『生きるをする』
(キャラ) メアリー、勇者アバン、キルバーン
どこへ いくの?
そっちは だめだよ
もどって おいで
…わるいこ わるいこ きみのことだ
おまえの こころは つくりもの
くらやみの なかに おいでよ
バ イ バ イ メ ア リ ー
◇◇◇
「こっち!こっちよ!先生!」
「こちらに我々と同じ参加者がいたんですか?メアリー」
元気よく。
怪しまれないように。
私はこの場所で、ゲルテナ美術館で。二番目に出会った男の人…先生に手を振って誘う。
毛先がくるくるとして、眼鏡をかけた先生は私の事を疑いもせずついてくる。
私の事を「メアリー」って呼んで、疑ってもいないみたい。簡単簡単。
……ほんの少しだけ気の毒には思ったけれど、でも、これしかない。
あの暗闇にだけは、絶対に戻りたくない。
……1人きりの暗闇から出られるなら、私は。
「着いたわ、先生!!」
「……ここは?誰もいない様ですが……」
いいえ、ちゃんといるわ。先生。
この場所で私が最初に会った人。
暗闇に戻りたくないって泣いていた私に、協力してくれるって言った人。
道化師っていう、普段周りにいた人形たちに似たいで立ちをした人。
その人の言う通りにしたら、きっと。だから。
───さようなら、先生。
誰もいない、真っ白な絵画の前に。
カバンを開いて、ごろりごろりと道化師さんから貰った支給品が転がり出る。
爆弾岩って名前の、爆発する岩たちがにたりと笑って。
「メアリー、これは────ッ!!」
先生が気づいた。だけど、首筋から血が流れた事で私には向かってこれない。
そう、もう遅い。だって先生の周りには見えない剣が沢山仕掛けられているから。
ファントムレイザーという手品だと、道化師さんは言っていた。
動けば切り刻まれる。動かなければそのまま爆死。
どちらを取っても命はない中で、先生は爆死を選んだようだった。
「メ……ガンテ……!」
その言葉と共に。
私の事をメアリーと呼んだ先生の姿が、爆発する光の向こうに消える。
声すら上げられない。きっと即死だろう。
私の方は無事だ。道化師さんが貸してくれたシャハルの鏡という盾のお陰で。
重かったそれを何とか両手で前に向ければ、爆発を跳ね返すことができた。
「…………」
そうして目的は果たした。これで、これできっと。そう思うのに。
それなのに少しも嬉しくないのは、どうして?
───いやぁ、ありがとうメアリー!君のお陰で、厄介な奴を始末する事が出来た。
その疑問が分かるよりも早く。
あの暗闇に帰りたくないのなら、この命の授業で優勝すればいい。
そう言った道化師さんが私の前に現れた。
◇◇◇
「……これで、私はあの暗闇に戻らなくていいの?私に協力してくれるの?」
ここに連れてこられた時の事はよく覚えてない。森口と言う人の話も。
唯一覚えてるのは、ただ頭の中がぐちゃぐちゃで、どうしようもなかった事だけ。
暗闇で、ひとりぼっちで。指先も動かせない。それなのに意識だけははっきりしてる。
そんな状態から急にこの場所に連れてこられ、最初に出会ったのがキルバーンと言う名の道化師さん。
道化師さんは私に言った。暗くて独りの場所に帰るのが嫌なら、優勝して願いを叶えればいい、と。
自分もそれを手伝ってあげる、と。
「あぁ、勿論さ───もう君は一人ぼっちじゃない」
爆発で大穴が空いた天井から月の光が差し込む中。
道化師さんと傍らにいる友達だという一つ目の妖精、ピロロは笑いながら私を見下ろして。
「だって───君が殺した先生がこれからは君と一緒にいてくれるだろうからね」
「裏切り者の悪い子の判決はぁ~死刑!!」
本当に楽しそうに。
道化師さん──いやキルバーンとピロロは私にそう告げて。裏切者と罵って。
数秒後、私の全身から血が噴き出した。
「……ぁ……ぎ……ぁ……ッ!!」
うめき声を上げながら、瞳だけを動かすと。
今私の全身を切り刻んだのは、さっき先生を切り刻もうとしたのを同じ見えないナイフだった。
傷はそんなに深くない。けれどもう身動きはできない。
身動きしても、自分で刃に刻まれるか。キルバーンの手によって刻まれるかの違いしかないから。
「な……んで………」
何で、こうなるの?
ただ、何時も一人ぼっちだったから。
絵の中で行きかう人たちを見つめているのが嫌だったから。
やっとの思いで、外に出て。それなのに。
「何故かって?そんな決まってるのにねッ!キャハハハハハ!!」
「あぁピロロ。先生は自分が今しがた殺してしまったけど……
君はお父さんかお母さんに教わらなかったのかな?
