『コウと草の根妖怪ネットワーク』
(キャラ) ディオ・ブランドー、今泉影狼、コウ
「ふーむ……随分と戦い慣れしているな?
東洋人が使う剣、確かカタナと言っただろうか。
素人ではありえない程に美しく洗練されたものだ。
ダンスのような軽やかな身のこなしも素人ではない動き。
ただの経験者ではない。もっと実戦で培ったものだ。違うかな?」
「どうでしょうね。ただごっこ遊びが好きな子供かもしれませんよ。」
暗い森の中で相対する青年と少年。
青年は西洋人で、金色の髪が月明りに照らされる。
その姿は絵画のような美麗さを持ち合わせている姿だ。
青年に対するのは、彼より頭一つは小さい和装の少年になる。
こちらもまた、青年に負けず劣らずの整った顔立ちをしており、
狐の耳や尻尾と言った様子から、彼が単なる人間ではないことが伺える。
……と、普通の人間は思うのかもしれないが、少年にとっては尻尾は別として、
耳は特別珍しいものではない。彼の生きた世界ではそういう種族が普通に存在するのだから。
「コウと言ったか。君の剣技、立ち回り。いずれも素晴らしいものであることを認めよう。
だから猶更惜しい。もう一度問おう。その力、私のためには使ってくれないだろうか?
私のために忠誠を誓うと言うのならば、君は永遠の命を手に入れることができるとも。
家族や親友の存在が気がかりであるならば、君の功績次第で纏めてその代価を払うつもりだ。
君さえ首を縦に振ってくれるのであれば、この左腕の傷のことなど全てを水に流すとも。」
金髪の男が視線を下に向ける。
地面の上には、切断された左腕がさも当然のように転がっていた。
転がっているのは青年の左手であり、当然のことだが青年は左手がない。
先ほど青年が握手をしようと彼が手を差し伸べた瞬間に、コウが行動を起こした。
支給品にあった刀で攻撃を仕掛けて、こうして切り落とされてしまっている。
普通ならば絶叫や悲鳴を上げる場面なのかもしれないが、
男は不敵な笑みを浮かべながら話し合いを進めていく。
それだけで、普通の相手ではないことは理解できた。
「お断りします。そういう甘言には、僕は慣れてますから。」
もうその手の誘惑は九尾の時に経験済みだ。
相手の甘言など、全てが世迷言にしか聞こえなくなっている。
昔の自分だったら選んでいたのだろう。あの時は九尾のために死ぬことを決められた存在。
けれど、今は違う。ユエルやソシエ、そして妹分ともいえるヨウの存在があるのだから。
ゆえにこの男に身を委ねることは決してない。九尾と同じか、それ以上の邪悪の化身。
コウには、ダンディな振る舞いをする彼から誠実さと言うものが感じられなかった。
「ふむ、君はその状態でも何かできる立場とでもいうのかな?」
「……ッ。」
青年の右手を指すのはコウの左腕。
彼の左腕は分厚い氷で覆われており、今のままでは使い物にならない。
このまま放置し続けていればいずれ壊死してしまいさらに切断する問題になる。
コウは握手の際に、左手に注視し過ぎて右手を一瞬だけ触れさせる隙を作ってしまった。
そして一瞬触れただけで、左腕がひじの近くまで氷漬けにされてしまっている。
幸い全身に到達こそなかったが、左手を何とかしなければ危険な状態だ。
「お互い片腕しか使えない、そう思ってるかもしれないが残念ながら外れだ。」
落ちてる左腕を拾い上げ、断面を合わせる。
すると瞬く間に腕は接合し、青年は拳を何度か握り動かしていく。
多少指の動きはぎこちないものの神経が繋がっており、コウの一撃は無駄になったのは事実。
いや、相手は驚異的な回復ができると言う情報を得られたことはあるのは幸か不幸か。
人間ではない存在に明るいコウではあるし、再生能力の高い存在は心当たりはある。
しかし、それは竜殺しのような稀有な存在だ。簡単に出会えるものではない。
「君は生物界の頂点、未来を拓く新しい生物に君はなりたくないのかね?
