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『ここにいないダチ公』


(キャラ) サム・ウィルソン(キャプテン・アメリカ)、小石川惟子、朱崎サラ





何十人もの人間達が『殺し合い』の為に集められた絶海の孤島。

その上空を、一人の男が飛んでいた。

「…………」

アメリカ国旗を思わせる赤・青・白の三色に染められ、
背中にはジェットエンジン付きの機械の翼を装備した……まるで映画や漫画本(コミックブック)に登場するスーパーヒーローのようなコスチュームを着用した精悍な顔つきをした男性だ。
その目元は真紅のゴーグルで覆い隠しており、その肌はアフリカにルーツを持つ人々の特徴である浅黒い色をしていた。

彼の名はサム・ウィルソン。またの名を『キャプテン・アメリカ』。
第二次世界大戦期に誕生し、21世紀になるまで戦い続けた伝説のヒーローの『名前』と『盾』、そして『レガシー』を受け継いだ男だ。

「………」

サムキャップは背中に装備されたジェットエンジンと機械翼を用いて、ただ上空を目指して飛んでいく。
上へ、上へ…………まっすぐ上へと飛び続ける。
そうして上へと飛び続け………地上から高度500mに到達した時だった。

サムキャップの首に装着されている金属製の無骨な首輪から
ブー!ブー!
……と、ブザー音が鳴り始めた。

[残り30秒で、首輪が爆発します。残り29秒で、首輪が爆発します。残り28秒で………]
「!」

ブザー音に続けて合成音声による無慈悲なカウントダウンが開始されると、
サムキャップは上に向かうのを止めて素早く地上へ降下し始めたのだった。



「………あ!降りてきたよ!」
「お~い!こっちこっち!」

サムキャップが地上に降りると、
そこには二人の少女がサムキャップを待っていた。

サムキャップは両足と拳を同時に地面に付ける………いわゆる『スーパーヒーロー着地』を行って地面に降りた。

「………何でそんなカッコ付けながら着地するんだ?」
「………うるさい」

黒髪を短く切り揃え、黒いタンクトップの上から緑色のジャケットを羽織った小柄な少女………朱崎サラからのツッコミを受け、サムキャップは苦虫を噛み潰したような顔になる。

「サムさん!大丈夫だったかい?」

続けて、栗色のロングヘアに三日月の飾りが入ったカチューシャを付けたセーラー服姿の少女………小石川惟子(こいしかわ イコ)が心配そうにサムキャップに声をかけた。

「それで………どこまで行けた?」
「高度500mくらいで首輪から『爆発します』ってアナウンスが流れた。どうやら、この会場から500m以上離れると首輪が爆発するらしいな」

サラからの質問にサムキャップは静かに答える。

「じゃあ………やっぱり、この首輪をなんとかしないと私達は逃げられないって事かい?」
「そうなるな」

サムキャップの言葉を聞き、イコは不安そうに自分の首にはめられた首輪を指でさすった。

☆☆☆

サムキャップ、イコ、サラの3人はこの会場に飛ばされてすぐに出会った。
当初は3人とも警戒していたものの、
サムキャップが『ヒーロー』だという事を知ったイコがサラを説得する形で警戒を解き、3人は行動を共にする事となった。

そして脱出の手がかりを探る為に『参加者達に装着されている首輪の爆弾がどのような条件で発動するのか?』を高速飛行能力を持つ………言い換えれば『首輪の爆弾が起動する直前で離脱と逃走が可能』なサムキャップが試す事となったのだ。

☆☆☆

会場内に再現された渋谷の街。
その一角に存在する小さな公園で3人は焚き火を囲んでいた。
普通なら『街中の公園』で『焚き火』なんてしようものなら、すぐに警察か消防車がやって来てしまうだろうが、
あいにくここは『殺し合い』の会場。
警察どころか、参加者ではない人間の姿すら影も形も存在しなかった。

「とりあえず分かったのは………『この会場の上空500m以上に出ようとすると、首輪の爆弾が起動する事』と『首輪の爆弾は起動してすぐじゃなく、30秒くらいのカウントダウンの後で爆発する事』だな」
「『30秒』って言うのは多分………『立ち入り禁止の場所に間違って入った参加者が、急いで元来たエリアに戻れるように』だな。よっぽど足がトロくない限りは、それだけあればすぐに戻れるしな」

