「簡単な話さ。お前は今から俺の手駒にしてやるんだ。……これが正しく機能するかも兼ねて、な」
「……!」
青年が取り出したのは、一本の剣だ。つまりは刃物。
だがただの刃物ではないことは明らか。
今更刃物一つでビビるような彼女でない。
「安心しろ、殺しはしない。この剣は妖毒石という鉱石で出来ていてな。……切られた相手は持ち主に従順に従う魔物に早変わりというやつだ。」
「なん……じゃと……!」
「そうだな。お前はこの殺し合いにおける、オレの部下第一号になるというわけだ。アーハッハッハッハ!」
高らかに笑う青年の姿は悪党そのもの。
天内理子を狙う青年の正体、魔界に名を馳せる盗賊団たる邪眼師・飛影。
その残酷な彼の享楽と実益の手のひらの上。
「いやじゃ……バケモノなんぞにはなりたくない……!」
「素直に諦めろ、何があっても、お前じゃオレに勝てねぇんだからなぁ!」
「こ、このぉ!」
「幾ら泣き叫ぼうと助けなんて来ねぇさ! 諦めて魔物となり俺の下僕となるがいい!」
「やめ、やめるのじゃ……!」
いくら足掻こうとも、青年の方が上手。
天内理子に抗う手段はこれ以上なく、ただ魔物となる運命。
(……妾は、またこうなるのか?)
分かっていた。
希望に手を伸ばして、結局その先は真っ暗闇の行き止まりで。
自分がどうやって死んだのかは覚えていないけど。
自分が死んでしまったという感触だけは覚えていた。
(……ああ、やっぱり)
星漿体として特別扱いされ、両親が死んだ時のことなど覚えていない。
だからあの時は天元との同化をしても寂しくなんて無いと思っていたのに。
あの二人のおかげで、流れ込んだい青い記憶と思い出が。
自分から死ぬ覚悟を奪ってしまった。
本当はもっともっと楽しいことをしたい。
色んな所に行ってみたい、色んな物を見てみたい。
でも、そんな都合の良い奇跡なんて起こってくれない。
(死にたく、ないーー)
こうして生きている事実が、既に起こった奇跡だから。
ニ度目なんて起きるはずがないのだ。
それこそ、またあの時のように二人に助けられることなんて、ことが。
――しかし、希望せよ。
奇跡は訪れなくとも、助けの手を差し伸べる者はいる。
「どりゃぁぁぁぁ!!!」
飛影の姿が、理子の眼の前から消失した。
掴まれた手から離れ、首を押さえながら理子は唖然と何が起こったのかわからない様子だ。
そう、一陣の風が、飛影を吹き飛ばして、自分を助けたようで。
尻餅をついたまま、動けないままでその光景を見つめるしかなく。
「……誰かしらねェけれどひでェ事しやがって」
それは、理子よりも小さい背丈の少女だった。
だが、自分と違う所があるとすれば、まるで狐のような耳と尻尾
いわゆる、獣人……この場合は、九尾であると言うべきか。
少なくとも、自分に対して敵意がないことだけが、理解できる。
「……えと、立てるか?」
「え、あ、うん……」
九尾の少女の言葉につられて、手を取って立ち上がった。
☆
理子を颯爽と助けた獣人の名はヨウ。
理子にとってヨウが取り巻く世界の事情をそこまで理解できたわけじゃなかったが。
それでも諸々の柵に囚われていたというのは、思うところだけは理子にはあった。
「……理子、だったか? 星漿体だとかンなことはあんまわかんねーけどよ。……大変だったンだな」
「まあ、こうして生きてるのだから万々歳、なんてあまり言えぬな……」
死んだはずが生きていて、これで楽しいこと出来るぞやったー!という状態ではない。
実際理子は自分が生きている状況を自覚した時は喜びの感情自体はあった、でも森口と名乗る存在からこれが殺し合いを聞かされた時は肝が冷えた。
命を狙われることはあったが、本格的な殺し合いに巻き込まれ、という点での覚悟など無いに等しかったから。
「自分の命なんてそこまで頓着なぞなかった妾が、いつの間にか生きたいと思ってしまったことは。今となっては間違いだったのか、それとも……」