甘言に慣れている……詮索するようだが君の人生は余り幸福ではないと見た。
見たところまだ若い。永遠の命を手に入れて生を謳歌するべきだと思うのだが。」
「……僕には、今では家族となる人達がいます。
少なくとも、僕はその人たちに恥じぬ生き方をしたいと───」
そこから先の言葉は紡がれることはない。
青年が突如肉薄し、鋭利な爪で貫手をしてきたから。
ほぼ同時にコウは後ろへと飛びのいて、距離を取って得物となる刀を振るう。
番傘の仕込み刀を携帯していたコウにとって、刀の技術はそれ相応の腕前を持つ。
たとえ片手を封じられたとしても、ある程度の剣技を披露することは可能だ。
だが、相手は太刀筋などどうでもいいかのように、右腕で刀を防ぐと言う防御手段を取った。
再生能力の高い肉体だからだろうか。その程度の攻撃はどうとでもなる自信の現れだろうか。
事実、肉を裂いて刃が骨まで達しているものの、力を込められて刀が思うように引き抜くことができない。
左手から迫る貫手を前に、刀の心配をしている場合ではない。一瞬触れられるだけで凍らされる状況だ。
これ以上の攻撃を受ける前に武器を手放して距離を取ってその攻撃は回避するものの、
指の爪がパカリと剝がれて、中から血管が針のように伸びてくることは予想はできない。
伸びた血管はコウの首元に突き刺さり、軽く苦悶の表情を浮かべる。
「家族に恥じぬような生き方だと?
ブタの餌のような品質しか出せないレストランの店主の言い訳のような、
下らん言葉をベラベラと喋りやがって、この青二才がぁ!!」
今まで青年は整った顔立ちとダンディな立ち居振る舞いだった。
だが今は急に怒りの形相と口汚い言葉を前にコウは一瞬気おされる。
相手はヨウみたいに、何かしら過酷なことでもあったのだろうか。
そんなことを頭の片隅で思うが、現実逃避をしている場合ではない。
「このままゾンビのエキスを注入して、
このディオの夜のしもべとして使い倒してやろうじゃあないか!」
波紋使いであれば、血液の流れでゾンビのエキスを出すことは可能。
しかし波紋使いでも何でもないコウは注入されれば完全にアウトになる。
今すぐ引き抜かなければならず、残された右手で間に合うかどうかの瀬戸際。
いや、間に合ってくれとしか願うことはできず、血管針からエキスが登っていく。
変身「トライアルファング」
その寸前、狼のような鳴き声が周囲に木霊する。
ディオは気にすることなく行動を続けていくものの、そうはいかない。
一人の長い髪の少女が森の中から飛び出し、コウを抱えつつ距離を取ったことで血管針が抜かれた。
ゾンビのエキスを注入する寸前だったが、到達してない以上コウをゾンビ化はできてない。
それだけならば次の機会を狙えばいいが、そのままコウを抱えてディオへと突進を仕掛けてくる。
右腕で挟んだままの刀を引き抜いてそれを振るうものの、急に方向転換をして攻撃はかわされた。
三角形を描くように駆け抜けていった相手は、そのまま夜の森の中へと逃げ去っていく。
追跡をしようとするが、駆け抜けるとともに弾幕が襲い掛かり、それの対処に負われてしまう。
何とか自由に動けるころにはもう相手の姿は見えなくなっており、軽く舌打ちをする。
「……家族だと? 下らん。」
ディオにとって家族で思い出すのは敬愛する母ではなく、憎たらしいダリオ・ブランドーだ。
母に苦労をかけて死なせたあの屑の血が流れているのだと思うだけで気が狂いそうになる。
吸血鬼になってからは家族とかそういったものとは縁遠いものになっていたのも相まって、
人間の時よりも自制できたものなのだと思ったものの、そういう単純な話ではなかった。
生物界の頂点に立場になろうと、怒りやすいと言う自分の欠点はいまだに健在のようだ。
「食物連鎖の頂点に立つ存在が、たかがあんな男如きに感情を出すなど……」
忌々しい少年時代のことを思い出しながら、ディオは誰もいなくなったのでその場を去る。
コウを追うのも構わないが、陽光の対策も時間内に確保しなければならないので後回しだ。
生物界の頂点に立つ男が、そんな矮小な存在を相手に時間をかけたくないと言うのもあるが。
唯一の例外があるとするならば、やはり彼にとってはジョジョ、ジョナサン・ジョースターだけだ。
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:右腕に傷(再生中)
[装備]:刀@不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:命の授業? 生物界の頂点に必要なし。
1:あのガキ(コウ)に出会ったらゾンビにしてくれる。
2:ジョジョの奴もいるのか? スピードワゴンのカスもいるならば殺す。
3:手下に陽光の対策……やることは多い。
※参戦時期はアニメで言う8話(ジョナサンと交戦前)
「うーむ、どうしようか。」
時間は少しだけ遡り、
命の授業と言う名の殺し合いが始まって早々に、
目を閉じ、今の状況に頭を悩ませる少女が一人。
赤、白、黒からなる三色のドレスに長い髪茶色の髪。
此処までならば一人の少女で片付くだろうが、そうはいかない頭部の耳。
作り物とかコスプレではない。要するに、彼女は人間ではないと言うこと。