サムキャップの報告を聞き、サラは自分の推測を述べる。
そこにイコが疑問を口にする。

「えっと………じゃあ『上空500mで起動する』って言うのは?」
「おそらく、俺と同じように『飛行能力』を持っている参加者や『単独飛行できるようになるアイテムを支給されている』参加者の逃走を防ぐ為だろう。きっと上空だけじゃなく、船に乗ってこの島から逃げようとしても、この島から500m以上離れれば自動的に爆弾が起動するんだろう」
「………どのみち、この首輪をなんとかしないと逃げようがないのは確かだが、今のあたしらの中に『機械系に強い奴』がいないってのは痛いよなぁ」

サラが自分の首にはめられた首輪を指でなぞりながらそう告げると同時に3人は口を閉ざし、周囲には焚き火の燃える音だけが響いたのだった。

[ピピピィッ]

その時、ファンタジー作品に登場する竜(ドラゴン)のような形態をした四足歩行のロボットが3人の下に近づいてきた。
それはサラの相棒である竜型機動兵器『タロ』だった。

「おぉ~、戻ったかタロ」
[ピピピィッ]

タロはその口に焚き火の薪代わりとなる木の枝や木片を大量に入れた袋を咥えており、それをサラに手渡した。

「………よし。これだけあれば、朝まで持つな」
「そうなのかい?ありがとうサラさん」
「礼はあたしじゃなくて、タロに言ってくれ」
「え?うん、ありがとうタロ君」
[ピピピィッ]

イコから感謝の言葉をかけられると同時に頭を撫でられ、タロは嬉しそうに電子音を響かせた。

イコは自分よりも小柄で幼い外見のサラを『さん付け』で呼ぶが、これはある意味仕方がない。
イコが『中学二年生』なのに対して、サラは『高校一年生』。
いくら見た目が自分より小さく幼いとは言え、学年が二つも上の相手を『ちゃん付け』や『呼び捨て』にするのは失礼に当たるというものだ。

「はぁ~………でもなんか悔しいなぁ~」
「『悔しい』?何がだよ?」

ため息混じりなイコの呟きを聞き、サラは首を傾げた。

「何て言うか………サムさんはヒーローだし、サラさんにはタロ君って強い味方がいるし………それに比べたら、私って何の役にもたってなくて………そう思ったら、なんか『悔しいなぁ~』って思ってさ。アハハハハハ!ゴメンね!生意気な事言って!」

明るくふるまうイコだったが、サラにはその姿が無理に虚勢を貼っているように見えた。

「………別に気にする事ねぇよ」
「……え?」

焚き火に薪をくべながらそう告げるサラに、今度はイコが首をかしげた。

「あたしの………友達に『ナユナ』ってのがいる。分度器みたいな太い眉毛で、毎回毎回うざがらみしてくる変な奴だ」

サラはまるで独り言のように語りながら、焚き火に薪代わりの木の枝をくべていく。

「そいつはな………何の特技も力も無い癖に、怪獣にやられそうになってたあたしを無我夢中で助けようとしたり、何の作戦も良い考えも無いのに『街の人達を助けたい』って、はっきり言える奴なんだ。変な奴だろ?何の力も無いただの人間の癖にさ」

