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『ジュラシックワールド』


(キャラ)保登心愛、天々座理世、桐間紗路、宇治松千夜、ヴェロキラプトル、ティラノサウルス、スピノサウルス




 保登心愛——ココアは、夜の渋谷を全力で駆けていた。息が切れる。足がもつれる。それでも止まれない。止まったら、終わりだとわかっていた。
 後ろから、足音が聞こえる。
 規則的で、速い。爪がアスファルトを叩く音。追いついてきている。
 ——誰か、誰かいませんか——!
 叫ぼうとして、声が出なかった。息が足りない。
 ここがどこなのか、なぜこんな場所にいるのか、首に巻かれた金属の輪は何なのか——何もわからないまま、ただ走り続けていた。
 カフェで働いていたはずだった。チノと話していたはずだった。それなのに気づけば、誰もいない夜の街にいて恐竜に追いかけられている。
 ヴェロキラプトルは賢かった。
 ジュラシック・パークの施設から生み出されたその恐竜は人間を嘲るほどの知能を見せた。囮を使い、挟み撃ちにし、獲物の逃げ道を読んで先回りする。このゲームの会場に転移されてからも、その本能は変わらなかった。広い渋谷の街を縄張りとして把握し、獲物を追い詰める。
 ラプトルにとって、ここは狩場だった。
 ココアの足が、もつれた。
 アスファルトに手をつく。立ち上がろうとして——ラプトルの爪がココアの喉を切り裂いた。

【保登心愛@ご注文はうさぎですか? 死亡確認】

 ココアを捕食したラプトルは顔を上げ、鼻を鳴らす。夜風の匂いを嗅ぐ。
 まだ、獲物の気配がある。
 ラプトルは歩き出した。

【ヴェロキラプトル@ジュラシック・パーク】
[状態]:健康
[装備]
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:本能のままに獲物を狩る。
1:次の獲物を探索

 別の場所では三人の少女が寄り添っていた。
 天々座理世——リゼ、桐間紗路——シャロ、宇治松千夜。ラビットハウスでも甘兎庵でも、いつも当たり前のように隣にいた顔ぶれが、今は見知らぬ夜の街で肩を寄せ合っている。
 「状況を整理するぞ」
 リゼが腕を組んで言った。
 「首輪、スマホ、支給品。私たちは殺し合いのゲームに巻き込まれた」
 「そんな、まさか……」
 シャロが青ざめた顔で呟く。
 千夜が真剣な表情で辺りを見回した。
 デイパックの中身を確認すると、リゼの支給品に拳銃が一挺入っていた。本物だ。リゼは迷わず手に取り、安全装置を確認した。
 その直後だった。
 地響きがした。
 最初は遠く、次第に近く。アスファルトが、規則的に揺れる。
 「な、なに……?」
 シャロが声を震わせた瞬間、ビルとビルの間から、それが現れた。
 ティラノサウルスだ。
 巨大な頭部。小さな前足。地面を踏みしめるたびに、周囲が揺れる。濁った目が、三人を捉えた。
 「走れ!」
 リゼが叫んだ。同時に拳銃を構え、引き金を引く。
 銃声が夜に響いた。
 弾はティラノサウルスの顎に当たった。
 効かなかった。
 分厚い皮膚と筋肉が、拳銃弾を受け流した。ティラノサウルスは僅かに顔を向けただけで、歩みを止めない。
 「くっ——シャロ、千夜、逃げろ!」
 「リゼ先輩!」
 「いいから走れ!」
 リゼは引き金を引き続けた。牽制のつもりだった。だが——ティラノサウルスは牽制など意に介さなかった。
 大きく開いた顎が、降ってきた。
 「リゼ先輩——!!」
 シャロの悲鳴が、渋谷に響いた。

【天々座理世@ご注文はうさぎですか? 死亡確認】

 「リゼ先輩——リゼ先輩っ——!」
 シャロが泣きながら叫ぶ。足が止まりそうになる。
 「シャロちゃん!」
 千夜がシャロの手を引いた。強引に、しかし確実に。
 二人は路地を駆け抜けた。角を曲がり、階段を駆け上がり、ひたすら走った。
 ティラノサウルスの足音が、次第に遠ざかる。
 どれだけ走っただろうか。二人は大きなビルの陰に滑り込み、荒い息をついた。
 「……逃げ切ったかしら」
 千夜が壁に背を預けながら言った。
 シャロはまだ涙が止まらない。リゼ先輩、と小さく呟き続けている。
 千夜はシャロの肩に手を置こうとして——足を止めた。
 影が落ちてきた。
 スピノサウルス。
 ティラノサウルスを上回る巨体が、ビルの陰から姿を現した。水辺を好む捕食者が、渋谷の夜を縄張りとして歩いている。
 「——走って、シャロちゃん」
 千夜が静かに言った。
 「え、千夜——」
 「走って」
 もう一度、今度はより強く。
 そして千夜は囮となってスピノサウスルを引きつける。
 千夜の声が聞こえた。普段の悪戯っぽい響きとは違う、まっすぐな声が。
 「シャロちゃん生き残るのよ」
 それきり、声は聞こえなくなった。

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか? 死亡確認】

 シャロは走った。
 泣きながら、走った。リゼを呼びながら、千夜を呼びながら、それでも足を止めなかった。
 路地を曲がった先に、開けた場所があった。
 足を踏み入れた瞬間——地響きがした。
 顔を上げると、そこにいた。
 ティラノサウルス。巨大な影が、シャロの前に立ちはだかっていた。
 シャロは、後退りした。壁に背がぶつかる。
 ——リゼ先輩。千夜。
 二人の顔が浮かんだ。
 それが最後だった。

【桐間紗路@ご注文はうさぎですか? 死亡確認】

【ティラノサウルス@ジュラシック・パーク】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:本能のまま獲物を狩る。
1:次の獲物を探索

【スピノサウルス@ジュラシック・パーク】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:本能のまま獲物を狩る。
1:次の獲物を探索






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最終更新:2026年07月02日 18:53
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