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『敗北者』


(キャラ)ポートガス・D・エース




 炎が、消えていた。
 ポートガス・D・エースは、見知らぬ街の路上に倒れていた。
 腹に穴がある。マグマに貫かれた傷だ。塞がらない。塞がるはずがない。自分でもわかっていた——これは、死ぬ傷だ。
 さっきまで、そこにいたはずだった。
 マリンフォード。砲煙と怒号と血に塗れた戦場。ルフィの泣き声が聞こえた。仲間たちの気配が、確かにそこにあった。
 それなのに気づけば、ここにいる。
 夜の街だ。見たこともない建物。誰もいない。ルフィも、仲間も——誰も、いない。
 「…………っ」
 起き上がろうとして、できなかった。腕に力が入らない。体が、言うことを聞かない。傷口から、じわじわと熱が逃げていく。
 ——なんで、ここに。
 頭が、うまく動かない。考えようとしても、痛みと出血が邪魔をする。
 首に何か固いものが巻かれていた。金属の輪。どうでもよかった。今はそんなことより——
 ルフィ。
 義弟の顔が、浮かんだ。
 泣いていた。あいつが泣くのを、久しぶりに見た。
 ——お前のせいじゃねえ。
 声に出せなかった。
 白ひげが、命をかけて戦ってくれた。仲間たちが、死地に飛び込んでくれた。ルフィが戦場を駆け抜けてくれた。
 それなのに赤犬の挑発に乗った。敗北者、という一言が許せなかった。それだけで、全部を台無しにした。
 それでも本来なら、仲間たちに囲まれて死ねるはずだった。ルフィに看取られながら——それだけが、せめてもの救いだったはずだった。
 だが、ここには誰もいない。
 泣いてくれる者も、手を握ってくれる者もいない。
 ただ夜の街が静かにそこにあって、エースは一人で横たわっている。
 誰かが都合よく誰かが現れて、傷を癒してくれる——そんな展開は起こらない。
 炎が、完全に消えた。
 ポートガス・D・エースは、誰に看取られることもなく、渋谷の路上で静かに息を引き取った。
 その有様は、まさに敗北者であった。

【ポートガス・D・エース@ONE PIECE 死亡確認】

 エースは何も成せなかった。戦うことも、誰かを助けることも、何一つ。
 ならばエースの死は、バトルロワイヤルに何の痕跡も残さなかったのか。
 悪魔の実の能力者が死ぬとき、その能力は世界のどこかへ還る。宿主を失った力は、果実の形を取り、再び誰かに拾われるのを待つ——それが、悪魔の実の理。
 メラメラの実。
 それがこの会場のどこかに出現した可能性があるということだった。

【メラメラの実@ONE PIECE】
種類:自然系
体を炎そのものに変化させ、あらゆる方向に高熱の炎を放つ。





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最終更新:2026年06月27日 13:51