お世辞にも誉めているような口調ではなかったが、
そのナユナの事を語るサラの言葉はどこか楽しげだった。

「………だから、『役にたてなくて悔しい』って思うのを『生意気』とか言うな」

薪をくべ終えたサラはまっすぐにイコを見る。

「『守られたり、助けられるのが当たり前』って思って何にもしようとしない奴よりは、よっぽどマシだ」

そう語るサラは………幼い外見には似合わない、数えきれない死線を越えてきた戦士の風格を漂わせていた。

「………ぷっ」
「な………なんだよ」

突然吹き出したイコの姿にサラは不機嫌に顔を歪める。

「あぁ~ゴメンゴメン!サラさんの話聞いてたらテルちゃ………あ、いや……シャイを思い出してさぁ」
「『シャイ』?誰だそれ?」

イコの口から出てきた名前を聞き、今度はサラが首をかしげる。

「シャイは私の友達でね、日本でヒーローやっているんだ」
「『ヒーロー』………」

サラは『ヒーロー』であるサムキャップに耳打ちをする。

「あんたは知ってるか?『シャイ』ってヒーロー」
「あぁいや………悪いけど知らないな」
「あぁ………まぁ仕方ないよ、サムさんは外国のヒーローみたいだし」

サラとサムキャップの反応に苦笑いを浮かべながら、イコは話を続ける。



「シャイはね………二度も私を救ってくれた。それで、私にこう言ってくれたんだ。『人間は誰かのために生きる時が一番幸せ。そして、つないだ優しさは他の誰かにも伝わる……そこには命をかける価値がある』……ってね」

そう語るイコの顔には………
嬉しさと喜びが一緒になったような、晴れやかな笑みが浮かんでいた。

「友達の話をしているサラさんの姿を見てたら、なんかテr………シャイを思い出してさ。ふむ………そう言えば髪型とかも、どことなく似ている気が」
「はぁ!?ふ、ふざけんな!?」

イコはニヤニヤと笑いながらサラの顔を覗き込み、サラの方は恥ずかそうに顔を赤らめた。

「フフフ…………仲の良い友達がいるってのは良いな」

イコとサラの様子を端から眺めていたサムキャップは、自然と笑いをこぼしていた。

「……そう言うサムさんはどうなんだい?」
「ん?」

サラとじゃれあっていたイコが、今度はサムキャップに話かけてきたた。

「サムさんにはいないのかい?私にとってのシャイやサラさんにとってのナユナって人みたいな友達が」
「………」

イコから問いかけられ、サムは満月が輝く夜空を見上げる

「……あぁ、いたよ。スティーブって言うんだ。俺よりずっと年上で頑固で………でも、お人好しでまっすぐな奴だ」

友人の事を語るサムキャップの声は、どこか楽しげで懐かしく…………それでいて寂しそうな気持ちも混ざっていた。

「今はちょっと簡単には会えないところにいるが………」

サムキャップは一度言葉を区切ると、自分の胸元…………正解にはスーツの胸部に刻まれた星のシンボルを親指で指差す。

「…………今もずっと、俺の側にいる。この胸の中にな」
『………』

サムキャップの言葉にイコとサラは一瞬呆けたような顔になった。

「うわぁ~!カッコいい!『男の友情』って奴かい?」
「………あんたさぁ、そういう事自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
「うるさい」

イコは幼い子供のように純粋な感想を口にしたが、サラの方はひねくれたツッコミを入れてきたため、サムキャップは顔を背けた。

「うーん…………よし!ここから帰れたら、サムさんやサラさんにシャイを紹介するね!その代わり、サムさんやサラさんも私に友達を紹介してくれ!」
「はぁ?勝手に決めんなよ!?」
「ハハハ!良いぜ。スティーブはちょっと無理かもしれないが、バッキーとトレスで良ければ紹介するぜ」

明日も………いや、一時間後も生きていられるか分からない『殺し合い』の場で。
その場だけは穏やかな空気が流れていた。

【サム・ウィルソン(キャプテン・アメリカ)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:ワカンダ製EXO-7ファルコン&ユニフォーム@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:会場から脱出する
1:イコ、サラと行動する
2:主催者の女性(森口悠子)に対する怒り
3:バッキーやトレスにイコやサラを紹介したら、どんな顔するかなぁ
[備考]:『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』終了後からの参戦。

【小石川惟子@SHY】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:早く帰りたいけど、人を傷つけたくはない
1:サムさんやサラさんと行動する
2:役にもたてなくてちょっと悔しい
3:テルちゃん………
[備考]:単行本10巻(アニメ版で言えば第24話)付近からの参戦。

【朱崎サラ@怪獣列島少女隊】
[状態]:健康、困惑
[装備]:タロ@怪獣列島少女隊
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:主催者の女(森口悠子)をぶっ飛ばして、さっさと帰る
1:サム、イコと行動する
2:こいつ(イコ)、ナユナ並みにウザイな
3:ナユナの奴は無事………だよな?
[備考]:単行本第2巻第19話~最終話の間からの参戦。