ニホンオオカミ。公式には絶滅してしまった存在であり、彼女はその生き残りの存在だ。
名を今泉影狼。外の世界ではなく、幻想の世界の竹林にてひっそりと生活している、所謂人狼に当たる。
(命の授業……博麗の巫女に見つかったらどうなるか。)
彼女が危惧しているのは殺し合い云々ではない
嘗ては打ち出の小槌の魔力で暴走した結果霊夢に退治されているが、
普段は前述のとおりそこまで過激ではなく、比較的温厚な妖怪で人間とは距離を取っている。
だが此処では流石に接触せず生き延びるのは無理だ。たとえこれが異変として扱われることで、
動き出す博麗の巫女や魔法使い達と違って、使命感とかそういうものは彼女にはない。
あくまで無数にいる妖怪の一人。そんな大それた異変を起こす存在には驚かされるが、
同時に『ああいつもの奴ね』と、どことなく楽観視してしまってる部分はある。
幻想郷に住んでいれば異変はつきもの。それゆえの感覚麻痺は否定しきれない。
どうせ今回も博麗の巫女が何とかしてくれる。そういうのは適材適所で済ませたかった。
別に自分が解決する必要性はない。河童のように首輪をなんとかできる技術力も持ち合わせてない。
じゃあ何もしないでいいかと言われると駄目だ。いつかとある店主とのやり取りで知った人狼ゲーム。
仮に、自分が人狼の役割を担ったとする。だが人狼として潜むのであるならば、まず沈黙は避けるべきもの。
沈黙していた人物は、言い換えればいてもいなくても変わらない存在。そのまま吊るしあげられておしまいだ。
だから必要なのは、信用できる行動あるのみだ。言い方は悪いが解決できる人材を捕まえておきたいところである。
吸血鬼や八百万の神ほど上位の存在ではないにしても、並の人間より優れた能力で人を探して手伝うことは可能だ。
一先ずそれが今の彼女がするべき行動方針だ。決まったと思えば、影狼は大地を蹴って走り出す。
人狼である彼女にとって、特に何もない平地であれば常人など余裕で抜き去る速度を持っている。
「!」
走り出してからしばらくして、彼女は足を止める。
ニホンオオカミである以上当然、嗅覚についても優れている。
鉄のような、不快感のある臭いは紛れもなく血の臭いだと。
始まって間もないと言うのにせっかちな参加者もいるものだと思いながら、軽く冷静に思案しておく。
(人狼と同じで敵かどうかは分からない。ちゃんと様子を見て確認するように。)
静かに、虎視眈々と相手の様子を探るべきだと。
スペルカードルールなんてもののない無法地帯の場所。
慎重になり過ぎるぐらいが、ちょうどいい相手となるはずだ。
ついでに、助けた相手が実は危険人物で逃げた相手が味方でした、
なんて間抜けが過ぎるオチも回避するべく空を飛んで足音を消して伺う。
「で、血の臭いから二人を見つけて、どっちが助けた方がいいんだろと悩んだ結果君になったわけ。」
「そうだったんですか。危険を冒してまで助けてくださり、ありがとうございます。」
助けた理由も脱出のための保身のためというところを含めてでも話しておいた。
隠しても別に構わないことではあるが、状況が状況だ。そういう考えも普通であり、
寧ろ負傷している自分をそれでも助けてもらったことについてはコウも感謝してる。
保身とは言ってはいるものの、悪い人ではないのだと十分に感じ取れる対応だ。
「とはいえ、いつかはアレを相手しなくちゃいけないわけだけど……ってその前に腕か。」
「あ、それについては大丈夫です。」
コウもユエル達と同じように、狐火を扱うことが可能だ。
流石に焚火をして居場所がばれる行為はせず、ゆっくり溶かしていく。
暫く凍傷は続くだろうが、壊死することがないだけましである。
「溶けるまで暇ね……コウだっけ。溶けるまでの間に時間潰したいんだけど、何かない?」
殺し合いの状況下でするようなものではないのは分かっている。
ただ、周囲の哨戒をする間は暇で、やれることは余りにも少ない。
「そうですね……スイさんのように語れるかは分かりませんが、
とりあえずやってみます。えーと……今から語るは、空を旅する者達の物語で───」
【コウ@グランブルーファンタジー】
[状態]:左腕が氷漬け(現在治療中)、首に傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:殺し合いはしない。
1:団長さんやユエルさん達、ヨウもいるのだろうか。
2:あの人(ディオ)は早く倒さないと被害が広がるけど、あの氷の能力をどう突破するべきか。
3:カゲロウさんと行動する。スイさんみたいに物語は語れる気はしないけれど。
※参戦時期は荒るる旻天、帛裂く調べエンディング後
【今泉影狼@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺したら博麗の巫女に殺されかねないので優勝はなし。
1:コウと行動する。エルーンは毛深くないんだ……そうなんだ……
2:毛深いことが利点になったのは嬉しいような、悲しいような。
3:あの人(ディオ)は絶対やばい。
※参戦時期は弾幕アマノジャクで正邪を追っていた頃。
最終更新:2026年08月03日 23:38