嘘つき、卑怯者───そんな悪い子供は、本当に悪い大人の格好の餌食になるってね」
お母さんは最初からいなかった。
お父さんとは言葉を交わした事もない。
ずっとずっと私は独りだった。だからそんな知らない。
呆然と、私の手から滑り落ちたシャハルの鏡を拾い上げるキルバーンを見て。
その時ようやく私は騙されたんだって分かった。
「本当はもっと遊んであげたい所だけど、後がつかえていてね。
さっさと死んでいただく事にするよ………バイバイ、メアリー」
────死ね。誰も君を愛さない。
痛ぶるみたいに、じっくりと。キルバーンは私にそう言った。
怒りは湧かなかった。怖いと思う気持ちも無かった。
思うのは私は、結局。外に出れても独りぼっちなんだということ。
いいえ、絵の中にいた頃よりも惨めで……今の私は私が嫌いで仕方ない。
こんな事なら、ずっと絵の中で外の世界に憧れていればよかったのに。
ごめんね、イヴ。
ごめんね、ギャリー。
ごめんね、先生。
特に騙して死なせてしまった先生は、もし私が先生と同じ場所に行けたなら。
その時は、ちゃんと謝りたかった。
もっとも、絵の私が先生たちと同じ場所にいけるかは分からないけど。
そう考えながら、私は瞼を閉じる───、
──困りますねぇ、メアリー。勝手に諦めて貰っては、
──そんな所に行っても、私はいません。
瞳を見開く。
そして、夢中で声がした方に顔を向ける。すると、そこには。
さっき爆発で死んだはずの───、
「バッ、馬鹿な……さっき周囲に魔力は感じなかった。
確実に吹き飛んでいた筈だ!それなのに、何故───何故生きてッ」
「───大地斬ッ!」
キルバーンが狼狽えた声を上げるけど、それを言い終わるよりも早く。
先生が、その手に握っていた黒い杖を伸ばしてキルバーンとピロロの二人を薙ぎ払った。
ドスンという重たい音と共に、キルバーンとピロロの身体が壁に打ち付けられて、呻きを上げる。
それはまるで、私への道をこじ開けるみたい、に────、
「大丈夫ですか、メアリー」
「………なんで、生きて」
呆けた声を上げる私に。
目の前まで来た先生は、ごそごそと胸元から何かを取り出した。
砕けた首飾りの様なそれが何なのか、尋ねるよりも早く。
先生の後ろから忌々しげな声が上がる。
「それが話に聞いたカールのまもりという奴か……
一度だけ身を着けている者の身代わりとなって、自爆魔法の威力を防ぐ……」
「えぇ、爆風で身体が舞いあがって首輪の警告が鳴った時は焦りましたが、何とか戻って来れました」
「なるほど…魔力の反応が感じ取れなかったのもその影響か。
全く忌々しいが……流石勇者の天運だと褒めておこうかな───勇者アバン!」
勇者───キルバーンは先生…アバン先生のことをそう呼んだ。
その態度はさっきまで私を見下し、馬鹿にしていた時とは違う。
警戒して、敵意を向けている。
「子供を利用する卑怯で下種なやり口……そちらも流石死神と言っておきましょうか」
「どうかな……?僕は頼んだだけだ。君を嵌めようとしたのは正真正銘その子の意志さ」
「そうですか、ならば私はこれでも勇者の家庭教師をやっている身なのでね。
やっていい事といけない事はこの後教えてあげる事にしましょう──貴様を倒した後に」
私が先生を殺そうとしたのを伝えられても起こる素振りを見せず。
私を背中に庇い、杖を握り締めて先生は戦うつもりの様子だった。
だけど、そんな先生を見て、キルバーンは肩を竦めて「やめておくよ」と言う。
「認めよう、君は強い。バーン様が警戒する通りキレ者だし、強い星の下に生まれて来てる。
そんな君と罠(じゅんび)無しで戦うのは流石に避けたい。もっとも正面から戦っても僕は敗けないがね」
「……私がこのまま貴様を逃がすとでも?」
「ほう、戦うなら戦うでまぁ僕としては構わないんだが───いいのかい?」
君の大事な生徒が未だ、僕の間合いだよ。
私を指さして、キルバーンはアバン先生にそう言った。
多分このまま闘ったらアバン先生は勝つかもしれない。でも私は死ぬ。間違いなく。
そう思わせる位キルバーンの声色は冷たくて、怖かった。
「………………」
「…とまぁ、そう言う訳だ。とりあえずこの場はこれでお暇させてもらうよ。
次戦う時は出来る限り絶望して死んでもらえるように色々考えておくから……」
───どうか僕に遊び殺されるまで、生き残っていてくれ。
押し黙るアバン先生を他所に、キルバーンは鎌を担いで。
何かの呪文を呟くと彼の身体が浮かび、天井に空いた大穴から夜空へと飛んでいく。
黒い道化師の格好は、影の様に夜空に溶けて直ぐに見えなくなった。
そうして、この場には私と、先生だけが残される。
「……さて、と」
さっきまで握っていた黒い杖をベルトに刺して。アバン先生が私に向き直る。
先生は怒っている様子はなかったけど、逆に何を考えているか分からなくて怖かった。
殺されかけた相手なのに、何事もなかったような目で見つめて。
「さ、傷の手当てをしましょう。こっちに来てください、メアリー」
本当に何を考えているか分からない。
裏切ったのに。騙して殺そうとしたのに。