[首輪に関して]
会場の上空500m地点に移動すると首輪の爆弾が起動し、[残り30秒で、首輪が爆発します。残り29秒で………]とカウントダウンが開始される。
カウントダウン終了前に降下すると爆弾は停止する。


[支給品解説]
【ワカンダ製EXO-7ファルコン&ユニフォーム@マーベル・シネマティック・ユニバース】
サム・ウィルソン(キャプテン・アメリカ)@マーベル・シネマティック・ユニバースに支給。
サムの空軍時代からのコードネームの由来でもある、ウィングパック型フライトスーツ。
猛禽類の翼のような形状をした幅4メートルの両翼は、格納式エクステンションで本体部に折り畳まれて収納され、使用時には外へと迅速に広がる。
背部に搭載された3基の小型推進機噴射と装着者の技量次第で、通常の航空機では実現できない高度な飛行性と機動性を発揮する。
このワカンダ製の物は配信ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で破壊されたマーク3の代わりにバッキーの頼みを受けて、“ワカンダ”で開発された最新型ウィングパック。
“ヴィブラニウム”製の両翼は、全体的に星条旗カラーがあしらわれ、内蔵式の実弾兵器各種はオミットされたものの、これまでのウィングパックと同等の基本機能のほか、墜落してきたヘリコプターが激突しても傷一つ付かず、水没しても機能不全すら起こさないほど極めて高い耐久性を誇り、本体背面にはマッハ1.7の高速飛行とより優れた機動性を両立させたスラスターや、新たに行使するようになったキャプテンアメリカの盾を吸着・固定・射出する機能も搭載された。
また、両翼は大きく展開しながら曲線状に変化させることができるようになり、サムの操作で盾と合わせつつ彼の周囲をシェルターのように覆う離れ業や、本体の角度を変化させて鋭利な先端を地面に突き刺し、地上戦闘でサムの姿勢を支えるためのアンカーとして使用することも可能となった。
さらに、ヴィブラニウム製の両翼には、ブラックパンサー・スーツと同様に、衝撃を受けるとその動的エネルギーを両翼に吸収・蓄積し、敵に対して任意のタイミングで蓄積したエネルギーを全て放出することで、周囲へ一斉に攻撃する機能が搭載されている。エネルギーが蓄積されると、衝撃を受けた部分や全体が光る。
付属のユニフォームはかつてスティーブが着用していたキャプテン・アメリカのユニフォームと同様の星条旗をあしらったデザインであるが、こちらは配色に白の比率が高くなっており、胸部の大きな星は翼のようなパターンとなったストライプとシームレスに混ざり合っており、ヘルメットの代わりにスマート・ゴーグルと一体となったバラクラバが対となる。
両前腕側面には装甲も追加されているが、サムが敵からの攻撃の直接防御に盾や両翼を行使したことからヴィブラニウム製ではなく、具体的な素材は不明。
(以上、Wikipediaより抜粋)

【タロ@怪獣列島少女隊】
朱崎サラ@怪獣列島少女隊に支給。
サラの相棒である竜。
竜とは、サラが所属する『不明生物狩猟隊』通称『UBH』が外来獣(※作中に登場する巨大怪獣)に対抗する為に、嘗て実在した『本物の竜』のDNAを元に作りだしたロボットの事。
  • 四本足で攻撃に特化した『サラマンダータイプ』
  • 二本足のみで運搬用に使われる『ワイバーンタイプ』
の二種類に分類され、二種類とも『翼を生やして飛行できる』点は共通する。
ちなみにこのタロは『サラマンダータイプ』。
サラマンダータイプには口部に外来獣の皮膚を溶かす『プラズマ砲』を装備している。
戦車や戦闘機ではなく、彼らが採用された理由は外来獣にプラズマ砲を的確に当てられるだけの機動力が必要であるから。
機械でありながら、生物のように独自の意志を持っている。
背中に直接跨って操作するが操縦桿の類はなく、竜と心を合わせて「適合」することでやっと動かすことができる…………が、逆にそれができなければ竜に振り回されてしまう。
『本物の竜』は女性にしか心を開かなかったとされ、そのDNAを元に作られたUBHの竜も女性にしか扱えない。








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最終更新:2026年08月04日 00:02