「……オレはそうは思いたくねェ、かな」
若干ナイーブな気分になってしまった所に、ヨウから思わず励ましの言葉。
「……前のオマエがどういうやつかオレは知らねぇけどよ。そう思えるぐらいには『満たされて』るンだったら、それでいいじゃねェか」
かつてのヨウは、空っぽだった。
自らを空っぽだと思い込み、憎悪を流し込まれた。
沢山人に迷惑をかけて、自分が殺そうとした相手に救われて、和解して。
そういう生き方しか選べなかった空っぽのエルーンは、苦難の過去と贖罪を経て。こうして生きている。
「生きたいってンなら、オレは理子のこと、助けたい」
「………ヨウ」
あの二人の最強の片割れのように軽いノリながらというわけではなく。
彼女なりに辛い時期を乗り越え、それの積み重ねから得た重いものを、理子は垣間見て。
「ーー出会って間もない相手に聞く内容ではないのは承知でいうが、妾は、自由に生きていいのか?」
「……そンなの、当たり前にきまってらぁ!」
そんな、自信ありげな彼女の言葉に、天内理子は信頼してみたいと、思ってしまうのだ。
【ヨウ@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[方針]
基本.殺し合いには乗らない
1.今は理子の事を守る
2.コウ兄もいるのかな……?
[備考]
※殺し合いが破綻しない程度に制限されています
※参戦時期は『荒るる旻天、帛裂く調べ』以降
【天内理子@呪術廻戦】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[方針]
基本.生きたい
1.ヨウの事を信頼したい
[備考]
※参戦時期は死亡後
□
「……俺様をふっ飛ばしたあのアマ、蔵馬と同じ匂いがした。」
何処からの瓦礫の上で、ぶっきらぼうに立ち上がり瓦礫を吹き飛ばすのは。
先程ヨウに吹き飛ばされた飛影その人。
姿は辛うじて確認できた、黒い毛並みだったが耳と尾っぽ。
おそらく、蔵馬と同じ九尾の系譜と思われるか。
「けっ、降魔の剣があって、あの女に構いすぎたのがダメだったか。」
そして振り返る。少なくとも降魔の剣で一つでも傷を与えれればどうにでもなった。
だが、傷を付ける前にやられたのだ、この有様だ。
それにガキを助けたであろう九尾らしき魔物、蔵馬と同格か、もしくはそれ以上か。
「――九尾がいるってわかった以上、もう油断はしねぇ。」
様子見は終わり。腑抜けた考えは振り切って、考え直す
降魔の剣は健在で、手駒はいつでも集めれる可能性はある。
「ははっ、見てろよ森口! ただの人間の分際でふんぞり返ってる貴様に目にもの見せてやる! アーハッハッハッハ!」
盗賊は笑う。もう油断はしない。次にあの九尾もどきに会った時は万全の準備を持って刈り取るか、もしくは己の手駒にするか。
小悪党ともとれる、醜悪な笑い声が荒野に響き渡った
【飛影@幽☆遊☆白書】
[状態]:健康、ヨウに対する苛立ちと危機感
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2、降魔の剣@幽☆遊☆白書
[方針]
基本.生き残る為になんでも利用する。
1.降魔の剣がここでも正常に利用できるか確認。利用できるのなら仲間を集める
2.あの九尾もどき、今度は油断しねぇ
[備考]
参戦時期は23話、蛍子を誘拐する前
【降魔の剣@幽☆遊☆白書】
飛影に支給。霊界大秘宝館で飛影が盗んだ闇の三大秘法の一つ。
妖毒石という特殊な鉱石で作られており、切った者を魔物に変化させる力を持り、使い手の意志で様々な魔物を作り出せる。
ただし完全に魔物化する前ならば、柄の中にある解毒剤を飲ませればもとに戻すことが出来る。
この殺し合いにおいては魔物化出来る上限は2名までで、3人目を魔物化した場合一人目が強制的にもとに戻ってしまう
最終更新:2026年08月03日 22:48