上擦った声で、怒ってないのかって尋ねずにはいられなかった。
「無論、怒っていますよ?ただ、君の手当てとは別の話です。
それに、勿論君にも責任がない訳ではありませんが───君はあのキルバーンという男に利用されていた」
君は悪くないとは言いません。
だけど、だからこそ君は私の意に沿って手当てを受ける義務がある。
有無を言わせないという感じの力強さで、アバン先生は私にそう言った。
先生の瞳を見ていると、私は私が間違っていたのを突き付けられるみたいで。
色んなものが、溢れ出す。
「先生、私…1人きりの暗闇から外に出ようって頑張ったの。
でも、外には何もなかった……あったのは絵の中と同じ暗闇と、悪い子が一人だけ……」
「いいえ、私もいます」
「ギャリーには悪い事をしたかもしれないと思ったけど…それでも外に出たくて、
頑張って頑張って頑張って……でも結局ダメだった。私のやったこと、全部無駄だったわ」
「それはそのやり方が合っていなかったという事でしょうねぇ」
「……私には、この場所も絵の中と一緒な気がするわ。ジタバタしても無駄かもしれない。
それでも先生は……この場所から出ようって、そう思うの?」
「えぇ、ジタバタするしかできないなら───ジタバタしましょう。メアリー」
ここで先生は初めて私に笑いかけた。
でも私はその笑顔をまだ受け止められない。
何とか、その笑顔を「それは違う」って否定できる言葉を吐こうとする。
でも、先生はそれよりも早く。
「メアリー、もし君が今までのやり方では何も実を結ばなかったというなら……
そして私に対して何か申し訳ない思いを感じているなら、これまでと違った方法で頑張ってみましょう」
私はメアリーのこれまでの行いで上手くやる方法を教える事はできませんが。
別のやり方なら教える事ができます。これでも勇者の家庭教師ですから。
先生はそう言ってもう一度私に笑いかけた。
さっきよりも大きく……見ていると何だか泣きたくなる笑顔だった。
そしてもう、私は先生の言葉を押しのける事ができそうにない。
「さ、先ずは傷の手当からです。見せて下さい、メアリー
………貴方が犯した過ちを贖うのはその後ですから」
「………はい、先生」
この笑顔を、裏切りたくないと。
そう思ってしまったから。
【勇者アバン@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
[状態]:健康
[装備]:ブラックロッド@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1
[思考]:命の授業からの脱出。
1:取り合えずジタバタしましょう!メアリー。
2:首輪の調査もしないといけませんねぇ。
【メアリー@ib】
[状態]:肩に刺し傷。顔に涙のあと。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:先生といっしょに行く。
1:ひとりぼっちは…もういやなの。
2:先生には…もう、嘘はつきたくない。
【キルバーン(ピロロ)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:キルバーン
[道具]:基本支給品一式、シャハルの鏡@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
[思考]:命の授業を愉しむ。
1:死神キルバーンとして参加者に死を提供する。
2:アバンは必ず殺す。
【ばくだん岩@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
キルバーンに支給。
「メガンテ」を習得している自爆モンスター。
【カールのまもり@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
アバンに支給。
カール王国の王女であるフローラがアバンに送った装飾品。
一度だけ、「メガンテ」によるダメージを肩代わりできる。
【ブラックロッド@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
アバンに支給。ロンベルクがポップのために制作した杖。
バーンの持つ光魔の杖と性能は近く、手にした者の魔法力を打撃力に変換させるもの
光魔の杖と違い魔法力を吸い上げることは意思一つで調整可能なため無駄な消耗はしない。
また伸縮も可能で、刃を魔法力で形成も可能。
【ブラックロッド@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
キルバーンに支給。
ハドラー親衛騎団の一人・シグマが装備していた魔法を跳ね返す効果を持つ伝説の盾。
武闘家として成長したマァムが拳での突破は無理と判断するなど純粋に防具としての防御力も相当高い。
重量もそれなりにあるようで、本来の使用者であるシグマは軽々扱っていたが、メアリーは両手持ちで何とか前に突き出すことができた。
最終更新:2026年08月03日 23:56